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番外編3
鍛冶見習い番外編・第一王子の不遇
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「まったく、クレイタス陛下の尊い血はどこへいってしまったというのか。あのような身の程を知らぬ者が栄えあるデントコーン王国第一王子とは、嘆かわしいこと」
「バベシア様のおっしゃるのも最もなことですわ。あの忌々しい女に生き写しで、ジェラルド陛下に似てらっしゃるところなど微塵もありませんもの」
「乳兄弟とはいえ、その第一王子の婚約者とは、エールリヒア様もお気の毒なこと」
「王命とあっては、逆らえませんもの」
「まあ、なんて健気なんでしょう、エールリヒア様」
「かの方に比べれば、第二妃様のお子のほうがどれほどかマシだったでしょうに。少なくとも、建国まで遡れる、初代様の忠臣たる男爵家の血筋ですもの。連綿と王家に逆らい続けたフリントコーンなぞより、まだ耐えられるというものですわ。アリスフォード王子は思慮深く聡明とのこと、羊の獣人であらせられるのが何とも口惜しいこと」
「玉座に座られるのに、生まれの順などいかほどのこともこざいませんが、牛の獣人であることは譲れませんものね。今、第二妃様のお腹にいらっしゃる殿下が、牛の男の子であらせられれば……」
「陛下は、なにゆえあのような者に、いと尊き初代様の御名をお付けになられたのか……分不相応だと骨身にたたき込まねばなりませぬ」
「如何様」
第一王子の居室前。
真っ青になって震えだしたユーリを、カウラは眉間にシワを寄せて見下ろした。
共に騎士団に混ざって鍛錬した帰り。ユーリを伴って母様と共に庭でお茶の時間を楽しむのがいつもの習慣だったが、今日は公務で母様がいない。それならば、行ったことのないユーリの部屋に行ってみたい、と、渋るユーリを半ば強引に引きずってやって来た部屋の前で、ユーリはくるりと踵を返そうとした。
いったいどうしたの、と引き留めたカウラに腕を掴まれたまま、ユーリはずるずると床に座り込んだ。
『ごめんなさい、ごめんなさい』とうわごとのように繰り返している。
その直後に聞こえてきたのが、先ほどの会話だ。
声からするに、バベシア・シルバーコーン公爵夫人と、公爵令嬢のエールリヒア、夫人の友人たちだろう。
世間話のように、第一王子たるユーリを批判し続ける声高な会話に、カウラは眉間のシワを深くした。
カウラも、もちろんユーリも、この国の王の子として産まれた。
政治的な思惑で接せられることも、悪意を向けられることにも慣れている。
しかし。
ここは、第一王子の部屋だ。
唯一、心安らげる場所のはずだ。
まして、自分自身が正義であるとばかりにユーリを声高に罵倒しているバベシア・シルバーコーン公爵夫人は、ユーリの後見であり、乳母、教育係のはずだった。
つまりは、むしろ、カウラを退けてユーリを王太子へと推す勢力の筆頭、ユーリの絶対的な味方であれと、父上が手配した人間のはずであった。
もし仮に、カウラの部屋で、乳母や侍女がカウラへの文句や悪口を言っているのを聞いたなら、カウラは怒るだろう。一緒にユーリがいて聞いていたなら、「仕方のないやつらだ」と冗談のように誤魔化したかもしれない。それから面と向かって、「感心しない」「言いたいことがあるなら直接言え」と告げただろう。
それなのに。
ユーリのこの怯えぶりは。
訝しむカウラの耳に、さらなるシルバーコーン公爵夫人の声が響く。
「最近では、何とも生意気なことに、騎士団に混ざって鍛錬したいなどと言いますのよ。初代様のお得意とされた身体強化を学びたいなど、何とも身の程知らずな」
「けれどバベシア様、第一王子が身体強化を学ぶのは、国の習いでございましょう?」
「だからこそ忌々しいのではありませぬか。これほどまでに毎日心血を注いで言い聞かせているというに、第一王子としての振る舞いがしたいなど。あれに国を背負う器はありませぬ」
「左様ですの? 確かに、第一王子は物覚えが悪く、王族としてのマナーや儀礼すら怪しいと聞き及びましたわ。教師はどなたを?」
「ほほ、あれは平民の血筋ですわ。王族の高度な教育を受けようなどと分不相応。王都の下町で裏寂れた手習い所を持て余していた師を与えたのですわ。文盲としても良かったのですが、今どき、平民でも読み書き程度は出来ますものね」
