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06 カーボエルテ王国 王都3
124 マッピング6
しおりを挟む地下20階のセーフティエリアで、クリスタたちの護衛を任せていたイロナの条件、性奴隷としての奉仕を満たしたヤルモは死ぬ間際にまで追い込まれた。
その次の日、勇者一行は地下21階に進んだ。
「ヤルモさん。大丈夫? 信じられないくらいゲッソリしてるよ??」
過去最高のイロナサービスを喰らったヤルモは、昨日と違って痩せ細っているのでクリスタは心配している。
「だ、大丈夫だ。そのうち体調は戻る」
「まさか、昨日もイロナさんと……」
「何もない。詮索するな」
クリスタが「やらしぃ~」って顔で茶化すが、ヤルモはそう言うぐらいしか元気がない。なのでクリスタは「酷い拷問でもあったのか」と意見を変えて、オルガとコソコソ喋っていた。
無駄な時間を掛けたくないヤルモが出発を指示すると、二手に分かれて今日もマッピング。ややモンスターは強くなっていたので、体調の悪いヤルモは少し手こずっていた。
「パパ、大丈夫ですか?」
「このぐらい、どうってことないぞ~!」
しかし、ヒルッカに心配かけまいとヤルモは張り切って調子を取り戻す。できるだけヒルッカに経験値がいくように戦い、アメちゃんを与え、罠を乗り越え、宝箱の回収なんかもしていた。
「右は大丈夫で、左は開けないほうがいいですよ」
「やっぱりシーフがいると違うな~」
「これぐらいしかできないから……」
「そんなことないぞ。ありがとう」
ヤルモに褒められたヒルッカは嬉しそう。尻尾をフリフリ、右の宝箱を回収してヤルモに渡したヒルッカ。そうしてヒルッカが小部屋から出ようとしたら、「ドスンッ!」という大きな音が鳴ったので振り返った。
「人食い箱さん、かわいそうです……」
ヤルモが人食い箱を踏み潰した音だ。悲しそうな目でダンジョンに吸い込まれる人食い箱に同情するヒルッカを見たヤルモは焦る。
「こ、これはアレだ。予期せぬ反撃を受けないための処置でな……ほ、ほら? オリハルコンの欠片を落としたぞ! ラッキーだったな~」
「本当ですね! ラッキーです~」
ドロップアイテムで気を逸らしたらヒルッカは食い付いたので、ヤルモはホッと胸を撫で下ろす。父親が酷いことをしていると思われたくないみたいだ。自分の娘でもないくせに……
ヤルモの本来のペースからは遅いもののマッピング作業は順調に進み、地下40階のセーフティエリアに到着。イロナの夜の拷問は昔の言い訳が通り、なんとか乗り切ったヤルモ。十分な休息を取ってから10時間後に出発した。
そうして地下50階の中ボス部屋に入った勇者一行は、大きなドラゴンとの戦闘に突入する。
「我がもらうぞ!」
「「「「どうぞどうぞ」」」」
「え? イロナさん一人で行っちゃいましたよ!?」
いや、ドラゴンの首を斬り落とす趣味のあるイロナだけが、見た瞬間に突っ込んで行った。ヤルモたちはいつものことなので笑顔で送り出したが、ヒルッカは初体験なので焦ってヤルモの手を掴む。
「あんな大きなドラゴン、一人でなんて無理です。パパも助けに行ってあげてください!」
「アレぐらいなら俺でも一人で大丈夫だ。それにイロナなら……あ、終わった」
「え?? ……ええぇぇ!?」
イロナなら一瞬で片が付くと言おうとしたヤルモであったが、途中で終了宣言。その言葉でヒルッカが振り向いたら、頭が落ちたドラゴンが地面に倒れ込んだところであった。
ヒルッカは呆気に取られていたが、復活すると「キャーキャー」イロナを褒め称え、まとわりついていた。ただ、その声はクリスタの元へも聞こえていたので、肩を落としていた。
「本当の勇者って……私が勇者なのに~~~」
「違うんです! ヒーちゃんは無邪気なだけなんです! けっして勇者様を悪く言おうと思ってないんです!!」
ヒルッカの代わりに必死に宥めるリュリュ。「聖女様もいらないですね!」とかも聞こえて来たので、オルガにまで気を遣うリュリュであったとさ。
そんな騒ぎのなか、ドロップアイテムを回収したヤルモは出発を言い渡し、さらに進めば地下60階のセーフティエリアまでのマッピングは終了。テントは離れ離れだが、食事の時には集まって話し合っている。
「この辺から宝箱も探していたから、マッピングは減るな。パーティ編成を変えるぞ」
ヤルモの案に、クリスタたちが手を上げる。
「はい! 私はヤルモさんの班がいい!」
「私も!」
「ボクも!」
「あ、えっと、わたしも……」
クリスタたちはイロナブートキャンプでヘトヘトらしいので、どうしてもヤルモと行動したいようだ。ヒルッカは理由もわからず流されている。
「そのつもりだ。でも、マッピングも少ないからイロナも一緒だぞ? 目の前で言っていいのか??」
「「「「ヒッ……」」」」
イロナ、オコ。アドバイスをしたり攻略速度も合わせてあげていたのにと怒って殺気が漏れている。その殺気をずっと浴び続けていたクリスタたちからすると、これが原因なのだが……
「明日はもっと厳しく行くとしよう」
「「「「「はい……」」」」」
イロナの殺気はヤルモにもぶつけられていたので、全員しゅんとしてイロナブートキャンプの餌食となるのであった。
その日の就寝時間……
「こないだのフルコース、もう一回して欲しいな~?」
「主殿から求めて来ただと……そんなに気に入ったのだな! 喰らえ~~~!!」
「ぐっうぅぅウッ……ぐはっウッ……」
二人のテントからは、タオルを噛んで痛みに耐えるヤルモの声が漏れるのであった……
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