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番外編4
鍛冶見習い番外編・ドロシーと酒場の剣(ご隠居目線)
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「こんにちは、ご隠居いる?」
「おや、ノアちゃん、珍しい。
お義父さん、ノアちゃんがみえてますよ」
コロコロと真ん丸な嫁の、弾むような声が聞こえてきた。
わしが普段寝起きしている離れは鶴亀屋の中でも奥まった場所にあり、店表から呼んだところで聞こえなどしないが、その時はたまたま表座敷で番頭と新しく買い入れた古道具の話をしていたところだった。
ひょいと障子から顔を出すと、まだ幼さの抜けない鍛冶見習いが、所在なさげにたたずんでいた。
「何かあったのかね、ノアちゃん。そんな顔をして。
まあ、こっちにあがってお茶でもお飲み。
……番頭さんや」
「かしこまりました」
大方父親と喧嘩でもしたのだろうと、小僧に饅頭でも買いにやらせようとした番頭さんを首をぷるぷると振ってノアちゃんが制した。
「あのね、ロイド爺ちゃんの所のドロシー大婆ちゃんが昨日亡くなったんだ。
今、オイラ、ご近所や親せきにお知らせに回ってて……」
「なんと、ドロシーが……」
ノアちゃんの言葉に、わしは思わず絶句した。
牛方をやっているロイドの母であるドロシーは、もう百を越えたはずの、大往生だ。
それでもまだ生きていて欲しかったという気持ちが湧き上がってくるのは、ドロシーがわしの……
「ご隠居、ロイド爺ちゃんと幼馴染だって言ってたでしょ?
ドロシー大婆ちゃんには自分の子どもみたいに可愛がってもらった、って言ってたから……大婆ちゃんが亡くなって、オイラが悲しいのより、もっとずっと悲しいんだろうなって思って、その」
「そうか、ノアちゃんは優しいのぉ。
そんなわしのとこに知らせに来てくれるのは辛かったじゃろうに」
頭をポンポンと撫でると、何故だかノアちゃんのほうが泣きそうな顔をした。
今でこそ王都の外れにある古道具屋の隠居に収まってはいるが、わしの正体はこのデントコーン王国の先代国王。
ロイドはわしの乳兄弟、ドロシーはわしの乳母だった。
王様稼業を引退してこちらに引っ込むと言ったわしに、何も言わず『鷹狩り鳥見総括』という名誉ある役職を投げ捨ててついてきてくれたロイドと、そのロイドに苦笑してついてきたドロシー。
ジェラルドとはまた違った意味で、わしのかけがえのない家族だった。
「でも、誰かが知らせなきゃいけないことなら、どうせならオイラが知らせたかったし」
「そうかそうか、ご苦労じゃった。
まあ、あがってかりんとうでもおあがり」
「ううん、オイラ、これから今日中にドロシー大婆ちゃんの親戚を回らなきゃだから。
湯かんは明後日の午後三時からロイド爺ちゃんちで、五時からお通夜で、その次の日の十時半からお葬式だって」
「分かったよ、今日中にも一度、ドロシーの顔を見にゆこうかのぉ。
思えば、最後に会うたのは、もう半年も前になるか」
「うん、そうしてあげて。
今、テリテおばさんたち近所中のおかみさんたちがロイド爺ちゃんちに集まって、大量に海苔巻きとか作ってるから、お昼でも食べながら大婆ちゃんを偲びにおいでください、ってロイド爺ちゃんが言ってたよ」
必要なことだけを言い終わると、ノアちゃんは砂ぼこりを巻き上げて走り去って行った。
そのあまりのスピードに、見送りに出た番頭さんが呆気に取られてあんぐりと口を開けているのが暖簾越しにチラリと見えた。
『無限の荒野』辺りならともかく、あのスピードで街中を突っ走り、人にでも当たったら大惨事だ、と思わなくもないが、ノアちゃんによると人を避けるのは魔獣を避けるよりよほど容易いそうだ。
『魔獣を避ける』というところに『?』と引っかからなくもないが、ノアちゃんにとっても国民にとっても危険がないならば、止せと言うのも野暮だろう。