「まぁ、まぁ、なんと慈悲深い! それではあの者は、第一王子とは名ばかり、まさしく平民の子どもではありませんか!」
……なんてことだ。
カウラは顔をこわばらせ、血の気の引いた指先を握りしめた。
確かに、王族にしては、ユーリは言動が幼いと思っていた。
十歳になる今、カウラは騎士団の訓練、魔法の修練、政治や経済、歴史、礼儀作法など多くを学んでいる。
最近まで、兄であるユーリとさほど交流はなかった。なぜなら、後見人となったバレシア・シルバーコーン公爵夫人当人が、ガチガチにユーリを囲っていたからだ。正妃の息子であり第一王子であるユーリと、第二妃の子であり第二王子であるカウラとは政敵に当たる。そんなものだろうと、うがった見方をしてしまっていた。
が、あるとき、物陰から、チラチラと騎士団の鍛錬をのぞく兄の姿に気付いた。そういえば、身体強化と剣術はデントコーン王族のお家芸なのに、鍛錬でユーリを見かけたことはなかったな……と気付いた。記憶を辿ると、後見人の公爵夫人が、その昔、『ユーリティウス殿下は、体があまり丈夫でなく、魔法の方面に進みたいご様子で』とか言っていたような気がする。
それでも興味があるならやれば良いのに。
そう思って、軽い気持ちで手招きすると、ユーリはおずおずと寄ってきた。
剣を握ったこともない、と言うユーリの白く柔らかい手に、カウラはなるべく軽い木剣を選んで渡した。
筋肉のない細い腕は、ふるふると震え、木剣を持ち上げるのもやっとだった。
それでも次の日もユーリはやって来た。
柔らかな手のひらの皮膚が破け、マメが潰れても、ユーリはニコニコとやって来た。
天使のような奇跡的な美貌を持つ第一王子を最初は遠巻きにしていた騎士見習いたちとも次第に馴染み、ふざけてはしゃぐ姿も見られるようになった。
ユーリは、『感情を表に表さないよう』教育されているはずの王族にしては感情豊かで、上達したと言っては笑い、負けたと言っては泣き、からかわれたと言っては怒った。そのくせ飽きることなく剣を振り、負けん気が強く、努力を惜しまない。
父母や昔からの乳母たちを除けば、カウラの周囲に集まるのは、気の抜けない貴族子弟か他人行儀な使用人ばかり。実力主義で脳筋な騎士団をむしろ心地よく感じていたカウラにとって、ユーリのその様子は好ましく写った。第一王子という立場に産まれ、典型的貴族である公爵夫人に育てられながら、騎士爵出身の騎士にも庶民出身の騎士にも等しく接する態度に、奇跡的な素直さだと感動すら覚えた。
始めたばかりの頃には、棒きれを振り回す町人の子にすら負けそうだったユーリは、騎士団の鍛錬の一環で『身体強化』を学ぶと、目覚ましい進化を遂げた。
長年、それこそ物心つく前から玩具代わりに木剣を与えられ、遊び代わりに父王と打ち合いをし、成長してからは騎士団に混ざって鍛錬してきたカウラが危うく負けそうになるほど。すわ天才か、流石は第一王子――そんな声が囁かれ出した頃。ユーリはピタリと鍛錬に現れなくなった。
城の中で顔を合わせても、どこかおどおどとカウラを避ける。
その腰に下げられるのは、いつしか訓練用の木剣ではなく魔法の杖になった。
今日は、そんなユーリに苛立ちを募らせ、強引にカウラがユーリを鍛錬場へと引っ張って行ったのだった。
確かに政敵、近づかないほうがいいのかもしれない。けれどカウラは、既にユーリをライバルだと認識している。玉座を狙うライバルじゃない。そもそもカウラに玉座を狙うつもりはないし、剣のライバルだ。半年やそこらで、長年積み上げてきたカウラの努力をひっくり返しそうになったというのに、このまま逃げるなんて許さない。
それに、貴族の噂話に怯えおどおどと身を隠す姿ではなく、庶民の騎士見習いたちと共に汗を流し、くだらない話で笑い合う姿こそ似合うとカウラは思う。ユーリは顔こそ父王に似ていないが、その垣根の低さ、剣の腕、気の抜けた気安さからくる良く分からないカリスマは、英雄王と呼ばれる父王にそっくりだ。
剣を握るまでは何やら葛藤していたユーリも、騎士見習いたちと打ち合いを始めると、かつての楽しそうで朗らかな様子を取り戻していた。
そんな様子を見て、剣に飽きたわけでも嫌いになったわけでもないと分かり、カウラもほっと息をついたのだ。
それなのに。
鍛錬が終わると、久しぶりにマメの出来た手のひらを見つめ、ユーリはふるふると震えだした。
今日は公務で父上も母様もいない。
二人きりでゆっくりと話を聞くべく、渋るユーリを無理にお茶に誘ったのだが――
