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魔物ハンターとサキュバス
柊(ひいらぎ) 真(まこと) 身長166cm B80 W58 H82 Bカップ ⑥
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私は小太刀を大きく横に振りかぶって襲い掛かった。
汐音は目で追っているけど体を動かすそぶりはない。
ふと、剣先がこのまま切り裂くを未来を想像してしまう。もし、本当に避けなかったら……
「くっ」
頭がボーッとする。インキュバスの翼の副作用か複雑に物事考えるのことが難しい気がする。
本能的にやばいと思い私は腕に力を込めた。
「寸止めとは優しいね」
「くっ!」
結果、服に刃が触れる前に私は止めてしまった。
サキュバスを狩る覚悟はあるけど、人を殺める覚悟なんてできていない。
「で、どうする? 交渉するか、それとも脅してみる?」
「なにを……」
「この状況ならあなたが有利よ。さぁ、どうするの? 雫の情報が欲しい? 先にお友達を助けるためにどいたほうがいい? それとも……」
汐音は自分の胸を持ち上げて、見せつけてきた。
「私が欲しい?」
「ふざけるなっ!」
挑発されて私は冷静さを失ってしまう。
思わず、刀を押し込みそうになるがそこだけは耐えることができた。
「そこをどけっ!」
「わかったわ」
手をあげて、後ろに下がる。
「後ろを向け」と命令し、私は梢を抱きかかえて話しかけた。
「梢! 大丈夫!?」
「うっ、真……ちゃん」
「待ってて、すぐに病院に連れて」
「に、げて」
「えっ」
「私を置いて……逃げて」
「そんなこと!」
できるもんかと叫びたかった。
だけど、思い出してしまう。ここに突入する前に梢に命令したことを……
あの時の梢はこういう気持ちだったのだろう。
胸が締め付けられ、今にも散ってしまいそうな仲間を見捨てないといけないなんて……
「逃げないの? 今なら見逃してあげてもいいわよ?」
「なんだと?」
「一応は女の子が手に入ったから別に用事はないの。その子を連れて逃げるだけなら許してあげる」
その手に入った女の子は紗枝のことだろう。その口ぶりからして今から急いでも間に合わないことを意味している。
これはただの脅しでも何でもない気がする。本当に見逃していいと思っているのかもしれない。
だったら……梢を連れて……
(頭が痛い。これは単なる頭痛なんかじゃないっっ)
武器に握りしめる力がどんどん弱まっていく。
次第に切っ先は地面に触れて、床に滑り落ちてしまった。
拾い上げようとするも、どうやって持ち上げていたか思い出せない。
「でも、いいの? 逃げるのは許すけどこの薬がなんだか気にならないかしら?」
「っ!!」
言われて気づく。
ついさっきのことなのに、それすらもすぐに忘れてしまう。
そもそも、注射器が落ちているのだから梢に何か投与されていることは簡単に予測できた。
それなのに襲い掛かり、あまつさえ逃げようなんて考えていた……
(もう……ダメだ……)
自分が嫌になる。
状況は何も変わっていない。わかっている。逃げ出そうと思えば逃げ出せる。
(なのに……どうして私は自分のことを……)
「真ちゃん! 真ちゃん!!」
抱きかかえている梢の言葉が励ましてくれていることがわかる。
だけど、今の私にはもう立ち上がる気力がない。
「雫もえぐい薬を作ったものね」
「……?」
一瞬、一瞬だけその言葉の意味を考えたがすぐに霧散してしまった。
「さて、雫の元に行きましょうか」
汐音は目で追っているけど体を動かすそぶりはない。
ふと、剣先がこのまま切り裂くを未来を想像してしまう。もし、本当に避けなかったら……
「くっ」
頭がボーッとする。インキュバスの翼の副作用か複雑に物事考えるのことが難しい気がする。
本能的にやばいと思い私は腕に力を込めた。
「寸止めとは優しいね」
「くっ!」
結果、服に刃が触れる前に私は止めてしまった。
サキュバスを狩る覚悟はあるけど、人を殺める覚悟なんてできていない。
「で、どうする? 交渉するか、それとも脅してみる?」
「なにを……」
「この状況ならあなたが有利よ。さぁ、どうするの? 雫の情報が欲しい? 先にお友達を助けるためにどいたほうがいい? それとも……」
汐音は自分の胸を持ち上げて、見せつけてきた。
「私が欲しい?」
「ふざけるなっ!」
挑発されて私は冷静さを失ってしまう。
思わず、刀を押し込みそうになるがそこだけは耐えることができた。
「そこをどけっ!」
「わかったわ」
手をあげて、後ろに下がる。
「後ろを向け」と命令し、私は梢を抱きかかえて話しかけた。
「梢! 大丈夫!?」
「うっ、真……ちゃん」
「待ってて、すぐに病院に連れて」
「に、げて」
「えっ」
「私を置いて……逃げて」
「そんなこと!」
できるもんかと叫びたかった。
だけど、思い出してしまう。ここに突入する前に梢に命令したことを……
あの時の梢はこういう気持ちだったのだろう。
胸が締め付けられ、今にも散ってしまいそうな仲間を見捨てないといけないなんて……
「逃げないの? 今なら見逃してあげてもいいわよ?」
「なんだと?」
「一応は女の子が手に入ったから別に用事はないの。その子を連れて逃げるだけなら許してあげる」
その手に入った女の子は紗枝のことだろう。その口ぶりからして今から急いでも間に合わないことを意味している。
これはただの脅しでも何でもない気がする。本当に見逃していいと思っているのかもしれない。
だったら……梢を連れて……
(頭が痛い。これは単なる頭痛なんかじゃないっっ)
武器に握りしめる力がどんどん弱まっていく。
次第に切っ先は地面に触れて、床に滑り落ちてしまった。
拾い上げようとするも、どうやって持ち上げていたか思い出せない。
「でも、いいの? 逃げるのは許すけどこの薬がなんだか気にならないかしら?」
「っ!!」
言われて気づく。
ついさっきのことなのに、それすらもすぐに忘れてしまう。
そもそも、注射器が落ちているのだから梢に何か投与されていることは簡単に予測できた。
それなのに襲い掛かり、あまつさえ逃げようなんて考えていた……
(もう……ダメだ……)
自分が嫌になる。
状況は何も変わっていない。わかっている。逃げ出そうと思えば逃げ出せる。
(なのに……どうして私は自分のことを……)
「真ちゃん! 真ちゃん!!」
抱きかかえている梢の言葉が励ましてくれていることがわかる。
だけど、今の私にはもう立ち上がる気力がない。
「雫もえぐい薬を作ったものね」
「……?」
一瞬、一瞬だけその言葉の意味を考えたがすぐに霧散してしまった。
「さて、雫の元に行きましょうか」
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