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三章 二人だけの秘密
閑話1 これはもう食べられてる R15
しおりを挟む20話のその後、二人のイチャイチャシーンのみ。
そこそこ濃いめに絡んでるので、背後に注意してください。
見なくても話はわかるので、苦手な方はスルー推奨。
目を閉じて何も見えない分、他の感覚が研ぎ澄まされる。
唇に息がかかったかと思うと、何か柔らかい物が触れてすぐに離れていった。
軽く確かめる様なキス。ここでダメだって言わないと……。あぁ……オレのファーストキス取られちゃった。誰にもあげる予定なんてなかったのに。
嫌じゃない、でもダメで……でも……。
ゆっくりと目を開くと、鼻先が触れそうな位置にカイルの顔があった。
「アーシェ……止めてくれないと、僕は止められないから。嫌じゃない?」
鼻先をすりっと寄せられて更に距離が近くなる。
きっとこれが最後通告。
熱の籠ったアクアマリンがオレを射抜く。
さっきから答えは出てる。嫌かと聞かれたら、オレは……。
「嫌じゃ……な、んうっ」
全て言い切る前に口を塞がれる。今度は軽い物じゃなくて、息をする事さえ許されない。噛みつかれる様なキス。
何だか食べられてるみたい……苦し……。
逃げたいのに、いつの間にか腰にあったはずの手が、オレの後頭部の髪に絡みついて離れない。
「ぷぁっ、ま、って。んっ……あっ」
たまらず息継ぎの為に口を開けると、カイルの舌が入り込んでくる。
奥に逃げていたオレのそれを絡め取り、吸い上げられたかと思うと、ちゅぱっと大きな音を立てて離れた。
「んぁ……はぁ、はぁ……」
「鼻で呼吸して。アーシェ……かわいい」
あまりの苦しさに朦朧としていると、口から吸い上げられた舌が出たままだったらしい。
カイルはオレの舌と唇をペロペロと舐めると、再び唇を合わせてきた。嗅いだり舐めたり……犬かよ。
「あっ、ん……ぅあ。もっ、ひゃめ……」
きゅっと繋いでいる手に力が入る。空いていた手は縋り付く様にカイルの背中の服を握りしめていた。
「無理、かなぁ。こんなにしがみついてきて……やめられる訳ないよね。嫌なら突き飛ばして」
お互いの上唇だけが触れたままの至近距離。一時も離れたくないって言われてるみたい……。
「そんな……ちがっ……」
スッとカイルが離れて、近すぎて滲んでいた顔が鮮明に見える。それはとても柔らかな眼差しで微笑んでいた。
「アーシェ、いいんだよ。きっと何か理由があって受け入れられないんだよね?大丈夫、わかったから。僕はアーシェが好きだけど、それをアーシェにも強要したい訳じゃない。僕も好き勝手してるんだから、アーシェもしたいようにしていいんだよ?むしろそうしてくれると嬉しい」
後頭部に添えられていた手が、優しくオレの頭を撫でる。
繋がれた手も、握り返してきて大丈夫だって言ってくれてるみたい。
「そんな最低なこと……既にしてるけど……こ、困る!」
「ふふ、難しく考えすぎ。どうせアーシェがどうしようが、僕はアーシェを好きになる。避けられようが罵られようが、どんなに傷つけられようが好きな自信があるよ。それにね、この気持ちは僕の物だ。何があってもこの気持ちの責任は僕が取る。諦めて僕を受け入れて?」
コイツ……案外強情で自分勝手なんだな。
こつんとおでこ同士がぶつかり、目の前がアクアマリンでいっぱいになる。
「オレはカイルにされる事は……今のところ嫌じゃないから、嫌かと聞かれたらノーとしか言えない。でも、これ以上お互いに踏み込むのは良くなひむっ……んっんん!!」
パクリと口を塞がれ、途中で言葉が途切れる。
「大丈夫。今は僕に流されてればいいよ」
すぐに離れたかと思うと、言いたい事だけ言って、また唇を重ねてきた。
もう知らない……。オレは忠告したからな。
そっちがその気ならオレも好きにさせてもらう。
「ん……は、あん。あっ、んちゅ……」
無遠慮に差し込まれた舌に逆らわず、オレからも積極的に絡める。頭がふわふわしてとても心地いい。
「はぁ……いいね、アーシェ。美味しい……もっと、もらうね」
「ふぅ、はっ。はいぅ……ぁう、あっ、んぁあっ」
口内を全て舐めつくされ、どちらの物ともわからなくなった唾液を吸い取られる。
「ん、はぁ……。ふふ、こんなに好きにさせてくれるなんて、嬉しいな。これからもたくさんもらうから、覚悟しておいてね」
ボーっとする視界の中で、ぺろっと自身の唇を舐め、妖艶な笑みを浮かべるカイルだけがハッキリと見えた。
犬なんて可愛いもんじゃなかったな……この狼野郎。
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