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第2章 Kingdom of the Demon
第37話 憎悪の衝突
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《翌日》
【王都グランドリオン 城内】
魔獣と化したトームとガンドロフは一緒にいた。
「ニクイヤツラ…ドコニイッタ?ハヤクコロシタイ」
ガンドロフは徐々に自我を失いつつあるトームが心配だった。
「キョウコソ、ミツケル!ヴォオオオオオオ!!」
トームの咆哮は城全体を震わせた。
「なんだ、この悲しい咆哮は」
〈トームお兄ちゃんだ…怒りと悲しみに飲み込まれちゃうよ!〉
先の戦いから日に日に変わっていくトームの事を、アダンは心配していた。
別の部屋では、クラリスはその咆哮に震えていた。
「な…何!?今の咆哮…魔王!?」
「違うよ」
クラリスのいる部屋にいたポコは呟く。
「トーム君が、泣いてるんだ」
「トーム?」
「私と同じ歳くらいの男の子。でも、完全に魔獣になってしまった」
ポコの顔に憎しみが露わになる。
「オスカーさんやクレアさんを殺した悪い騎士達のせいで!」
クラリスは、その騎士達がおそらくソフィア部隊だろうと察した。
アダンルエムに助けられ、お互いの心境をしってしまったクラリスは、何も言うことが出来なかった。
「ポコちゃん、私そろそろ行くわ」
突然、クラリスはそう言った。
「え?ずっといてもいいんだよ?」
「ありがとう、でも私にはやる事があるの」
「やる事?」
ポコは首を傾げる。
「この戦いを終わらせるの。騎士達には撤退してもらうわ」
そう言ってクラリスは部屋を出ようとした。
「待って!」
ポコはクラリスを呼び止める。
「少しだけ待ってて」
そう言ってポコは部屋を出て行った。上の者に報告をするのだろうか、クラリスはそんなふうに思っていた。
このとき、クラリスは黙って出て行こうか迷っていた。しかし、自分を献身的に看病してきたポコが、万が一クラリスを逃した罪に問われたらと考え、待つことにした。
しばらくしてポコは、息を切らしながら戻って来た。
「よかった、まだいてくれた。はいこれ」
「え、これは…」
クラリスが持っていた水精霊の杖と魔力の盾だった。
「あなたが目を覚ました時に、万が一を想定して武器は預かっていたの、ごめんなさい」
「謝るのは私のほうよ…ポコちゃん、本当にありがとう!」
クラリスは城を出た。部屋から城の出口まで多くのモンスターとすれ違ったが、誰も攻撃をしてこなかった。
(やっぱり、この人達は悪い人じゃない!)
クラリスは騎士達を止めるために、雨の降る街を走る。クラリスは自分に何ができるのかはわからなかったが、動かずにはいられなかった。
《数時間後》
【王都グランドリオン 郊外】
トームは郊外に来ていた。この日も大切な人達の仇を討つために、郊外を歩く。壊れていくトームを心配したガンドロフが同行している。
「ヴヴウウウゥ…」
(おいおい、本当に大丈夫かよ)
トームは突然声を上げた。
「ニオウゾ。ゲスナアクトウノ、クサッタニオイダ…」
その時、物陰からソフィアとアルガードがトームに、ジルがガンドロフに奇襲を仕掛ける。
「「雷光槍貫!」」
ソフィアとアルガードの鋭い突きがトームを狙う。
「メイザーの仇だ!雷光斬撃!」
ジルの持つ雷鳴の剣はその力を解放し、雷の刃と化してガンドロフに迫る。
「やれやれ…なんで俺が王の盾と呼ばれていたのか、忘れたか?」
ガンドロフは両手剣を地面に突き刺す。
「守護方陣」
トームとガンドロフを守るように、地面から強力な防御壁が出現した。ソフィアとアルガードの突進攻撃は、威力が乗る前に潰され、ジルの攻撃力ではこの壁は壊せない。ガンドロフの作り出した防御壁は、見事に3人の必殺技を阻止した。
「く、流石は王の盾…!」
「今は魔王の盾だがな」
「ヴォオオオオオオ!!」
トームは咆哮する。
「オマエラダケハ、ゼッタイニユルサナイ!!」
「ソフィア、気をつけろ」
「わかってるわ兄さん」
ソフィアとアルガードは、魔獣と化したトームと対峙する。
「ジル、退け。お前では俺には勝てねぇ」
「うるせぇよオッサン!」
ジルは果敢に攻め込むが、ガンドロフは剣すら降らず、ジルの斬撃を外して拳を顔に叩きつける。
鉄の籠手をつけた拳はもはや凶器であり、ジルは鼻血を噴き出しながら後方に飛ばされた。
「これ以上お前を殴りたくはねぇ。退け」
ジルは顔を貫いた強い衝撃に、立つこともできない。
「ガンドロフ!よくもジルを殴ったな!?」
ある人物が、そこに現れた。
「メイザーか」
「メイザー!?」
モンスター化したメイザーはジルに手を貸す。
「大丈夫か?相棒」
ジルは鼻血を拭い、メイザーの手を借りて立ち上がる。
「…へっ、こんなもん屁でもねぇよ」
ジルはメイザーの手を借りて立ち上がり、2人はガンドロフを睨む。
「お前らコンビが相手となると、俺も手加減出来ねぇかもしれねぇぞ」
ガンドロフも両手剣を構えた。ジルとメイザーも身構える。知った顔同士の戦いに、ガンドロフは抵抗を感じていたが、ジルとメイザーには迷いがない。
2人の覚悟は、四天王の一角を担っていた格上のガンドロフとの差を縮める…
【王都グランドリオン 城内】
