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6 悪役令嬢vsサイゼル子爵
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短剣を握りしめ、奥歯を噛みしめたわたしの視界いっぱいに、ケルベロスの赤い口内が迫り――……
「ありがとう。間に合ったわ」
涼やかな声が、辺りに響いた。
「来たれ『冥府の番犬』、ケルベロス召喚」
カッと辺りに光が満ちた。
次の瞬間、わたしの目前に迫っていたケルベロスが、横っ飛びに吹っ飛んだ。
「……え?」
さっき見えたのは、幾重にも重なる光輪。サイゼル子爵が歪んだケルベロスを召喚したときと、とてもよく似た。
ぐちゃり、と、何かを踏み潰すような、噛み砕くような音がした。
目をやれば、そこには前足を失った歪んだケルベロスを踏みつけ、押さえつけるもう一頭の――
「あれはっ! 蒼花先生の神絵!?」
両者を、同じケルベロスという言葉で表すのは冒涜かもしれない。
美麗な三つ首のイヌ科の魔獣は、神々しさすら感じる。
人外を得意とする蒼花先生の神絵を、三次元化したらまさに……という拝み倒したいオタク心理と、死の淵から救われたパニックとで、何が何やら分からない。
「そんな……まさか、まさか……ケルベロスは幻獣だ! この世には存在しない、召喚術でしか呼び出せない特別な獣だ!」
混乱しているのは、サイゼル子爵も同様だった。
その間にも、歪んだケルベロスの喉笛を噛み切った美しい獣――シェパードっぽい――は、血の付いた口元をペロリと舐めると、優雅に歩んだ。
柔らかにしっぽを振り、その身をスルリと擦り付けるのは……ルミカーラ・フォルゲンシュタイン公爵令嬢。
中の人は、前世の神絵師、アラフォー蒼花先生である。
「召喚術の実演、大義でしたわ。サイゼル子爵。今まで色々な文献を漁っても最後まで不明だった模様部分が読み解けて、すっきりしました」
「なっ、なっ、なっ、な……」
「わたくしのゼミをご存じ? 古代魔法陣の研究が専攻ですのよ」
「馬鹿な! 召喚用魔法陣は、幾重にも重なる真円の芸術。道具も何もないこの場で、初見の魔法陣を再現出来るはずが……!」
「あら? フリーで真円を描くのなんて、絵師の基礎の基礎でしてよ?」
顔色を青くしたり赤くしたりするサイゼル子爵に、ルミカーラ嬢はフフフと微笑む。
――蒼花先生は、アラフォー神絵師。
デジタル処理はおろか、スクリーントーンすらほとんどなかった時代に絵を描き始めた世代だ。コンパスなしでの真円、フラッシュや点描すらもお手の物。絵の基礎は、好きな絵師の作品を完璧に複製すること……と、以前に言っていた。
「サイゼル子爵――いえ、以前は学園の古代魔法陣の講師でしたそうね、サイゼル教諭。召喚用魔法陣の研究に行き詰まり、秘術として召喚用魔法陣を伝える隣国に魂を売ったのでしょうけれど……基本的なことを勘違いしておられるようですわね」
「勘違いだと?」
「召喚魔法とは、この世界とは別の次元に存在するエネルギー体に、魔力で造った仮初めの肉体を与え、顕現させること。エネルギー体である彼らに、実体、つまり形はないのですわ。召喚用魔法陣の中心に描かれる召喚獣の絵は、文字の読めない獣に呼びかけるための名札代わりなどではなく、この世界で受肉する体を形作るための設計図でしてよ。抽象画より細密画、画伯の落書きより職業絵師のスケッチのほうが正確な召喚獣を呼び出せるのは自明の理」
そっかぁ。子爵、画伯系だったか。
こっちの人たちには多分通じないけど、前世日本人の記憶があるわたしには、『画伯』で充分理解出来る。
「おそらく、召喚用魔法陣の基本形のみを入手し、中央の召喚獣の絵は、古代魔法の文献を参考に子爵が描かれたのでしょうけれど……ププ、ケルベロスの後ろ足の関節の向きが逆でしてよ? 左右の前足の長さも違ったようですし……あれでは、召喚された方が可哀相というものですわ」
