ゆるふわコハルと不憫なマコト

白縁あかね

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本編

5話 おかん公認 side湖遙

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 夜のコンビニはいつも通り……とはちょっと違う。今日は俺の親友が雑誌コーナーで雑誌を開きながら店の入り口を睨んでいる。
 ずっと睨んでて疲れない?そろそろバイトも終わりの時間だし、来ないかもねぇ。と思っていたら、親友がパタリと雑誌を閉じた。
 パッと入り口を見ると、真さんが入ってくるところだった。来てくれたんだ……えへへ、ちょっとニヤケちゃったかも。
 ぼんやりしていると、カウンターにトンとお茶が二つ置かれる。


「こんばんは。もうすぐバイト終わるよね?外で待たせて貰ってもいいかな?」


「こんばんはぁ。来てくれてありがとう。もうすぐだし、中で待っててもいいよ?」


 ピッピとお会計しながらイートインコーナーを見る。こんな時間には誰も利用しないから問題ない。
 次のバイトくんも来てくれたし、これが終わったらバイトも終わりだなって思ってたんだ。


「いや、お店に迷惑はかけられないからね。これ、良かったらどうぞ。じゃあ、また後で」


 お金を払った真さんは、お茶を一つ残して出ていった。
 きゆん……?んー?何だか胸の辺りがキュッとする。


「どうしたの?今のやつに何か言われた?」


 心配した彩芽が駆け寄って来てくれた。
 彩芽っておかんみあるよねぇ。そんな所が大好きだけど。


「ふへへ。彩芽好きぃ。」


「こわっ。どうなったらそんな返事になんのよ。それより今のやつでしょ?今日会う予定のやつ」


「そうそう、真さん。かっこいいでしょー。……俺のちんちんだよ?」


 んむー……真さんモテるからなぁ。ちんちん以外。


「いらんっつってんでしょうが。ほら、もう終わりでしょ?早く着替えて来なよ」


「うん、いってくるー」


 お茶を持ってバックヤードに戻る。
 飲んでなくなるのがもったいなくて、リュックの中にそっとしまった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 コンビニの前で落ち合った俺達は、とりあえずファミレスに移動してきた。みんなご飯がまだでお腹すいたんだよね。
 俺の隣に彩芽、前に真さんが座っている。
 注文を済ませて一息ついた所で真さんが切り出した。


「えっと、はじめまして。僕は……」
「柊真さんでしょ。湖遙から聞いてる。僕は木崎彩芽きさきあやめって言います。この子の保護者みたいなもんです。で、柊さんはこの子の事、どう思ってるんですか?」


 彩芽が真さんの言葉を遮る。
 こんなおかん隣にいたら気まずいでしょ。ずっとそのスタンスでいくのかな?


「むー。おかんどーどー、落ち着いてー?ひっひっふーする?」


「誰がおかんじゃ。それにその呼吸法は僕には一生縁のない方法だから。大体あんたがしっかりしてないからこんな事になってんでしょうが。僕だっておかんしたくないわ。とっとと卒業させてくださいよ」


 わぁお。おかんが怒ったー。助けて真さぁん。
 どうしていいやら困った様子の真さんに、チラリとヘルプの視線を送る。


「あ、あの、木崎くん。湖遙くんは悪くないんだよ、僕がお酒に寄って悪絡みしちゃったんだ。そんな僕を放っておかずに最後まで介抱してくれて……」


「その介抱は介抱だったんでしょうね?この子の事は色々知ってるつもりなんで、予想できますけど。ずいぶんご立派なモノをお持ちだとか。まぁお互い大人なんで、そこを責めたい訳じゃないですよ。それで、また会って何のつもりなのか聞きたいんです」


 見事に飛び火した。だよねー、ごめんなさーい。悪かったと思ってますから、頑張れ真さんっ。


「湖遙くんは、どうしようもなく落ち込んでいた僕を救ってくれたんだ。感謝してもしきれない。そんな彼に惹かれたし、今度は僕が湖遙くんに何かしてあげられないかと思って……」


「ふぅん……で、下心何割?」


「よっ……四割くらい……」


「あんのかよ下心。しかも正直か」


 ん?そりゃそうじゃない?むしろ残りの六割は何を期待されてるのかわかんない。
 

「まぁ全くありませんって言われるよりは信用あるけどね。ヤる事ヤってんだし」


「う……まぁ、ね。でも、責任取るって約束したし、僕が出来る限り大切にします」


 真さんが机につきそうなくらい頭をぺこりと下げる。真面目だなぁ。


「え!?そんな感じ?ちょっと湖遙!そうならそうとちゃんと言ってよ!あんたの説明わかりにくすぎっ。ちんちんを手に入れたってそーゆー事!?展開早っ!まさかあんたがねぇ……そんなに良かったの?」


「ちん……」


 また大きな声で言う……。これはちゃんと教えてあげないとダメだなぁ。真さん固まっちゃったじゃん。


「あのね彩芽、ちんちんって大きな声で言うのは恥ずかしいんだよ?真さんもびっくりしてるでしょー。でもそうだねぇ……最高?」


「はぁー……。ごめんなさい、柊さん。この子説明壊滅的でよく理解できてなかったみたい。お互いに納得いってるなら僕は何も言いません。湖遙の事、よろしくお願いします」


 彩芽がぺこりと頭を下げる。ちゃんと謝れるいい子なんだよねぇ。
 頭をよしよししたらべしっとおててを叩かれてしまった……。ひぃん、世知辛い。


 それから彩芽の許可も得て、連絡先を交換した。これで俺達は無事、おかん公認のになったのである。




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