なにせ、葬式というのは、知己縁者へと人が亡くなったことを知らせるところから始まる。
国王や貴族の訃報ならば、知らせに走る小者も多いし、非常を知らせる魔道具もある。
だが、庶民の葬式は、亡くなった翌日、近隣の者が手分けして一斉に縁者へと知らせに走る。
足が速く小回りの利くノアちゃんは、その手の役目にはうってつけだ。。
嫌な役目ではあるが、そろそろ大人として周囲に認められつつあることの証でもある。痛し痒しといったところだろう。
亡くなった翌日は近隣の者で縁者に知らせる。
翌々日は、近隣の男衆が集まって、半数が葬式に使う道具をこしらえたり借りに走ったりし、残る半数が一升酒を何本か持って墓穴を掘りに行く。この酒は縁起物で、飲み終わるまでは帰ってくるなと言われているらしく、下戸のマーシャルなぞは四苦八苦し、ついには心配してこっそりと様子を見に行ったテリテ嬢に代わりに飲んでもらったことがある、なぞと前に言っていた。
一方で、いける口のオーマンなぞは、墓穴堀りの機会があると真っ先に立候補するというのだから……似たような家に産まれ、同い年、同じ道場に通い、共に国で一、二を競う剣士にまで上り詰めた二人のあまりに対照的な様子に、思わず苦笑を禁じ得なかったものだ。
さらに三日目は湯かんと通夜。通夜の晩は親しい者同士で一晩中線香の番をしながら飲み明かし、四日目にしてようやくの葬式となる。
夏場ならば早めに葬ってしまいたいところだが、この行程を端折り、うっかり生き返った者がかつていたという昔話がある。目が覚めたらお棺の中で地面の下だった、などと考えただけでおぞけが走る。
本当に死んでいるのか、息を吹き返すことはないのかという確認の意図もこの数日間にはあるわけだ。
この間、近所の者は自分の仕事もそっちのけで葬式にかかりきりになる。
男衆の仕事は葬式準備と墓穴堀りだが、女衆は喪主の家の台所に詰めて、弔問に訪れる客や葬式準備をしている者の食事を作ったり茶くみをしたり、これまた忙しない。
もちろん、自分の家の食事を作っている間などないから、近所の家の者はみな喪主の家で入れ替わり立ち代わり食事を摂ることなる。子どもたちは子どもたちで心得たもので、手習い所へ行く前に弁当箱を持って喪主の家へ行き、普段は中々ありつけない海苔巻きや精進揚げを母親に詰めてもらうことになる。大っぴらには言えないが、それが葬式の密かな楽しみになっているわけで……
そんなことをつらつらと考えていると、戻ってきた番頭さんに声をかけられた。
「大旦那さま、お気持ちはお察し致しますが、一刻も早くロイドさんのお宅へ伺ったほうがよろしいのではございませんか。
弔問客が増えると、ゆっくりと大婆様のお顔を拝むことも難しくなりましょう。
ノアさんも、そういう配慮でもって、いの一番に大旦那さまにお知らせくださったのでしょうし」
「それもそうじゃな。
これ、カメ。
黒の紋付を……」
「大旦那さま、大店の旦那衆の葬式でもない限り、黒の紋付きなんぞ誰も持っちゃあおりません。
通夜や葬儀本番ならば弔意を示すのにそれもいいでしょうが、今は着替えるより早く、ロイドさんのところへ行ってやってくださいまし」
嫁に声をかけようとしたところを、番頭さんに強くいさめられた。
はて、普段はこんな物言いをする男ではないのだが、と首を傾げてふと気づく。この男も、わしが引退する折についてきた、元は鳥見役、ロイドの元部下だ。ロイドに親身になるのも無理はない。
「分かった分かった。
それじゃあ後は頼むからのぉ」
「行ってらっしゃいませ、大旦那さま」
深く下げた番頭さんの顔が、少しだけ歪んで見えた気がした。
この男にも、何やらドロシーへの思い入れがあるのかもしれない。
ノアちゃんから知らせを受けたのだろうオーマンが、急いでこちらへやってくるのが暖簾越しに見える。
葬儀の折の供は番頭さんに頼もうと、草履をひっかけながらふと思いついた。
ロイドのところは、そういえば神道だった。
