妖怪(オレ)の力は??(オレ)のもの。

XX GURIMU

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妖怪(オレ)の力は俺のもの。

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【選べ】

 腰に刀を携え、あたかも侍だと見間違うほどの青年の頭の中で女性の声が響く。
 足音を鳴らしながら、前へと進み自身の何倍もある妖怪達を相手にしながらも平然としている。

【選ぶは……消えぬ炎『不知火』か。解けぬ氷『氷鬼』か】

 青年は、銀二は考える。
(どちらを選んでも悪くはないな……)
 消えぬ炎。解けぬ氷。
 想像するだけでどれほどの威力があるのか青年は考える。
 まるで散歩するかのように考え事をし笑みを漏らす。
 
(まあ、使い方がわからないのはいつも通りか)
 強者としての余裕。幾戦もの視線を超えた先で手に入れた自身こそが彼の強みである。

 ―――SYAAA!!
 ―――GUUUU!!
 ―――BYEEE!!

 複数モノ叫び声をあげ、妖怪たちが進撃を始める。
 地響きが鳴り、銀二の立つ足場を揺れた。
 その瞬間、銀二は選ぶものを決定する。

(選択だ。『氷鬼』を選ぶ)

【受け取るがいい】

 傲慢な物言いを聞き流し、刀を抜く。
 蒼氷を纏いし、銀色の刀はゆらゆらと刀身を輝かせている。
 そして―――試し切りを始める。

(まずは、刀に宿っているか試してみるか)

 全力で地面に突き刺す。
 揺れる大地は一瞬にして凍土へと変貌する。
 大地が氷へと変わったせいで、妖怪たちの何体かは転んだ。
 銀二は刀を引き抜くと面白そうな顔をして刃を眺める。

(いいね。今回は、使いやすそうだ)

 蒼氷が消え、真っ白に輝く刀身は銀二の瞳を映し出す。
 真っ赤に輝く瞳の奥に百鬼夜行を思わせるような闇の炎が揺らめく。

【妖、出現。すべて倒せ】
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