公衆の面前で落とされて、子爵の顔が紅潮する。
まぁ、長年研究してきた魔法陣の失敗原因が、自分の絵心のなさとは思うまい。
子爵は懐から、もう一枚の魔法陣のスクロールを取り出した。
「出でよ『八本脚馬』、幻獣召喚!」
次の瞬間、蒼花先生のスケッチブックを掲げたゼミのクマ先生が静かな声で告げた。
「現れよ神の騎獣、スレイプニル召喚!」
二重の光が重なり、その光が収束した後に現れたのは。
八本の触手を持つ――タコ? ウミウシ? いや歪んだ八本脚の馬……なんだろうなぁ、きっと。真剣に描いたんだろうし、真面目に召喚したんだろうけど……すぐ後から現れた、蒼花先生の神絵を元にした神々しい八本脚馬との対比が酷い。
「なっ、なぜ瞬時に同じ幻獣を召喚することがっ」
狼狽える子爵に、もっさりとしたクマ先生がボソリと答える。
「ルミカーラ君が今まで描きためてあった全ての絵に召喚用魔法陣を書き足しただけだ」
つまり、クマ先生も蒼花先生と同じく、あの魔法陣展開の一瞬で召喚用魔法陣を完コピ出来ていたと。そして、蒼花先生=ルミカーラ嬢が子爵の気を引いている間、黙々と召喚用魔法陣を書き足していたと。
普通に考えたら、召喚用魔法陣の中心に召喚したい幻獣の絵を描く。
ところが発想の転換というか、蒼花先生とクマ先生は、蒼花先生が以前から持ち歩き、ことあるごとに神絵を描きためていたスケッチブックの人外のイラストを囲むように魔法陣を描いたのだ。
この場で咄嗟に描いたとしたら物凄い出来の絵だと思ったけれど、蒼花先生が暇に飽かせて完成度を高めたイラストを元にしているなら、この幻獣たちの神々しさも納得だ。まさに神絵の具現化。
「というか、なぜよりにもよって三つ首の犬とか八本脚の馬とか、初心者には難易度の高い幻獣を選択するんですの? 現存の生き物と大きく骨格の異なる生き物を描くのはプロの絵師をしても試行錯誤の連続ですのに。有角馬や猫妖精辺りならまだ……多少は可能性もなくも……ないような」
頭が痛い、といった風情で眉間に整った指先を当てたルミカーラ嬢の横で、クマ先生も頷いている。
「現実には存在しない獣だからこそ、はっきりと召喚獣だと分かるのではないか。これだから、浪漫を理解しない小娘は」
立場を理解しない子爵の言葉に、微笑みを浮かべたままのルミカーラ嬢の周囲の気温が下がった。
「浪漫ですって? そんなもので呼び出される召喚獣こそいい迷惑ですわ。第一、貴方は召喚獣を描くときに、骨格や筋肉の仕組みを意識していて?」
「筋肉?」
何を言われたのか分からない、といったふうに、子爵は眉を寄せた。多分、子爵は絵に関して専門に学んだことはない――というより、この世界に美術学校的なものはなかった気がする。今いる学園にも、芸術系の選択授業は皆無だったし。
「現実にはいない生き物だからこそ、骨格の仕組みをデザインし、それに筋肉をまとわせ、皮を被せ、実際に動いたらどのように動くのか、可動範囲に無理はないか、肉体はどのようにしなり、どのくらいの力を生み出すのか――その存在を最も美しく魅せる攻撃方法は? 光の向きは? 風の流れは? 魔法の演出は? 絵というものはひとつの世界。ひとつの創造。腹にひとつの信念もない者が、浪漫や何やとかいうふわふわとしたもので、軽々しく召喚獣を語るんじゃないっ!」
キリリと吊り上がった目は、まさしく『レイつま』のルミカーラ嬢に相応しい凜々しさで。
わたしは思わず見とれたけれど、子爵は逆上した。
「ええい、訳の分からぬことを、偉そうに小娘が! やれ、ケルベロス、スレイプニル!」
そうは言われても、子爵が召喚したケルベロスは、ルミカーラ嬢のケルベロスに吹っ飛ばされ、噛み千切られても最早消滅しそうな虫の息だ。
うぞうぞと動き出した触手ウミウシ――いやスレイプニルに、ルミカーラ嬢が哀れみの目を向ける。
「古の契約に縛られ、召喚主に逆らうことは出来ませんものね……次に現世にいらっしゃる折りには、是非ともわたくしの陣にいらしてくださいな。歓迎致しますわ」
