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耳かき

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―――カラコローン

「いらっしゃーい」

中から親父の声が聞こえてきた
内装は美容院や散髪屋で見かける椅子が4つほど置いてあり、少し殺風景な印象を受けた
そして、奥からは波平ヘアスタイルの親父と一匹の子犬が暖簾をくぐってこっちに向かってきた

「こちらへどうぞ」
「ども」

席へと案内されて、シュルルとケープを巻かれた
その上に、ちょうど人肌ぐらいの暖かさになったタオルを首にかけてくれる
口からは「はふっ」と情けない声が漏れだす

「さて、どちらからいたしましょう?」
「あ、右からお願いします。すごくかゆくて」
「かしこまりました」

―――ウィィィィン

椅子が動き出し、天井を見つめる
俺は右耳を上に向け、耳かきが入るのを待ちわびる
そうしていると親父は耳をつまみ、いろんな角度から光を当てる
少しすると一人で納得し、子犬を遠ざけた

「それでは、耳垢を取っていきます。今回は木製の耳かきを使わせていただきます」

やっとだ
力加減を確認するように、外側をこする

―――スリスリ、スー、スリ、カリ

痛くもなく、ちょうどいい力で耳垢をとられる
スッスッと耳かきが離れるのが名残惜しくなるほどだ
だがだが、今の俺は耳奥がものすごくかゆいのだ

「あの、お、奥を」
「了解です」

親父はそういって、耳かき棒を穴の中に入れる
次の瞬間―――

―――ガリッ!

「っ!?」

唐突なる快感が電流となり体中にほとばしる
体が思わず、ビクッ!と動くも幸いに耳かき棒は耳に刺さらなかった

「す、すみません」
「大丈夫です。続けても?」
「お願いします」

―――カリッ、ァツッ、チチチ、ガリッ

親父が巧みに耳かき棒を操り、かゆみの根源の耳垢に取り掛かってくれる
正直、めちゃくちゃ気持ちいい
痛みは確かにある。だけどそれはほんのわずかでしかなく、それよりはるかに上回る快感が俺の脳を支配する
そして、終わりは近づいていた

―――チッ、チッ、チッ、ガッビリッ!

「あうう」

またもや情けない声が漏れだしてしまう
仕方ないことだ。それよりも、かゆみの根源が取れて気分がすこぶるいい

「取れました。見ますか?」
「あ、はい」

親父は真っ白なティッシュの上に先ほど取れた耳垢を置き、見せれくれた
外側をこすっていた耳垢も一緒においてくれたため比較すると、約3倍ぐらいはありそうだった

「すごいですね」
「ええ、それではほかのところやっていきますね」

そういって、親父は再び耳かき棒を手にする
それから、しばらく親父のテクニックを堪能していたのだが、いつの間にか寝てしまっていた

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