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1-1 そのオスの名は「メレオ」
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ここは地球と似たとある惑星。神が作り出した何もなき星である。
おおよそ日本と同じぐらいの面積がその星には無数に存在し、その島の一つであるカメレオンが人の形を得た島だ。
石垣で簡易的なバトルフィールドが作られた中心で、武器を持つ赤いフードのオスと自然と同じ色のフードをかぶるオスが戦おうとしていた。
「今日こそは決着をつけてやる!!」
「帰っていいか?」
プチッと赤いフードのオスがキレて襲い掛かった。両手の剣を巧みに使い、避けることが不可能な斬撃を繰り出す。
フードをかぶるオスは徒手で剣の側面に拳を当て、軌道をそらして見切っていた。
その時点で実力の差は拮抗しているとは言えない。それでも赤いフードのオスは攻撃することを辞めず、片方は反撃せずに軌道をそらしていた。
「…………」
「はあはあ、くそっ!!」
赤いフードが破けているオスが悔し気に睨みながら駆けだす。ビュンッと空気を切り裂く音が聞こえ、顔面と胴体を狙った一撃は空振りに終わる。
かすり傷1つさえ追っていないオスは余裕しゃくしゃくで、対面のオスに話しかける。
「そろそろ終われ、見ているこっちが辛いぞ」
「メレオ……! だけど、勝ちたいんだ!!」
最後の力を振り絞り、赤いフードのオスは両手に持った武器を投げつけた。メレオと呼ばれたオスはこともなげにかわし、迫ってくる拳を避けてカウンターに強烈な右回し蹴りをくらわせた。
「あっ……! がっ」
膝から崩れ落ち、床へと倒れこむ。
メレオは無造作に散らばった武器を拾いこみ、意識のないもの傍に置き、声をかける。
「俺の勝ちだ……お前だって十分強くなっているよ」
そっと赤いフードを頭にかぶせて、メレオはその場を立ち去った。
「ふあぁぁぁ~~……今日もいい天気だ」
生い茂る森林の中で、芝生に寝転がってあくびを漏らすオスがいた。
ボールで遊んでいる子供たちのはしゃぎ声が少しうるさいなと思いつつも、その姿を見て微笑みを浮かべる。
自然と同じ色のパーカーでかぶり、頭の後ろで腕を交差させている。
空を見上げると雲一つない晴天に、気分を良くしたのか瞼を閉じる。
そんな時だった。
「危ないっ!!」
「へぶぅ!?」
突如、飛来したオレンジ色のボールがオスの顔面に直撃する。
遊んでいた子供の声が聞こえるが、オスは反応できずに直撃した。
とーんとーんっとボールがはねる音しか聞こえなくなるぐらいに静寂が訪れる。
「お前ら……」
「「ひっ!」」
怒られると身を震わせる子供たちを見て、オスは―――。
「ったく、次からは気を付けろよ」
「えっ?」
「ほらっ」
ボールを拾い、子供たちに向けて山なりのふんわりした軌道を描いた。
1人が両手しっかりとキャッチするとにこっと笑い、お礼を言った。
「おじさん! ありがとう!!」
「んっ」
オスは再び寝転んで、子供たちが「あっちいこー」という言葉を聞いた。
一仕事を終えたように、オスは風を感じる。
そよ風が木々を揺らし、自然のBGMが流れ出すとオスは本格的に眠りに着こうとしたその時だった。
「メレオ……族長様が呼んでいるわよ」
ピクリッと瞼を揺らし、ゆっくりとメレオと呼ばれたオスは目を開ける。
そこには犬耳を生やした少女が立っていた。
少しボーイッシュな顔立ちをしているが、薄いピンク色のスカートにラフなTシャツを着て、上からメレオと色違いの茶色いパーカーを着ている。
実りの乏しい胸の前で腕を組み、つま先をパタパタとさせ、落ち着きがない様子。
メスの名はワンコ。犬が人の形を得た新生物だ。
「ワンコか……悪いが今日は昼寝するって決めているって伝えてくれ」
メレオは何もなかったかのようにもう一度、それを見上げてから目をとじようとする。
勿論、それをワンコと呼ばれた少女が許すはずもなかった。
「起きなさい! 私だって昼寝したいわよ!!」
大声をあげて、ワンコは自分の思ったことを叫んだ。
メレオは苦笑し、ゆっくりと上半身を起こすとワンコに向けて右手を差し出した。
「んっ、起き上がらせてくれ」
「はあぁ?」
「ほらっ」
理解できないわ。っとワンコは思いつつも、メレオの両手でつかんだ。
ワンコは起き上がらさせようと引っ張ると同時にメレオは逆にワンコを引っ張った。
「きゃっ!?」
「おーし、いい子だ」
引っ張られたワンコは抱きしめられる形でメレオの腕の中に納まった。
ふと、香るオスの匂いにドキリッとワンコの心臓は高鳴り、汗をかいた。
対して、メレオは抱き心地がいい抱き枕を手に入れた気分で、ギュッと力を入れる。
「ちょ、ちょっと! なんのつもりよ!」
「んー、ちょうどいいな。やっぱりお前は最高だよ」
抱き心地を確かめるために頬ですりすりとワンコの胸で甘える。
その動作にワンコはドキドキしながらも、どうすればいいのか頭が回らなかった。