その言葉が終わった瞬間。
スパコーーン、とルミカーラ嬢のスレイプニルが触手ウミウシを蹴り飛ばした。
壁に叩き付けられた触手ウミウシを、一方的にスレイプニルが八本の脚でぐしゃぐしゃに踏みつける。
圧倒的――というより、むしろ踏んでいる方のスレイプニルの目にも哀れみがある気さえする。
「なっ、な、な、な、な」
隣国に魂を売ってまで手に入れた召喚用魔法陣、その召喚獣達のあまりに呆気ないやられっぷりに、子爵の理解力は限界に達したのだろう。
頭を掻きむしり、幾つものスクロールをばらまいた。
「暁の太陽よ、我に誉れを! 有翼馬、有翼獅子、合体獣、二頭犬、前人後馬、一つ目巨人、有翼女怪召喚!」
幾つもの光が重なり、ルミカーラ嬢の怒りの声が響いた。
「だから! なんでよりによってそのチョイスですのぉぉぉっ!」
結論からいって、まるで勝負にならなかった。
憤るルミカーラ嬢に代わって、クマ先生が小型の竜を召喚したのだ。尻尾まで合わせても二メートルくらいの、白銀で細身の竜だったが、その強さは圧倒的で、あるものは爪で引き裂き、あるものはブレスで凍らせて、あっという間に召喚獣達を制圧してしまった。
その後クマ先生の肩にとまり、長身に長いしっぽを絡めるようにしている姿は、まるで一幅の絵のようであった。まあ、クマ先生はもっさりだけど。
『レイつま』原作よりもはるかに圧倒的な展開。
「そんな、そんな、あり得ないあり得ないあり得ない! 伝説の召喚獣だぞ! 貴族の矜持を、国を、娘を売って手に入れた最強の力だ! こんな……こんなこと……認められるわけがない……私はいったい……なんのために……」
心を折られ、ガクリと膝をついた子爵を、遠巻きにしていた騎士が慌てて駆けつけ拘束した。
――おかしいなー。『レイつま』に出て来たサイゼル子爵の召喚獣は、これほど形が崩れてなかったはずなのに。この世界のサイゼル子爵の画力が、絶望的にダメダメ過ぎたということだろうか。わたしのこの半年間の努力っていったい……?
と、徒労感まで感じていたけれど、後に聞いたところによると、うごうごとした良く分からない生き物でも、普通の腕の騎士の普通の剣撃では傷も付かなかったそうで、結局の所、ルミカーラ嬢の神絵の素晴らしさによる圧倒だったようだ。
絵の素晴らしさが攻撃力に直結する。何と素晴らしい世界だろうか(遠い目)。
凡人には想像だにしない結末(天を仰ぐ)。
とりあえず、サイゼル子爵を含め、誰も死人が出なかったことは何よりだったんじゃないだろうか(投げやり)。
自分の召喚獣がボロ負けしたサイゼル子爵は心を折られ、全く抵抗することなく、聴取にもそれなりに答えているという。
神の力を借りられるはずの敬虔な信徒であるはずの自分より、異教徒に当たるルミカーラ嬢のほうが、同種なのに強い召喚獣を呼べたことで、信仰すら捨ててしまったそうだ。
まあ、いくら反省したところで、外患誘致、売国行為は一族郎党連座で処分の大罪だ。サイゼル子爵の処刑と、わたしの処罰はどのみち免れないだろう。と、そう思ったのだが……
◇◇◇
「サイゼル子爵が、学園の講師に戻る!? 正気ですか!?」
後日、王太子殿下の執務室に呼ばれ。
素っ頓狂な声を上げたわたしに、王太子殿下はニコニコと微笑んだ。
「もちろん、無罪放免とはいかないからね、隷属の紋を刻んだ上で、飼い殺しで召喚用魔法陣の研究をさせるんだ。だれか死傷者が出たら、こうはいかなかったけれどね。フォルゲンシュタイン公爵令嬢の尽力で、なんというか――イマイチ深刻さの感じられない、まるで喜劇のような展開だったからねぇ。僕の権限で、表向きは召喚用魔法陣の実験と模擬戦ということに出来たんだ」
「……正気ですか」
もう一度同じ台詞を繰り返したわたしに、王太子殿下は上機嫌に笑う。
「フォルゲンシュタイン公爵令嬢からの嘆願もあったからね。是非とも、サイゼル教諭に絵描きのイロハを叩き込みたいと。サイゼル教諭は、フォルゲンシュタイン公爵令嬢の所属するゼミの預かりとなる。まぁ、ひたすら召喚用魔法陣を描かされるんじゃないかな?」
