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妹が突然、行方不明になった
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妹が旅行へ行って、帰ってこなかった。
20XX年。4月20日。妹が、花音(かのん)が2泊3日の旅行へ行って、帰ってくることはなかった。
予定日から1週間を過ぎても、音沙汰は無く連絡を待つスマホは静かに明かりが灯るだけだった。
このことを両親に言ってもなぜか「大丈夫だよ」っと声を揃えて心配することはせず、警察も取り合ってくれなかった。
『お姉ちゃん。楽しんでくるね』
最後受け取ったこのメッセージ。背景には寺が写っている。
行先は京都だった。
GW前日、あたしは学校で唯一、心を許している親友を屋上に呼び出して、事情を説明した。
「あたし……行ってくるよ」
「はぁ、止めても無駄みたいね」
「うん。金もあるし、GWを利用して探し出してくる」
幸いにもお金は両親が出してくれた。事情を説明しないと面倒だなっと思っていたがあっさりと貰えて拍子抜けだった。
「どうやって、探し出すつもりなの?」
「それは……その、なんとかして……」
「はぁ。考え無しなのね。いいわ。わたしも付いて行ってあげる」
「……いいのか? 1週間ホテルに泊まるから結構な額になるけど」
「それはあなたもでしょ。わたしと割り勘にすればマシじゃない。それに、1人よりも2人で探した方が効率がいいわ」
「……ありがと。助かるよ」
「はいはい。学校では最強の番長も妹のこととなると形無しね」
「うっせぇ。あたしだって不安なんだよ。母さんたちはなぜか取り合ってくれないし、なんだかよくわからないし……もしかしたら……」
「それ以上はなしよ。とにかく、花音ちゃんの足取り追ってみましょう」
「おう!」
あたしは親友と力強く握手を交わした。
翌日、あたし達は朝から京都に訪れていた。
「ここが、京都か」
「わかっているとは思うけど、一人行動は無しよ」
「大丈夫だって」
「それと夜に出歩くのも禁止」
「……えっ?」
「えっ? じゃないわよ! 花音ちゃんが行方不明になっているのよ!? わたしたちも同じようになるわけにはいかないでしょ!」
「でも……」
「でもも、それも、あれもないわよ!! これは決定事項よ!!」
「……わかったよ」
その後、あたしたちは花音のGPSを追って、行動するも手篝を得る事は出来なかった。
「……今日はここまでね」
「はぁ!? まだいける! もう少しだけ……」
「駄目よ。これ以上探しても成果は出なさそうなら引き上げて明日に備えましょう」
「………………」
「返事は?」
嫌だ。まだ、日が少し落ちた程度これぐらいならもう二、三箇所回ることができる。
だけど、今のあたしの状態や心配してくれていることはわかっている。
ここは無理をするところでもないか……。
「…………わかったよ」
「それならいいわ。電車でホテルに帰りましょうか」
「あ、最後に1つだけ。晩御飯だけ外で食べていいことにしないか?」
ふと、一つ行く前に一つ仕入れていた情報を思い出した。
「…………はぁ、わか……ったわよ。それでも20時までには店を出て戻るわよ」
「よっし! 確か、この辺に有名なバーがあったはずなんだ」
「バー? 私たち学生よ」
たしかにお酒は飲めない。だけど、その店の売りはお酒ではなく、今のあたし達に必要なもの。
「ああ、ノンアルコールで出会いを求める場所って言われているんだけど、普段のあたしならいかないけど今なら情報を集めるにもってこいだろ?」
「下調べはちゃんとやってきたのね」
「当然だろ」
あたし達は店に向かう。