葬儀にやって来た黄土色の狩衣姿の神主を見て改めて気づく。
神は死の穢れを嫌い、仏は死の穢れを厭わない。
そういった事情から、『葬儀を取り仕切る宗教』として仏教が爆発的に広がった、という時代背景がある。
数十年前まで、王都に住む者はほとんどが『旦那寺』を持ち、そこの帳面が戸籍の代わりにすらなっていた。
ところがそれでは神道が衰退していくだけと思ったのか、わしの先代のころより、徐々に葬儀を引き受ける神主が増え、今では総人口の一割ほどが神道に鞍替えしている。
何故というなら、坊主より神主のほうが、圧倒的に礼金が安く済むからだ。
葬儀とはいっても、町場の長屋住まいの者などは坊主も神主も呼ばずに済ませるのが常らしいが、田舎へいくほど葬儀は隣近所に親戚縁者集まっての一大イベントと化す。
そこに坊主がいないのでは格好がつかない。
けれど、坊主を頼むには金がかかる。
そういったところに上手く入り込んでいったのが神道というわけだ。
元々この国では、仏教より神道のほうが歴史は古いわけだが、仏教のほうがはるかに商売上手だった。
それを盛り返していったのだから、神道にも商売っ気のある者が現れたものだと、当時は感心したものだった。
まあ、おかげで『旦那寺』の帳面を頼れなくなった国は、国民を把握するために『人別改帳』を強化する羽目になり、膨大な人員と時間を取られることとなったのだが……結果としては良かったと思っている。これだけの巨大国家が、一宗教に依存している状態はいただけない。
「お葬式も、スギさんがやるんだね。
オイラ、去年の秋に、神社のお祭りで会ったよ」
「わしも、神道の葬儀には初めて参列するが、仏式と変わらぬところも多いのぉ」
「でも、竹で鳥居を作るのとか初めて見たよ。
祭壇も、鶴亀屋の神棚に乗ってる神さまの家をおっきくした感じだね」
ノアちゃんの言葉に、改めて床の間に組まれた祭壇を見ると、確かに仏式のときとは異なるようだった。
「そうか、同じ白木だから気付かなかったわい。
ノアちゃんはよく見とるのぉ」
「ご近所さんの中でも、神道はロイド爺ちゃんのところだけだから、珍しくて。
お焼香じゃなくて榊の枝をお供えするんだね」
「確かロイドのところも、昔は仏教だったと思ったが」
首をかしげたところに、番頭さんがすっと寄って来る。
「ロイドさんのところは、十年ほど前から神道に鞍替えなさってますよ。
なんでもドロシー大婆さまが、他の方の葬儀に参列なさった折に、神主さんが亡くなった方の旦那さんを『背の君』『妹背』と呼ばれたことにいたく感動されたとかで。
自分の葬式は是非とも神道で、とおっしゃったと聞いております」
「なんと、ドロシーにそんな乙女らしいところがあったとは」
思いもかけなかった乳母の一面に驚いていると、オーマンがこっそりと付け足した。
「私が聞いた話では、旦那寺の住職と喧嘩したと言ってましたね。
『老い先短い年寄りが、寺に逆らって成仏出来ると思うのか』と言った住職に、『あの世を仕切ってるなぁ何も仏さまだけじゃない』と啖呵を切ったとか」
「うわぁ、大婆ちゃんっぽい」
噴き出すと共に、ノアちゃんの言葉に同意する。
ロイドがまだ幼い頃に亡くなったドロシーの夫という者と、わしは面識がない。
ほんの十年連れ添っただけの相手にドロシーが何を思っていたのかは計り知れなかったが、仏でも坊主でも、気に入らぬとなったら従わぬドロシーの姿こそありありと目の裏に浮かんでくるようだった。
懐かしむと同時に目じりに涙が浮かんでくる。こうやって今はもう亡い人の在りし日のことが話題に出る。
良い葬儀だと、しみじみと思った。
葬儀も半ばに差し掛かり、参列者全員で花を詰め込んだ棺が担ぎ出される。
顔しか見えないほど花に包まれたドロシーは、まるで人形のようだった。
棺は庭を左回りにぐるりと回り、別れを告げる。その上にさしかけられた籠の目から、紙に包んだおひねりがふりまかれていた。この籠も、葉がついたままの竹の鳥居も、近所の者の手作りだ。葬儀に備えた榊の小枝さえ近所の者が切りに行ったと聞く。