「まったく、顔を見るのも忌々しい」
第一王子の部屋。ユーリの居室。そこで、吐き捨てるようにユーリの後見人が言う。
……ネグレクト。
育児放棄。
むしろ、積極的育児放棄とでも言うべきか。
まさか王城で。まさか第一王子が。まさか後見人によって。
ユーリは、教育を与えられず、第一王子らしくなくあれ、王位を望むな、と強制されて生きてきたのだ。
ユーリが赤子の頃、生母である正妃、ヨーネ妃は行方知れずとなった。
その後、ヌール母様がユーリを引き取らず、シルバーコーン公爵夫人が後見としてついたのは、身分も低くまだまだ足場の定まってなかった母様より、公爵家を後ろ盾としたほうが第一王子のためになるだろう、という政治的な判断だったと聞いている。さらには、なさぬ仲の母様が、自分の子を王太子にしたいがため、第一王子を害するのでは、と疑われたためだったとも聞く。
後見にと立てられた公爵家が、第一王子を傀儡に政治を牛耳るのでは、という懸念はあった。だが、いったい誰が、公爵家にとってこの上なく有用な駒を、虐待して育てるなどと想像しただろうか。
「あら、そうですわ。バレシア様。わたくし、いいことを思いつきましたの」
「なにかしら?」
「バベシア様のご長男、カトム様。血筋からいえば、第一王子殿下に比肩する――いえ、上回るのではございませんこと?」
「まぁ、そうですわ。二代続いて卑賤の血が入った直系より、シルバーコーン公爵家の方がよほど……! かのエクシード一世大王陛下も、このようなことを予見されて、公爵家をお増やしになったのでしょうし」
キャアキャアと興奮したように騒ぎ出すご婦人方の声に紛れて、カタン、と扇を閉じる音が聞こえた。
「皆様、声が大きくてらしてよ。ここは王城。我が公爵家は、王家に絶対の忠誠を誓っているのですから」
わざとらしく嗜める低い声の後、ひそめられたささやきが交わされる。
「そうですわね」「なんて楽しいこと」「今度はバレシア様のおうちでお茶を頂きたいですわ」
――そういう、ことか。
カウラは得心する。
有用な駒たるユーリに、何故このような扱いをしているのかと思ったが……。
デントコーン王国の王位に就く条件は、『王族の血をひき、国益となる妻を迎えること』。
厳密に言えば、第一王子である必要も、現国王の息子である必要もない。
そして、何故バベシア・シルバーコーン公爵夫人が、自宅でもないこんな場所で堂々と第一王子を貶める発言が出来るかといえば――……誰に聞かれても、全く問題がないからだ。
母のいないユーリは、何を言われ何をされたところで、後見たる公爵夫人に逆らうことはできないし、貴族のほとんどは、長い間王家に恭順を示さなかった、「フリントコーン」に対して好意的ではない。仮に、第一王子に好意的な人間が――例えばカウラがこの話を聞いたとて、結局のところ、やれることは何もないのだ。
第一王子が虐待されている、与えられるべき教育を受けられていない、と騒ぎ立てることは出来る。
握りつぶされる可能性も大きいが、ユーリへの虐待が証明出来たとして。それは、一時的には後見たる公爵夫人の恥になるかもしれない。
しかし、最もダメージを被るのは、被害者であるはずのユーリだ。
王族としての教育を受けていなかった第一王子。しかもその告発によって、唯一の後見たる公爵家も失い、生母たる王妃もいない。いったい誰が、彼を次の国王に推すだろうか。
カウラは羊、しかも実は女だ。王位は遠い。
母様のお腹の中にいるのが、牛の弟ならばまた違うだろうが、現時点で一番王位に近いのは、公爵夫人の息子たるカトム・シルバーコーンということになる。
何故なら、そもそもシルバーコーンをはじめ、公爵家というものは、「王家に後継たるに相応しい王子がいなかった場合の予備」として立てられたものだからだ。「公爵家は、国王の毛布から産まれる」と言われるように、旧公爵三家は、二代国王の子どもたち、新公爵家三家(シルバーコーンはこちら)は、デントコーン王国中興の祖と言われるエクシード一世の子どもたちによって興された。確かに血筋だけならば、直系たる王家と張る。
カウラは、まだ十歳。発言力は低い。
二代続けて高位貴族から王妃を迎えていない王家は、貴族家の掌握が弱い。王太后たるアンブローズ陛下は、その個人の戦闘能力で誰が逆らうことも許されない社交界の女王ではあるが、貴族的な腹黒い根回しとは無縁の人だ。むしろそういった手法はヌール母様のほうが得意そうではあるけれど、所詮は男爵家の血をひくだけの第二妃。軽んじられることも多くある。「勇者」として産まれ、王族教育をほぼ受けてこなかった父上は論外。祖父はサイレージの離宮にいて、王城にはいない。
