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番外編
鍛冶見習い番外編・ヌールの恋4
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前回のあらすじ・ヌールはジェラルドの妃となるため、姉ヨーネと交渉する。
「姉さまが最近、最も関心のある研究対象ですよね。けれど、今代の『神の血をひく王族』、聖騎士オムラ様は、今年亡くなってしまわれた。
姉さまの調査によると、『神の血をひく王族』は、先代の『神の血をひく王族』が亡くなって数年以内に、『角を持つ王族の両親』から産まれるんですよね? 今、王族、また公爵家に、数年以内に子の産まれそうな若夫婦はいない。となれば血の濃さからいっても、ジェラルド様のお子に『神の血をひく王族』が産まれる可能性は高い」
私は一度目を伏せると、背筋を伸ばして姉さまを見つめた。私の側頭部にくるりと生えた、羊の角がよく見えるように。
「その両親の条件になら、牛の獣人である姉さまも合致する。けれど、姉さまは、生殖率が極めて低いと言われる『双子牛の雌』――『神の血をひく王族』を産める可能性はほとんどないでしょう。
対して、私も角を持つ羊の獣人です。姉さまが王妃となり、私が側妃となり、他の側妃を迎えることを阻止出来れば。私の産む子は、『神の血をひく王族』となる」
姉さまは、両手の指を組み合わせると、綺麗に組んでいた足の上に乗せた。
「で?」
「差し上げます。その子を、姉さまの子として。煮るなり焼くなり好きになさってください」
「は。実験動物に差し出すというのかい? 我が子、それも、私を踏み台にしてまで手に入れたい、愛しい愛しいジェルとの子を?」
姉さまは、組んでいた指をほどくと、『お手上げだ』とでも言うようにぱっと広げて広げてみせた。
「面白いね、ヌール。
私のメリットを問うたとき、研究だけに搾って発案する辺り、実に私というものをよく分かっている。
だが本当に分かっているのかい?
お前の『お願い』が叶ったら、お前は永遠にお前の好きな男の一番にはなれない。好きな男との子も手に入らない。子を私に差し出したら、好きな男に嫌われさえするかもしれない。
その上――恨まれるよ。父にも、兄弟にも。赤羽屋という大商会に属する、何千という人々に。私は皆に愛されている自覚がある。その私を、自分の望みのための踏み台にしようというのだから」
私は、目を逸らすことなく姉さまの秀麗な顔を見つめていた。
分かっている。分かっている。
全てを傷つけ、全てに憎まれようと、私は私の願いを諦めきれない。
「国一番の大商会とはいえ、父も兄弟たちも平民だ。王妃となった私とまともに会うことは、もう一生涯叶わないだろう。
私が王妃として、お前の側にある分にはまだいい。けれど私が失われたら。そうしたら、国一番の大商会である赤羽屋は、お前に、そしてお前が嫁いだデントコーン王国に、牙を剥くのをためらわないだろうよ。
まさに傾国だ。お前は、お前の願いのために、お前の大切な人が身を削って守った国を傾けるかもしれない」
それでも私は僅かな揺らぎすらなく、姉さまへまっすぐ視線を向けたままだった。
「……覚悟は決まっているようだね。私の小さなヌール」
姉さまの手が、するりと私の頬を撫でる。形の美しさとは裏腹に、実験や発掘で荒れた手はカサカサとしていて少し肌に引っかかる。
私の願いを、小娘の戯言と一笑に付さない。
聞くべき価値のある言葉として、真摯に向き合ってくれる。
私は、この人を愛している。ジェラルド様とはまた、別の次元で。私は、この人に仕えるために産まれた。
私は少しだけ唇をとがらすと、ほんの少しの上目遣いと共に姉さまに告げた。
「姉さまがいなくなる前に、私は父に対抗できるだけの組織を作り上げます。赤羽屋という協力者を得ただけの父が、半生のみで築き上げた大商会。側妃という立場を得た私が、数年で築けて何の不思議がありましょう。
それに、これが、最適解なのです。私が、姉さまに仕えたまま、ジェラルド様を手に入れるための」
「……は?」
姉さまは今度こそ目をまん丸に見開くと、ポカンと口まで開けて私の顔をまじまじと見つめた。
いつも余裕綽々な姉さまにしては、とても珍しい表情だ。
「お前は、お前の愛しい男に近づくために、私を踏み台にするのではないのかい?」
「ジェラルド様に近づくだけならば、他にも何通りかの案があります。けれど、どの案にしろ姉さまとの決別は避けられない。
私は、貴女に仕えるために産まれた。そして私自身の意志で、貴女に仕えることを誇りとして生きてきました。私の忠誠は、生涯、姉さまの元に」
「くっ、くふっ、くふふふふ」
ポカンと開いていた口の端が、キュウッとキツイV字型に吊り上がった。
楽しくて楽しくて仕方がない、といった表情の姉さまは、実に久しぶりに見る。
「お前は、主人も好きな男も両方得たいから、主人に自分の嫁ぎ先へと付いてこいと、そう言うのかい!? そんな従僕は聞いたこともない!