「『スマイリー』本当ね、食べログ4以上で……嘘、1万件以上のレビューまであるじゃない」
「すごいだろ?」
「でも、この混みかたは無理そうよ」
親友の言う通り、中のテーブル席はほとんど埋まっており、外には行列ができている。
待ち時間はヘタをすると1時間以上になりそうだが、この店の特徴的に問題はない。
「いや? それは大丈夫だと思うぞ」
「なんで?」
「まあ、見てろって」
昨日調べた情報を元に最後尾で1人スマホをいじっているお姉さんに声をかける。
「あのー、すみません。相席いいですか?」
「いいわよー。そっちは何人?」
「2人です。どっちも女です」
「こっちは男一人混じるし、お酒飲むけどそれでもいいなら相席しましょうか」
「マジッすか! お願いします!」
トントン拍子でうまくいった。
「なっ?」
「なるほどね。でも、いいの? あっちは男連れよ」
「それは少し気になるけど、さすがにこっちに手を出してこないだろ。出して来たらシメる」
「乱暴ね」
男は苦手だけど、さすがに外では我慢しなければならない。
もしかするとあたしたちが持っていない情報網を聞かせてくれるかもしれないし、手篝を掴めるかもしれない。
そのためなら、一緒に食事をするぐらいはいいだろう。
その後、遅れてやってきた小太りの男と楽しく談笑したお姉さんと一緒に店に入っていた。
奥にあるテーブル席を使うことになり、1日歩き回ってせいかいつもよりも多く食べてしまった。
お姉さんと男の関係が気になるが、やり取りを見ていると上司と部下って感じがした。
しかも、お姉さんは酌を絶え間なくしているので、男はそれなりにできるタイプの仕事人と判断する。
あたしは思い切って、妹のことを話すことにした。
「ふーん。妹を探しているのね」
「そうなんですよ」
「まあ、家出するのは心配よね」
探している理由はさすがに特殊というか説明しにくかったので、家出したことにした。
お姉さんは他人事のようにあまり興味を持ってくれず、持っているお酒を飲み進める。
ダメか……と思ったその時、男の人がお酒を飲み干すと大きく手を叩いた。
「いよっし! わかった! おっちゃんが手を貸してやろう!」
「本当ですか!?」
「ああ! まかせとき! こう見えても政治家でな。警察に顔が聞くんや!」
「ありがとうございます!」
これはラッキーだ! まさか、見ず知らずのおっさんが頼りになるだなんて思いもしなかった。
有頂天になったあたしはおっさんの返事を待って、聞かれたことを話した。
「ちょっと待ってな。あ、その子の写真とかある?」
「これです!」
「姉ちゃんに似てかわい子やな。知り合いに送ってもええか? 個人情報とか守るから気にせんでええで」
「はい! 送ってもらって……」
「ちょっと待って」
写真を送るために連絡先を交換しようとした矢先、警戒心が強い杏子があたしのスマホを手で制止する。
なんだか少しだけ怒っているような気がする。
「あの、すみませんがあなたのことを信用できません」
「ちょっと!」
言い過ぎだ。このままだとせっかく手に入りそうな伝手を失うことになる。
あたしは杏子を止めようとするけど、それよりも先に言葉を紡がれる。
「黙りなさい。見ず知らずのしかも政治家? 怪しすぎるでしょ」
その一言で、あたしも少し冷静になる。
確かに、その通りだ。話が出来過ぎている。
今日一日、探し回って何の成果も得ることができなかったから心のどこかで焦っているのかもしれない。
ここはとりあえず杏子に任せた方がよさそうだ。
「まあまあ、それじゃ名刺……は切らしているからこれが証明かな」
そう言っておっさんはスマホの画面を見せてきた。
あたしと杏子は食い入るように覗き込む。
その画面はぐるぐると白と黒が波のように渦巻いてあり……………………。
「なによ……こ、れ……」