ロイドの屋敷は、未だ貴族地にある。
ひょっとしたなら、そちらでももう一度弔いを上げるのかもしれないが、こうやって心づくしの葬列を見ていると、貴族として生まれたドロシーもきっとこの葬儀に満足しているのではないかと思えた。
「良い葬儀でした」
「そうじゃのぉ」
棺を埋葬した後は、再び喪主の家に戻っての本膳。
近所のおかみさんたちが腕を振るった昼食を頂き宴会となる。
だが、わしとオーマン、番頭さんは食事だけもらうと早々に引き上げてきた。
確かにドロシーは長寿銭が配られるほどの大往生だったが、どんちゃかと騒ぐ気にはなれず、場所を変えて飲み直そうということになったのだ。
庶民の居酒屋は、普通テーブルも机もなく縁台のみで、酒も肴も縁台の端にちょいと置いて呑むのが定番だ。
けれど落ち着いてしんみりと呑みたかったわしらは、小金を握らせて二階の小座敷へと上げてもらった。
沈んだ顔を馴染みの店に見せるのも気恥ずかしく、敢えてわしもオーマンも初見の店を選んでいた。
「……ん?」
二階の小座敷に入ろうと、障子を開けたオーマンが立ち止まった。
「どうした、何か不審者でもおったか」
その丸い小柄な背中越しに中をのぞくものの、やはり中には誰もおらず、四畳半ほどの奥には小造りな床の間に掛け軸と、中々こじゃれた小座敷だった。軸の下に飾ってあるものが花ではなく、白木の鞘に入った剣というのが多少変わっているか。
「いえ、不審者ではなく不審物が」
つかつかと歩いて行ったオーマンが、剣をわしづかみにしスラリと引き抜く。片眉をあげ、まじまじと見ている様子から、『武具鑑定』を使っているのが察せられた。
犬科の獣人は大抵『武具鑑定』の適性持ちだ。狸であるオーマンは犬科。
わざわざ『武具鑑定』なぞせんでも、こんな場所に置かれた剣のこと、竹光でないのがせいぜいといったところのナマクラだろう。
「呪われた剣ででもあったか」
「……いえ。
見た目はごく普通のブレードソードですが。
『攻撃力・12000
防御力・9300
速さ補正・5020
耐久性・8035』
まごうことなき、【伝説級】です」
「「はあっ!?」」
わしと番頭さんが素っ頓狂な声を上げてしまったのも無理はなかろう。
こんな鍵すらない安酒場の小座敷に、千両箱が二つ、ぽんと置いてあるようなものだ。
主人はよほどの金持ちの酔狂なのか……と酒を持ってきた小女に呼ばせた主人は、握らせた酒手に頬を緩めるとこともなげにこう言った。
「ああ、そこの床の間の剣ですかい。
なにね、何年か前にツケをためたまんまちぃーっとも払わねぇ小汚ぇ鍛冶屋の親父がいやしてね。
いい加減腹に据えかねたもんで、もう酒は飲ませねぇと言ったら、金の代わりにってんでそいつを持ってきたんでさぁ。
仕方なく受け取りはしたが、奴さんもここしばらくは顔を見せねぇし、そろそろ質屋にでも叩き売っちまおうと思ってたとこで」
・お知らせ・
長らく、更新&返信が滞っていて申し訳ありませんでした。少々パソコン恐怖症に陥っておりました。六月の頭に父がかかとを骨折して入院、もろもろありまして多忙を極め、一周回ってパソコン恐怖症は鳴りを潜めてくれたようです。ご心配を頂いた皆様、本当にありがとうございます。コメントを頂いた皆様、とても心に沁みました。読者様あっての私だと、しみじみと感じ入りました。
更新ペースは落ちるかと思いますが、以降も「鍛冶見習い」をよろしくお願いいたします。
牛雑学?(グロ注意)
胎児をバラバラにしてまで出した母牛ですが、その後、出血が止まらず失血死しました。どうやら、死産の際に子宮が破れていたようです。
翌日は乾草のロール(共同作業)のため、死体を運び出す時間がなく、翌々日に運び出すことに。腐敗ガスがお腹にたまり、倍くらいの大きさに膨れてかなり臭っていました。うちの牛舎は、牛床近くまで重機が入れる造りになっていないので、滑車とホイストクレーンとダンプを使って組み合わせ、「ピタゴラス〇ッチか!」というような感じで引っ張り出します。
