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死神 case 2
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歴史上名高い人物がいらっしゃることは多々あります。
私自身、俗世でどんな人物が活躍してらっしゃるのか、気になって人間のフリして下界へ降りることがあるのですが、この人物は当時からある一種の恐怖を抱くほどでした。
ですが町民の話を聞いてみると、「楽に商売ができる」、「世間では魔王と呼ばれているけど民のことを考えてくれる良いお方です」など庶民からの人気はとても高く感じました。
そんな人物が、まさか私の担当になるとは思ってもみなかったのでこの時のことは衝撃的だったのを覚えております。
まさか、ワシが死神なんぞと会う羽目になるとはの。
ここまで神、仏も信じず天下を収めんと邁進してきたがいやはや、お主は本当に死神か?
しかし奇天烈な恰好じゃ、ワシも南蛮渡来の衣服を集め身にも着けてきたがそんなシュッとした服は見たこともないぞ?
世は広いと思ってきたがいやはや、その首に巻いておるのはなんじゃ?苦しくないのか?
そうか、「ねくたい」と申すか。それはどこぞの国にあるものじゃ?
日本か?明か?それとも南蛮か?
ほぉ、そうか。未来のものか?なんかお主と話していると新しい物が知れて楽しいぞ。
ワシは常にこの狭い日本という国が大嫌いじゃった。
何故かだと?こんな狭い島国で南蛮渡来のものや明伝来のものに触れてみるとの、
日本が如何に醜悪でちっぽけ存在であるかを悟ったのよ。
ワシはな、常に何か新しいものを探しておった。
ガキの頃からその場にジッとしているのが嫌での、着物ですらちゃんと着れなかったわ。
親父の葬式の時ですら、無駄な時間を使いおってと思ったもんじゃ。
それは大人になっても変わらんかった。古臭い家臣どもにワシの考えも理解できんかったらしく、何度も何度も裏切られたわ。
その度に恩赦を与えたり、許したりと心をつかんでやろうかと思うたけどな、また裏切るんじゃ。
下剋上とはよく言ったものよ。そこで気づいたんじゃ、裏切られるくらいなら殺せばいいとな。
じゃが有能な奴はやはり有能じゃ、手元に置いておきたいのが人間ってもんじゃ。
以前に松永という男がおってな、このじじぃは誠に頭が切れる奴じゃった。
考えもワシと似ておったのか話もよう合うての、部下というより気心知れた関係のような気がしたもんだわ。
だが、あやつも同じことを考えとったかもしれんの、いつか邪魔になるとな。
だから攻め滅ぼそうとした。じゃがあいつは茶器とともに爆発しおったわ。茶器をよこせば助けると言ったんじゃがの。そんなに茶器を渡したくなかったじゃろうな。冗談じゃ。
そいえば寺も燃やしてやったわ。なに、あの寺の坊主どもは色欲にまみれ、街には女を住まわせておった。
何が神仏じゃ、神仏もそんな不届きな輩なんぞいらんじゃろ。だから代わりに成敗してやった。実際坊主どもは攻めてきたと分かるなりすぐさま逃げ出したがな。
まあ盛大に燃やしてやったから京の町からも見えたそうじゃ。じゃから他の国々も見えたであろうな。
他国に関してはワシの力を見せつけられ恐れおののいたじゃろ。
おかげで第六天魔王などという名がついたわ、気に入ったんでそのまま使ったわ。
寺を焼いたと言えば光秀もそうじゃな、ワシを真似したんじゃろうな。これも冗談じゃ。
まさか寺まで攻めてきたと思わなんだ。まあ分かっておったがの。
なぜかってワシは第六天魔王ぞ、知らん事なぞないわ。
あやつの謀反の意は分かっておった。おおよそサルやタヌキが光秀をそそのかしたんじゃろうな。
単なる予想じゃがの。
人間はいつか死ぬ。それは間違いないことよ。
ワシの好きな歌に「敦盛」というのがあっての、「人間は五十年」なんじゃ。
その五十年をひたすらに走ってきたが、あと二年じゃったな。
ところで死神よ、ワシは天国でも地獄でもどちらでもよいぞ。
また新しいものが見れるんじゃ。それを邪魔するのであれば神仏や閻魔大王を相手に一戦交えるのみよ、、、
私自身、俗世でどんな人物が活躍してらっしゃるのか、気になって人間のフリして下界へ降りることがあるのですが、この人物は当時からある一種の恐怖を抱くほどでした。
ですが町民の話を聞いてみると、「楽に商売ができる」、「世間では魔王と呼ばれているけど民のことを考えてくれる良いお方です」など庶民からの人気はとても高く感じました。
そんな人物が、まさか私の担当になるとは思ってもみなかったのでこの時のことは衝撃的だったのを覚えております。
まさか、ワシが死神なんぞと会う羽目になるとはの。
ここまで神、仏も信じず天下を収めんと邁進してきたがいやはや、お主は本当に死神か?
