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素直になるお薬でございます。

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「くそ、あれだけやったのにまだ、落ちないなんてな……アカネ、かわいいなぁ」
「クリス様。薬師の方がおいでですよ」
「通せ」
「ひっひひ、クリス様は相変わらずアカネ殿を落とすのに苦戦しておられますなぁ」
「ちっ、学生の頃から嫌みな奴だな。いつも通りにクリスって呼び捨てにしろよ」
「いえいえ、クリス様。例の薬がございます。今なら、格安でお売りしますが……いかがですか?」
 そういえば、アカネから告白する方法を頼んでいたことを思い出す。まさか薬物として持ってくるとは……。
「惚れ薬か……いただこう」
「ひっひひ、毎度……ありがとうございます。使用方法は特殊にてお気をつけて……」
 若くして一代ににて騎士という称号を得て領地を持ったクリスは村娘のアカネに大好きである。
 姉リリアと妹ソルノもいるなかで次女アカネに惚れたのは王国学園の学生時代に一目惚れてしまったからである。その時に、領地を持つ元領主の悪逆非道を見抜き、国に貢献するという偉業を成し遂げたのだが、領主になる勇気はあったが告白する勇気を持っておらず卒業してしまった。
 どうして惚れられないのか告白されないのか。それはヘタレだからであるがそもそも本人との接点はほとんどなかった。裏から手を回し、どうにか惚れさせようにもすべて失敗に終わっている。
 そして、ついに次女に縁談の話があると聞きつけたクリスはなりふり構っている暇はなかった。
「アカネ……お前を手に入れられるなら、俺はどんな手段でも使ってやる」


◇◇◇



「えっ、ストーカーが呼んでいるって?」
「クリス様よ。学生じゃないんだからその名で呼ぶのは禁止」
「ごめんごめん」
 縁談を断った次の日。アカネは姉のリリアから領主であるクリスが呼んでいることを聞いた。 
「あいつ……何様のつもりよ」
「領主様よ。いい加減にしなさい」
「だって……」
 アカネにとってクリスにはいい印象を持ち合わせてなかった。
 一代で後ろ盾もなく領主になることはすごいことだが、アカネ個人としてはちゃちゃと入れる迷惑な存在。学生時代に廊下で「俺のことが好きだろっ!?」と宣言されて以来、ちょいちょい付き纏われて苦手意識しか持たなかった。
 その後も、同じクラスになり続けどうにか卒業まで避け続けたがいまだに付きまとわれている……。
「お姉ちゃん。まだ結婚しないの?」
「しません」
「でも、クリスさんはお姉ちゃんのことが好きだよ」
「うぐっ」
 幼い妹から宣言されて言葉を詰まらせる。
 アカネ自身、クリスの好意に気付いていないはずがなかった。ことあるごとに突っかかられ、その度に好き好きオーラみたいなものを臭わせるなよなよした男。それが自分に向けらていることぐらいは知っていた。
(あんななよなよしたやつに惚れてやるもんか……)
 ストーカーとして付き纏われていることに嫌気がさす。
 もう一度、どうどうと告白さえしてくれれば本音を言えるかもしれないのに……。
「早く、あなたも身を固めなよー。クリスは見た目もよくて優良物件なんだから」
「えっ、だってそれじゃ……お金と結婚するみたいじゃ……」
「でも、クリスはお姉ちゃんのことが好きだよー」
「わ、私は……好きじゃないし……」
「「はぁー」」
 長女末女、2人してまだまだこれは進展しないなとため息をついた。


◇◇◇


「よし、これで用意はできたな。後は火をつけるだけか」
 クリスは薬の使用法に従い、密閉空間で精液を出し臭いを充満させた。
 水の中に溶け込んだ薬は沸騰すると湯気を出し、精液の匂いと混じっていく。
「ふぅ、少し休むと……うぐっ!?」
 ドクドクと自身の身体が異常なほど熱を帯び始める。クリスの男性器はガッチガチに固まり、ズボンの上からでも主張し始める。
(な、何だ……惚れ薬ではないのか……)
 身体の異変。少しずつだが、己の何かが変わっているのがわかってしまう。
 ゆっくりと私室に用意されたベッドの座り、だんだんと頭がさえてくるのがわかる。
「…………はは」
 クリスは笑みを浮かべ、部屋がノックされるのを待ちわびた。


