淫魔(サキュバス)に支配された女学園~淫らに喘ぐ学生~

XX GURIMU

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エピローグ

咲宮(さきみや) 雫(しずく) 身長169cm B108 W59 H89 Eカップ ㉛

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 抵抗に次ぐ、抵抗の末に病院まで徒歩10分のところを3時間近く粘ることができました。
 時計の針が12時を回り、いつもなら女学生が入院してにぎやかな病院も閑散としています。
 こうも遅い時間だと入ること自体がよくないことです。迷惑です。昼間に、そう明日もう一度見合いに来ればいいだけです。

「メリナ。この時間は迷惑です。日を改め――――」

 メリナに提案し、逃げ出そうとしたその時でした。
 ガチャンッとカギが開く音がして、自動扉が開きました。
 メリナが堂々と入り、しかなく私も入るとそこには私たちのことを出迎えてくれる人がいました。

「お待ちしてました。メリナ様。どうぞ、こちらに」
「ありがと」

 すでに準備をしていたのか中から現れた看護師が私たちを招き入れます。
 連絡する隙も与えてなかったはずなのですが、よくよく考えたら先に美羽さんと優衣さんが来ていたのですから先手を打たれていたということでしょう。
 ここに一歩でも踏み入れば……私はもう目をそらすことができません。
 本当のサキュバスとなり、文字通り人間を辞めた私に汐音に会う資格なんかは――――。
 うつむいて、うじうじしている私に見かねたメリナは私の手を掴みました。

「ほら、行くわよ」
「あっ」

 腕を引っ張られて覚悟することもなく踏み入りました。
 さすがの強引さに怒り、文句の一つでも言おうと顔をあげると引っ張ったのはメリナだけではありません。

「優衣さんに美羽さんですか」

 2人とも私の方に顔を向けずに目的の場所まで引っ張られます。
 この手を振り切ることなんか簡単なことです。少し、ほんの少しだけ力を入れれば抜け出すことができます。
 ですが――――、どうしてだかそれをする気になりません。
 不可解です。理解不能です。

「着いたわよ。後は……わかっているわね?」

 一度も来たことがない。ありませんでした。ずっと、ずっと私はそこの部屋のことを意識していたのに、足を運ばなかった部屋が目の前にあります。
 この先に汐音がいる。大好きだった汐音がいます。
 怖いです。確かめたくありません。もしも、いえ、拒絶する可能性が高いのです。
 そんなことをするくらいならいっその事……この楽しかったという思い出のままでずっと――――。
 そう、思った時でした。

「あれ? 誰か部屋の外にいるんですか?」
「――――っ!!」
「あ、いるんですね。大丈夫ですよ、中に入ってください」

 中から汐音の声が聞こえました。どうやら、私が来たということはまだわかっていないみたいです。
 恐らくはここまで来る足音が部屋で止まったので気になっただけでしょう。
 今なら何もなかったかのように逃げ出すことはできる。目をそらし、伸びかけた手を引っ込めそうになるその時だった。

『がんばれ』

 目をそらした先に口パクで応援してくれるメリナがいた。
 同じように口パクをしている二人もいるが、内容は同じだった。
 『勇気を出して』とか『雫様なら、いけます』とか……。
 勝手です。
 勝手な言い分だ。他人事だからそんなことを言えるのです。
 あなたたちだって私と同じ立場に慣れば怖がるでしょう。逃げたくなるでしょう。
 なのに、それなのに……どうして胸が暖かくなる?
 気づいた時にはさっきまでやめようとしていた手はしっかりとドアノブを握りしめて引っ張ります。

『がんばってきます』

 部屋が開き切る前に一瞬だけ、メリナたちに口パクで返して私は部屋に踏み入りました。
 


  
「あれ? 雫じゃない。久しぶり」

 中にはサキュバスになる前にあれだけ好きだった汐音がいます。
 ベッドの上でなんとか上半身だけを起こしているのから察するあまり体力は回復していないのでしょう。
 汐音の事情は知っています。私を裏切っていたことも知っています。
 そして、汐音を見て確信します。もう、私は彼女に恋をしていません。
 サキュバスとしてこの子を食べたいという衝動が、私の足を動かします。
 胸が苦しくもなく、ただ私は彼女を――――。

「ごめんなさい」

 汐音が頭を下げました。
 何に謝っているかは一瞬だけ、考え裏切っていたことだと理解しました。
 その瞬間、さきほどまで私の中で暴れていた性の衝動が抑え込まれます。

「いいですよ。知っています」
「そっか」

 裏切っていたこととかそういうのは私の中でそれほど問題じゃありません。
 むしろ、今まで私は彼女をサキュバスの道具として使っていました。
 謝るべきはこっちで――――。

「ねぇ、雫。サキュバスの研究ってまだやっているの?」
「……えぇ、やっていますよ」
「自分がサキュバスになっているのに?」
「はい」

 研究を辞めることはしません。だって、まだまだ未知な部分が多いです。
 そのためにメリナの傍にいます。研究室を持たないのは必要ではないからです。

「また……その……ね」

 ああ、彼女の言いたいことがわかります。
 それは恋愛感情ではないです。
 もう、私があの感情を手に入れることはないでしょう。
 それでも――――。

「また、一緒に研究を手伝ってくれませんか?」

 私は頭を下げて、汐音が私の伸ばした手を掴んでくれることを期待します。
 どんな表情をしていたのか私にはわかりません。
 拒絶される可能性が高いことは私が一番理解しています。
 あんなことをしでかし、その時以上の力を身につけた私の傍に誰もいてくれないでしょう。
 ですが、もし望んでいいのなら私は――――。

「いいよ。手伝ってあげる」

 汐音は私の手をぎゅっと握ってくれます。
 私は顔をあげることができません。
 うれしくて、涙があふれ出し……汐音の姿を見ると襲い掛かってしまいそうだからです。
 その私に見かねたのか引っ張られて、汐音の胸うずくまるように抱き着きました。

「ずっと……ずっと、一緒にいてあげるからね」
「は、い」

 彼女の体の柔らかさに理性が溶かされます。
 ただ、どうしてだが動きになれませんでした。
 
 私はようやく、何か大きな荷物を降ろした……そんな気がして、睡眠が不要なサキュバスなのに瞼を開けていられず眠ってしまいました。

 

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