132 / 360
06 カーボエルテ王国 王都3
120 マッピング2
しおりを挟むヒルッカが不甲斐ないと泣き出したのであわあわしていたヤルモであったが、自分が悪い点を説明してなんとか落ち着かせようと頑張っている。
「そのままで、どれぐらいダメージを与えられるか実験してただけなんだ。だからゼロでも問題ないんだよ~?」
「実…験……ですか?」
「そうだよ~。次からはドーピングするから、ダメージが入るから心配しないくていいんだよ~?」
「ドーピング……」
「これを付けたらいいんだよ~?」
なんだか幼い子をさらおうとするオッサンみたいなになったヤルモは、攻撃力の上がるアクセサリーを山ほど渡すので、ますます誘拐犯に見える。
「それとこれな。攻撃力の上がるジュースだ。甘くて美味しいよ~? でも、戦闘の前に飲もうね~?」
やはり誘拐犯にしか見えないヤルモ。だが、ヒルッカには誘拐犯しか頼れる者が近くにいない。なので、言うことを聞くしかないので全てのアクセサリーを付けたら、ジュースはヤルモに渡されていたアイテムボックスの革袋に入れた。
「それじゃあ行くよ~? 地図だけはお願いね~?」
「……はい」
ヒルッカも誘拐犯みたいなヤルモが気持ち悪いのか、渋々あとを続くのであった。
特級ダンジョンの上層階はすでに冒険者に解放されているので、何組か先に通ったようでモンスターは少ない。そのおかげで順調にマッピングを続けていたら、ヒルッカからモンスターが居ると聞いたのでストップ。
ヒルッカの準備を待って、ヤルモは突撃して行った。
今回のモンスターは、オークジェネラルが五匹。少し多いので、二匹ほど間引きしてからヤルモは叫ぶ。
「さっきの奴より遅いぞ! 俺が止めた瞬間を冷静に狙え!!」
「はい!!」
オークジェネラルなら足は遅いし的が大きい。ヤルモは大盾だけで戦い、攻撃を受けた瞬間にヒルッカからスリングショットが放たれる。
ここでも、当たったり当たらなかったりヤルモに当たったり。ヒルッカから何度も謝罪があったがヤルモは気にせず攻撃するように言っていたら、大盾で押し返していただけなのにオークジェネラルは全て倒れてしまうのであった。
「やった! やりましたよ! レベルが上がりました!!」
嬉しそうに尻尾を振りながらピョンピョン跳んでヤルモに近付くヒルッカ。ヤルモも自分のことのように喜んでいる。
「やったな! いくつ上がった?」
「3も上がりましたよ!!」
「そ……そうか! 3も上がったか!!」
「レベルが上がったの久し振りで嬉しいです~」
ヒルッカが喜んでいるところに水を差すようなことはしないヤルモ。本当はもっと上がっていると思っていたようだが口には出さず、マッピングを続けるのであった。
* * * * * * * * *
クリスタ班の場合……
「倒すのが遅い!」
ヤルモと分かれてマッピングを続けていたクリスタ班は、イロナ軍曹にしごかれていた。
「こうやるんだ!」
次に出会ったモンスターでいちおう見本を見せてくれるイロナであったのだが……
「勇者様、見えています?」
「いや、線ぐらいしか……」
「もう終わったみたいですよ……」
イロナが速すぎて参考にならない。しかし、それを言うと怒られそうなので、次のモンスターが出ないことを祈るクリスタ、オルガ、リュリュ。
クリスタが慎重に進み、オルガが地図を書き込み、リュリュがクリスタの補助やマッピングの補助とマルチに動いていたら、先客がモンスターと戦っていた。
「チッ……こいつらも勇者に輪をかけて遅いな」
「「まぁまぁ……」」
道を塞ぐように戦う冒険者パーティを見てイロナが苛立つので、クリスタたちはひやひや。飛び出さないように祈っていたらモンスターが倒され、冒険者パーティがクリスタを見た瞬間、謝罪をして道を譲っていた。
クリスタも「ごめんね~」と言いながら通りすぎたが、イロナは舌打ちしながらだったのでめちゃくちゃ態度が悪い。
そうして先を進んでいたら、道を譲られたことでモンスターが出て来てしまった。
「行くよ!」
「「はい!」」
イロナの目があるので、クリスタたちは『ガンガン行こう』。クリスタは盾役をこなしながら後ろに指示を出し、オルガの支援魔法やリュリュの攻撃魔法のタイミングを合わる。
前回の攻略でレベルが上がっていたこともありダメージの通りはよく、三人とは思えないぐらいの早さでモンスターを倒したクリスタたちであった。
「遅い! 我の見本がまったくできてないぞ!!」
「「「だって見えないんですも~~~ん!!」」」
それでもイロナからの叱責が来たので、ついに言っちゃった三人。さすがに見えてないと知ったイロナは、反省するのであっ……
「そっちの二人はしょうがないとして、勇者は見えるだろ?」
「ヤルモさん助けて~~~!!」
いや、オルガとリュリュ分しか反省していないので、早くもクリスタの泣きが入るのであったとさ。
0
お気に入りに追加
319
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる