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10 アルタニア帝国 帝都1
242 帝都のその後6
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「おい、お前たち……主殿をよからぬ店に連れて行ったらしいな……」
「「「「「申し訳ありませんでした!!」」」」」
イロナの前に勢揃いした勇者パーティは、漏れなく土下座。ヤルモはイロナの後ろで、頭の後ろで手を組んで口笛を吹いてるよ。
これは、昨夜の飲み会から帰ったヤルモが、イロナに逐一報告した結果。未遂であっても、イロナに勘繰られてあとから知られるよりは、先に報告したほうが傷が浅いと思っての判断。
現にヤルモが話したあとに、「何をしていたか聞こうとしていた」とイロナは告げていたので正しい判断だった。イロナから性的暴力を受けたのは、いつも通り。
そのチクられた勇者パーティはというと、昨日はイロナが怖くなって酒が抜けてしまったので、朝方まで飲んでグロッキー状態。
「武器を持て!!」
なのに、イロナ軍曹のイジメ。完徹で二日酔いの勇者パーティでは、あっという間に吹き飛ばされた。
「なんだこの体たらくは! 前までの貴様らはどこへ行った!?」
なので、イロナの叱責。戦う前から魂が外に出ていたのにぶっ飛ばしたからには、勇者パーティの魂は完全に空に舞い上がって行ったのであったとさ。
勇者パーティがボコられるのをニヤニヤ見ていたヤルモであったが、勇者殺害は死刑案件なので、全員分の魂を捕まえて体に入れたら、イロナを説得。
もっとちゃんとした時に戦ったほうが楽しいと諭していたけど、勇者パーティは震えていた。後回しになっただけだから、根本的な解決になってないもん。
「ところでなんだが……お前たちって、今日、上級ダンジョンに潜るんじゃなかったっけ??」
「わっ……忘れてた~~~!!」
残念な勇者パーティ。昨夜はちょっと楽しんでから帰る予定だったのに、イロナのせいで朝帰りになったので、完全に忘れていた模様。
それも、勇者パーティが音頭を取って大人数でダンジョン攻略をする予定だったのに、すでに遅刻。ダンジョン攻略の準備はしていたのでその荷物だけ持って、慌てて宿泊場所から出て行く勇者パーティであった。
ちなみに賢者ヘンリクは、帝都復興事務所で仕事があるので、そこで仮眠を取ってから働いたらしい……
「ま、徹夜でも、あいつらならなんとかなるだろう。イロナよりは……」
どうやらヤルモは、イロナから逃がすために今日の予定を思い出させたようだ。イロナはどう見ても、勇者パーティと戦うことが目的だったし……
「興が削がれた。主殿が相手になってくれ」
「なんで~~~!?」
ヤルモが犠牲になっていたし……
小一時間、イロナにサンドバックにされたヤルモは、ようやく解放されてへなへなっと尻餅をつく。レベルが上がったことで、多少攻撃をもらっても耐えられたからの快挙。
イロナも褒めていたけど、次からは攻撃も仕掛けて来いと命令されていた。攻撃なんてしたら隙ができるからやりたくないヤルモであったが、イロナの気分が良さそうなので下手なことは言えない。
それに、喋るほどの元気も無かったので、頷くしかできなかった。
それからイロナの膝枕でしばらく寝たヤルモは、食堂で昼食をいただき、面倒なお仕事。特級ダンジョンの地図の作成だ。
イロナには「暇なら外に行くか?」とお金を渡したら、珍しく外に出て行った。ヤルモは観光にでも出たのだと気にせず作業を開始する。
特級ダンジョンの上層は、ぐにゃっとした線の一筆書。分かれ道には、ちょっとした壁を付け足して地図に見えるようにする。
中層辺りからも似たような感じだが、宝箱も漁っていたので線が増えて時間が掛かる。しかし、普通の地図よりは書くことが少ないので筆が早い。
ヤルモがガリガリと地図を書き記していたら、イロナの帰宅。もう夕方だったらしいので、夕食を食べながらイロナと喋る。
「今まで何してたんだ?」
「娼館に行って来たのだ」
「ブーーー!」
ちょっとした世間話だったのに、イロナからいきなりキラーワードが飛び出して来たので、ヤルモは食べていた物を吹き出した。
「汚いではないか」
「ゲホゲホッ。す、すまない」
ヤルモはギリギリ横を向いたのでイロナには掛からなかったが、床が汚れてしまったのであとから片付けることにしていた。
「ちなみに……何しに行ったんだ?」
ヤルモは娼館に入ってもいないのに、ドキドキしながら質問。イロナが昨日の未遂事件の裏取りに行ったと思っているようだ。
「どんなプレイ内容か気になってな。面白いのがあったら主殿に使おうと思って聞きに行ったのだ」
「へ、へ~」
「なのに、企業秘密だと言って教えてくれなかったんだ」
「俺も詳しく知らないけど、娼婦はそれで飯を食ってるからな~。職人の技みたいなものだろ」
技と聞いて納得したイロナだったが、その時は納得していなかったらしい。
「店長がお茶を出して親身になって話を聞いてくれていたんだがな~」
「はい? 店の中に入ったのか??」
「ああ。お茶だけと誘われたからな」
「いや、そんなところ、それだけじゃ終わらないだろ!」
「お~。主殿の言う通りだ。いきなり我を襲おうとしたから半殺しにしてやった」
「あ、そう……」
普通の女性なら、ムリヤリ娼婦にできたかもしれないが、相手はイロナ。ヤルモの心配はまったく必要ない。
「殺してないよな??」
それよりも、人殺しの心配だ。
「半殺しだと言っただろうが。ま、そのおかげで、面白い話は聞けたのだがな。あとでやってやろう」
