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魔物ハンターとサキュバス
咲宮(さきみや) 雫(しずく) 身長169cm B108 W59 H89 Eカップ ㉘
しおりを挟む頭が冴えわたります。視界が澄んでおり、身体が羽が生えたかのように軽いです。
私は、私ではなくなった。覚悟はしてました。
ムルトを倒すためには人であることを辞めなくはならなかった。そして、サキュバスをも超える。
私の力だけでは何もできませんでした。限界がありました。
だけど、限界を踏み出すための一歩を……メリナが示してくれた。
だからこそ、今の私は……。
「な、なんだと!? 馬鹿な! 俺の洗脳が……どうして!!」
ムルトの頭を掴んだ腕を何度も殴られますが痛みを感じません。
いえ、それどころか衝撃さえもすり抜けて本当に当たっているのかどうか自分の目を疑います。
まあ、実際のところは当たっているみたいですけどね。
「ふざけるな! 人が、人間がインキュバスを超えるわけがない!!」
ああ、ムルト。今ならあなたの気持ちがわかりますよ。
この人を見下すという視点というものは快楽に似た心地よさがあります。
これに依存してしまう気持ちがよくわかります。
だけど……私はもう二度と過ちは犯さない。
「簡単です。そのための装置ですよ」
「……まさか!!」
「ええ、あの装置はあなたが使うときだけ限定的な効果を、発揮するようにしたのですよ」
「限定的な?」
「そうです。洗脳の命令に催眠で誤認させ、私自身を作り替える。そう一から作り替えるのですよ」
サキュバスが使えば、インキュバスを弱体化させる効果を変質させるには簡単でした。
そもそも、二つの本質は似ています。催眠と洗脳。どちも脳を基軸に作用します。
それならば、人間の根本である脳を作り替える。人を辞めることさえも可能だと判断しました。
ぶっつけ本番でしたがうまくいってよかったです。
「う、うそだろ!? なぜ、そんなものを……その力さえあれば……」
「言いたいことはわかります。ですが、私はもう、過ちを繰り返さない」
力に溺れた結果を知っている。失ったものを涙を流しながら数えた。
だからこそ、私は……この力を制御することができる。
「く、くそ!! だが、そう簡単に力を使いこなせると……」
「使いこなせます。私は半分サキュバスですよ……力さえあれば自由に使いこなして見せます!!」
ムルトの頭に向け、私の力を流し込みます。
サキュバスの催眠、インキュバスの洗脳、人間の思い込みを混ぜたオリジナルです。
「では、ムルト。あなたを封印します。一生、その人の体から元に戻ることはないでしょう」
「あ、ぐぅぅ!! だ、だ、だ」
「だ?」
「誰か助けろ!! 王の、俺様のピンチだぞ!!」
声がむなしく体育館に轟きます。
他のインキュバスたちは美羽の陽動に、メリナは倒れこんでいます。
反応するはずがありません。それはわかっているはずです。
だけど、その目は誰かに救いを求めている目でした。
「誰も助けませんよ。力に溺れ、いろいろと悪逆を行ってきたあなたには私から罰を与えます」
「あ、あ、うあああぁぁぁぁ!!」
膨大な光がムルトの体から発生します。
「……さようなら。ムルト」
光が霧散し、中から真さんが現れて手を放します。
これで一生、真さんの中からムルトは現れることはないでしょう。
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