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番外編5
鍛冶見習い コミック八巻発売記念SS 黒モフの夢
しおりを挟む声も聞こえない。光すら見えない。
ただ『創造神の力の欠片』として産まれたもやもやとした数個のかたまり達は、自分たちが温かで大きな力に抱かれているのを確かに感じていた。
どれくらいの時間が流れたか、温かく大きな力は、ふと自分たちから離れた。
『我が子らよ。父と母は行かねばならぬ。これからは、父と母を育んでくれた源たる混沌の中で、ゆっくりとお休み。そして、もう一度目覚めても良いかと思えたなら、その目で、これからこの父と母が造る世界をじっくりと見ておくれ。どうか君たちも、この父が母を想うように、心から慕い守りたいと想う存在と出会えるよう。父は心から願っているよ』
『どうか、いつか貴方たちの目が開き、耳が通じ、意志が芽生えますように』
遠ざかりゆく温かな力へ、伸ばす手も、すがる指先も、呼び止める声さえ持たなかった。
もやもやとしたかたまり達は、あるいは混沌にたゆたい、あるいは混沌に眠り、あるいは混沌に溶け――
「?」
目を見開いたとき、最初に見えたのは鮮やかな青。それから緑。茶色。
混沌しか知らなかったもやもやには、あまりに鮮烈すぎる世界が誕生していた。
「チギラモグラだっ」
「逃がすな!」
「経験値のかたまりっ!」
最初に覚えた感情は、『怖い』だった。
なんで、追いかけてくるの?
なんで、殺そうとするの?
自分は、誰だっただろう。
他の生き物は切られたり殴られたりすればいなくなるのに、なんでか自分はいつの間にか再生してしまう。
自分は、何?
他の生き物には仲間がいるのに、なんで自分は一人きりなの?
何もかもが分からないけれど、切られるのは怖い。殴られるのも怖い。
死なない自分は、永遠に追われ、殺され続けるの?
ただ岩陰で身を縮こませ、震えるだけだったもやもやを拾い上げたのは、小さな子どもだった。
一人きりで震えていた力のかたまりは、『ノア』の家族の一員になった。
もう怖くない、寒くない。
心がポカポカする。
大好き。
大好き、ノア。
竜だって、神様だって、ノアをいじめるなんて許さない。
いつか必ず、ぼくは君を守ってみせる。
◇◇◇
夢を、見た。
ノアの父ちゃんや、ノアの大切な人達が、強大な力に翻弄され、次々に死んでいく夢。
大切な人達を守ろうと、強大な力の前に立ち塞がり、ノアまでもが死んでしまう夢。
ぼくの、大切なノア。
自分が切られるより、潰されるより、怖くて悲しい。
ぼくの手のひらをすり抜けていく命。
ぼくと違って、ノア達は生き返れないのに。
辛いよ、怖いよ、痛いよ。
これは、夢。
ただの悪夢。
だって、ノアはぼくが守るんだから。
守れなかったなんて、これは夢。
もう一度、もう一度。
繰り返される夢。
救えない、助けられない。
全てが壊れ、消えていく。
ノアも、世界も、なにもかも。
もう一度、もう一度。
どうか、どうかお願い。ぼくには力が足りない。守れない。
誰かたすけて、ぼくの大切なノアを。ノアの大切な人達を。
――かあさま、とうさま……っ
◇◇◇
「あ、今、ちょっとだけ動いたよ!」
「……なんだかうなされてる? 苦しそう」
「オイラを守ってくれたときの夢でも見てるのかなぁ。エスティのえげつない攻撃を受けたわけだから……」
「なんじゃその目は。元はといえば、おぬしのせいであろうに」
「いやそうだけどさぁ」
懐かしい声が聞こえる。
ふわふわとして、心があったかくなるニオイ。
ごはん?
のり?
それと、甘い……クッキーやパイのニオイ?
それから、鉄と、革と、汗――これは、ぼくの大切な……ノア!
ノアのニオイだ!