「ルミカーラ様ってば」
蒼花先生が直接指導してくれる絵画教室。出来ることならわたしも参加したい。
「なにせ、君の実家を反逆罪の上取り潰しなんて真似、させるわけにはいかないからねぇ」
「……は?」
執務机に両肘をつき、組んだ指に顎を乗せた王太子殿下は、あざと可愛く首を傾げた。
「だって、君は僕の婚約者だろう?」
「…………は?」
「あれだけ大勢の前で宣言したじゃないか。フォルゲンシュタイン公爵令嬢ではなく、君を僕の婚約者にするって。義父上の許可ももらったしね」
「あれは、サイゼル子爵にボロを出させるための演技では……?」
ニコニコと笑う王太子殿下の笑みが、すぅっと深まった。
「四肢欠損すら治す、国内随一の治癒魔法使い。ほんのかすり傷から傷を悪化させ、魔獣ならほぼ完璧に、召喚獣にすら大ダメージを与えうる反転治癒魔法の、発案者であり唯一の使い手。踏んだら破裂する、などといった凶悪極まりない魔道具や、一般人でも弓騎士より強い矢が放てる武器の開発、所持者。失われたはずの隔絶結界を蘇らせ、その上、王太子である僕を身を挺して庇った。――これだけのことをやらかしておいて、このままお気楽に一般人に戻れるなんて……まさか思ってないよね?」
細めた目、吊り上がった口元。
笑みの形のはずなのに、何故か背筋がひんやりした。
「ねぇ、君、あの時、自分に防御壁張ってなかったよね? 反転治癒魔法に使う以外の全ての魔力で僕に隔絶結界――防御壁を張った。そうでしょ? 僕、生まれて初めてだったんだよね……王太子なんて身分だから、騎士に守られるのは仕方ないとしても。魔法の腕は学園始まって以来の天才といわれる僕がだよ? 令嬢を庇うどころか庇われて、閉じ込められた防御壁を解くことも出来なかった。屈辱だなぁ……」
不敬罪!
わたしは思わず立ち上がり、脊髄反射で言い訳を口にしていた。
「そ、それはですね……! ああでもしないと、王太子殿下は召喚獣からわたしを庇って死んじゃうかもしれないじゃないですか。こんな(一度既に死んでいる)わたしを庇って、まだ若い殿下が亡くなるなんて耐えられなくて……」
「そう、それだ。君は半年前から、急に魔獣討伐に行きたがり、反転治癒魔法を開発し、剣や弓の鍛錬を始め、魔道具を開発し、フォルゲンシュタイン公爵令嬢と懇意になり、僕を遠ざけようとするようになった。まるで、あの日、あの場で、サイゼル子爵が召喚獣を呼び出す未来が見えていたかのように」
サァーっとわたしは青ざめた。
卒業パーティが乗り切れなければ、わたしと母さんに明日はない。
だからなりふり構わず、全身全霊を持って対策に当たってきたわけだけれど……ちょっと、後先考えなさすぎたかもしれない。
反転治癒魔法も、地雷も、クロスボウも、この世界にはなかったものだ。
サイゼル子爵をハメるために必要で、さらに蒼花先生に乗せられたとはいえ、婚約破棄&断罪劇はやり過ぎだった。王太子殿下に役者を頼んだのも、転生者ではない彼に手の内をさらすまねだった。
正直、あの卒業パーティで八割方死ぬかもしれないと思っていたわたしは、生き残れた後のことを全く考えていなかったのだ。
「そ、そそそそ、それはですね、わたしは子爵の養女ですからっ」
「王家の影が探っても、フォルゲンシュタイン公爵家の影が探っても、まったくしっぽを掴ませなかったサイゼルが、君には手の内を明かしたと? 召喚用魔法陣は他国との内通のこれ以上ない証拠だ。母親の薬を手に入れるため、協力しているだけの手駒にさらすような危険は侵さないだろう。ということは、予知でないなら、君は王家の影より優秀な隠密ということになる。治癒魔法、反転治癒魔法、強力な武器、隠密か、ひょっとしたら予知能力。どれかひとつとっても、他国に渡ったらこの国を傾けかねない大きな脅威だ。為政者として、脅威は取り除かねばならないな」
王太子殿下は、蛇のような温度の感じられない目でにっこりと笑った。