黙殺。黙認。看過。
今は、まだ。
今ココで、カウラが騒ぎ立てたところで、ユーリのためになることは何もない。
手札を。準備を。根回しを。
あらゆる場合を想定して。
それが、王族としての戦いというものだ。幸いにして、騎士団、侍女、お庭番。カウラの使える手駒はそれなりにある。
感情的で、素直で、負けず嫌いで、努力家。平民との垣根は低く、庶民出身の騎士にも、弟のように可愛がられ、からかわれている。確かに王族らしくはない。けれど、カウラはそんなユーリを『国王になる器ではない』と評しない。
教育が足りないというのならば、足せばいいのだ。
とりあえずカウラは、震えるユーリに肩を貸し、自室へと連れ帰った。
そして気の知れた侍女たちにお茶を用意させ、ユーリを落ち着かせた。ユーリにとって害悪にしかならぬ公爵夫人の元に帰すのは良心が咎めたが、ユーリが決定的に害されることはないだろうと、チクチクとする心に目をつむった。
カウラがユーリに、学んだ王族教育をそのまま教えてやることも考えたが、ユーリが頻繁にカウラの元へ通うことを公爵夫人が許容するとは思えない。
カウラは手始めに、ユーリの教育を任されているという手習い所の講師を取り込むこととした。
調べてみると、マキアというその講師は、かなりのところユーリに親身になってくれていたらしい。庶民向けの手習い所の講師とはいえ、元は騎士爵家の三男で、ある程度の貴族のマナーや礼節までもカバーしてくれていた。あの公爵夫人に育てられながら、不思議なほどにユーリが歪まず素直に育ったのは、唯一の味方といってもいいその講師のおかげだと言っても過言ではない。
カウラがユーリの側だと納得してもらうのにしばしの時間を要したが、一度信頼されると、講師は驚くほど協力的だった。カウラはまず、マキアに教師をつけ、彼を王族の教師に相応しいだけの力量にまで鍛え上げた。
次のミッションは……とカウラは思案する。
ユーリに、王族教育を施しただけでは、根本的な解決にはならない。
あれだけの、騎士団では『すわ初代国王の再来か』とまで言われ始めた剣才と身体強化を持ちながら、ユーリは剣の鍛錬をすることも許されず、地味な補助魔法の道を指示されたらしい。
バレシア・シルバーコーン公爵夫人には、退場してもらわなければならない。
騎士の端くれとして、カウラはユーリの剣を美しいと思う。
くだらない血統主義などに潰させはしない。
今からユーリが、新たな後見を得ることは難しいだろう。最良は、シルバーコーン公爵家には存続してもらったまま、弱味を握り、かつ『穏便』に公爵夫人だけに去ってもらうことか。
幸いにして、ユーリもまだ十歳。婚約者であるエールリヒアもまた十歳。兄であるカトム・シルバーコーンも十三歳。
再教育の余地は充分にあろうし――……そうだ。次は、シルバーコーン公爵家内部から切り崩していくのが良い。まずは、剣術馬鹿と名高いカトムと、剣友として交流を深めてみるか。その間に、エールリヒアの周りに一人、カトムの周りに数人、間者を潜り込ませて……。
自室の書斎、書き物机の上で、カウラはニィッと目を細めた。
そこには、カウラ自身も「再教育可能」と判断したユーリやエールリヒアと同い年という思考は欠けている。
公爵家すら操縦し、自身の思うままの先を呼び寄せる。出来るかとの疑問の浮かぶ余地すらなく、当然のごとく手下を手足のように使い、望む結果を引き寄せる。
それこそが、王族の――いや、王の思考回路だと、カウラ自身はまだ、気付いていない。
猫小話・モッチー親子のその後。
自分の子二匹と、母親の子(弟妹)三匹を育てていたモッチー。モッチーの子の一匹は、行方不明になり、牛に舐められて低体温で死亡。その後、妹の『ミニラ』(ミニトラの略)は衰弱して死亡。残ったのは、モッチーの実子の『ほへと』と妹の『ミワ』(三毛)と弟の『ゴロ』(茶虎)の三匹。しかし、元気にはしごを登ったり庭で遊んだりするようになったものの、ミワちゃんゴロちゃんが行方不明に……。モッチーが一生懸命鳴いて探すものの、丸一日姿が見えず。ところが、ひょっこりゴロちゃんが帰ってきました。ミワちゃんは見つからず。
最近、烏が庭に来てたからさらわれちゃったかなぁ、と可愛がっていた娘が肩を落としています。