なんて強欲なんだろう、ヌール!
将来の娘を差し出すところまでは想像がついた。けれどこれは、想像の斜め上だ!
私は、私の想定を越えるものが楽しくて仕方がない。だから私は、お前が好きなんだ、ヌール」
姉さまは、座っていた椅子の上にあぐらを組むと、私が差し出した書類をひとまとめにパーッと空中へ放り投げた。ひらひらと舞う巨大な紙吹雪の中、姉さまは上機嫌にケタケタ笑っていた。
「いいだろうヌール。私の人生、お前のために差し出してやろうじゃないか。お前が私に仕え続けられるよう、お前の嫁ぎ先に私も一緒について行ってやる!
私が全力で、お前の願いを叶えてやるよ」
その言葉に偽りはなかった。
姉は自ら積極的に動き、『王統を継がぬからと今まで見向きもされなかったのに、立太子すると分かった瞬間にすり寄ってくる貴族令嬢という生き物』に鬱になりかけていた、というジェラルド様との婚約を早々に取り付けてきた。
「フリントコーンが二千年の間維持してきた孤高を何だと思っているのか。カーラの矜持を傷つけることだ」
と猛反対するあの父を、
「研究のために必要なんだ。しょうがないだろ?」
の一言でバッサリ切り捨てた。
カーラ様も姉も『研究のため』と言い出したらテコでも動かないことを身に染みて知っている父と兄弟たちは、渋々と輿入れに向かって動き出す。
想定通り、姉を溺愛する父は、私が言い出す前に「侍女代わりに側妃として輿入れに付いていくよう」私に言い渡した。おそらく父は、私が姉の輿入れに噛んでいるのを感づいていただろうと思う。しかしそれでも、言い出したら聞かない姉を翻意させるのは不可能であり、単身輿入れさせるよりは、私を付けたほうがまだマシだと判断したようだった。
デントコーン王家と並ぶ歴史を持つ名門とはいえ、所詮は無爵でどこの王族の血が入っているわけでもないフリントコーンの女を側妃の一人ではなく、国王に準じる立場の王妃に迎えることには、貴族から根強い反対の声が上がった。
しかし、翌年。未曾有の蝗害に穀倉地帯を襲われた国は、他国にも広く流通網を持つ国一番の大商会の、被災者救済や復興への全面的な支援、そして国家予算規模の巨額の持参金と引き換えに膝を折った。
災害から目を逸らさせるかのように行われた、ジェラルド様の華やかな即位の儀。
それは、立太子から僅か一月後のことだった。
馬の乗り入れが禁止されているはずの王都を巡り、王城へと戻る正装の騎士団に守られた純白の馬車のパレード。民を守った英雄の晴れ舞台に、王都民のほとんどが浮かれ騒ぎ、祝いの花をパレードの列へと降らした。
一方で、被災中ということを言い訳に、その婚姻は密やかに行われた。
パレードが行われることもなく、王都民は、ジェラルド様の顔は良く知っていても、正妃となる平民の姿は遠目に見ることも出来なかった。
正妃となる女が、アンデッドから王都民を救った勇者パーティの一員であることも知らず。彼女の実家が、蝗によって失われた食料を調達し国民を飢えさせぬよう、一族総出で大陸中を東奔西走していることも知らず。彼女の持参金で、田畑や家を失った何百万の国民の食事が賄われたことも知らず。
ただ国民は、彼女を金で王妃の座を買った金満家の娘だと嘲笑った。
対して、そんな鼻持ちならない妻を娶ってまで、国民の飢えを救おうとしてくださっている、とジェラルド様の人気はうなぎ登りだった。
これには私も激しい違和感を覚えた。
『フリントコーン』に悪感情を抱く貴族が、姉さまの良くない噂を撒くのは分かる。
けれど、隠密の里出身者を多数抱える赤羽屋とて、情報操作はお手の物だったはずだ。
それなのに、まるで誰かが操作しているかのように、表面的な姉の悪口ばかりが取り沙汰され、姉の人物像について触れる者はいない。
他家に輿入れするのだからと、赤羽屋の一切から切り離された我が身が歯がゆくて仕方がなかった。
姉と共に入った後宮。
ジェラルド様は、姉から事情を聞いていたのか、私がかつてアンデッドから助けてもらった娘だと名乗ると、親しく受け入れて下すった。「己が討伐した相手へ手を合わせる背中に惹かれたのです」と告げると、国王としてでも勇者としてでもなく好いてくれて嬉しい、そこまで慕われるとは冥加なことだと、照れて笑ってらっしゃる姿にほっこりした。
