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四章 失踪の秘密

24話 初めて?その顔面で? ちょっとR15

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 ちょっとセクシータイム入ります。苦手な方は薄目でサラサラ読み流してください。






















 

「わっぷ!」


 部屋に着くなり急に背中を押され、ぽすっと顔面からベッドに倒れ込む。


「二人きりだよ?近くに誰もいない」


 何でこんな扱い!?オレ何かした?
 心の中で文句を言いながらも律儀に約束守るオレ偉くない?
 体を成長させながら、起きあがろうとベッドに両手を付いた。


「何でこんな事っ、あっ!?」


「……アーシェには大切な人が何人いるの?僕もその中の一人?だから色々許してくれるの?」


 胸元を抱き寄せて、体を起こされる。二人揃ってベッドに膝立ちして、後ろから抱き竦められる体勢だ。


「何言って……ひゃふっ!」


 頸を舐められて、背筋がゾクゾクと震える。
 一番上まできっちり閉めていたシャツのボタンをプチプチと外され、首元を露出させられた。


「ヴァンさんともキスするんだね。トーマさんともするのかな?僕としたのが初めてかと思ってた。案外誰とでもこんな事する子だったのかな?」


 首筋を何度も甘噛みしてはペロっと舐められ、カイルの指が口の中に入ってきた。


「ひゃめっ……何ひって、られれもなんへ、するわけなっ、ひぅっ」


 二本の侵入者は、オレの口内を我が物顔で暴れまわる。
 口の端から涎が溢れる羞恥に、目に涙がうっすら滲む。


「アーシェ、いつもキスしてるんでしょ?恥ずかしがるなんて今更なんじゃない?」


 オレ、何でこんな目にあってるの……。何かした?
 矢継ぎ早に訳のわからない質問が飛んできて、ただでさえ混乱してるのに、こんな……。
 滲んでいた涙が溢れてボロボロと零れ落ちた。


 指を口に入れたまま、グイッと顔を後ろに向けられる。こんな顔見られたくないのに……。
 口から溢れた雫を舐め取られ、間近にアクアマリンが迫る。


「この味も僕だけが知ってると思ってたのに、何人知ってるんだろうね?これからも他の人に教えてあげるの?アーシェの唾液がこんなに甘い事」


 前とは違う濁ったアクアマリン。透き通ってキラキラしていた面影はどこにもない。


 何でオレが責められなきゃなんねーんだ。いつも女侍らせてんのはテメーの方じゃねーか、ふざけんなよ。
 オレの中で何かがブチッとキレた。


 ガリっと口に侵入していた指に噛みつき、抱き竦められていた腕を振り払うと、カイルをベッドに押し倒して馬乗りになる。


「さっきから聞いてりゃ訳のわかんねーことをべらべらと……。テメーこそ女タラシまくってんじゃねーか!大体、ヴァンさんはオレの父親みたいなもんだ。キスって言ってもお互い頬に軽く押し当てるようなもんで、口にしたのはテメーが初めてだったんだよっ……。トーマなんて治療以外で至近距離になった事すらねーわ!ふざけんじゃねーよ!!」


 ぽかんと間抜けヅラを晒して仰向けに倒れているカイルの胸元を、バチっと両手で平手打ちにする。
 こんな状況でも手加減してやったオレに感謝するんだな!


「いだっ!!あ、アーシェ…… それ、ほんと……?僕が初めてって……」


 涙目で訊く事がそれか!?もっと他に言う事があるだろ!


「あん?それが何か文句あっか?初心者にあんな無遠慮にベロベロかましやがって……。むしろテメーの方があっちこっちでタラシ込んだ女とよろしくやってたんだろ?慣れた感じがムカつくんだよ!このクソヤリチン狼野郎!!」


 言ってやった。前半はまぁ……アレだけども、後半はよく言ったぞオレ!脳内スタンディングオベーションだ!!


 満足気なオレをまたポカンとした表情でカイルが見ている。何だテメー、図星突かれて何も言えねーってか?ふん!ザマーミロ!!


「僕も初めてだったけど……アーシェには慣れてる様に感じてもらえてたんだね。良かった」


 ……は?
 オレの下でニッコリと笑うイケメン。
 その面で初めて?普段から複数の女を侍らせてるくせに?


「もしかして僕達色々誤解があったかもね?」


「……誤解?嘘じゃなくて?」


「僕はアーシェに嘘ついた事ないよ。一応知識としては知っていたんだけど、実際にするとセオリー通りにはできなかったよね。好き勝手してごめんね?」


 アレが経験で得た行為じゃなかっただと……?なんて恐ろしいやつだ……。
 って、今謝るのはそこじゃない。


「いや、それはもういいです。……よくはないけど。それよりも……何でオレ怒られたの?」


「あー……怒ってた?ごめん、怖かったよね。僕にもわからなかったんだけど、アーシェが他の人と、キス……したりするんだと思ったら、頭が真っ白になっちゃって。たぶんこれが嫉妬ってやつなのかな?」


 嫉妬……?誰に?ヴァンさんとトーマ?二人ともオレの中ではそんな関係になり得ないけど……カイルにはそんな事わかんないもんな。そうか、嫉妬……。


「ふへ……?」


「……えー。アーシェ、何その顔。笑ってるの?かわいいが天井知らずで困っちゃうよね。うわー、ほっぺもぷにぷにで食べちゃいたい」


 カイルはのそっと起き上がると、オレを膝に乗せたまま頬をふにふに揉んでくる。
 べっ、別に笑ったつもりは……うーっ!この手をどけろー!


「むぷっ。や、ひゃめへ……」


「それはそうと、アーシェも嫉妬しちゃった?僕が誰かと経験があるかもって怒っちゃったの?」


 ……ん?何て?
 オレが嫉妬?


「え?」


「あっちこっちでタラシ込んだ女とよろしくやってたんだろ?慣れた感じがムカつくんだよ!このクソヤリチン狼野郎!!……って思ったんでしょ?」


 ぎゃーっ!そう言えばそれさっき言ったとこだな!?めちゃくちゃ似てるのが嫌過ぎる!!そんな所で器用さ発揮してんじゃねーよ!


「げほっ。口が悪かったのは謝ります。慣れていたのは誤解だったとして、多くの女性と親しくしているのは事実でしょ?不誠実だなって思っただけで、それを嫉妬と言われても……オレはそんなつもりないもん」


「パーティメンバーの事を言ってるなら、それは大いなる勘違いなんだけど……。ふふ。まぁそれでいいよ、今はね。これからわからせるだけだし。僕がアーシェに向けるこの気持ちはアーシェにだけだって。言って伝わらないなら行動するしかないよね」


 カイルが頬を甘噛みしてくる。いつの間にか腰と背中に腕がまわされていて逃げられない。


「ちょっと、何してっ……」
「僕は、自分が思っている以上に君が好きみたい。今まで知らなかった自分がいっぱい出て来て面白いんだ。僕の色んな初めてもアーシェにあげてるよ?」


 甘噛みをやめたカイルの顔が、少し下の目線から見上げてくる。


「もっと色んなアーシェの初めてがほしいな……」


 獲物を捕らえた様にキラッと輝くアクアマリン。さっきの濁った物と違って、オレを魅了して止まない綺麗な色。
 すりっと鼻先が触れて、お互いの吐息が混ざる距離。


「もらうね。今日は嫌って言ってもやめてあげられないから」


 耳元で「ごめんね」と聞こえたかと思うと、ドサリとベッドに押し倒されていた。




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