◇◇◇


 薄暗い部屋へと案内される。
 部屋の奥で顔が見えないほど暗くされているが、礼服を身につけていることだけがわかる。
(あれ、なにかお祝い事だったかな)
 アカネはいつも通りの普段着だった。青を基調した昔からの馴染み深い服装である。
「クリス。今日は何の用だ。私も暇では……んっ……」
 アカネはクリスに詰め寄った。その時、部屋の中の異常がアカネに襲い掛かる。
 足に力が入らなくなりクリスの胸板へと突っ込んだ。
 部屋に一歩進んだだけなのに、むせかえるような精液の匂いが鼻腔を犯す。部屋の中は惚れ薬と混ぜ合わされた精液の匂いで包み込まれていた
「なんだ、この……臭いは……お前、お、お前を……お前の……お前……私に、何を……………」
 ネクタイを掴みクリスが何かをしたのだと理解する。掴まれたネクタイのお返しとばかりに、クリスはアカネの陰部に手を添わせた、今日もアカネは癖になる手触りのショーツをつけている。
 まだ濡れてはいないが、触れればくにくにと愛らしい感触を返すそこを、撫でまわす。愛撫する。
「んっ、んちゅっ」
 少女らしい細い陰部の感触を楽しみながら、その身体を抱き寄せる。抱き寄せて、柔らかい唇をすする。