けれど、そんな喜びすら霞んでしまうほど。
貴族達の、姉への当たりはひどかった。
座るにも、立つにも、茶の一杯にすら、気を抜けるものは何もない。その全てが毒であり、トゲであり、刃物でもあった。
今まで勇者として冒険者のような鍛錬と戦いの日々を送って来られたジェラルド様は、全く帝王学というものを学んでいない。そのため、次期国王最有力と言われていた、フットマウスデイジーズ侯爵に付きっきりで教育を施されており、滅多に後宮へ顔を見せることはなかった。
身分のない、無爵であると蔑まれるだろうとは思っていた。
永らく王家を袖にしていたまつろわぬ一族が、何を今更、と罵られることも覚悟していた。
しかし。
考古学、人類学、錬金術の鬼才にして天才である姉さまに対して、
「貴族女子たる者が『働く』などとみっともない。何と慎みのないことか」
と、見下されるとは夢にも思わなかった。
確かに貴族夫人は働かない。家政を取り仕切るのがせいぜいだ。だが、『働かない』こと自体にプライドを持っているなどと、商家で育った私には想像もつかないことだった。
姉さまの価値は、フリントコーンの血と、赤羽屋の金。ただそれだけ。
姉さまが、フリントコーンの一族が連綿と行ってきた研究は、貴族の誰にも一顧だにされず、ただの『無駄金使いの王妃の道楽』として片付けられた。
姉さまが、仕事に打ち込めば打ち込むほど、姉さまの評価は落ちる。
姉さまが、自身の研究に、国庫の金を使ったことはただの一度としてない。
それなのに、姉さまの評価は、『道楽に多額の金をつぎ込む、変人で高慢な身分の卑しい王妃』のまま――……。この地獄に、姉さまを連れてきたのは、私だ。私が、姉さまを巻き込んだのだ。煮え湯を飲まされる環境で、それでも姉さまは飄々としていた。
その一方で、何故か貴族夫人たちは私をチヤホヤと褒めそやした。
私の母は、借財のカタに赤羽屋に売られた男爵家の出身だ。
この国の貴族の成り立ちは、公爵家は初代国王の孫が祖、侯爵家は初代国王の親類が祖、伯爵家は初代国王の側近が祖、子爵家は初代国王に平定された有力者が祖、男爵家は初代国王の家臣が祖、騎士爵は初代国王に従った兵士が祖――ということで、国政に関われるのは、主に国王陛下の直属の臣下である伯爵家の者と男爵家の者に限られる。
つまり、建国以来の男爵家である母の実家は、意外なことに、やたらな子爵家より名家であるらしく、また、お家の没落を救うために身を売った女は「孝女の鏡」とされる風潮があることから、そんな母の産んだ私が、身分のない姉に仕えていた、というのは貴族婦人の心の琴線に触れるものがあったらしい。
悶々とした日々を送り、一年後。
私は、女の子を出産した。
――角のある、女の子。
姉に約束した、『神の血をひく王族』かもしれない赤子。
ああ、あれは……子を産んだことのない小娘の、何の根拠もない覚悟だったのだと、産まれた赤子に乳を含ませ、私は思う。
産んだだけでは、まだ耐えられると思っていた。抱いたときもまだ。けれど、乳を吸われる度、腹の奥底から痛みと共に湧き上がってくる、この感情。
渡せない、渡せない、渡せない。自分の何と引き換えにしても。実験動物などにさせる、未来には。この子を引き渡すことは出来ない。
姉への忠誠。娘への愛情。
差し出さねばならない。けれど、差し出せない。
板挟みにされ、身を引き裂かれそうなほどに私は惑う。
そして、ついに私は、姉を謀ることを選択してしまった。
産まれた子は、男だと。
私が赤子を産む前日、子に恵まれないはずの『双子牛の雌』であるはずの姉もまた、牛の男の子を出産していた。子が産めない姉のために、表だって顔こそ出さぬものの、常に姉に付き従っているはずの兄弟たちが、どこからか赤子を調達してきたのかとも疑ったが……その子は、姉に生き写しの天使のように美しい金髪碧眼の赤子だった。