「さぁ、選べ。処刑か、飼い殺しか、王妃だ。君が、賢い選択をしてくれることを期待している」
「ありがとう。間に合ったわ」
涼やかな声が、辺りに響いた。
「来たれ『冥府の番犬』、ケルベロス召喚」
カッと辺りに光が満ちた。
次の瞬間、わたしの目前に迫っていたケルベロスが、横っ飛びに吹っ飛んだ。
「……え?」
さっき見えたのは、幾重にも重なる光輪。サイゼル子爵が歪んだケルベロスを召喚したときと、とてもよく似た。
ぐちゃり、と、何かを踏み潰すような、噛み砕くような音がした。
目をやれば、そこには前足を失った歪んだケルベロスを踏みつけ、押さえつけるもう一頭の――
「あれはっ! 蒼花先生の神絵!?」
両者を、同じケルベロスという言葉で表すのは冒涜かもしれない。
美麗な三つ首のイヌ科の魔獣は、神々しさすら感じる。
人外を得意とする蒼花先生の神絵を、三次元化したらまさに……という拝み倒したいオタク心理と、死の淵から救われたパニックとで、何が何やら分からない。
「そんな……まさか、まさか……ケルベロスは幻獣だ! この世には存在しない、召喚術でしか呼び出せない特別な獣だ!」
混乱しているのは、サイゼル子爵も同様だった。
その間にも、歪んだケルベロスの喉笛を噛み切った美しい獣――シェパードっぽい――は、血の付いた口元をペロリと舐めると、優雅に歩んだ。
柔らかにしっぽを振り、その身をスルリと擦り付けるのは……ルミカーラ・フォルゲンシュタイン公爵令嬢。
中の人は、前世の神絵師、アラフォー蒼花先生である。
「召喚術の実演、大義でしたわ。サイゼル子爵。今まで色々な文献を漁っても最後まで不明だった模様部分が読み解けて、すっきりしました」
「なっ、なっ、なっ、な……」
「わたくしのゼミをご存じ? 古代魔法陣の研究が専攻ですのよ」
「馬鹿な! 召喚用魔法陣は、幾重にも重なる真円の芸術。道具も何もないこの場で、初見の魔法陣を再現出来るはずが……!」
「あら? フリーで真円を描くのなんて、絵師の基礎の基礎でしてよ?」
顔色を青くしたり赤くしたりするサイゼル子爵に、ルミカーラ嬢はフフフと微笑む。
――蒼花先生は、アラフォー神絵師。
デジタル処理はおろか、スクリーントーンすらほとんどなかった時代に絵を描き始めた世代だ。コンパスなしでの真円、フラッシュや点描すらもお手の物。絵の基礎は、好きな絵師の作品を完璧に複製すること……と、以前に言っていた。
「サイゼル子爵――いえ、以前は学園の古代魔法陣の講師でしたそうね、サイゼル教諭。召喚用魔法陣の研究に行き詰まり、秘術として召喚用魔法陣を伝える隣国に魂を売ったのでしょうけれど……基本的なことを勘違いしておられるようですわね」
「勘違いだと?」
「召喚魔法とは、この世界とは別の次元に存在するエネルギー体に、魔力で造った仮初めの肉体を与え、顕現させること。エネルギー体である彼らに、実体、つまり形はないのですわ。召喚用魔法陣の中心に描かれる召喚獣の絵は、文字の読めない獣に呼びかけるための名札代わりなどではなく、この世界で受肉する体を形作るための設計図でしてよ。抽象画より細密画、画伯の落書きより職業絵師のスケッチのほうが正確な召喚獣を呼び出せるのは自明の理」
そっかぁ。子爵、画伯系だったか。
こっちの人たちには多分通じないけど、前世日本人の記憶があるわたしには、『画伯』で充分理解出来る。
「おそらく、召喚用魔法陣の基本形のみを入手し、中央の召喚獣の絵は、古代魔法の文献を参考に子爵が描かれたのでしょうけれど……ププ、ケルベロスの後ろ足の関節の向きが逆でしてよ? 左右の前足の長さも違ったようですし……あれでは、召喚された方が可哀相というものですわ」
公衆の面前で落とされて、子爵の顔が紅潮する。
まぁ、長年研究してきた魔法陣の失敗原因が、自分の絵心のなさとは思うまい。
子爵は懐から、もう一枚の魔法陣のスクロールを取り出した。
「出でよ『八本脚馬』、幻獣召喚!」