杏子が何かを言ったみたいだけど、気にならない。
それよりも目を離してはいけない気がする。
頭の中がごちゃごちゃと掻きまわせれて、なんだか気持ちいい。何か考え事をしていた気がするけど忘れた。
今はただ、画面の中のぐるぐるを追うだけで満たされる。
「それじゃ、行こっか。いやー、女を連れているとあたりを引けるなぁ」
おっさんが何か言っていたけど、従った方がいい気がしたので付いていくことにした。
あたし達は言われるがままにおっさんの車に乗り込んでどこかピンク色の雰囲気がするホテルに連れ込まれた。
部屋を取り、中に入ると大きなベッドがこれ見よがしに置いてあり、あたし達はそこに並んで座る。
おっさんは立ったまま、スマホを弄りながら質問する。
「自己紹介して、もらおうかな」
「私は宮本 美菜。OLをして最近、ここに引っ越してきた」
「はい。あたしは早乙女 麗華。学生、妹を探しにここに来ました」
「結衣 杏子。麗華と同じ学生で理由も同じ」
順番にあたしたちは自分の素性を明かした。
本名とかを改めて言うのはなんだか変な感じだし、おっさんに言うのは嫌だけど、答えなきゃいけない気がした。
その後も、いくつか確認吸うような質問をして、最後にもう一度、スマホのあの画面を見せた状態で問いかけてきた。
「そっか。催眠レベルはいくつ?」
「私は2です」
「わかりません」
「知りません」
宮本さんは2と答えたけど、どういう数字の意味かわからない。
「なるほど、学生2人は始めてか。よっしゃ、それじゃ催眠レベルの説明からやな」
おっさんは鞄を漁ると映画のパンフレットみたいな薄くて大きい本を取り出した。
10ページぐらいの厚さで、全体的に黒くて表紙にタイトルとして催眠レベルと大きく印字されている。
それを一部ずつあたし達に配るとおっさんは少し離れた椅子の上に座った。
「美菜って言ったな。こっちに来て、説明頼むわ」
「はい」
受け取った本を持って、宮本さんはおっさんの対面に座った。
ページをめくり、あたし達もそれに倣い、読み始めようとするとストップの声がかかる。
「まずは催眠レベルについて……」
「ああ、待て。何普通にしようとしとるねん」
何を言っているのかあたし達にはわからなかったが、宮本さんは顔面蒼白で震えている。
「ワシのちんぽがお留守やぞ。やることあるやろ」
「も、申し訳ありません!!」
土下座する勢いで、宮本さんはおっさんの足元に転がり込む。
そして、すぐに慣れた手つきでおっさんの股間からチンポを取り出して、舐め始めた。
「うぐあぁぁぁ……ふ、ふとぉぉい……」
「うん。これやこれ。じゃ、そのまま頼むで」
「は、はいぃぃぃ」
ぺろぺろといやらしく、音を鳴らしながら器用に奉仕しながら説明が始まる。
「さ、催眠レベルはあの動画を見たら始まっているの。今のあなた達は0ね」
書かれている項目に目を通す。そもそも、この催眠レベルというものはどうう効果を発揮するのかが書いてある。
「0だとある程度の自我はあるし嫌悪感もあるわ。まあ、わかる通り抵抗はできないけどね」
その通りだ。いますぐ逃げ出したいのに身体は動かない。
そのせいで、宮本さんがフェラをするのを見続けるというわけのわからない状態なのに、目をそらすことができない。
「レベルを上げるには快楽を受け入れれば段階的に上がっていくわ。ちなみに今の最高レベルは7よ……ん」
「おおええな。その調子や」
おっさんのは宮本さんの反応を楽しみながら、あたし達はその項目に書かれている内容を見て読み進める。
1、動画なしで催眠状態になる
2、意識を持ったまま催眠状態になる
3、日常的に催眠状態になる。
4、服従化。催眠状態にならなくなる。
5、快楽に貪欲になる。
6、快楽に逆らえなくなる。
7、???