ぽんっ! と世界が弾けた。
明るい光。パチリ、と開いた目に映ったのは……
「おはよう黒モフ! 会いたかったよ、目が覚めて本当に良かったぁ!」
まばゆいばかりのノアの笑顔。
むぎゅっと抱きしめてくれた、ノアの体が温かい。
良かった、良かった。
夢で良かった。
ノアは生きてる。ノアの大切な人達も生きてる。
復活できて良かったなんて、初めて思った。
そうだ、良かった。ぼくも生きてる!
「ありがと、ありがとう黒モフ! オイラを守ってくれてありがとう! それと、無茶してごめんね。生きててくれて本当に良かった!」
ノアの後ろから、ノアの父ちゃんや、火竜の女王、ノアの大切な人達が次々とぼくをのぞきこみ、良かった良かったと言いながらなでくりまわす。
それから、大きな赤ちゃんを背負ったおとなりの熊おばさんや、狼兄ちゃんがたくさんのご馳走を運んできた。
「良かったねぇ、一時はどうなることかと思ったよ。ノアちゃんも落ち込んでたしねぇ」
「ぶー、あぶ」
「おやルリテも起きたのかい? ルリテは初めましてだね、黒モフちゃんだよ」
熊おばさんの背中から降ろされた赤ちゃんが、物凄い勢いでハイハイしてきて、ぼくをむんずと掴んだ。
「ルリテ、ルリテちゃん! あー、ヨダレでべしょべしょ」
もっもっもっ、とぼくを舐める大きな赤ちゃんが、ぼくを取り返そうとするノアの手を不機嫌にペチペチとはね除ける。
「ぶー」
「気に入られたねぇ、黒モフ」
苦笑を浮かべるノアは、何だか泣きそうな顔をして、大きな赤ちゃんごとぼくをもう一度抱きしめた。
「おかえり、黒モフ」
おかえり。
知っているけれど、知らない言葉。
生まれて初めて言われた言葉。
ここはノアのうちで、でもぼくのうちでもあって。ぼくが帰るのはノアのところで。
心がきゅーっとなって、ポカポカして。
世界で一番、大好きな言葉になった。
ぼくの言葉はノアには聞こえないけれど、それでも精一杯背伸びをして、大きな声でノアに伝えた。
『ただいま、ノア。大好きだよ』
◇◇◇
『鍛冶見習い』と世界を同じくする『虫ケラ令嬢と悪役オネエ』を本日発表予定です。
黒モフの悪夢部分でもあります。
ノアは出ませんが、『鍛冶見習い』のサイドストーリーとしても楽しめるお話です。読んで頂けると作者は狂喜乱舞致します。よろしくお願いします。
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ゴジラが来たらどうなるか
まず間違いなく初動で出遅れますね。
発見そのものは早いと思われます。
衛星もありますし、領空/領海の監視は自衛隊の通常任務であり、どこかの隣国連中のせいで地からを入れていますから。太平洋側が若干弱いですが、誤差と言えるでしょう。
日本の自衛隊の練度は世界有数です。
さて、現場から自衛隊上層部までの報告には問題ありません。
次からが問題。
自衛隊の指揮権は内閣総理大臣。
外遊中とかだと連絡が着かない。
就寝中や会食中でも報告が止まりそう。
ゴルフでもやっていたらホールアウトまで待たされるでしょうね。
一方、自衛隊は哨戒機や哨戒挺で監視です。
-1のより監視機器が充実しているので、直接的危険の度合いは小さいですが、放射能変えんをブッパされたら終わりなのは変わりません。でも攻撃されない限りはどうしようもありません。
規則なので。
報告受けて信じる信じないの一悶着あった後、首相は自衛隊の防衛出動を命じ……ません。
関係各所の責任者や閣僚、与野党代表を召集して、対策会議という踊るしかない集まりを催します。
まず
『巨大怪獣というのは鯨等の誤認による誤報ではないか』
『日本を混乱させる為のフェイクじゃないのか』
『仮に事実だとして、それは危険と言い切れるのか』
『手を出さなければ安全ではないのか』
『日本国内で発砲、重火気類の使用に関する法律に抵触しないか』
『巨大怪獣は外国勢力か』
『日本に明確な敵意があるのか』
ついでに一部野党による戦争反対だとかのどうでも良い主張も飛び交う。
おそらく上陸して、民間施設等に損害/被害が発生。
当該自治体からの救援要請が来てから議論が進みますが
『自衛隊の任務として防衛出動が法的に可能か』
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『外国勢力や、日本人さの主権を脅かす勢力による市街地占拠は発生していないので、防衛出動は違憲じゃないのか』