 じゅるっ、じゅるっ、じゅう、んっ、くはっ、んっ、じゅうぅぅ

 口吸いと表現するのがふさわしい、しゃぶり尽くすようなキス。与えるばかりではなく、アカネの舌からもクリスへ施される。
 そうしている間にも、陰部はすっかり蕩け、経ったままにして、今すぐにでも腰砕けになってしまっている。
 クリスの支えがなければ、今すぐにでも転び倒れてしまうだろう。立つことすら男に依存し、彼の指から与えられる快楽を貪っている。先ほどまでの少女らしい弾力はしだいに濡れて、代わりに、包み込むような柔らかさと、弄れば弄るほどしたたる愛液が男の指に濃厚なメスの匂いをつける。
 せめてもの奉仕とばかりに、ズボン越しに先走り汁をにじませるペニスを、細い指でおずおずと触る。
 部屋に入って一歩のところで、来客がいつあるかもわからない場所で、2人の唇は、舌は、性器はお互いを味わい、ねっとりとした水音を立てていた。
「すっかり、俺に惚れたようだな」
「私が、掘れるわけ……ないだろうが……ばーか」
 アカネは、いつものクールな調子を取り戻そうとしているが、赤みが差した肌、荒い吐息、潤んだ瞳、部屋に漂うフェロモン臭、滴るメス汁、すべてが雄色に染まってしまい、雌としての本能がまぐわいを求めている。
 自分で自分の体重を支え切れないメスは、火照った身体を男にまとわせふとももに媚びる。陰部をこすりつけて男のスーツをマーキングし、汚す。当然のように自身の制服がもう二度着れないほどにけがれてしまっていることも意に介していない
「じゃあ、その態度はなんだ?」
「そんなことも……わからないのか、お前は……」
 男を軽蔑し、男を求め、理性を狂わせる甘いボイス。惚れ薬の効果だろうか。
 嫌っていたはずの男の尻を、優しくなでながら女は誘う。
「それもわからずに私を部屋に連れ込んだのか……」
 極上の雌。挿入すれば快楽に屈し、膣内に出せば子を孕む。
 かわいい女の子も最高級の娼婦も良妻賢母も例外ではない。
 女も当然のように極上の雌であった。
「犯して……くれ、お前の思いのままに……」
 口にすると、女の子宮はじっとりと熱を持ち、これから起こるであろうことに備えを始める。ドクドクと心臓の音が早くなり、期待に満ちた目で男を見つめる。
 クリスはアカネの体重を支えていた手を女の尻へと持ち替える。女は嬌声をあげた。
「んっ……」
「孕ませる。覚悟はいいか」
 どくんっと今まで伝えきれなかった想いが雄の本能の言葉として伝えられる。
「……できるものなら、やってみるがいい」
 アカネはクリスにべっとりと抱き着いたまま、挑戦的な蕩けた目で見つめる。ちゅっちゅっと甘い音を奏でさせ、浅い口づけを数度かわすと琢磨和しい男の胸板を指でなぞる。そのままスレンダーで割れている腹筋を愛撫しながら目的の場所へと到達する。
「ふふ……、お前のここ、はち切れそうだぞ……そんなに期待しているのか」
 期待しているのどっちだろうか。荒々しい息のまま、ギンギンに膨れ上がったペニスがアカネの前に姿を現す。発情しきった今の女にはどんなごちそうも目の前のペニスは劣って見えた。
「アカネ、ちんぽには挨拶したか?」
 ちんぽ。男の生殖器であり凶器でもあった。女の恥部であるまんこをえぐり、いじめ、吐き捨てるかのように精液を出す。その結果、女は子を孕むことを自覚する。男と女の遺伝子が混ざり合い、子宮で十月十日の歳月をかけて子を授かる。
 そこに女の意思など関係はない。ただ孕む。まるで奴隷だった。
 その凶器に向かって挨拶をするそんなふざけたことも……アカネにとっては至上の喜びに変えられる。
「はい。おちんぽ様、初めまして……アカネです。今日から誠心誠意お世話させていただきます……。まだまだ未熟ものですが……どうぞ可愛がって下さい」
 雌の本能が告げる。
 従えと……。媚びろと……。
「いい子だ」
 女は頭をなでられるとまるで脳みその中まで鷲掴みされたような快楽が中を駆け巡る。男の太ももの上で失禁をしそれをとがめる理性はない。何物にも邪魔されることなくただ男から与えられる感覚にうっとりと排泄の快楽を味わう。
(足りない……こんなのじゃ、全く足りない……)
 脳みそが快楽に満たされても貪欲な性欲は足りなかった。もっとむさぼり気持ちよくなれる方法をささやかれる。子供の時、青春の時、あれほど嫌っていた雄のアレに媚びなくてはならない。
「おちんぽ……おちんぽ様……」
 ズボンの上からでもわかるほど、ギンギンに勃起した男性器は点を貫くことを連想させる。たくましい主の姿を告示するかのように堂々と存在を主張している。
 ジッパーを下ろし、姿を現す。
「……!! なんて、匂いだ……」
 ぬわっとイカ臭い香りにうっとりする。部屋に包まれている乾いた精液の匂いの何倍も濃い匂い。女は我慢できずに一気に咥える。
「じゅぶっ、じゅぼっ、れろっ、じゅるっ、はぁ、じゅるるるっ」
 アカネの小さな口いっぱいに広がった雄棒は息をすることさえも簡単ではない。肺が酸素を求めるがそれ以上に喉の奥まで貫かれる感触がくせになってしまいそうだった。
 アカネは丸太のような腰にしがみつき、口内全体で雄棒を奉仕する快感を味わい感じていた。ひくひくと自身の秘所が独りでに濡れ始める。すでに尿を漏らしていたはずの女性器はぽたぽたと地面に更なる水たまりを作り出すいやらしい音を奏でている。
「出すぞ。受け止めろ」
 どくんっと期待する本能が心臓を昂らせる。男が、オスが施してくださる精液。一滴零したくない。クリスのすべてを受け止める覚悟を決める。
 そんなアカネの言葉無き、熱心な奉仕にクリスは応える。アカネの頭をぐっと掴み、大切なモノを壊してしまうかもしれないほど力づくで押し付ける。男の気遣いに女の本能が刺激され、精液が出るのをまだかまだかと期待して待つわびる……。