『レベル596の鍛冶見習い』小説3巻が発売されました。それにともなって、3巻相当がレンタル化されました。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いします。また、小説3巻は、かなり加筆し、多少ストーリーも変わりましたので、読んで頂けると嬉しいく思います。
「バベシア様のおっしゃるのも最もなことですわ。あの忌々しい女に生き写しで、ジェラルド陛下に似てらっしゃるところなど微塵もありませんもの」
「乳兄弟とはいえ、その第一王子の婚約者とは、エールリヒア様もお気の毒なこと」
「王命とあっては、逆らえませんもの」
「まあ、なんて健気なんでしょう、エールリヒア様」
「かの方に比べれば、第二妃様のお子のほうがどれほどかマシだったでしょうに。少なくとも、建国まで遡れる、初代様の忠臣たる男爵家の血筋ですもの。連綿と王家に逆らい続けたフリントコーンなぞより、まだ耐えられるというものですわ。アリスフォード王子は思慮深く聡明とのこと、羊の獣人であらせられるのが何とも口惜しいこと」
「玉座に座られるのに、生まれの順などいかほどのこともこざいませんが、牛の獣人であることは譲れませんものね。今、第二妃様のお腹にいらっしゃる殿下が、牛の男の子であらせられれば……」
「陛下は、なにゆえあのような者に、いと尊き初代様の御名をお付けになられたのか……分不相応だと骨身にたたき込まねばなりませぬ」
「如何様」
第一王子の居室前。
真っ青になって震えだしたユーリを、カウラは眉間にシワを寄せて見下ろした。
共に騎士団に混ざって鍛錬した帰り。ユーリを伴って母様と共に庭でお茶の時間を楽しむのがいつもの習慣だったが、今日は公務で母様がいない。それならば、行ったことのないユーリの部屋に行ってみたい、と、渋るユーリを半ば強引に引きずってやって来た部屋の前で、ユーリはくるりと踵を返そうとした。
いったいどうしたの、と引き留めたカウラに腕を掴まれたまま、ユーリはずるずると床に座り込んだ。
『ごめんなさい、ごめんなさい』とうわごとのように繰り返している。
その直後に聞こえてきたのが、先ほどの会話だ。
声からするに、バベシア・シルバーコーン公爵夫人と、公爵令嬢のエールリヒア、夫人の友人たちだろう。
世間話のように、第一王子たるユーリを批判し続ける声高な会話に、カウラは眉間のシワを深くした。
カウラも、もちろんユーリも、この国の王の子として産まれた。
政治的な思惑で接せられることも、悪意を向けられることにも慣れている。
しかし。
ここは、第一王子の部屋だ。
唯一、心安らげる場所のはずだ。
まして、自分自身が正義であるとばかりにユーリを声高に罵倒しているバベシア・シルバーコーン公爵夫人は、ユーリの後見であり、乳母、教育係のはずだった。
つまりは、むしろ、カウラを退けてユーリを王太子へと推す勢力の筆頭、ユーリの絶対的な味方であれと、父上が手配した人間のはずであった。
もし仮に、カウラの部屋で、乳母や侍女がカウラへの文句や悪口を言っているのを聞いたなら、カウラは怒るだろう。一緒にユーリがいて聞いていたなら、「仕方のないやつらだ」と冗談のように誤魔化したかもしれない。それから面と向かって、「感心しない」「言いたいことがあるなら直接言え」と告げただろう。
それなのに。
ユーリのこの怯えぶりは。
訝しむカウラの耳に、さらなるシルバーコーン公爵夫人の声が響く。
「最近では、何とも生意気なことに、騎士団に混ざって鍛錬したいなどと言いますのよ。初代様のお得意とされた身体強化を学びたいなど、何とも身の程知らずな」
「けれどバベシア様、第一王子が身体強化を学ぶのは、国の習いでございましょう?」
「だからこそ忌々しいのではありませぬか。これほどまでに毎日心血を注いで言い聞かせているというに、第一王子としての振る舞いがしたいなど。あれに国を背負う器はありませぬ」
「左様ですの? 確かに、第一王子は物覚えが悪く、王族としてのマナーや儀礼すら怪しいと聞き及びましたわ。教師はどなたを?」
「ほほ、あれは平民の血筋ですわ。王族の高度な教育を受けようなどと分不相応。王都の下町で裏寂れた手習い所を持て余していた師を与えたのですわ。文盲としても良かったのですが、今どき、平民でも読み書き程度は出来ますものね」