「おや、ノアちゃん、珍しい。
お義父さん、ノアちゃんがみえてますよ」
コロコロと真ん丸な嫁の、弾むような声が聞こえてきた。
わしが普段寝起きしている離れは鶴亀屋の中でも奥まった場所にあり、店表から呼んだところで聞こえなどしないが、その時はたまたま表座敷で番頭と新しく買い入れた古道具の話をしていたところだった。
ひょいと障子から顔を出すと、まだ幼さの抜けない鍛冶見習いが、所在なさげにたたずんでいた。
「何かあったのかね、ノアちゃん。そんな顔をして。
まあ、こっちにあがってお茶でもお飲み。
……番頭さんや」
「かしこまりました」
大方父親と喧嘩でもしたのだろうと、小僧に饅頭でも買いにやらせようとした番頭さんを首をぷるぷると振ってノアちゃんが制した。
「あのね、ロイド爺ちゃんの所のドロシー大婆ちゃんが昨日亡くなったんだ。
今、オイラ、ご近所や親せきにお知らせに回ってて……」
「なんと、ドロシーが……」
ノアちゃんの言葉に、わしは思わず絶句した。
牛方をやっているロイドの母であるドロシーは、もう百を越えたはずの、大往生だ。
それでもまだ生きていて欲しかったという気持ちが湧き上がってくるのは、ドロシーがわしの……
「ご隠居、ロイド爺ちゃんと幼馴染だって言ってたでしょ?
ドロシー大婆ちゃんには自分の子どもみたいに可愛がってもらった、って言ってたから……大婆ちゃんが亡くなって、オイラが悲しいのより、もっとずっと悲しいんだろうなって思って、その」
「そうか、ノアちゃんは優しいのぉ。
そんなわしのとこに知らせに来てくれるのは辛かったじゃろうに」
頭をポンポンと撫でると、何故だかノアちゃんのほうが泣きそうな顔をした。
今でこそ王都の外れにある古道具屋の隠居に収まってはいるが、わしの正体はこのデントコーン王国の先代国王。
ロイドはわしの乳兄弟、ドロシーはわしの乳母だった。
王様稼業を引退してこちらに引っ込むと言ったわしに、何も言わず『鷹狩り鳥見総括』という名誉ある役職を投げ捨ててついてきてくれたロイドと、そのロイドに苦笑してついてきたドロシー。
ジェラルドとはまた違った意味で、わしのかけがえのない家族だった。
「でも、誰かが知らせなきゃいけないことなら、どうせならオイラが知らせたかったし」
「そうかそうか、ご苦労じゃった。
まあ、あがってかりんとうでもおあがり」
「ううん、オイラ、これから今日中にドロシー大婆ちゃんの親戚を回らなきゃだから。
湯かんは明後日の午後三時からロイド爺ちゃんちで、五時からお通夜で、その次の日の十時半からお葬式だって」
「分かったよ、今日中にも一度、ドロシーの顔を見にゆこうかのぉ。
思えば、最後に会うたのは、もう半年も前になるか」
「うん、そうしてあげて。
今、テリテおばさんたち近所中のおかみさんたちがロイド爺ちゃんちに集まって、大量に海苔巻きとか作ってるから、お昼でも食べながら大婆ちゃんを偲びにおいでください、ってロイド爺ちゃんが言ってたよ」
必要なことだけを言い終わると、ノアちゃんは砂ぼこりを巻き上げて走り去って行った。
そのあまりのスピードに、見送りに出た番頭さんが呆気に取られてあんぐりと口を開けているのが暖簾越しにチラリと見えた。
『無限の荒野』辺りならともかく、あのスピードで街中を突っ走り、人にでも当たったら大惨事だ、と思わなくもないが、ノアちゃんによると人を避けるのは魔獣を避けるよりよほど容易いそうだ。
『魔獣を避ける』というところに『?』と引っかからなくもないが、ノアちゃんにとっても国民にとっても危険がないならば、止せと言うのも野暮だろう。
なにせ、葬式というのは、知己縁者へと人が亡くなったことを知らせるところから始まる。
国王や貴族の訃報ならば、知らせに走る小者も多いし、非常を知らせる魔道具もある。
だが、庶民の葬式は、亡くなった翌日、近隣の者が手分けして一斉に縁者へと知らせに走る。
