シノビトサキュバス

XX GURIMU

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夢の催眠の時間

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「あ……れ、ここは?」
「お早いお目覚めね」
「リリム様?」
 目が覚めるとそこは真っ暗闇で自身の姿もしっかりと確認できないのに、リリム様の姿だけがはっきり見えた。
 そして、頭に何かもやがかかっているような、うまく言えないが違和感を覚えていた。
「ふふ、ねぇ、知りたいことがあるの。教えてくれる?」
「はい。なんでも答えます」
 はっきりと私は答える。私はリリム様の家畜だ。家畜が抵抗することなんてあってはならない。
「まずは、あなたは何者かしら?」
「はい。私は忍びです。【異界より現れし人外の力を持つ怪物】に対抗するための組織に属し、今回は」
「違うわ」
「はい」
 私の経歴。絶対に口に出してはならない極秘事項などを告げようとすると間違っていると指摘された。
 何が間違っているのかはわからないが正しい答えは――――。
「あなたはね、家畜なの。私を満足するための食事。魔力を精製するためのペットなのよ」
「はい。私はリリム様の食事をお作りするためのペットでございます」
 ああ、なんで間違っていたのだろう。私は家畜だ。忍びなどではない。
 これから先、死ぬまでリリム様に大切な食事を作り出すペットとして生きていく。それこそが私の使命。
「次よ。あなたは家畜として今後、何をすればいいのかしら?」
「リリム様に種付けしていただきます」
「それだけ?」
「え……あの、えっと、その」
 わからなかった。私はこの身体を使い、リリム様の尻尾から出る液体を子宮で育てて魔力を提供する。それが、私の存在意義だと思っていたのに、それだけとの質問に何かないかと考える。
 答えは見つからず、うつむいてしまう私にリリム様が前から抱擁してくださる。
「あなたはこれからね……女の子を同じ家畜するためにトラップを仕掛けるの」
「トラップですか?」
「そうよ」
 その言葉に連想されるのが落とし穴や転がる岩など、いわゆる漫画などで思い出す古典的な罠が頭の中で閃く。
 だが、それだけだとどうやって女の子を家畜するのか手段がわからなかった。
「やり方は簡単よ。ちょっとしたことでいいの。女の子が何かに夢中になっている時、その時にそっと相手のお腹に手を押し当て、呪文を唱えるの」
「呪文を」
「≪ヒュプノス≫。忘れてはいけないわよ」
「はい。かしこまりました」
 頭の中で何度も復唱する。≪ヒュプノス≫なんだかどこかで聞いたことがあるような気がする。
 幼い頃、そうずっと昔に聞いた気がするが…………あれは……。
「さあ、夢の時間は終わりよ。ここでのことは内緒。目が覚めたらあなたは忍びとして活動するわ。でも、決して……私の家畜だってことは忘れたらだめよ? シノブ」
 その言葉を最後に、世界は光に包まれ眩しさに目を閉じた。
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