以上が、主な効果らしい。
どれも曖昧であり、これを作ったのは小学生かと疑いそうなほど抽象的である。
しかも、最後の項目に至っては内容は無し。どういうことだ。
「今の私はレベル2。ここまで来るのにだいたい一週間ほどかかったわ」
「あげると何かいいことがあるんですか?」
「うーん。それは私も知らないかな」
たしかに、今のところあたしたちにとって不都合なことしか書いてない。
レベルなんて上げない方がいいのに、どうして宮本さんはあげようとしているのかわからない。
「とりあえず、ここ全世界で大規模の実験中なの。私たちは運悪く、いいえ、運よく巻き込まれたのよ」
まだページを開けてしかいないのに、説明が終わった。
あたしはそれ以上、見るつもりはなく杏子はどうやら、おっさんの行為から目をそらしたいのか次のページに向かった。
「出すで。あわせてな」
「はいぃぃ……いつでも、いつでもいいです!」
ドピュと距離があるにもかかわらず、聞こえてきそうなほどおっさんの射精を目撃する。
「ん、ん~~~~!!」
それをごくごくと好物のように飲み干していく。
気持ち悪いと思った。同じ女性だけど、ああはなりたくない。
夢中になって男のイチモツにケツを振り、あたかも主従関係を結んでいるように宮本さんは身体を擦りよせている。
飲み終わると、その場で口を開けておっさんに見せつけると服を脱ぎ捨てて、その場で土下座し始めた。
「あ、ありがとうございました~!」
「ふぅ、絞る取るような名器。レベル2でもイイモンもっとるわ」
そんな彼女の痴態に、おっさんは当たり前のように頭を踏みつけると次はこちらへと視線を移す。
「ほなっ。次は君たちやな。服を脱いで下着を見せろ」
「はい」
言われるがままにあたし達は互いに風呂に入るような気軽さで服を脱いだ。
おっさんに見られるのは屈辱だけど、仕方ない。
だって、従わなければならないのだから。
「お~ええなぁ。若々しくてうまそうや。今日は味見できひんのが残念や」
味見? まさかSEXをしようとするんじゃないかとひやりとする。
だけど、できないって言っているからには今日は大丈夫だろう。
(従うだけ従い、妹の情報を手に入れれば、こいつには用はないな)
ビシッと背筋を伸ばして診察されるようにおっさんに嘗め回すように見られるとだんだんと体が熱くなってくる。
恥ずかしい……。隣にいる杏子も同じように頬を赤らめていつ終わるかわからない視姦に耐え忍ぶ。
目を瞑って、我慢し続けると宮本さんの声が突然聞こえた。
「おじさま。準備できました」
「おっ。それじゃ送る用の動画撮影を始めよか。段取りを教えるからその通りに動いてな」
…………は?
動画撮影? ふざけんな。そんなことをしてたまるか。
普段のあたしなら、堪忍袋の緒が切れて殴り倒しているだろう。
「わかった。杏子と一緒に撮るのか?」
「そうやな。その方がHそうやし、それでいこか」
「了解」
おっさんが言うなら従うしかない。
20XX年。4月20日。妹が、花音(かのん)が2泊3日の旅行へ行って、帰ってくることはなかった。
予定日から1週間を過ぎても、音沙汰は無く連絡を待つスマホは静かに明かりが灯るだけだった。
このことを両親に言ってもなぜか「大丈夫だよ」っと声を揃えて心配することはせず、警察も取り合ってくれなかった。
『お姉ちゃん。楽しんでくるね』
最後受け取ったこのメッセージ。背景には寺が写っている。
行先は京都だった。
GW前日、あたしは学校で唯一、心を許している親友を屋上に呼び出して、事情を説明した。
「あたし……行ってくるよ」
「はぁ、止めても無駄みたいね」
「うん。金もあるし、GWを利用して探し出してくる」
幸いにもお金は両親が出してくれた。事情を説明しないと面倒だなっと思っていたがあっさりと貰えて拍子抜けだった。
「どうやって、探し出すつもりなの?」
「それは……その、なんとかして……」
「はぁ。考え無しなのね。いいわ。わたしも付いて行ってあげる」
「……いいのか? 1週間ホテルに泊まるから結構な額になるけど」
「それはあなたもでしょ。わたしと割り勘にすればマシじゃない。それに、1人よりも2人で探した方が効率がいいわ」
「……ありがと。助かるよ」
「はいはい。学校では最強の番長も妹のこととなると形無しね」
「うっせぇ。あたしだって不安なんだよ。母さんたちはなぜか取り合ってくれないし、なんだかよくわからないし……もしかしたら……」
「それ以上はなしよ。とにかく、花音ちゃんの足取り追ってみましょう」
「おう!」
あたしは親友と力強く握手を交わした。
翌日、あたし達は朝から京都に訪れていた。