であれば、その子は紛れもない第一王子。私の愛する二人のお子だ。
「そうか」
と、私の嘘に姉は笑った。
祝いに、赤子の名は自分に付けさせてくれ、と言った。
姉が産んだ第一王子の名は、ユーリティウス・リンカ・デントコーン。
私が産んだ第二王子の名は、アリスフォード・カウラ・デントコーン。
そうして二人が一歳の誕生日を迎える日、姉は姿を消した。
数多の騎士に守られた後宮から、忽然と。
ああ、ああ、そうなってようやく、私は姉に守られていたことを知った。
市井に撒かれた、王妃への悪感情。貴族からの執拗なまでの偏見の目。王城内でまことしやかに囁かれる、王妃の奇行。反比例するかのように上昇する、第二妃ヌールへの評価。全ては姉の差配だった。
私が妃として評価されるのは、姉の存在あってのことだ。
第一王子の生母にして、決して離縁出来ぬ、悪名高い行方知れずの王妃。その存在が私を守る。
王妃の条件は、「国益にかなうこと」。例え姉が離縁されたところで、実績も後ろ盾もない私が王妃になることは出来ない。
姉が離縁されれば、ジェラルド様は他国の王族や自国の貴族から新たな王妃を娶ることとなる。そうなれば、男爵家の血を僅かに引くだけの、私も私の子も塵芥に等しい扱いを受ける。生き残れれば、まだいいほうだ。
だが、国の法律では、王族から平民に至るまで、婚姻の際の持参金を戻さずに離縁することは出来ない。天災の復興に姉の持参金を使い尽くした王家は、例えどんなに疎もうと、姉を離縁することは出来ないのだ。
そして、国王が側妃を迎えるためには、正妃の承認が必要となる。
どんな高位貴族が外戚となることを企もうとも、行方の分からない王妃に、側妃の承認を迫ることは出来ないし、例え王妃が行方知れずでも、「死んだ」という証がない以上、第一王子まで産んだ王妃を「なかったこと」にし、新たな王妃を立てるわけにはいかない。
つまり、姉の失踪をもって、私はジェラルド様の唯一の妃となる。
「私が全力で、お前の願いを叶えてやろう」
あの日の、楽しそうな姉の笑顔が浮かぶ。
何が忠誠。何が忠義。
私は所詮、姉の羽根の下に庇護された雛鳥だった。
かなわない。
悔しさと不甲斐なさを噛みしめて、今度こそ私は誓う。
私は、姉に仕えるために産まれた。
両の腕に双子のような牛の赤子達を抱きしめ、遙かな地にいるだろう永遠の主人に、報恩と服従を誓う。
姉さまの子を、必ずや国王に。
姉さまが欲するのならば、例えジェラルド様とて欺いてみせる。ジェラルド様は私に気を許し、随分と王家の秘事を打ち明けてくれるようになった。
まずは手始めに、この子達に先んじて産まれたという、オムラ様のお子を調べてみようか……。
姉に与えられた幸せの沼に漬かりながら、私はうっすらと仄暗い笑みを浮かべた。
(※産まれたばかりの牛の子に角はありませんが、指で触ると、小さな角の芽のようなものが感じられます。それをもって『角のある女の子』と表記しています)
猫小話・順調に子育てをしていたかに見えたモッチーですが、やはり初産。五匹を育てきるほど乳は出ません。子猫たちは栄養失調で寝てばかり、体も一定以上大きくなりません。そこで、なんとか人工哺乳(といっても牛用ミルクですが)してみることに。すると元気になった子猫たち。行動範囲がぐんぐん広がり……モッチーの実子一匹が、行方不明に。見つけたときには、牛に舐められてびちょびちょ、冷え切っており、結局そのまま死んでしまいました。残り四匹は元気に過ごし、固形物も食べられるようになりました。
「姉さまが最近、最も関心のある研究対象ですよね。けれど、今代の『神の血をひく王族』、聖騎士オムラ様は、今年亡くなってしまわれた。
姉さまの調査によると、『神の血をひく王族』は、先代の『神の血をひく王族』が亡くなって数年以内に、『角を持つ王族の両親』から産まれるんですよね? 今、王族、また公爵家に、数年以内に子の産まれそうな若夫婦はいない。となれば血の濃さからいっても、ジェラルド様のお子に『神の血をひく王族』が産まれる可能性は高い」
