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06 カーボエルテ王国 王都3
122 マッピング4
しおりを挟む地下2階に到着した勇者一行は、遊んでいる場合ではないと気付いてマッピング作業に移る。今回もクリスタ班は壁を左手に見て進み、ヤルモ班は壁を右手。モンスターと戦いながら地下へ地下へと進み、罠なんかもクリアしていた。
* * * * * * * * *
ヤルモ班の場合……
「あ、そこに罠がありそうです」
「やっぱりか。解除できそうか?」
「はい!」
「さすがシーフだな~」
罠を発見したり解除したりするヒルッカは、ヤルモにべた褒めされている。しかし、下の階層に進むに連れて罠の解除が難しくなって来たみたいだ。
「あの天井付近の石を、同時に押したらいけそうなんですが……」
「通路の端と端か。スリングショットの連射とかで解除できないかな?」
「やってみます!」
ヤルモの案に、そんな方法があるのかと試してみるヒルッカ。よく狙い、スキルの【二連撃】を放ってみたが、少しタイミングがズレているのか解除できる見込みが低い。
「ごめんなさい……」
「ヒルッカは悪くないんだよ~? 二人で行動させている俺が悪いんだよ~? 普通は協力したら余裕でクリアできるんだからね~?」
「でも、迂回しなくちゃいけないし……」
「大丈夫。罠の解除は俺のオハコだ。おっちゃんに任せておけ!」
ヤルモは胸をドンッと叩いて、罠の解除を行う。
「もういいよ~」
「えっと……それは解除じゃないのでは??」
たんに罠にかかって発動させたのだから、ヒルッカが言う通り解除ではない。しかし、落とし穴程度でヤルモのHPを減らないので、本人は解除と言い張るのであった。
「でも、よいこはマネしちゃダメだからね~?」
「はあ……」
どうやってマネしろというんだと思うヒルッカであったとさ。
* * * * * * * * *
クリスタ班の場合……
「う~ん……アレって罠っぽくない?」
「確かに変な所に石が落ちてますね」
ヤルモもシーフもいないので、罠に対しては慎重に進んでいた。クリスタとリュリュは、罠がありそうな場合は二人で話し合っているのだが、ついにイロナの限界が来る。
「ただの石コロだろ。さっさと行くぞ」
何度も足を止められてイライラしたイロナは勝手に進む。
「ムッ……」
数歩進んで次の足を出そうとした瞬間、イロナの足元が崩れた。
「早く来い」
「「「は……はい!」」」
しかしイロナは意に介さず。地面が崩れた瞬間に足に力を入れ、落ちる前に通り過ぎたのだ。あまりにも普通に罠を超えたイロナに呆気に取られていた三人であったが、呼ばれたからには急いで追い付かなくてはならない。
三人は落とし穴を避けてイロナに追い付くとコソコソ喋る。
「これって、ヤルモさんと同類よね?」
「ヤルモさんと違ってスマートですけど、罠にかかるのは一緒です」
「あの二人に取って、罠とはなんなのでしょう?」
「「ただの石コロ??」」
クリスタ、オルガ、リュリュは若干ヤルモをディスっているように聞こえるが、せっかくダンジョンが準備してくれている罠がかわいそうに思ってしまうのであったとさ。
* * * * * * * * *
順調に進んで地下8階にて合流した一行は、少し遅い昼食。パーティで交代して見張りをし、ヒルッカは丸々1時間の休憩。一番レベルが低いので誰からも反対意見は出なかったが、ヒルッカは申し訳なさそうにしている。
休憩が終わればまた分かれてマッピングするのだが、ダンジョンに少し慣れて来たヒルッカがヤルモに質問している姿があった。
「あの……」
「ん?」
「ずっと一人で戦ってるようなものなのに、疲れないのですか?」
「心配しなくても大丈夫だぞ。おっちゃん、体力いっぱいあるんだ」
「はあ……でも、さっき休憩していた勇者様たちは疲れていたように見えましたけど……本当は無理してるんじゃ」
「あれは気苦労してるだけじゃないかな~?」
勇者たちの疲労の原因の半分はイロナ。もう半分は戦闘の疲労なのだが、イロナに急かされてよけい疲れるので、100%イロナのせいと言っても過言ではない。
もしかしたらイロナがいなければそこまで疲れていなかったかもしれないので、ヤルモの予想は正解。だが、その正解はヒルッカには伝わらないようだ。
「そういえば、イロナさんもあまり疲れていなかったように見えました。もしかして、お二人は勇者様よりお強いのでは……」
「なわけないだろ。詮索するな」
「え……」
「あっ! おっちゃん口が悪かったね~。ごめんね~。怖くないよ~? アメちゃんあげるからね~」
いくら女の子でも、詮索して来る者には冷たいヤルモ。しかしすぐに気付いて誘拐犯みたいになるヤルモは必死に機嫌を取るので、ヒルッカは質問してはいけないことだったのだと学習したのであった。
それから地下10階の小ボスの部屋の前で集合した勇者一行は全員で入り、小ボスはクリスタたちの相手。クリスタたちも強くなってはいるが、三人で戦うにはHPが多いので、少し手こずって戦闘を終えるのであった。
「やっぱり勇者様よりヤルモさんのほうが強くないですか!?」
クリスタたちの不甲斐ない姿を見て、ヒルッカは真実に気付いてしまうのであった……
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