次の瞬間、蒼花先生のスケッチブックを掲げたゼミのクマ先生が静かな声で告げた。
「現れよ神の騎獣、スレイプニル召喚!」
二重の光が重なり、その光が収束した後に現れたのは。
八本の触手を持つ――タコ? ウミウシ? いや歪んだ八本脚の馬……なんだろうなぁ、きっと。真剣に描いたんだろうし、真面目に召喚したんだろうけど……すぐ後から現れた、蒼花先生の神絵を元にした神々しい八本脚馬との対比が酷い。
「なっ、なぜ瞬時に同じ幻獣を召喚することがっ」
狼狽える子爵に、もっさりとしたクマ先生がボソリと答える。
「ルミカーラ君が今まで描きためてあった全ての絵に召喚用魔法陣を書き足しただけだ」
つまり、クマ先生も蒼花先生と同じく、あの魔法陣展開の一瞬で召喚用魔法陣を完コピ出来ていたと。そして、蒼花先生=ルミカーラ嬢が子爵の気を引いている間、黙々と召喚用魔法陣を書き足していたと。
普通に考えたら、召喚用魔法陣の中心に召喚したい幻獣の絵を描く。
ところが発想の転換というか、蒼花先生とクマ先生は、蒼花先生が以前から持ち歩き、ことあるごとに神絵を描きためていたスケッチブックの人外のイラストを囲むように魔法陣を描いたのだ。
この場で咄嗟に描いたとしたら物凄い出来の絵だと思ったけれど、蒼花先生が暇に飽かせて完成度を高めたイラストを元にしているなら、この幻獣たちの神々しさも納得だ。まさに神絵の具現化。
「というか、なぜよりにもよって三つ首の犬とか八本脚の馬とか、初心者には難易度の高い幻獣を選択するんですの? 現存の生き物と大きく骨格の異なる生き物を描くのはプロの絵師をしても試行錯誤の連続ですのに。有角馬や猫妖精辺りならまだ……多少は可能性もなくも……ないような」
頭が痛い、といった風情で眉間に整った指先を当てたルミカーラ嬢の横で、クマ先生も頷いている。
「現実には存在しない獣だからこそ、はっきりと召喚獣だと分かるのではないか。これだから、浪漫を理解しない小娘は」
立場を理解しない子爵の言葉に、微笑みを浮かべたままのルミカーラ嬢の周囲の気温が下がった。
「浪漫ですって? そんなもので呼び出される召喚獣こそいい迷惑ですわ。第一、貴方は召喚獣を描くときに、骨格や筋肉の仕組みを意識していて?」
「筋肉?」
何を言われたのか分からない、といったふうに、子爵は眉を寄せた。多分、子爵は絵に関して専門に学んだことはない――というより、この世界に美術学校的なものはなかった気がする。今いる学園にも、芸術系の選択授業は皆無だったし。
「現実にはいない生き物だからこそ、骨格の仕組みをデザインし、それに筋肉をまとわせ、皮を被せ、実際に動いたらどのように動くのか、可動範囲に無理はないか、肉体はどのようにしなり、どのくらいの力を生み出すのか――その存在を最も美しく魅せる攻撃方法は? 光の向きは? 風の流れは? 魔法の演出は? 絵というものはひとつの世界。ひとつの創造。腹にひとつの信念もない者が、浪漫や何やとかいうふわふわとしたもので、軽々しく召喚獣を語るんじゃないっ!」
キリリと吊り上がった目は、まさしく『レイつま』のルミカーラ嬢に相応しい凜々しさで。
わたしは思わず見とれたけれど、子爵は逆上した。
「ええい、訳の分からぬことを、偉そうに小娘が! やれ、ケルベロス、スレイプニル!」
そうは言われても、子爵が召喚したケルベロスは、ルミカーラ嬢のケルベロスに吹っ飛ばされ、噛み千切られても最早消滅しそうな虫の息だ。
うぞうぞと動き出した触手ウミウシ――いやスレイプニルに、ルミカーラ嬢が哀れみの目を向ける。
「古の契約に縛られ、召喚主に逆らうことは出来ませんものね……次に現世にいらっしゃる折りには、是非ともわたくしの陣にいらしてくださいな。歓迎致しますわ」
その言葉が終わった瞬間。
スパコーーン、とルミカーラ嬢のスレイプニルが触手ウミウシを蹴り飛ばした。
壁に叩き付けられた触手ウミウシを、一方的にスレイプニルが八本の脚でぐしゃぐしゃに踏みつける。