「まぁ、まぁ、なんと慈悲深い! それではあの者は、第一王子とは名ばかり、まさしく平民の子どもではありませんか!」
……なんてことだ。
カウラは顔をこわばらせ、血の気の引いた指先を握りしめた。
確かに、王族にしては、ユーリは言動が幼いと思っていた。
十歳になる今、カウラは騎士団の訓練、魔法の修練、政治や経済、歴史、礼儀作法など多くを学んでいる。
最近まで、兄であるユーリとさほど交流はなかった。なぜなら、後見人となったバレシア・シルバーコーン公爵夫人当人が、ガチガチにユーリを囲っていたからだ。正妃の息子であり第一王子であるユーリと、第二妃の子であり第二王子であるカウラとは政敵に当たる。そんなものだろうと、うがった見方をしてしまっていた。
が、あるとき、物陰から、チラチラと騎士団の鍛錬をのぞく兄の姿に気付いた。そういえば、身体強化と剣術はデントコーン王族のお家芸なのに、鍛錬でユーリを見かけたことはなかったな……と気付いた。記憶を辿ると、後見人の公爵夫人が、その昔、『ユーリティウス殿下は、体があまり丈夫でなく、魔法の方面に進みたいご様子で』とか言っていたような気がする。
それでも興味があるならやれば良いのに。
そう思って、軽い気持ちで手招きすると、ユーリはおずおずと寄ってきた。
剣を握ったこともない、と言うユーリの白く柔らかい手に、カウラはなるべく軽い木剣を選んで渡した。
筋肉のない細い腕は、ふるふると震え、木剣を持ち上げるのもやっとだった。
それでも次の日もユーリはやって来た。
柔らかな手のひらの皮膚が破け、マメが潰れても、ユーリはニコニコとやって来た。
天使のような奇跡的な美貌を持つ第一王子を最初は遠巻きにしていた騎士見習いたちとも次第に馴染み、ふざけてはしゃぐ姿も見られるようになった。
ユーリは、『感情を表に表さないよう』教育されているはずの王族にしては感情豊かで、上達したと言っては笑い、負けたと言っては泣き、からかわれたと言っては怒った。そのくせ飽きることなく剣を振り、負けん気が強く、努力を惜しまない。
父母や昔からの乳母たちを除けば、カウラの周囲に集まるのは、気の抜けない貴族子弟か他人行儀な使用人ばかり。実力主義で脳筋な騎士団をむしろ心地よく感じていたカウラにとって、ユーリのその様子は好ましく写った。第一王子という立場に産まれ、典型的貴族である公爵夫人に育てられながら、騎士爵出身の騎士にも庶民出身の騎士にも等しく接する態度に、奇跡的な素直さだと感動すら覚えた。
始めたばかりの頃には、棒きれを振り回す町人の子にすら負けそうだったユーリは、騎士団の鍛錬の一環で『身体強化』を学ぶと、目覚ましい進化を遂げた。
長年、それこそ物心つく前から玩具代わりに木剣を与えられ、遊び代わりに父王と打ち合いをし、成長してからは騎士団に混ざって鍛錬してきたカウラが危うく負けそうになるほど。すわ天才か、流石は第一王子――そんな声が囁かれ出した頃。ユーリはピタリと鍛錬に現れなくなった。
城の中で顔を合わせても、どこかおどおどとカウラを避ける。
その腰に下げられるのは、いつしか訓練用の木剣ではなく魔法の杖になった。
今日は、そんなユーリに苛立ちを募らせ、強引にカウラがユーリを鍛錬場へと引っ張って行ったのだった。
確かに政敵、近づかないほうがいいのかもしれない。けれどカウラは、既にユーリをライバルだと認識している。玉座を狙うライバルじゃない。そもそもカウラに玉座を狙うつもりはないし、剣のライバルだ。半年やそこらで、長年積み上げてきたカウラの努力をひっくり返しそうになったというのに、このまま逃げるなんて許さない。
それに、貴族の噂話に怯えおどおどと身を隠す姿ではなく、庶民の騎士見習いたちと共に汗を流し、くだらない話で笑い合う姿こそ似合うとカウラは思う。ユーリは顔こそ父王に似ていないが、その垣根の低さ、剣の腕、気の抜けた気安さからくる良く分からないカリスマは、英雄王と呼ばれる父王にそっくりだ。
剣を握るまでは何やら葛藤していたユーリも、騎士見習いたちと打ち合いを始めると、かつての楽しそうで朗らかな様子を取り戻していた。
そんな様子を見て、剣に飽きたわけでも嫌いになったわけでもないと分かり、カウラもほっと息をついたのだ。
それなのに。
鍛錬が終わると、久しぶりにマメの出来た手のひらを見つめ、ユーリはふるふると震えだした。
今日は公務で父上も母様もいない。
二人きりでゆっくりと話を聞くべく、渋るユーリを無理にお茶に誘ったのだが――