私は一度目を伏せると、背筋を伸ばして姉さまを見つめた。私の側頭部にくるりと生えた、羊の角がよく見えるように。
「その両親の条件になら、牛の獣人である姉さまも合致する。けれど、姉さまは、生殖率が極めて低いと言われる『双子牛の雌』――『神の血をひく王族』を産める可能性はほとんどないでしょう。
対して、私も角を持つ羊の獣人です。姉さまが王妃となり、私が側妃となり、他の側妃を迎えることを阻止出来れば。私の産む子は、『神の血をひく王族』となる」
姉さまは、両手の指を組み合わせると、綺麗に組んでいた足の上に乗せた。
「で?」
「差し上げます。その子を、姉さまの子として。煮るなり焼くなり好きになさってください」
「は。実験動物に差し出すというのかい? 我が子、それも、私を踏み台にしてまで手に入れたい、愛しい愛しいジェルとの子を?」
姉さまは、組んでいた指をほどくと、『お手上げだ』とでも言うようにぱっと広げて広げてみせた。
「面白いね、ヌール。
私のメリットを問うたとき、研究だけに搾って発案する辺り、実に私というものをよく分かっている。
だが本当に分かっているのかい?
お前の『お願い』が叶ったら、お前は永遠にお前の好きな男の一番にはなれない。好きな男との子も手に入らない。子を私に差し出したら、好きな男に嫌われさえするかもしれない。
その上――恨まれるよ。父にも、兄弟にも。赤羽屋という大商会に属する、何千という人々に。私は皆に愛されている自覚がある。その私を、自分の望みのための踏み台にしようというのだから」
私は、目を逸らすことなく姉さまの秀麗な顔を見つめていた。
分かっている。分かっている。
全てを傷つけ、全てに憎まれようと、私は私の願いを諦めきれない。
「国一番の大商会とはいえ、父も兄弟たちも平民だ。王妃となった私とまともに会うことは、もう一生涯叶わないだろう。
私が王妃として、お前の側にある分にはまだいい。けれど私が失われたら。そうしたら、国一番の大商会である赤羽屋は、お前に、そしてお前が嫁いだデントコーン王国に、牙を剥くのをためらわないだろうよ。
まさに傾国だ。お前は、お前の願いのために、お前の大切な人が身を削って守った国を傾けるかもしれない」
それでも私は僅かな揺らぎすらなく、姉さまへまっすぐ視線を向けたままだった。
「……覚悟は決まっているようだね。私の小さなヌール」
姉さまの手が、するりと私の頬を撫でる。形の美しさとは裏腹に、実験や発掘で荒れた手はカサカサとしていて少し肌に引っかかる。
私の願いを、小娘の戯言と一笑に付さない。
聞くべき価値のある言葉として、真摯に向き合ってくれる。
私は、この人を愛している。ジェラルド様とはまた、別の次元で。私は、この人に仕えるために産まれた。
私は少しだけ唇をとがらすと、ほんの少しの上目遣いと共に姉さまに告げた。
「姉さまがいなくなる前に、私は父に対抗できるだけの組織を作り上げます。赤羽屋という協力者を得ただけの父が、半生のみで築き上げた大商会。側妃という立場を得た私が、数年で築けて何の不思議がありましょう。
それに、これが、最適解なのです。私が、姉さまに仕えたまま、ジェラルド様を手に入れるための」
「……は?」
姉さまは今度こそ目をまん丸に見開くと、ポカンと口まで開けて私の顔をまじまじと見つめた。
いつも余裕綽々な姉さまにしては、とても珍しい表情だ。
「お前は、お前の愛しい男に近づくために、私を踏み台にするのではないのかい?」
「ジェラルド様に近づくだけならば、他にも何通りかの案があります。けれど、どの案にしろ姉さまとの決別は避けられない。
私は、貴女に仕えるために産まれた。そして私自身の意志で、貴女に仕えることを誇りとして生きてきました。私の忠誠は、生涯、姉さまの元に」
「くっ、くふっ、くふふふふ」
ポカンと開いていた口の端が、キュウッとキツイV字型に吊り上がった。
楽しくて楽しくて仕方がない、といった表情の姉さまは、実に久しぶりに見る。
「お前は、主人も好きな男も両方得たいから、主人に自分の嫁ぎ先へと付いてこいと、そう言うのかい!? そんな従僕は聞いたこともない!