しかし奇天烈な恰好じゃ、ワシも南蛮渡来の衣服を集め身にも着けてきたがそんなシュッとした服は見たこともないぞ?
世は広いと思ってきたがいやはや、その首に巻いておるのはなんじゃ?苦しくないのか?
そうか、「ねくたい」と申すか。それはどこぞの国にあるものじゃ?
日本か?明か?それとも南蛮か?
ほぉ、そうか。未来のものか?なんかお主と話していると新しい物が知れて楽しいぞ。
ワシは常にこの狭い日本という国が大嫌いじゃった。
何故かだと?こんな狭い島国で南蛮渡来のものや明伝来のものに触れてみるとの、
日本が如何に醜悪でちっぽけ存在であるかを悟ったのよ。
ワシはな、常に何か新しいものを探しておった。
ガキの頃からその場にジッとしているのが嫌での、着物ですらちゃんと着れなかったわ。
親父の葬式の時ですら、無駄な時間を使いおってと思ったもんじゃ。
それは大人になっても変わらんかった。古臭い家臣どもにワシの考えも理解できんかったらしく、何度も何度も裏切られたわ。
その度に恩赦を与えたり、許したりと心をつかんでやろうかと思うたけどな、また裏切るんじゃ。
下剋上とはよく言ったものよ。そこで気づいたんじゃ、裏切られるくらいなら殺せばいいとな。
じゃが有能な奴はやはり有能じゃ、手元に置いておきたいのが人間ってもんじゃ。
以前に松永という男がおってな、このじじぃは誠に頭が切れる奴じゃった。
考えもワシと似ておったのか話もよう合うての、部下というより気心知れた関係のような気がしたもんだわ。
だが、あやつも同じことを考えとったかもしれんの、いつか邪魔になるとな。
だから攻め滅ぼそうとした。じゃがあいつは茶器とともに爆発しおったわ。茶器をよこせば助けると言ったんじゃがの。そんなに茶器を渡したくなかったじゃろうな。冗談じゃ。
そいえば寺も燃やしてやったわ。なに、あの寺の坊主どもは色欲にまみれ、街には女を住まわせておった。
何が神仏じゃ、神仏もそんな不届きな輩なんぞいらんじゃろ。だから代わりに成敗してやった。実際坊主どもは攻めてきたと分かるなりすぐさま逃げ出したがな。
まあ盛大に燃やしてやったから京の町からも見えたそうじゃ。じゃから他の国々も見えたであろうな。
他国に関してはワシの力を見せつけられ恐れおののいたじゃろ。
おかげで第六天魔王などという名がついたわ、気に入ったんでそのまま使ったわ。
寺を焼いたと言えば光秀もそうじゃな、ワシを真似したんじゃろうな。これも冗談じゃ。
まさか寺まで攻めてきたと思わなんだ。まあ分かっておったがの。
なぜかってワシは第六天魔王ぞ、知らん事なぞないわ。
あやつの謀反の意は分かっておった。おおよそサルやタヌキが光秀をそそのかしたんじゃろうな。
単なる予想じゃがの。
人間はいつか死ぬ。それは間違いないことよ。
ワシの好きな歌に「敦盛」というのがあっての、「人間は五十年」なんじゃ。
その五十年をひたすらに走ってきたが、あと二年じゃったな。
ところで死神よ、ワシは天国でも地獄でもどちらでもよいぞ。
また新しいものが見れるんじゃ。それを邪魔するのであれば神仏や閻魔大王を相手に一戦交えるのみよ、、、
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