「ここが、京都か」
「わかっているとは思うけど、一人行動は無しよ」
「大丈夫だって」
「それと夜に出歩くのも禁止」
「……えっ?」
「えっ? じゃないわよ! 花音ちゃんが行方不明になっているのよ!? わたしたちも同じようになるわけにはいかないでしょ!」
「でも……」
「でもも、それも、あれもないわよ!! これは決定事項よ!!」
「……わかったよ」
その後、あたしたちは花音のGPSを追って、行動するも手篝を得る事は出来なかった。
「……今日はここまでね」
「はぁ!? まだいける! もう少しだけ……」
「駄目よ。これ以上探しても成果は出なさそうなら引き上げて明日に備えましょう」
「………………」
「返事は?」
嫌だ。まだ、日が少し落ちた程度これぐらいならもう二、三箇所回ることができる。
だけど、今のあたしの状態や心配してくれていることはわかっている。
ここは無理をするところでもないか……。
「…………わかったよ」
「それならいいわ。電車でホテルに帰りましょうか」
「あ、最後に1つだけ。晩御飯だけ外で食べていいことにしないか?」
ふと、一つ行く前に一つ仕入れていた情報を思い出した。
「…………はぁ、わか……ったわよ。それでも20時までには店を出て戻るわよ」
「よっし! 確か、この辺に有名なバーがあったはずなんだ」
「バー? 私たち学生よ」
たしかにお酒は飲めない。だけど、その店の売りはお酒ではなく、今のあたし達に必要なもの。
「ああ、ノンアルコールで出会いを求める場所って言われているんだけど、普段のあたしならいかないけど今なら情報を集めるにもってこいだろ?」
「下調べはちゃんとやってきたのね」
「当然だろ」
あたし達は店に向かう。
「『スマイリー』本当ね、食べログ4以上で……嘘、1万件以上のレビューまであるじゃない」
「すごいだろ?」
「でも、この混みかたは無理そうよ」
親友の言う通り、中のテーブル席はほとんど埋まっており、外には行列ができている。
待ち時間はヘタをすると1時間以上になりそうだが、この店の特徴的に問題はない。
「いや? それは大丈夫だと思うぞ」
「なんで?」
「まあ、見てろって」
昨日調べた情報を元に最後尾で1人スマホをいじっているお姉さんに声をかける。
「あのー、すみません。相席いいですか?」
「いいわよー。そっちは何人?」
「2人です。どっちも女です」
「こっちは男一人混じるし、お酒飲むけどそれでもいいなら相席しましょうか」
「マジッすか! お願いします!」
トントン拍子でうまくいった。
「なっ?」
「なるほどね。でも、いいの? あっちは男連れよ」
「それは少し気になるけど、さすがにこっちに手を出してこないだろ。出して来たらシメる」
「乱暴ね」
男は苦手だけど、さすがに外では我慢しなければならない。
もしかするとあたしたちが持っていない情報網を聞かせてくれるかもしれないし、手篝を掴めるかもしれない。
そのためなら、一緒に食事をするぐらいはいいだろう。
その後、遅れてやってきた小太りの男と楽しく談笑したお姉さんと一緒に店に入っていた。
奥にあるテーブル席を使うことになり、1日歩き回ってせいかいつもよりも多く食べてしまった。
お姉さんと男の関係が気になるが、やり取りを見ていると上司と部下って感じがした。
しかも、お姉さんは酌を絶え間なくしているので、男はそれなりにできるタイプの仕事人と判断する。
あたしは思い切って、妹のことを話すことにした。
「ふーん。妹を探しているのね」
「そうなんですよ」
「まあ、家出するのは心配よね」
探している理由はさすがに特殊というか説明しにくかったので、家出したことにした。
お姉さんは他人事のようにあまり興味を持ってくれず、持っているお酒を飲み進める。
ダメか……と思ったその時、男の人がお酒を飲み干すと大きく手を叩いた。
「いよっし! わかった! おっちゃんが手を貸してやろう!」
「本当ですか!?」
「ああ! まかせとき! こう見えても政治家でな。警察に顔が聞くんや!」
「ありがとうございます!」
これはラッキーだ! まさか、見ず知らずのおっさんが頼りになるだなんて思いもしなかった。
有頂天になったあたしはおっさんの返事を待って、聞かれたことを話した。
「ちょっと待ってな。あ、その子の写真とかある?」
「これです!」
「姉ちゃんに似てかわい子やな。知り合いに送ってもええか? 個人情報とか守るから気にせんでええで」
「はい! 送ってもらって……」
「ちょっと待って」
写真を送るために連絡先を交換しようとした矢先、警戒心が強い杏子があたしのスマホを手で制止する。
なんだか少しだけ怒っているような気がする。