なんて強欲なんだろう、ヌール!
将来の娘を差し出すところまでは想像がついた。けれどこれは、想像の斜め上だ!
私は、私の想定を越えるものが楽しくて仕方がない。だから私は、お前が好きなんだ、ヌール」
姉さまは、座っていた椅子の上にあぐらを組むと、私が差し出した書類をひとまとめにパーッと空中へ放り投げた。ひらひらと舞う巨大な紙吹雪の中、姉さまは上機嫌にケタケタ笑っていた。
「いいだろうヌール。私の人生、お前のために差し出してやろうじゃないか。お前が私に仕え続けられるよう、お前の嫁ぎ先に私も一緒について行ってやる!
私が全力で、お前の願いを叶えてやるよ」
その言葉に偽りはなかった。
姉は自ら積極的に動き、『王統を継がぬからと今まで見向きもされなかったのに、立太子すると分かった瞬間にすり寄ってくる貴族令嬢という生き物』に鬱になりかけていた、というジェラルド様との婚約を早々に取り付けてきた。
「フリントコーンが二千年の間維持してきた孤高を何だと思っているのか。カーラの矜持を傷つけることだ」
と猛反対するあの父を、
「研究のために必要なんだ。しょうがないだろ?」
の一言でバッサリ切り捨てた。
カーラ様も姉も『研究のため』と言い出したらテコでも動かないことを身に染みて知っている父と兄弟たちは、渋々と輿入れに向かって動き出す。
想定通り、姉を溺愛する父は、私が言い出す前に「侍女代わりに側妃として輿入れに付いていくよう」私に言い渡した。おそらく父は、私が姉の輿入れに噛んでいるのを感づいていただろうと思う。しかしそれでも、言い出したら聞かない姉を翻意させるのは不可能であり、単身輿入れさせるよりは、私を付けたほうがまだマシだと判断したようだった。
デントコーン王家と並ぶ歴史を持つ名門とはいえ、所詮は無爵でどこの王族の血が入っているわけでもないフリントコーンの女を側妃の一人ではなく、国王に準じる立場の王妃に迎えることには、貴族から根強い反対の声が上がった。
しかし、翌年。未曾有の蝗害に穀倉地帯を襲われた国は、他国にも広く流通網を持つ国一番の大商会の、被災者救済や復興への全面的な支援、そして国家予算規模の巨額の持参金と引き換えに膝を折った。
災害から目を逸らさせるかのように行われた、ジェラルド様の華やかな即位の儀。
それは、立太子から僅か一月後のことだった。
馬の乗り入れが禁止されているはずの王都を巡り、王城へと戻る正装の騎士団に守られた純白の馬車のパレード。民を守った英雄の晴れ舞台に、王都民のほとんどが浮かれ騒ぎ、祝いの花をパレードの列へと降らした。
一方で、被災中ということを言い訳に、その婚姻は密やかに行われた。
パレードが行われることもなく、王都民は、ジェラルド様の顔は良く知っていても、正妃となる平民の姿は遠目に見ることも出来なかった。
正妃となる女が、アンデッドから王都民を救った勇者パーティの一員であることも知らず。彼女の実家が、蝗によって失われた食料を調達し国民を飢えさせぬよう、一族総出で大陸中を東奔西走していることも知らず。彼女の持参金で、田畑や家を失った何百万の国民の食事が賄われたことも知らず。
ただ国民は、彼女を金で王妃の座を買った金満家の娘だと嘲笑った。
対して、そんな鼻持ちならない妻を娶ってまで、国民の飢えを救おうとしてくださっている、とジェラルド様の人気はうなぎ登りだった。
これには私も激しい違和感を覚えた。
『フリントコーン』に悪感情を抱く貴族が、姉さまの良くない噂を撒くのは分かる。
けれど、隠密の里出身者を多数抱える赤羽屋とて、情報操作はお手の物だったはずだ。
それなのに、まるで誰かが操作しているかのように、表面的な姉の悪口ばかりが取り沙汰され、姉の人物像について触れる者はいない。
他家に輿入れするのだからと、赤羽屋の一切から切り離された我が身が歯がゆくて仕方がなかった。
姉と共に入った後宮。