「あー、でも、ちょっとエロいワンコが好みなんだよな」
「へっ?」
メレオは口を開け、長い舌を使いワンコの汗をなめとる。
おおよそ日本と同じぐらいの面積がその星には無数に存在し、その島の一つであるカメレオンが人の形を得た島だ。
石垣で簡易的なバトルフィールドが作られた中心で、武器を持つ赤いフードのオスと自然と同じ色のフードをかぶるオスが戦おうとしていた。
「今日こそは決着をつけてやる!!」
「帰っていいか?」
プチッと赤いフードのオスがキレて襲い掛かった。両手の剣を巧みに使い、避けることが不可能な斬撃を繰り出す。
フードをかぶるオスは徒手で剣の側面に拳を当て、軌道をそらして見切っていた。
その時点で実力の差は拮抗しているとは言えない。それでも赤いフードのオスは攻撃することを辞めず、片方は反撃せずに軌道をそらしていた。
「…………」
「はあはあ、くそっ!!」
赤いフードが破けているオスが悔し気に睨みながら駆けだす。ビュンッと空気を切り裂く音が聞こえ、顔面と胴体を狙った一撃は空振りに終わる。
かすり傷1つさえ追っていないオスは余裕しゃくしゃくで、対面のオスに話しかける。
「そろそろ終われ、見ているこっちが辛いぞ」
「メレオ……! だけど、勝ちたいんだ!!」
最後の力を振り絞り、赤いフードのオスは両手に持った武器を投げつけた。メレオと呼ばれたオスはこともなげにかわし、迫ってくる拳を避けてカウンターに強烈な右回し蹴りをくらわせた。
「あっ……! がっ」
膝から崩れ落ち、床へと倒れこむ。
メレオは無造作に散らばった武器を拾いこみ、意識のないもの傍に置き、声をかける。
「俺の勝ちだ……お前だって十分強くなっているよ」
そっと赤いフードを頭にかぶせて、メレオはその場を立ち去った。
「ふあぁぁぁ~~……今日もいい天気だ」
生い茂る森林の中で、芝生に寝転がってあくびを漏らすオスがいた。
ボールで遊んでいる子供たちのはしゃぎ声が少しうるさいなと思いつつも、その姿を見て微笑みを浮かべる。
自然と同じ色のパーカーでかぶり、頭の後ろで腕を交差させている。
空を見上げると雲一つない晴天に、気分を良くしたのか瞼を閉じる。
そんな時だった。
「危ないっ!!」
「へぶぅ!?」
突如、飛来したオレンジ色のボールがオスの顔面に直撃する。
遊んでいた子供の声が聞こえるが、オスは反応できずに直撃した。
とーんとーんっとボールがはねる音しか聞こえなくなるぐらいに静寂が訪れる。
「お前ら……」
「「ひっ!」」
怒られると身を震わせる子供たちを見て、オスは―――。
「ったく、次からは気を付けろよ」
「えっ?」
「ほらっ」
ボールを拾い、子供たちに向けて山なりのふんわりした軌道を描いた。
1人が両手しっかりとキャッチするとにこっと笑い、お礼を言った。
「おじさん! ありがとう!!」
「んっ」
オスは再び寝転んで、子供たちが「あっちいこー」という言葉を聞いた。
一仕事を終えたように、オスは風を感じる。
そよ風が木々を揺らし、自然のBGMが流れ出すとオスは本格的に眠りに着こうとしたその時だった。
「メレオ……族長様が呼んでいるわよ」
ピクリッと瞼を揺らし、ゆっくりとメレオと呼ばれたオスは目を開ける。
そこには犬耳を生やした少女が立っていた。
少しボーイッシュな顔立ちをしているが、薄いピンク色のスカートにラフなTシャツを着て、上からメレオと色違いの茶色いパーカーを着ている。
実りの乏しい胸の前で腕を組み、つま先をパタパタとさせ、落ち着きがない様子。
メスの名はワンコ。犬が人の形を得た新生物だ。
「ワンコか……悪いが今日は昼寝するって決めているって伝えてくれ」
メレオは何もなかったかのようにもう一度、それを見上げてから目をとじようとする。
勿論、それをワンコと呼ばれた少女が許すはずもなかった。
「起きなさい! 私だって昼寝したいわよ!!」
大声をあげて、ワンコは自分の思ったことを叫んだ。
メレオは苦笑し、ゆっくりと上半身を起こすとワンコに向けて右手を差し出した。
「んっ、起き上がらせてくれ」
「はあぁ?」
「ほらっ」
理解できないわ。っとワンコは思いつつも、メレオの両手でつかんだ。
ワンコは起き上がらさせようと引っ張ると同時にメレオは逆にワンコを引っ張った。
「きゃっ!?」
「おーし、いい子だ」
引っ張られたワンコは抱きしめられる形でメレオの腕の中に納まった。
ふと、香るオスの匂いにドキリッとワンコの心臓は高鳴り、汗をかいた。
対して、メレオは抱き心地がいい抱き枕を手に入れた気分で、ギュッと力を入れる。
「ちょ、ちょっと! なんのつもりよ!」
「んー、ちょうどいいな。やっぱりお前は最高だよ」
抱き心地を確かめるために頬ですりすりとワンコの胸で甘える。
その動作にワンコはドキドキしながらも、どうすればいいのか頭が回らなかった。
「あー、でも、ちょっとエロいワンコが好みなんだよな」
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