 ドピュルルルル、ドククッドクッ、ドピュドピュ……ずるっ……。

 白濁の液が女の喉をマーキングする。アカネの喉は音を鳴らしながらごくりっと音を立てて飲みこみ、新たな用途を得た瞬間であった。男のオナホとなり、女の身体はすべてが性器であること認識する。村娘として、学園に通い青春の日々が、今までの人生が嘘であるかのように、己の存在意義と身体の意味が新しく塗り替えられる。新たな人生を踏み出した。
「ああ、思った通りだ。お前の身体は思った以上にオナホとしての適性がある。初めてで飲みこめるなんて偉いぞ」
「ありがとう……ございます……」
 男のちんぽからたっぷり出された精液が口の中で存在を主張し続ける。とろっろとの白濁の液が女の涎と混じり合い、飲み干してさえも忘れることができない。もうあるはずがない、精液を求めて口の中で舌を動かして探してしまう。
 もう一度、味わいたいそんな気分の時だった。
「んっ」
 クリスの強引なキスがアカネの口を犯す。
 女の細い体を強引に持ち上げるといまだに精液の香りが残るアカネの口の中をクリスは気にせず貪欲に舐めまわした。
「んんっ……何を……」
「寂しそうだったからな。心配するな……これから何千何百万回と、お前の【ここ】にぶち込んでやるよ」
「お前……ううん、クリス……」
 クリスは言いながら女の腹をなでる。ぐつぐつと煮えたぎり口の中ではなく下の口から挿入してもらうことを期待する。あれだけ求めていた精液を本来入れてもらう場所へと導かれなければならない……。女は下腹部に手を当てて男のちんぽを見つめる。射精して、なお衰えないちんぽの虜になってしまう。
「さあ……これからがメインイベントだ」
 くたくたになった立ち上がれない女をお姫様抱っこで持ち上げる。学生時代は逃げ続けたアカネにもう逃げ道はない。
「お前は、どこで犯されたい?」
 アカネの頭の中が沸騰しそうなほど熱くなる。中出し、受精、妊娠……出産。子育て……。
 自分とは程遠いと思っていた世界がすぐそばにある実感に子宮がきゅんきゅんっとうずいた。子供頃に何度もやったおままごとではない。本当の子育てに恋い焦がれて……ある憧れを思い出す。
「ベッド……ベッドの上が……いい」
 初めてを奪われるなら好きな人のベッドの上で……学生時代のことを思い出した。
 恋というものをよくわからず、好きと言う感情すらも理解できなくて目をそらし続けたが、今ではわかる。
(女は男に犯されるために生まれてきたんだ……)
 本能が犯してくれと叫び続ける。
「わかった」
 クリスはアカネの身体を持ち上げたまま、ベッドまでは運ぶ。物語の王子様がお姫様を寝かせるようにそっと寝かせると女の服を乱暴に脱がす。
 陶器のような繊細な肌は汗でぬめぬめと光り輝いている。女としての主張が激しいメロンみたいなおっぱいは息を吸う度に揺れる。
「素晴らしい……初めて見るが最高級の雌とはこのことを言うのだな……」
 最高のごちそうを目の前に、舌を巻きながら歓喜する。ずっとずっとヘタレだった男の姿はそこにはない。
 野獣のように勃起したちんぽがまだかまだかと血走りながらスタートの合図を待つ。
「……痛く、しないで……」
「ああ、約束しよう……そして、最高の快楽を味わうがいい」
「……はい」
 アカネはクリスを受け入れるため股を広げる。己の秘所がわずかばかり開き、ピクピクと相棒を待つ。
 それがスタートの合図だった。
「そらっ!」
 クリスがアカネに覆いかぶさる。ちんぽは迷わず正確にアカネの一番大切で奥深い場所を貫く。
 前戯を繰り返され準備万端となり、蕩けたマンコは雄棒をたやすく受け入れた。女として大切に守り続けた処女膜はあっけなく敗れ、かすかな出血が愛液と共に流れ出る。そこに痛みはなかった。
(う、そ……ほんとに……いたくない……)
 むしろ、ジンジンと来る快楽を求めてしまう。男に征服される快感。踏みにじられた理性。二つの雌のプライドが粉々にされる喜び。素直なることでこんなにも気持ちいことが味わえるのだとアカネは思い知った。
 クリスが腰を振れば、アカネの膣内はずぶずぶと受け入れ。腰を引くと名残惜しそうに絞めりつける。女のマンコは男のペニス抜きには生きられなくなっている。
「んっ、んっ……クリス……クリスぅぅ……もっと、もっと激しくしてくれ……逃げられないように……刻み付けてくれぇ……」
「ああっ! どこに行かせない! アカネは俺の女だ!! 絶対に逃がさないぞ!!」
 アカネの告白にクリスは受け入れる。激情にかられ、何度もキスを交わす。
 男は硬く強情であり、いくら女の中を蹂躙しようと曲がらず衰えず己の雄棒で女の膣内を繰り返す押し付ける。
 何度も何度も繰り返し、男のちんぽは女の弱いところをこすりつけ上げる。
「あっ、あっあっ……く、くる……きちゃう!! イッちゃう……だ、だめ……だめぇぇぇ!!」
「イけぇぇぇ!! 本能に刻み付けろ! お前は俺のモノって自覚しろぉぉぉ!!」
 どびゅるうるるるるっ……どぶっ……どぶぶっ……どぶぶぶ……。
「いくううううううぅぅぅぅぅぅ!!」
 絶頂がアカネに襲い掛かる。男の叫び、女の絶頂と共にクリスの愛がアカネの子宮めがけて射精される。女の子宮に収まり切れないほど注がれる。膣内ですら受け止められない量は結合部からごぼぼっと溢れ出す
 あれだけ激しく求めていたアカネの身体はぐったり疲れ果てて、ベッドの上で小さく痙攣しクリスを見つめる。
「どうした?」
「手、手……握って……」
 どこか遠くを見つめ伸ばすアカネの手をクリスは握りしめる。
 放心状態の中、アカネの本音が漏れる。
「やさ、しく……しないでよ……ストーカーの……くせに……いまさら……ひどいよ……」
「それは無理だ」
 アカネの本音にクリスも本音で答えた。
「俺はお前のことが好きだ。だから、優しくしないなんて俺にはできない」
「…………ばーか」
 罵倒した瞬間、女の脳裏には幸せな光景が映し出される。
 クリスとアカネ、その間に片方ずつの手を握りしめて歩く我が子。自分たちの愛の結晶。
 雌として、人としての伝わってくる多幸感。幸せを享受し、孕んだという自覚。脳の処理が追いつかなくなっていく。
「これから、もっと幸せにしてやる……絶対に逃がさないからな」
「もう……逃げない……孕ませて……逃げられない鎖で……縛ってくれ……」
 雌として雄に支配される喜び。
「クリス……」
「アカネ……」
 クリスとアカネは幸せなキスをする。
 アカネは口内に広がる幸せの味をたっぷりと堪能するのだった。