「う、うん……」
結局は暴力で話を聞き出したイロナ。しかし、その技が自分に炸裂すると聞いて、気が気でないヤルモであった。
「「「「「申し訳ありませんでした!!」」」」」
イロナの前に勢揃いした勇者パーティは、漏れなく土下座。ヤルモはイロナの後ろで、頭の後ろで手を組んで口笛を吹いてるよ。
これは、昨夜の飲み会から帰ったヤルモが、イロナに逐一報告した結果。未遂であっても、イロナに勘繰られてあとから知られるよりは、先に報告したほうが傷が浅いと思っての判断。
現にヤルモが話したあとに、「何をしていたか聞こうとしていた」とイロナは告げていたので正しい判断だった。イロナから性的暴力を受けたのは、いつも通り。
そのチクられた勇者パーティはというと、昨日はイロナが怖くなって酒が抜けてしまったので、朝方まで飲んでグロッキー状態。
「武器を持て!!」
なのに、イロナ軍曹のイジメ。完徹で二日酔いの勇者パーティでは、あっという間に吹き飛ばされた。
「なんだこの体たらくは! 前までの貴様らはどこへ行った!?」
なので、イロナの叱責。戦う前から魂が外に出ていたのにぶっ飛ばしたからには、勇者パーティの魂は完全に空に舞い上がって行ったのであったとさ。
勇者パーティがボコられるのをニヤニヤ見ていたヤルモであったが、勇者殺害は死刑案件なので、全員分の魂を捕まえて体に入れたら、イロナを説得。
もっとちゃんとした時に戦ったほうが楽しいと諭していたけど、勇者パーティは震えていた。後回しになっただけだから、根本的な解決になってないもん。
「ところでなんだが……お前たちって、今日、上級ダンジョンに潜るんじゃなかったっけ??」
「わっ……忘れてた~~~!!」
残念な勇者パーティ。昨夜はちょっと楽しんでから帰る予定だったのに、イロナのせいで朝帰りになったので、完全に忘れていた模様。
それも、勇者パーティが音頭を取って大人数でダンジョン攻略をする予定だったのに、すでに遅刻。ダンジョン攻略の準備はしていたのでその荷物だけ持って、慌てて宿泊場所から出て行く勇者パーティであった。
ちなみに賢者ヘンリクは、帝都復興事務所で仕事があるので、そこで仮眠を取ってから働いたらしい……
「ま、徹夜でも、あいつらならなんとかなるだろう。イロナよりは……」
どうやらヤルモは、イロナから逃がすために今日の予定を思い出させたようだ。イロナはどう見ても、勇者パーティと戦うことが目的だったし……
「興が削がれた。主殿が相手になってくれ」
「なんで~~~!?」
ヤルモが犠牲になっていたし……
小一時間、イロナにサンドバックにされたヤルモは、ようやく解放されてへなへなっと尻餅をつく。レベルが上がったことで、多少攻撃をもらっても耐えられたからの快挙。
イロナも褒めていたけど、次からは攻撃も仕掛けて来いと命令されていた。攻撃なんてしたら隙ができるからやりたくないヤルモであったが、イロナの気分が良さそうなので下手なことは言えない。
それに、喋るほどの元気も無かったので、頷くしかできなかった。
それからイロナの膝枕でしばらく寝たヤルモは、食堂で昼食をいただき、面倒なお仕事。特級ダンジョンの地図の作成だ。
イロナには「暇なら外に行くか?」とお金を渡したら、珍しく外に出て行った。ヤルモは観光にでも出たのだと気にせず作業を開始する。
特級ダンジョンの上層は、ぐにゃっとした線の一筆書。分かれ道には、ちょっとした壁を付け足して地図に見えるようにする。
中層辺りからも似たような感じだが、宝箱も漁っていたので線が増えて時間が掛かる。しかし、普通の地図よりは書くことが少ないので筆が早い。
ヤルモがガリガリと地図を書き記していたら、イロナの帰宅。もう夕方だったらしいので、夕食を食べながらイロナと喋る。
「今まで何してたんだ?」
「娼館に行って来たのだ」
「ブーーー!」
ちょっとした世間話だったのに、イロナからいきなりキラーワードが飛び出して来たので、ヤルモは食べていた物を吹き出した。
「汚いではないか」
「ゲホゲホッ。す、すまない」
ヤルモはギリギリ横を向いたのでイロナには掛からなかったが、床が汚れてしまったのであとから片付けることにしていた。
「ちなみに……何しに行ったんだ?」
ヤルモは娼館に入ってもいないのに、ドキドキしながら質問。イロナが昨日の未遂事件の裏取りに行ったと思っているようだ。
「どんなプレイ内容か気になってな。面白いのがあったら主殿に使おうと思って聞きに行ったのだ」
「へ、へ~」
「なのに、企業秘密だと言って教えてくれなかったんだ」
「俺も詳しく知らないけど、娼婦はそれで飯を食ってるからな~。職人の技みたいなものだろ」
技と聞いて納得したイロナだったが、その時は納得していなかったらしい。
「店長がお茶を出して親身になって話を聞いてくれていたんだがな~」
「はい? 店の中に入ったのか??」
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「いや、そんなところ、それだけじゃ終わらないだろ!」
「お~。主殿の言う通りだ。いきなり我を襲おうとしたから半殺しにしてやった」
「あ、そう……」
普通の女性なら、ムリヤリ娼婦にできたかもしれないが、相手はイロナ。ヤルモの心配はまったく必要ない。
「殺してないよな??」
それよりも、人殺しの心配だ。
「半殺しだと言っただろうが。ま、そのおかげで、面白い話は聞けたのだがな。あとでやってやろう」
「う、うん……」
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