「まったく、顔を見るのも忌々しい」
第一王子の部屋。ユーリの居室。そこで、吐き捨てるようにユーリの後見人が言う。
……ネグレクト。
育児放棄。
むしろ、積極的育児放棄とでも言うべきか。
まさか王城で。まさか第一王子が。まさか後見人によって。
ユーリは、教育を与えられず、第一王子らしくなくあれ、王位を望むな、と強制されて生きてきたのだ。
ユーリが赤子の頃、生母である正妃、ヨーネ妃は行方知れずとなった。
その後、ヌール母様がユーリを引き取らず、シルバーコーン公爵夫人が後見としてついたのは、身分も低くまだまだ足場の定まってなかった母様より、公爵家を後ろ盾としたほうが第一王子のためになるだろう、という政治的な判断だったと聞いている。さらには、なさぬ仲の母様が、自分の子を王太子にしたいがため、第一王子を害するのでは、と疑われたためだったとも聞く。
後見にと立てられた公爵家が、第一王子を傀儡に政治を牛耳るのでは、という懸念はあった。だが、いったい誰が、公爵家にとってこの上なく有用な駒を、虐待して育てるなどと想像しただろうか。
「あら、そうですわ。バレシア様。わたくし、いいことを思いつきましたの」
「なにかしら?」
「バベシア様のご長男、カトム様。血筋からいえば、第一王子殿下に比肩する――いえ、上回るのではございませんこと?」
「まぁ、そうですわ。二代続いて卑賤の血が入った直系より、シルバーコーン公爵家の方がよほど……! かのエクシード一世大王陛下も、このようなことを予見されて、公爵家をお増やしになったのでしょうし」
キャアキャアと興奮したように騒ぎ出すご婦人方の声に紛れて、カタン、と扇を閉じる音が聞こえた。
「皆様、声が大きくてらしてよ。ここは王城。我が公爵家は、王家に絶対の忠誠を誓っているのですから」
わざとらしく嗜める低い声の後、ひそめられたささやきが交わされる。
「そうですわね」「なんて楽しいこと」「今度はバレシア様のおうちでお茶を頂きたいですわ」
――そういう、ことか。
カウラは得心する。
有用な駒たるユーリに、何故このような扱いをしているのかと思ったが……。
デントコーン王国の王位に就く条件は、『王族の血をひき、国益となる妻を迎えること』。
厳密に言えば、第一王子である必要も、現国王の息子である必要もない。
そして、何故バベシア・シルバーコーン公爵夫人が、自宅でもないこんな場所で堂々と第一王子を貶める発言が出来るかといえば――……誰に聞かれても、全く問題がないからだ。
母のいないユーリは、何を言われ何をされたところで、後見たる公爵夫人に逆らうことはできないし、貴族のほとんどは、長い間王家に恭順を示さなかった、「フリントコーン」に対して好意的ではない。仮に、第一王子に好意的な人間が――例えばカウラがこの話を聞いたとて、結局のところ、やれることは何もないのだ。
第一王子が虐待されている、与えられるべき教育を受けられていない、と騒ぎ立てることは出来る。
握りつぶされる可能性も大きいが、ユーリへの虐待が証明出来たとして。それは、一時的には後見たる公爵夫人の恥になるかもしれない。
しかし、最もダメージを被るのは、被害者であるはずのユーリだ。
王族としての教育を受けていなかった第一王子。しかもその告発によって、唯一の後見たる公爵家も失い、生母たる王妃もいない。いったい誰が、彼を次の国王に推すだろうか。
カウラは羊、しかも実は女だ。王位は遠い。
母様のお腹の中にいるのが、牛の弟ならばまた違うだろうが、現時点で一番王位に近いのは、公爵夫人の息子たるカトム・シルバーコーンということになる。
何故なら、そもそもシルバーコーンをはじめ、公爵家というものは、「王家に後継たるに相応しい王子がいなかった場合の予備」として立てられたものだからだ。「公爵家は、国王の毛布から産まれる」と言われるように、旧公爵三家は、二代国王の子どもたち、新公爵家三家(シルバーコーンはこちら)は、デントコーン王国中興の祖と言われるエクシード一世の子どもたちによって興された。確かに血筋だけならば、直系たる王家と張る。
カウラは、まだ十歳。発言力は低い。
二代続けて高位貴族から王妃を迎えていない王家は、貴族家の掌握が弱い。王太后たるアンブローズ陛下は、その個人の戦闘能力で誰が逆らうことも許されない社交界の女王ではあるが、貴族的な腹黒い根回しとは無縁の人だ。むしろそういった手法はヌール母様のほうが得意そうではあるけれど、所詮は男爵家の血をひくだけの第二妃。軽んじられることも多くある。「勇者」として産まれ、王族教育をほぼ受けてこなかった父上は論外。祖父はサイレージの離宮にいて、王城にはいない。