圧倒的――というより、むしろ踏んでいる方のスレイプニルの目にも哀れみがある気さえする。
「なっ、な、な、な、な」
隣国に魂を売ってまで手に入れた召喚用魔法陣、その召喚獣達のあまりに呆気ないやられっぷりに、子爵の理解力は限界に達したのだろう。
頭を掻きむしり、幾つものスクロールをばらまいた。
「暁の太陽よ、我に誉れを! 有翼馬、有翼獅子、合体獣、二頭犬、前人後馬、一つ目巨人、有翼女怪召喚!」
幾つもの光が重なり、ルミカーラ嬢の怒りの声が響いた。
「だから! なんでよりによってそのチョイスですのぉぉぉっ!」
結論からいって、まるで勝負にならなかった。
憤るルミカーラ嬢に代わって、クマ先生が小型の竜を召喚したのだ。尻尾まで合わせても二メートルくらいの、白銀で細身の竜だったが、その強さは圧倒的で、あるものは爪で引き裂き、あるものはブレスで凍らせて、あっという間に召喚獣達を制圧してしまった。
その後クマ先生の肩にとまり、長身に長いしっぽを絡めるようにしている姿は、まるで一幅の絵のようであった。まあ、クマ先生はもっさりだけど。
『レイつま』原作よりもはるかに圧倒的な展開。
「そんな、そんな、あり得ないあり得ないあり得ない! 伝説の召喚獣だぞ! 貴族の矜持を、国を、娘を売って手に入れた最強の力だ! こんな……こんなこと……認められるわけがない……私はいったい……なんのために……」
心を折られ、ガクリと膝をついた子爵を、遠巻きにしていた騎士が慌てて駆けつけ拘束した。
――おかしいなー。『レイつま』に出て来たサイゼル子爵の召喚獣は、これほど形が崩れてなかったはずなのに。この世界のサイゼル子爵の画力が、絶望的にダメダメ過ぎたということだろうか。わたしのこの半年間の努力っていったい……?
と、徒労感まで感じていたけれど、後に聞いたところによると、うごうごとした良く分からない生き物でも、普通の腕の騎士の普通の剣撃では傷も付かなかったそうで、結局の所、ルミカーラ嬢の神絵の素晴らしさによる圧倒だったようだ。
絵の素晴らしさが攻撃力に直結する。何と素晴らしい世界だろうか(遠い目)。
凡人には想像だにしない結末(天を仰ぐ)。
とりあえず、サイゼル子爵を含め、誰も死人が出なかったことは何よりだったんじゃないだろうか(投げやり)。
自分の召喚獣がボロ負けしたサイゼル子爵は心を折られ、全く抵抗することなく、聴取にもそれなりに答えているという。
神の力を借りられるはずの敬虔な信徒であるはずの自分より、異教徒に当たるルミカーラ嬢のほうが、同種なのに強い召喚獣を呼べたことで、信仰すら捨ててしまったそうだ。
まあ、いくら反省したところで、外患誘致、売国行為は一族郎党連座で処分の大罪だ。サイゼル子爵の処刑と、わたしの処罰はどのみち免れないだろう。と、そう思ったのだが……
◇◇◇
「サイゼル子爵が、学園の講師に戻る!? 正気ですか!?」
後日、王太子殿下の執務室に呼ばれ。
素っ頓狂な声を上げたわたしに、王太子殿下はニコニコと微笑んだ。
「もちろん、無罪放免とはいかないからね、隷属の紋を刻んだ上で、飼い殺しで召喚用魔法陣の研究をさせるんだ。だれか死傷者が出たら、こうはいかなかったけれどね。フォルゲンシュタイン公爵令嬢の尽力で、なんというか――イマイチ深刻さの感じられない、まるで喜劇のような展開だったからねぇ。僕の権限で、表向きは召喚用魔法陣の実験と模擬戦ということに出来たんだ」
「……正気ですか」
もう一度同じ台詞を繰り返したわたしに、王太子殿下は上機嫌に笑う。
「フォルゲンシュタイン公爵令嬢からの嘆願もあったからね。是非とも、サイゼル教諭に絵描きのイロハを叩き込みたいと。サイゼル教諭は、フォルゲンシュタイン公爵令嬢の所属するゼミの預かりとなる。まぁ、ひたすら召喚用魔法陣を描かされるんじゃないかな?」
「ルミカーラ様ってば」
蒼花先生が直接指導してくれる絵画教室。出来ることならわたしも参加したい。