足が速く小回りの利くノアちゃんは、その手の役目にはうってつけだ。。
嫌な役目ではあるが、そろそろ大人として周囲に認められつつあることの証でもある。痛し痒しといったところだろう。
亡くなった翌日は近隣の者で縁者に知らせる。
翌々日は、近隣の男衆が集まって、半数が葬式に使う道具をこしらえたり借りに走ったりし、残る半数が一升酒を何本か持って墓穴を掘りに行く。この酒は縁起物で、飲み終わるまでは帰ってくるなと言われているらしく、下戸のマーシャルなぞは四苦八苦し、ついには心配してこっそりと様子を見に行ったテリテ嬢に代わりに飲んでもらったことがある、なぞと前に言っていた。
一方で、いける口のオーマンなぞは、墓穴堀りの機会があると真っ先に立候補するというのだから……似たような家に産まれ、同い年、同じ道場に通い、共に国で一、二を競う剣士にまで上り詰めた二人のあまりに対照的な様子に、思わず苦笑を禁じ得なかったものだ。
さらに三日目は湯かんと通夜。通夜の晩は親しい者同士で一晩中線香の番をしながら飲み明かし、四日目にしてようやくの葬式となる。
夏場ならば早めに葬ってしまいたいところだが、この行程を端折り、うっかり生き返った者がかつていたという昔話がある。目が覚めたらお棺の中で地面の下だった、などと考えただけでおぞけが走る。
本当に死んでいるのか、息を吹き返すことはないのかという確認の意図もこの数日間にはあるわけだ。
この間、近所の者は自分の仕事もそっちのけで葬式にかかりきりになる。
男衆の仕事は葬式準備と墓穴堀りだが、女衆は喪主の家の台所に詰めて、弔問に訪れる客や葬式準備をしている者の食事を作ったり茶くみをしたり、これまた忙しない。
もちろん、自分の家の食事を作っている間などないから、近所の家の者はみな喪主の家で入れ替わり立ち代わり食事を摂ることなる。子どもたちは子どもたちで心得たもので、手習い所へ行く前に弁当箱を持って喪主の家へ行き、普段は中々ありつけない海苔巻きや精進揚げを母親に詰めてもらうことになる。大っぴらには言えないが、それが葬式の密かな楽しみになっているわけで……
そんなことをつらつらと考えていると、戻ってきた番頭さんに声をかけられた。
「大旦那さま、お気持ちはお察し致しますが、一刻も早くロイドさんのお宅へ伺ったほうがよろしいのではございませんか。
弔問客が増えると、ゆっくりと大婆様のお顔を拝むことも難しくなりましょう。
ノアさんも、そういう配慮でもって、いの一番に大旦那さまにお知らせくださったのでしょうし」
「それもそうじゃな。
これ、カメ。
黒の紋付を……」
「大旦那さま、大店の旦那衆の葬式でもない限り、黒の紋付きなんぞ誰も持っちゃあおりません。
通夜や葬儀本番ならば弔意を示すのにそれもいいでしょうが、今は着替えるより早く、ロイドさんのところへ行ってやってくださいまし」
嫁に声をかけようとしたところを、番頭さんに強くいさめられた。
はて、普段はこんな物言いをする男ではないのだが、と首を傾げてふと気づく。この男も、わしが引退する折についてきた、元は鳥見役、ロイドの元部下だ。ロイドに親身になるのも無理はない。
「分かった分かった。
それじゃあ後は頼むからのぉ」
「行ってらっしゃいませ、大旦那さま」
深く下げた番頭さんの顔が、少しだけ歪んで見えた気がした。
この男にも、何やらドロシーへの思い入れがあるのかもしれない。
ノアちゃんから知らせを受けたのだろうオーマンが、急いでこちらへやってくるのが暖簾越しに見える。
葬儀の折の供は番頭さんに頼もうと、草履をひっかけながらふと思いついた。
ロイドのところは、そういえば神道だった。
葬儀にやって来た黄土色の狩衣姿の神主を見て改めて気づく。
神は死の穢れを嫌い、仏は死の穢れを厭わない。
そういった事情から、『葬儀を取り仕切る宗教』として仏教が爆発的に広がった、という時代背景がある。