「あの、すみませんがあなたのことを信用できません」
「ちょっと!」
言い過ぎだ。このままだとせっかく手に入りそうな伝手を失うことになる。
あたしは杏子を止めようとするけど、それよりも先に言葉を紡がれる。
「黙りなさい。見ず知らずのしかも政治家? 怪しすぎるでしょ」
その一言で、あたしも少し冷静になる。
確かに、その通りだ。話が出来過ぎている。
今日一日、探し回って何の成果も得ることができなかったから心のどこかで焦っているのかもしれない。
ここはとりあえず杏子に任せた方がよさそうだ。
「まあまあ、それじゃ名刺……は切らしているからこれが証明かな」
そう言っておっさんはスマホの画面を見せてきた。
あたしと杏子は食い入るように覗き込む。
その画面はぐるぐると白と黒が波のように渦巻いてあり……………………。
「なによ……こ、れ……」
杏子が何かを言ったみたいだけど、気にならない。
それよりも目を離してはいけない気がする。
頭の中がごちゃごちゃと掻きまわせれて、なんだか気持ちいい。何か考え事をしていた気がするけど忘れた。
今はただ、画面の中のぐるぐるを追うだけで満たされる。
「それじゃ、行こっか。いやー、女を連れているとあたりを引けるなぁ」
おっさんが何か言っていたけど、従った方がいい気がしたので付いていくことにした。
あたし達は言われるがままにおっさんの車に乗り込んでどこかピンク色の雰囲気がするホテルに連れ込まれた。
部屋を取り、中に入ると大きなベッドがこれ見よがしに置いてあり、あたし達はそこに並んで座る。
おっさんは立ったまま、スマホを弄りながら質問する。
「自己紹介して、もらおうかな」
「私は宮本 美菜。OLをして最近、ここに引っ越してきた」
「はい。あたしは早乙女 麗華。学生、妹を探しにここに来ました」
「結衣 杏子。麗華と同じ学生で理由も同じ」
順番にあたしたちは自分の素性を明かした。
本名とかを改めて言うのはなんだか変な感じだし、おっさんに言うのは嫌だけど、答えなきゃいけない気がした。
その後も、いくつか確認吸うような質問をして、最後にもう一度、スマホのあの画面を見せた状態で問いかけてきた。
「そっか。催眠レベルはいくつ?」
「私は2です」
「わかりません」
「知りません」
宮本さんは2と答えたけど、どういう数字の意味かわからない。
「なるほど、学生2人は始めてか。よっしゃ、それじゃ催眠レベルの説明からやな」
おっさんは鞄を漁ると映画のパンフレットみたいな薄くて大きい本を取り出した。
10ページぐらいの厚さで、全体的に黒くて表紙にタイトルとして催眠レベルと大きく印字されている。
それを一部ずつあたし達に配るとおっさんは少し離れた椅子の上に座った。
「美菜って言ったな。こっちに来て、説明頼むわ」
「はい」
受け取った本を持って、宮本さんはおっさんの対面に座った。
ページをめくり、あたし達もそれに倣い、読み始めようとするとストップの声がかかる。
「まずは催眠レベルについて……」
「ああ、待て。何普通にしようとしとるねん」
何を言っているのかあたし達にはわからなかったが、宮本さんは顔面蒼白で震えている。
「ワシのちんぽがお留守やぞ。やることあるやろ」
「も、申し訳ありません!!」
土下座する勢いで、宮本さんはおっさんの足元に転がり込む。
そして、すぐに慣れた手つきでおっさんの股間からチンポを取り出して、舐め始めた。
「うぐあぁぁぁ……ふ、ふとぉぉい……」
「うん。これやこれ。じゃ、そのまま頼むで」
「は、はいぃぃぃ」
ぺろぺろといやらしく、音を鳴らしながら器用に奉仕しながら説明が始まる。
「さ、催眠レベルはあの動画を見たら始まっているの。今のあなた達は0ね」
書かれている項目に目を通す。そもそも、この催眠レベルというものはどうう効果を発揮するのかが書いてある。
「0だとある程度の自我はあるし嫌悪感もあるわ。まあ、わかる通り抵抗はできないけどね」
その通りだ。いますぐ逃げ出したいのに身体は動かない。
そのせいで、宮本さんがフェラをするのを見続けるというわけのわからない状態なのに、目をそらすことができない。
「レベルを上げるには快楽を受け入れれば段階的に上がっていくわ。ちなみに今の最高レベルは7よ……ん」
「おおええな。その調子や」
おっさんのは宮本さんの反応を楽しみながら、あたし達はその項目に書かれている内容を見て読み進める。
1、動画なしで催眠状態になる
2、意識を持ったまま催眠状態になる
3、日常的に催眠状態になる。
4、服従化。催眠状態にならなくなる。
5、快楽に貪欲になる。
6、快楽に逆らえなくなる。
7、???