「なにせ、君の実家を反逆罪の上取り潰しなんて真似、させるわけにはいかないからねぇ」
「……は?」
執務机に両肘をつき、組んだ指に顎を乗せた王太子殿下は、あざと可愛く首を傾げた。
「だって、君は僕の婚約者だろう?」
「…………は?」
「あれだけ大勢の前で宣言したじゃないか。フォルゲンシュタイン公爵令嬢ではなく、君を僕の婚約者にするって。義父上の許可ももらったしね」
「あれは、サイゼル子爵にボロを出させるための演技では……?」
ニコニコと笑う王太子殿下の笑みが、すぅっと深まった。
「四肢欠損すら治す、国内随一の治癒魔法使い。ほんのかすり傷から傷を悪化させ、魔獣ならほぼ完璧に、召喚獣にすら大ダメージを与えうる反転治癒魔法の、発案者であり唯一の使い手。踏んだら破裂する、などといった凶悪極まりない魔道具や、一般人でも弓騎士より強い矢が放てる武器の開発、所持者。失われたはずの隔絶結界を蘇らせ、その上、王太子である僕を身を挺して庇った。――これだけのことをやらかしておいて、このままお気楽に一般人に戻れるなんて……まさか思ってないよね?」
細めた目、吊り上がった口元。
笑みの形のはずなのに、何故か背筋がひんやりした。
「ねぇ、君、あの時、自分に防御壁張ってなかったよね? 反転治癒魔法に使う以外の全ての魔力で僕に隔絶結界――防御壁を張った。そうでしょ? 僕、生まれて初めてだったんだよね……王太子なんて身分だから、騎士に守られるのは仕方ないとしても。魔法の腕は学園始まって以来の天才といわれる僕がだよ? 令嬢を庇うどころか庇われて、閉じ込められた防御壁を解くことも出来なかった。屈辱だなぁ……」
不敬罪!
わたしは思わず立ち上がり、脊髄反射で言い訳を口にしていた。
「そ、それはですね……! ああでもしないと、王太子殿下は召喚獣からわたしを庇って死んじゃうかもしれないじゃないですか。こんな(一度既に死んでいる)わたしを庇って、まだ若い殿下が亡くなるなんて耐えられなくて……」
「そう、それだ。君は半年前から、急に魔獣討伐に行きたがり、反転治癒魔法を開発し、剣や弓の鍛錬を始め、魔道具を開発し、フォルゲンシュタイン公爵令嬢と懇意になり、僕を遠ざけようとするようになった。まるで、あの日、あの場で、サイゼル子爵が召喚獣を呼び出す未来が見えていたかのように」
サァーっとわたしは青ざめた。
卒業パーティが乗り切れなければ、わたしと母さんに明日はない。
だからなりふり構わず、全身全霊を持って対策に当たってきたわけだけれど……ちょっと、後先考えなさすぎたかもしれない。
反転治癒魔法も、地雷も、クロスボウも、この世界にはなかったものだ。
サイゼル子爵をハメるために必要で、さらに蒼花先生に乗せられたとはいえ、婚約破棄&断罪劇はやり過ぎだった。王太子殿下に役者を頼んだのも、転生者ではない彼に手の内をさらすまねだった。
正直、あの卒業パーティで八割方死ぬかもしれないと思っていたわたしは、生き残れた後のことを全く考えていなかったのだ。
「そ、そそそそ、それはですね、わたしは子爵の養女ですからっ」
「王家の影が探っても、フォルゲンシュタイン公爵家の影が探っても、まったくしっぽを掴ませなかったサイゼルが、君には手の内を明かしたと? 召喚用魔法陣は他国との内通のこれ以上ない証拠だ。母親の薬を手に入れるため、協力しているだけの手駒にさらすような危険は侵さないだろう。ということは、予知でないなら、君は王家の影より優秀な隠密ということになる。治癒魔法、反転治癒魔法、強力な武器、隠密か、ひょっとしたら予知能力。どれかひとつとっても、他国に渡ったらこの国を傾けかねない大きな脅威だ。為政者として、脅威は取り除かねばならないな」
王太子殿下は、蛇のような温度の感じられない目でにっこりと笑った。
「さぁ、選べ。処刑か、飼い殺しか、王妃だ。君が、賢い選択をしてくれることを期待している」
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