数十年前まで、王都に住む者はほとんどが『旦那寺』を持ち、そこの帳面が戸籍の代わりにすらなっていた。
ところがそれでは神道が衰退していくだけと思ったのか、わしの先代のころより、徐々に葬儀を引き受ける神主が増え、今では総人口の一割ほどが神道に鞍替えしている。
何故というなら、坊主より神主のほうが、圧倒的に礼金が安く済むからだ。
葬儀とはいっても、町場の長屋住まいの者などは坊主も神主も呼ばずに済ませるのが常らしいが、田舎へいくほど葬儀は隣近所に親戚縁者集まっての一大イベントと化す。
そこに坊主がいないのでは格好がつかない。
けれど、坊主を頼むには金がかかる。
そういったところに上手く入り込んでいったのが神道というわけだ。
元々この国では、仏教より神道のほうが歴史は古いわけだが、仏教のほうがはるかに商売上手だった。
それを盛り返していったのだから、神道にも商売っ気のある者が現れたものだと、当時は感心したものだった。
まあ、おかげで『旦那寺』の帳面を頼れなくなった国は、国民を把握するために『人別改帳』を強化する羽目になり、膨大な人員と時間を取られることとなったのだが……結果としては良かったと思っている。これだけの巨大国家が、一宗教に依存している状態はいただけない。
「お葬式も、スギさんがやるんだね。
オイラ、去年の秋に、神社のお祭りで会ったよ」
「わしも、神道の葬儀には初めて参列するが、仏式と変わらぬところも多いのぉ」
「でも、竹で鳥居を作るのとか初めて見たよ。
祭壇も、鶴亀屋の神棚に乗ってる神さまの家をおっきくした感じだね」
ノアちゃんの言葉に、改めて床の間に組まれた祭壇を見ると、確かに仏式のときとは異なるようだった。
「そうか、同じ白木だから気付かなかったわい。
ノアちゃんはよく見とるのぉ」
「ご近所さんの中でも、神道はロイド爺ちゃんのところだけだから、珍しくて。
お焼香じゃなくて榊の枝をお供えするんだね」
「確かロイドのところも、昔は仏教だったと思ったが」
首をかしげたところに、番頭さんがすっと寄って来る。
「ロイドさんのところは、十年ほど前から神道に鞍替えなさってますよ。
なんでもドロシー大婆さまが、他の方の葬儀に参列なさった折に、神主さんが亡くなった方の旦那さんを『背の君』『妹背』と呼ばれたことにいたく感動されたとかで。
自分の葬式は是非とも神道で、とおっしゃったと聞いております」
「なんと、ドロシーにそんな乙女らしいところがあったとは」
思いもかけなかった乳母の一面に驚いていると、オーマンがこっそりと付け足した。
「私が聞いた話では、旦那寺の住職と喧嘩したと言ってましたね。
『老い先短い年寄りが、寺に逆らって成仏出来ると思うのか』と言った住職に、『あの世を仕切ってるなぁ何も仏さまだけじゃない』と啖呵を切ったとか」
「うわぁ、大婆ちゃんっぽい」
噴き出すと共に、ノアちゃんの言葉に同意する。
ロイドがまだ幼い頃に亡くなったドロシーの夫という者と、わしは面識がない。
ほんの十年連れ添っただけの相手にドロシーが何を思っていたのかは計り知れなかったが、仏でも坊主でも、気に入らぬとなったら従わぬドロシーの姿こそありありと目の裏に浮かんでくるようだった。
懐かしむと同時に目じりに涙が浮かんでくる。こうやって今はもう亡い人の在りし日のことが話題に出る。
良い葬儀だと、しみじみと思った。
葬儀も半ばに差し掛かり、参列者全員で花を詰め込んだ棺が担ぎ出される。
顔しか見えないほど花に包まれたドロシーは、まるで人形のようだった。
棺は庭を左回りにぐるりと回り、別れを告げる。その上にさしかけられた籠の目から、紙に包んだおひねりがふりまかれていた。この籠も、葉がついたままの竹の鳥居も、近所の者の手作りだ。葬儀に備えた榊の小枝さえ近所の者が切りに行ったと聞く。
ロイドの屋敷は、未だ貴族地にある。
ひょっとしたなら、そちらでももう一度弔いを上げるのかもしれないが、こうやって心づくしの葬列を見ていると、貴族として生まれたドロシーもきっとこの葬儀に満足しているのではないかと思えた。