ジェラルド様は、姉から事情を聞いていたのか、私がかつてアンデッドから助けてもらった娘だと名乗ると、親しく受け入れて下すった。「己が討伐した相手へ手を合わせる背中に惹かれたのです」と告げると、国王としてでも勇者としてでもなく好いてくれて嬉しい、そこまで慕われるとは冥加なことだと、照れて笑ってらっしゃる姿にほっこりした。
けれど、そんな喜びすら霞んでしまうほど。
貴族達の、姉への当たりはひどかった。
座るにも、立つにも、茶の一杯にすら、気を抜けるものは何もない。その全てが毒であり、トゲであり、刃物でもあった。
今まで勇者として冒険者のような鍛錬と戦いの日々を送って来られたジェラルド様は、全く帝王学というものを学んでいない。そのため、次期国王最有力と言われていた、フットマウスデイジーズ侯爵に付きっきりで教育を施されており、滅多に後宮へ顔を見せることはなかった。
身分のない、無爵であると蔑まれるだろうとは思っていた。
永らく王家を袖にしていたまつろわぬ一族が、何を今更、と罵られることも覚悟していた。
しかし。
考古学、人類学、錬金術の鬼才にして天才である姉さまに対して、
「貴族女子たる者が『働く』などとみっともない。何と慎みのないことか」
と、見下されるとは夢にも思わなかった。
確かに貴族夫人は働かない。家政を取り仕切るのがせいぜいだ。だが、『働かない』こと自体にプライドを持っているなどと、商家で育った私には想像もつかないことだった。
姉さまの価値は、フリントコーンの血と、赤羽屋の金。ただそれだけ。
姉さまが、フリントコーンの一族が連綿と行ってきた研究は、貴族の誰にも一顧だにされず、ただの『無駄金使いの王妃の道楽』として片付けられた。
姉さまが、仕事に打ち込めば打ち込むほど、姉さまの評価は落ちる。
姉さまが、自身の研究に、国庫の金を使ったことはただの一度としてない。
それなのに、姉さまの評価は、『道楽に多額の金をつぎ込む、変人で高慢な身分の卑しい王妃』のまま――……。この地獄に、姉さまを連れてきたのは、私だ。私が、姉さまを巻き込んだのだ。煮え湯を飲まされる環境で、それでも姉さまは飄々としていた。
その一方で、何故か貴族夫人たちは私をチヤホヤと褒めそやした。
私の母は、借財のカタに赤羽屋に売られた男爵家の出身だ。
この国の貴族の成り立ちは、公爵家は初代国王の孫が祖、侯爵家は初代国王の親類が祖、伯爵家は初代国王の側近が祖、子爵家は初代国王に平定された有力者が祖、男爵家は初代国王の家臣が祖、騎士爵は初代国王に従った兵士が祖――ということで、国政に関われるのは、主に国王陛下の直属の臣下である伯爵家の者と男爵家の者に限られる。
つまり、建国以来の男爵家である母の実家は、意外なことに、やたらな子爵家より名家であるらしく、また、お家の没落を救うために身を売った女は「孝女の鏡」とされる風潮があることから、そんな母の産んだ私が、身分のない姉に仕えていた、というのは貴族婦人の心の琴線に触れるものがあったらしい。
悶々とした日々を送り、一年後。
私は、女の子を出産した。
――角のある、女の子。
姉に約束した、『神の血をひく王族』かもしれない赤子。
ああ、あれは……子を産んだことのない小娘の、何の根拠もない覚悟だったのだと、産まれた赤子に乳を含ませ、私は思う。
産んだだけでは、まだ耐えられると思っていた。抱いたときもまだ。けれど、乳を吸われる度、腹の奥底から痛みと共に湧き上がってくる、この感情。
渡せない、渡せない、渡せない。自分の何と引き換えにしても。実験動物などにさせる、未来には。この子を引き渡すことは出来ない。
姉への忠誠。娘への愛情。
差し出さねばならない。けれど、差し出せない。
板挟みにされ、身を引き裂かれそうなほどに私は惑う。
そして、ついに私は、姉を謀ることを選択してしまった。
産まれた子は、男だと。