等、またまた踊り出す。
『特措法制定をしましょう』
『臨時国会を召集せずに法改正は許さん』
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誰よりも早く首都脱出しますよ。それだけは間違いない。
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ってことは、ゴジラが来ても自衛隊は出動できないですねw(°o°)w
やっぱり検疫の獣医さんが追い返すしかないのか…
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風竜は速さ
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まあ、土竜はちょっと特殊でしたけど。
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害獣駆除に関してはまず野生動物管理の為の駆除等に関する法整備と、合法的な組織構築/運用体制を整えるのが急務であると考えます。
民間人である猟友会に依存する現体制は狩猟人口の高齢化等の理由もあり衰退してきていますし、今回の件で市街地での害獣駆除に関して行政側に対して猟友会が不信感を抱く結果になってしまったし、発砲に際して『跳弾が発生する可能性があり、弾丸が到達点しうる距離に人(同行ハンター、警察官、役所関係者その他の人間含む)や住居建造物(無人含む)等が存在しており、跳丸が命中する可能性が存在する場合、その確率がどんなに低くても違法』という前例が出来てしまった。
それも判決文によると市街地だけでなく、人が居住していない山野でも違法となる内容なので、実質的に猟友会が発砲出来なくなる恐れがあります。それも全国レベルで。
最高裁で逆転判決なり、差し戻し逆転判決が出て欲しいですね。
北海道のヒグマだけでなく、日本にはツキノワグマも鹿も猪もいます。どれも人間が素手でどうこう出来る訳もなく、猟友会との関係が悪くなれば最終的に迷惑を被るのは一般市民です。
通常、警察官の所持が許可されている口径の拳銃では熊を射殺する事は不可能。
ライフルを使えるならマシですが、扱える資格持ちは少なく、麻酔弾を使用するなら(獣)医師免許が必要。
そもそも急迫不正の事態以外で発砲出来ません。熊が明らかに攻撃的の意思を見せて駆け寄って来て、初めて撃てる。
自衛隊にという声もありますが、国防案件に害獣駆除は無いので、出動出来ません。
災害対策で出動出来ても火器の携帯と使用は許可されない。
現行法では無理なんです。
特措法制定しないといけませんが、果たして何年掛かるか。
そして熊含む野生動物は特措法制定まで待ってくれません。
そもそも義務でもない要請で駆除を行っていた猟友会と地元警察はたとえ状況的に適法範囲を逸脱していても、互いに暗黙の了解で駆除活動を行っていたと思われます。
厳密には違法行為ですので、本来認められるべきではありませんが、相手が市街地に出没した野生動物なので、人命第一主義で動かざるを得ない面を考慮しないというのは現実的ではない。
ホントに困ったもんです。
木竜が智慧、知識
土竜が…なんでしょう?
土竜のじいちゃんにも認められてるんですよね、ノア。
土竜の設定として、出せてなかったんですが、天にありて竜、地にありて麒麟、ってのがありまして。
それなので、神の血をひく王族は土竜の獣人ではなく麒麟の獣人になります。
麒麟は慈悲深い生き物なので、地について生き物を踏み潰さないよう、常に少しだけ浮いている、という伝説があります。
ノアの『殺さず』の基本スタイルはそこから着想を得ています。
それなので、たぶん、他種族への慈悲や思いやり、とかなのかなと思います。
そういえば、熊やイノシシが人里に降りてくるようになった理由のひとつに、野犬がいなくなったことがあるそうです。
昔は人里と山の間に野犬の群れがいて、もちろん一対一ならクマのほうが強いですが、野犬は群れで嫌らしい戦い方をするので、クマも野犬には近寄るな、と子熊達に教えていた。
けれど人間が野良犬を駆逐するようになったので、熊を抑えるものがなくなった、と。
『虫けら令嬢』にも出てきますが、近代化することによる弊害というのは色々あるんでしょうね。