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09 アルタニア帝国
198 魔都5
しおりを挟むドンッ! ドドォォーンッ! ドドドォォォーーーンッ!
「「「「「なんじゃそりゃ~~~!!」」」」」
ドンッ! ドドォォーンッ! ドドドォォォーーーンッ!
「「「「「なんじゃそりゃ~~~!!」」」」」
ヤルモが戦車みたいな形になり、ロケット弾等を発射して巨大モンスターを倒すなか、勇者パーティは花火を見たような合いの手を入れていた。
その間もヤルモの肩からロケット弾が乱れ飛び、指からは弾丸が飛び交う。さらには、口からビームを放って右から左に薙ぎ払う。
これらの攻撃は全てロックオンしてから放っているので、イロナが狙っていたドラゴンには一発も当たっていない。
ドラゴンだけは綺麗に避けているから、イロナも簡単に狙いが付けられる。爆発が起こった場所にはドラゴンしか立っている者はいないからだ。
そのドラゴンには、いつも通りイロナの一刀両断。頭と体の離れたオブジェが続々と作られる。
二人の異常な活躍を見た勇者パーティは、何度もツッコんでいたら冷静になって来た。
「俺たちって何しに来たんだっけ?」
「あ、えっと……たぶん、魔王討伐……」
冷静になったが、いまだに頭が回っていないオスカリが現状を確認すると、同じく頭が回っていないヘンリクが自信無さそうに答えてくれた。
「そうだよ! なのに、俺たちは何してんだ! ユジュール王国最強の勇者パーティだろうが!!」
オスカリが完全に復活したら、勇者パーティの目の色が元に戻る。
「ヤルモは無茶すると言ってたんだ。てことは、アレには何かしらのリスクがあるはずだ。二人だけで戦わせていいのかよ!?」
「「「「否っ!」」」」
「じゃあやることはひとつだ!」
「「「「おう!」」」」
「行くぞ~~~!!」
「「「「おおおお~~~!!」」」」
勇者パーティ再起動。武器を構えて走り出したのであった。
ヤルモは動きながら重火器を発射していたが、巨大モンスターが多いのでそれほど進んでいないから、勇者パーティもすぐに追い付ける。
しかしよく見ると、まだ息のある巨大モンスターがいたので、手分けしてトドメを刺して進む勇者パーティ。
オスカリは一人で剣を振り、突き刺して進む。
魔法剣士レコと賢者ヘンリクはタッグを組んで、同時攻撃。極力MPを消費しないようにトドメを刺す。
パラディンのトゥオマスと大魔導士リストもタッグを組み、こちらもMPを節約しながら進む。
ヤルモの爆撃のおかけで生き残りは少ない。もしも生き残りがいても虫の息なので、勇者パーティがバラけて動いてもなんとかなるのだ。
その過程で、たまに勇者パーティが集まる場面がある。
「このドラゴン、首以外に一切傷が付いてねぇぞ」
「エンペラー級を一刀両断って……どうやってるんだ?」
「ちょうどあそこで戦ってんな……」
オスカリとヘンリクが喋っていたら、イロナはドラゴンエンペラーと空中戦を繰り広げていた。
「ありゃムリだ。ムリムリ」
「「「「うんうん」」」」
「忘れよう。俺たちには、俺たちの戦闘方法があるんだ」
「「「「うんうん」」」」
イロナの戦い方を参考にしようとしたけど、早くも断念。そりゃ、空を駆けている時点でマネしようがない。さらには、首だけしか攻撃しないという縛りがあっては、効率が悪すぎる。
勇者パーティは今日見たことは忘れたほうがいいと結論付けたのであった。
それからも巨大モンスターを倒しながら前進し続けていたら、ついに……
『ピー。エネルギー残量ガ5%ヲ切リマシタ。戦車モード、強制解除シマス』
機械的な声の後に、ヤルモの膨大なMPが尽きる。強制解除ともあり、ずっとキャタピラを動かし続けていたせいで、ヤルモは転がるように倒れたのだ。
「主殿!?」
まだ巨大モンスターが残っていることもあり、イロナは急いでヤルモの元へと戻り、攻撃を仕掛けようとしていたキングサイクロプスを斬り裂いた。
「ゼェーゼェー。すまん。もう、限界……ゼェーゼェー」
「仕方ない。ちょっと寝てろ」
今回は巨大モンスターということもあり、飛行モンスターよりも1体に使う弾丸が多かったので、ヤルモのMP消費量が激しかった。
それはイロナも気付いていたようなので、珍しく心配している。いや、イロナがやれと言ったのだから、ちょっとは自分のせいだと自覚があるようだ。
そうしてイロナがヤルモを守るように戦っていたら、状況が変わる。
「待て待て待て待て~~~!!」
勇者パーティの登場だ。巨大モンスターを倒しながら、二人を囲むように陣取った。
「嬢ちゃんはこれから魔王戦が控えてるだろ! こいつらは俺たちに任せろ!!」
オスカリは攻撃を繰り出しながら、イロナを説得する。
「あ~……そんなこと言ってたな」
「忘れてたのかよ!?」
「まぁいい。我はコウモリとドラゴンをもらう」
「待っ……」
しかし、イロナは我が道を行く。オスカリの制止も聞かず、空を駆けて行った。
「たく……」
「いや、いい判断だ」
呆れたようにするオスカリと違い、ヘンリクは魔法を放ちながらイロナを擁護する。
「どこがだよ」
「コウモリってのは、ヴァンパイアエンペラーだろ? そいつに指揮を執られたら厄介だ」
「確かに……でも、ドラゴンは?」
「知るか!!」
イロナの趣味なんか、ヘンリクの与り知るところではない。イロナの非常識な行動のせいでヘンリクがキレたので、オスカリもそれ以上のことは聞けないのであった。
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