◇◇◇



 翌日。アカネの姉妹と執事、薬師はクリスに呼び出されていた。
「なに、これ……」
「わけがわからないよ……」
「いやはや……まさかこうなるとは……」
「ひっひひ、これほどの効果を発揮するとは……ようやく肩の荷が下りた気分ですよ」
 長女と末女、執事と薬師は目の前でイチャイチャする光景に目を丸める。
「クリス……んっ、クリス……」
「あ、アカネ……ちょ、人が……んっ、人がいるんだぞ……」
「それがどうした……私を嫁にするんだ。見せつければいい」
 執務室にて、通常通り作業するクリスの膝の上にはアカネが乗っかっていた。
 伝えたいことがあると聞いて駆け付けた4人だったが、昨日までのアカネとは別人のようにクリスに甘えている姿に驚

いた。
「薬師殿……あの惚れ薬はいささか協力過ぎでは……」
「ひっひひ……あれは惚れ薬ではないですよ」
「えっ、でもお姉ちゃんのあの様子は初めてみます……」
「そうよ。あんなに素直なアカネは久しぶりよ」
「あっしが渡したのは【正直になる薬】です」
「「「ああ~」」」
 3人がうなづく。ある意味、一番説得力があった。
「お姉ちゃん……帰ろっか」
「そうだね。邪魔したら殺されそう」
「薬師殿、それはクリス様に伝えてあるのですか?」
「ひっひひ、あいつは用心深いからな。ここだけの秘密にしておいてくれ」
 知らぬは本人たちばかり……。
 ここに一組のラブラブの夫婦が生まれた。
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