黙殺。黙認。看過。
今は、まだ。
今ココで、カウラが騒ぎ立てたところで、ユーリのためになることは何もない。
手札を。準備を。根回しを。
あらゆる場合を想定して。
それが、王族としての戦いというものだ。幸いにして、騎士団、侍女、お庭番。カウラの使える手駒はそれなりにある。
感情的で、素直で、負けず嫌いで、努力家。平民との垣根は低く、庶民出身の騎士にも、弟のように可愛がられ、からかわれている。確かに王族らしくはない。けれど、カウラはそんなユーリを『国王になる器ではない』と評しない。
教育が足りないというのならば、足せばいいのだ。
とりあえずカウラは、震えるユーリに肩を貸し、自室へと連れ帰った。
そして気の知れた侍女たちにお茶を用意させ、ユーリを落ち着かせた。ユーリにとって害悪にしかならぬ公爵夫人の元に帰すのは良心が咎めたが、ユーリが決定的に害されることはないだろうと、チクチクとする心に目をつむった。
カウラがユーリに、学んだ王族教育をそのまま教えてやることも考えたが、ユーリが頻繁にカウラの元へ通うことを公爵夫人が許容するとは思えない。
カウラは手始めに、ユーリの教育を任されているという手習い所の講師を取り込むこととした。
調べてみると、マキアというその講師は、かなりのところユーリに親身になってくれていたらしい。庶民向けの手習い所の講師とはいえ、元は騎士爵家の三男で、ある程度の貴族のマナーや礼節までもカバーしてくれていた。あの公爵夫人に育てられながら、不思議なほどにユーリが歪まず素直に育ったのは、唯一の味方といってもいいその講師のおかげだと言っても過言ではない。
カウラがユーリの側だと納得してもらうのにしばしの時間を要したが、一度信頼されると、講師は驚くほど協力的だった。カウラはまず、マキアに教師をつけ、彼を王族の教師に相応しいだけの力量にまで鍛え上げた。
次のミッションは……とカウラは思案する。
ユーリに、王族教育を施しただけでは、根本的な解決にはならない。
あれだけの、騎士団では『すわ初代国王の再来か』とまで言われ始めた剣才と身体強化を持ちながら、ユーリは剣の鍛錬をすることも許されず、地味な補助魔法の道を指示されたらしい。
バレシア・シルバーコーン公爵夫人には、退場してもらわなければならない。
騎士の端くれとして、カウラはユーリの剣を美しいと思う。
くだらない血統主義などに潰させはしない。
今からユーリが、新たな後見を得ることは難しいだろう。最良は、シルバーコーン公爵家には存続してもらったまま、弱味を握り、かつ『穏便』に公爵夫人だけに去ってもらうことか。
幸いにして、ユーリもまだ十歳。婚約者であるエールリヒアもまた十歳。兄であるカトム・シルバーコーンも十三歳。
再教育の余地は充分にあろうし――……そうだ。次は、シルバーコーン公爵家内部から切り崩していくのが良い。まずは、剣術馬鹿と名高いカトムと、剣友として交流を深めてみるか。その間に、エールリヒアの周りに一人、カトムの周りに数人、間者を潜り込ませて……。
自室の書斎、書き物机の上で、カウラはニィッと目を細めた。
そこには、カウラ自身も「再教育可能」と判断したユーリやエールリヒアと同い年という思考は欠けている。
公爵家すら操縦し、自身の思うままの先を呼び寄せる。出来るかとの疑問の浮かぶ余地すらなく、当然のごとく手下を手足のように使い、望む結果を引き寄せる。
それこそが、王族の――いや、王の思考回路だと、カウラ自身はまだ、気付いていない。
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最近、烏が庭に来てたからさらわれちゃったかなぁ、と可愛がっていた娘が肩を落としています。
『レベル596の鍛冶見習い』小説3巻が発売されました。それにともなって、3巻相当がレンタル化されました。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いします。また、小説3巻は、かなり加筆し、多少ストーリーも変わりましたので、読んで頂けると嬉しいく思います。
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