以上が、主な効果らしい。
どれも曖昧であり、これを作ったのは小学生かと疑いそうなほど抽象的である。
しかも、最後の項目に至っては内容は無し。どういうことだ。
「今の私はレベル2。ここまで来るのにだいたい一週間ほどかかったわ」
「あげると何かいいことがあるんですか?」
「うーん。それは私も知らないかな」
たしかに、今のところあたしたちにとって不都合なことしか書いてない。
レベルなんて上げない方がいいのに、どうして宮本さんはあげようとしているのかわからない。
「とりあえず、ここ全世界で大規模の実験中なの。私たちは運悪く、いいえ、運よく巻き込まれたのよ」
まだページを開けてしかいないのに、説明が終わった。
あたしはそれ以上、見るつもりはなく杏子はどうやら、おっさんの行為から目をそらしたいのか次のページに向かった。
「出すで。あわせてな」
「はいぃぃ……いつでも、いつでもいいです!」
ドピュと距離があるにもかかわらず、聞こえてきそうなほどおっさんの射精を目撃する。
「ん、ん~~~~!!」
それをごくごくと好物のように飲み干していく。
気持ち悪いと思った。同じ女性だけど、ああはなりたくない。
夢中になって男のイチモツにケツを振り、あたかも主従関係を結んでいるように宮本さんは身体を擦りよせている。
飲み終わると、その場で口を開けておっさんに見せつけると服を脱ぎ捨てて、その場で土下座し始めた。
「あ、ありがとうございました~!」
「ふぅ、絞る取るような名器。レベル2でもイイモンもっとるわ」
そんな彼女の痴態に、おっさんは当たり前のように頭を踏みつけると次はこちらへと視線を移す。
「ほなっ。次は君たちやな。服を脱いで下着を見せろ」
「はい」
言われるがままにあたし達は互いに風呂に入るような気軽さで服を脱いだ。
おっさんに見られるのは屈辱だけど、仕方ない。
だって、従わなければならないのだから。
「お~ええなぁ。若々しくてうまそうや。今日は味見できひんのが残念や」
味見? まさかSEXをしようとするんじゃないかとひやりとする。
だけど、できないって言っているからには今日は大丈夫だろう。
(従うだけ従い、妹の情報を手に入れれば、こいつには用はないな)
ビシッと背筋を伸ばして診察されるようにおっさんに嘗め回すように見られるとだんだんと体が熱くなってくる。
恥ずかしい……。隣にいる杏子も同じように頬を赤らめていつ終わるかわからない視姦に耐え忍ぶ。
目を瞑って、我慢し続けると宮本さんの声が突然聞こえた。
「おじさま。準備できました」
「おっ。それじゃ送る用の動画撮影を始めよか。段取りを教えるからその通りに動いてな」
…………は?
動画撮影? ふざけんな。そんなことをしてたまるか。
普段のあたしなら、堪忍袋の緒が切れて殴り倒しているだろう。
「わかった。杏子と一緒に撮るのか?」
「そうやな。その方がHそうやし、それでいこか」
「了解」
おっさんが言うなら従うしかない。
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