「良い葬儀でした」
「そうじゃのぉ」
棺を埋葬した後は、再び喪主の家に戻っての本膳。
近所のおかみさんたちが腕を振るった昼食を頂き宴会となる。
だが、わしとオーマン、番頭さんは食事だけもらうと早々に引き上げてきた。
確かにドロシーは長寿銭が配られるほどの大往生だったが、どんちゃかと騒ぐ気にはなれず、場所を変えて飲み直そうということになったのだ。
庶民の居酒屋は、普通テーブルも机もなく縁台のみで、酒も肴も縁台の端にちょいと置いて呑むのが定番だ。
けれど落ち着いてしんみりと呑みたかったわしらは、小金を握らせて二階の小座敷へと上げてもらった。
沈んだ顔を馴染みの店に見せるのも気恥ずかしく、敢えてわしもオーマンも初見の店を選んでいた。
「……ん?」
二階の小座敷に入ろうと、障子を開けたオーマンが立ち止まった。
「どうした、何か不審者でもおったか」
その丸い小柄な背中越しに中をのぞくものの、やはり中には誰もおらず、四畳半ほどの奥には小造りな床の間に掛け軸と、中々こじゃれた小座敷だった。軸の下に飾ってあるものが花ではなく、白木の鞘に入った剣というのが多少変わっているか。
「いえ、不審者ではなく不審物が」
つかつかと歩いて行ったオーマンが、剣をわしづかみにしスラリと引き抜く。片眉をあげ、まじまじと見ている様子から、『武具鑑定』を使っているのが察せられた。
犬科の獣人は大抵『武具鑑定』の適性持ちだ。狸であるオーマンは犬科。
わざわざ『武具鑑定』なぞせんでも、こんな場所に置かれた剣のこと、竹光でないのがせいぜいといったところのナマクラだろう。
「呪われた剣ででもあったか」
「……いえ。
見た目はごく普通のブレードソードですが。
『攻撃力・12000
防御力・9300
速さ補正・5020
耐久性・8035』
まごうことなき、【伝説級】です」
「「はあっ!?」」
わしと番頭さんが素っ頓狂な声を上げてしまったのも無理はなかろう。
こんな鍵すらない安酒場の小座敷に、千両箱が二つ、ぽんと置いてあるようなものだ。
主人はよほどの金持ちの酔狂なのか……と酒を持ってきた小女に呼ばせた主人は、握らせた酒手に頬を緩めるとこともなげにこう言った。
「ああ、そこの床の間の剣ですかい。
なにね、何年か前にツケをためたまんまちぃーっとも払わねぇ小汚ぇ鍛冶屋の親父がいやしてね。
いい加減腹に据えかねたもんで、もう酒は飲ませねぇと言ったら、金の代わりにってんでそいつを持ってきたんでさぁ。
仕方なく受け取りはしたが、奴さんもここしばらくは顔を見せねぇし、そろそろ質屋にでも叩き売っちまおうと思ってたとこで」
・お知らせ・
長らく、更新&返信が滞っていて申し訳ありませんでした。少々パソコン恐怖症に陥っておりました。六月の頭に父がかかとを骨折して入院、もろもろありまして多忙を極め、一周回ってパソコン恐怖症は鳴りを潜めてくれたようです。ご心配を頂いた皆様、本当にありがとうございます。コメントを頂いた皆様、とても心に沁みました。読者様あっての私だと、しみじみと感じ入りました。
更新ペースは落ちるかと思いますが、以降も「鍛冶見習い」をよろしくお願いいたします。
牛雑学?(グロ注意)
胎児をバラバラにしてまで出した母牛ですが、その後、出血が止まらず失血死しました。どうやら、死産の際に子宮が破れていたようです。
翌日は乾草のロール(共同作業)のため、死体を運び出す時間がなく、翌々日に運び出すことに。腐敗ガスがお腹にたまり、倍くらいの大きさに膨れてかなり臭っていました。うちの牛舎は、牛床近くまで重機が入れる造りになっていないので、滑車とホイストクレーンとダンプを使って組み合わせ、「ピタゴラス〇ッチか!」というような感じで引っ張り出します。
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