魔獣と化したトームとガンドロフは一緒にいた。
「ニクイヤツラ…ドコニイッタ?ハヤクコロシタイ」
ガンドロフは徐々に自我を失いつつあるトームが心配だった。
「キョウコソ、ミツケル!ヴォオオオオオオ!!」
トームの咆哮は城全体を震わせた。
「なんだ、この悲しい咆哮は」
〈トームお兄ちゃんだ…怒りと悲しみに飲み込まれちゃうよ!〉
先の戦いから日に日に変わっていくトームの事を、アダンは心配していた。
別の部屋では、クラリスはその咆哮に震えていた。
「な…何!?今の咆哮…魔王!?」
「違うよ」
クラリスのいる部屋にいたポコは呟く。
「トーム君が、泣いてるんだ」
「トーム?」
「私と同じ歳くらいの男の子。でも、完全に魔獣になってしまった」
ポコの顔に憎しみが露わになる。
「オスカーさんやクレアさんを殺した悪い騎士達のせいで!」
クラリスは、その騎士達がおそらくソフィア部隊だろうと察した。
アダンルエムに助けられ、お互いの心境をしってしまったクラリスは、何も言うことが出来なかった。
「ポコちゃん、私そろそろ行くわ」
突然、クラリスはそう言った。
「え?ずっといてもいいんだよ?」
「ありがとう、でも私にはやる事があるの」
「やる事?」
ポコは首を傾げる。
「この戦いを終わらせるの。騎士達には撤退してもらうわ」
そう言ってクラリスは部屋を出ようとした。
「待って!」
ポコはクラリスを呼び止める。
「少しだけ待ってて」
そう言ってポコは部屋を出て行った。上の者に報告をするのだろうか、クラリスはそんなふうに思っていた。
このとき、クラリスは黙って出て行こうか迷っていた。しかし、自分を献身的に看病してきたポコが、万が一クラリスを逃した罪に問われたらと考え、待つことにした。
しばらくしてポコは、息を切らしながら戻って来た。
「よかった、まだいてくれた。はいこれ」
「え、これは…」
クラリスが持っていた水精霊の杖と魔力の盾だった。
「あなたが目を覚ました時に、万が一を想定して武器は預かっていたの、ごめんなさい」
「謝るのは私のほうよ…ポコちゃん、本当にありがとう!」
クラリスは城を出た。部屋から城の出口まで多くのモンスターとすれ違ったが、誰も攻撃をしてこなかった。
(やっぱり、この人達は悪い人じゃない!)
クラリスは騎士達を止めるために、雨の降る街を走る。クラリスは自分に何ができるのかはわからなかったが、動かずにはいられなかった。
《数時間後》
【王都グランドリオン 郊外】
トームは郊外に来ていた。この日も大切な人達の仇を討つために、郊外を歩く。壊れていくトームを心配したガンドロフが同行している。
「ヴヴウウウゥ…」
(おいおい、本当に大丈夫かよ)
トームは突然声を上げた。
「ニオウゾ。ゲスナアクトウノ、クサッタニオイダ…」
その時、物陰からソフィアとアルガードがトームに、ジルがガンドロフに奇襲を仕掛ける。
「「雷光槍貫!」」
ソフィアとアルガードの鋭い突きがトームを狙う。
「メイザーの仇だ!雷光斬撃!」
ジルの持つ雷鳴の剣はその力を解放し、雷の刃と化してガンドロフに迫る。
「やれやれ…なんで俺が王の盾と呼ばれていたのか、忘れたか?」
ガンドロフは両手剣を地面に突き刺す。
「守護方陣」
トームとガンドロフを守るように、地面から強力な防御壁が出現した。ソフィアとアルガードの突進攻撃は、威力が乗る前に潰され、ジルの攻撃力ではこの壁は壊せない。ガンドロフの作り出した防御壁は、見事に3人の必殺技を阻止した。
「く、流石は王の盾…!」
「今は魔王の盾だがな」
「ヴォオオオオオオ!!」
トームは咆哮する。
「オマエラダケハ、ゼッタイニユルサナイ!!」
「ソフィア、気をつけろ」
「わかってるわ兄さん」
ソフィアとアルガードは、魔獣と化したトームと対峙する。
「ジル、退け。お前では俺には勝てねぇ」
「うるせぇよオッサン!」
ジルは果敢に攻め込むが、ガンドロフは剣すら降らず、ジルの斬撃を外して拳を顔に叩きつける。
鉄の籠手をつけた拳はもはや凶器であり、ジルは鼻血を噴き出しながら後方に飛ばされた。
「これ以上お前を殴りたくはねぇ。退け」
ジルは顔を貫いた強い衝撃に、立つこともできない。
「ガンドロフ!よくもジルを殴ったな!?」
ある人物が、そこに現れた。
「メイザーか」
「メイザー!?」
モンスター化したメイザーはジルに手を貸す。
「大丈夫か?相棒」
ジルは鼻血を拭い、メイザーの手を借りて立ち上がる。
「…へっ、こんなもん屁でもねぇよ」
ジルはメイザーの手を借りて立ち上がり、2人はガンドロフを睨む。
「お前らコンビが相手となると、俺も手加減出来ねぇかもしれねぇぞ」
ガンドロフも両手剣を構えた。ジルとメイザーも身構える。知った顔同士の戦いに、ガンドロフは抵抗を感じていたが、ジルとメイザーには迷いがない。
2人の覚悟は、四天王の一角を担っていた格上のガンドロフとの差を縮める…
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第3章は4月3日から、平日AM6:00に更新!ご愛読ありがとうございます(^^) これからも誠心誠意、全身全霊で執筆を続けていきます!
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