秘密の多い薬屋店主は勇者と恋仲にはなれません!

白縁あかね

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三章 二人だけの秘密

22話 その後の三女傑 ほぼ会話のみ

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「あの……お二人とも、この街がおかしいとは思っていらっしゃるんですよね?」


「そうね。さっきも言ったけど、敵意が気になるわ」


「だね。居心地悪いったらありゃしないよ」


 勇者がシャワー室へ消えた後、水の音に紛れる様な小声で会議は続いていた。


「それに、最近勇者様がよく外出されているのはご存知ですか?休日はもちろん、演習後も必ずいなくなるんです」


「そう言えば姿が見えない事が多いね。それがどうしたんだい?」


「私……見てしまったんです。勇者様が、あの薬屋さんのお家に入っていったのを」


「なんだって!?」「なんですって!?」


「とても親し気な様子で、勇者様も慣れた様子で入っていきました……」


「なーんだ、それでさっきあんなに怒ったのか。人の好意に鈍感な坊ちゃんにやっと春がきたのかね?」


「そうね、それなら納得だわ。仕方ないわね、街の住人達については私達だけで様子を見ましょう」


「お二人とも!それでいいんですか!?」


「それでいいって、何がだい?」


「勇者様が誰かに、こ、こ、好意を持つなんて!あなた方も勇者様に懸想されていたのではないのですか!?」


「あたしゃそもそも寿命が違い過ぎて先立たれちまうから、考えた事もなかったね。この旅の間くらい味見できりゃいいくらいにしか思ってなかったよ」


「あら。エマ、あなたまさか本気なの?相手は勇者よ?王様も姫のお相手に狙っていらっしゃるわ。望むだけ後々辛いわよ?近くにいられて目の保養だわ、くらいにしておかないと」


「私は聖女です!この時の為に必死に修行を重ね、厳しい苦行にも耐えてきました!私の勇者様なのです!勇者様は私と共にあるべきお方なのです!」


「……教会で何があったのかはわからないけど、あなたが幸せになれる事を願ってるわ」


「許されません……私が結ばれるべきなのです……許される訳が……神がお許しになりません……」


「はぁ……。とりあえず部屋に帰ろう。カイルが出てきちまうよ」


 聖女は部屋に戻る間も許されないと繰り返しながら、フラフラと歩いて行った。




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