私が赤子を産む前日、子に恵まれないはずの『双子牛の雌』であるはずの姉もまた、牛の男の子を出産していた。子が産めない姉のために、表だって顔こそ出さぬものの、常に姉に付き従っているはずの兄弟たちが、どこからか赤子を調達してきたのかとも疑ったが……その子は、姉に生き写しの天使のように美しい金髪碧眼の赤子だった。
であれば、その子は紛れもない第一王子。私の愛する二人のお子だ。
「そうか」
と、私の嘘に姉は笑った。
祝いに、赤子の名は自分に付けさせてくれ、と言った。
姉が産んだ第一王子の名は、ユーリティウス・リンカ・デントコーン。
私が産んだ第二王子の名は、アリスフォード・カウラ・デントコーン。
そうして二人が一歳の誕生日を迎える日、姉は姿を消した。
数多の騎士に守られた後宮から、忽然と。
ああ、ああ、そうなってようやく、私は姉に守られていたことを知った。
市井に撒かれた、王妃への悪感情。貴族からの執拗なまでの偏見の目。王城内でまことしやかに囁かれる、王妃の奇行。反比例するかのように上昇する、第二妃ヌールへの評価。全ては姉の差配だった。
私が妃として評価されるのは、姉の存在あってのことだ。
第一王子の生母にして、決して離縁出来ぬ、悪名高い行方知れずの王妃。その存在が私を守る。
王妃の条件は、「国益にかなうこと」。例え姉が離縁されたところで、実績も後ろ盾もない私が王妃になることは出来ない。
姉が離縁されれば、ジェラルド様は他国の王族や自国の貴族から新たな王妃を娶ることとなる。そうなれば、男爵家の血を僅かに引くだけの、私も私の子も塵芥に等しい扱いを受ける。生き残れれば、まだいいほうだ。
だが、国の法律では、王族から平民に至るまで、婚姻の際の持参金を戻さずに離縁することは出来ない。天災の復興に姉の持参金を使い尽くした王家は、例えどんなに疎もうと、姉を離縁することは出来ないのだ。
そして、国王が側妃を迎えるためには、正妃の承認が必要となる。
どんな高位貴族が外戚となることを企もうとも、行方の分からない王妃に、側妃の承認を迫ることは出来ないし、例え王妃が行方知れずでも、「死んだ」という証がない以上、第一王子まで産んだ王妃を「なかったこと」にし、新たな王妃を立てるわけにはいかない。
つまり、姉の失踪をもって、私はジェラルド様の唯一の妃となる。
「私が全力で、お前の願いを叶えてやろう」
あの日の、楽しそうな姉の笑顔が浮かぶ。
何が忠誠。何が忠義。
私は所詮、姉の羽根の下に庇護された雛鳥だった。
かなわない。
悔しさと不甲斐なさを噛みしめて、今度こそ私は誓う。
私は、姉に仕えるために産まれた。
両の腕に双子のような牛の赤子達を抱きしめ、遙かな地にいるだろう永遠の主人に、報恩と服従を誓う。
姉さまの子を、必ずや国王に。
姉さまが欲するのならば、例えジェラルド様とて欺いてみせる。ジェラルド様は私に気を許し、随分と王家の秘事を打ち明けてくれるようになった。
まずは手始めに、この子達に先んじて産まれたという、オムラ様のお子を調べてみようか……。
姉に与えられた幸せの沼に漬かりながら、私はうっすらと仄暗い笑みを浮かべた。
(※産まれたばかりの牛の子に角はありませんが、指で触ると、小さな角の芽のようなものが感じられます。それをもって『角のある女の子』と表記しています)
猫小話・順調に子育てをしていたかに見えたモッチーですが、やはり初産。五匹を育てきるほど乳は出ません。子猫たちは栄養失調で寝てばかり、体も一定以上大きくなりません。そこで、なんとか人工哺乳(といっても牛用ミルクですが)してみることに。すると元気になった子猫たち。行動範囲がぐんぐん広がり……モッチーの実子一匹が、行方不明に。見つけたときには、牛に舐められてびちょびちょ、冷え切っており、結局そのまま死んでしまいました。残り四匹は元気に過ごし、固形物も食べられるようになりました。
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