【R18】前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配

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05 カーボエルテ王国 王都2

112 勇者の仕事2

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「おっふ……」

 クリスタとオルガに腕に絡み付かれたヤルモはちょっと嬉しそう。特に右腕が大きな柔らかい物に挟まれているので、ヤルモのヤルモが反応している。

「主殿ならすぐに振り払えるだろう? 何故、そうしない??」
「いてっ! 内ももはやめてくれ~~~!!」

 ヤルモが柔らかいよっつの物を堪能していたら、イロナのローキックが炸裂。外側にはクリスタとオルガがいるから普通のローキックはできないので、よけい痛いヤルモであった。

「で……何をどう手伝えと?」

 クリスタとオルガが離れてくれないので、イロナのインナーローキックから逃げ出すには協力しないといけないと諦めたヤルモ。

「これ、1階から100階までの地図を一枚ずつ書いて、図鑑を頼りにモンスター名やアイテムを書き込まないといけないの」
「半分どころか、ほとんど白紙に近いんだけど……」
「いや、その、あははは」

 クリスタは冒険者として覚えることが多かったので、歩いた所なんて一切記憶にないので笑うしかない。

「てか、聖女が一番手が空いていたんだから、地図を作りながら歩けばよかったんじゃね?」
「うっ……知っていれば書いていたのですが……そんな説明ありましたっけ??」
「なかったよね~??」
「「ねえ~」」

 さっきまでどちらが勇者の仕事を聞き忘れていたかでケンカしていたのに、こんな時だけクリスタとオルガは仲良し。説明はあったのになかったと言い張るので、ヤルモはため息しか出ない。

「はぁ~~~。いつまでに提出なんだ?」
「できるだけ早くって言われてるけど……」
「チッ……俺も全て覚えてないから協力しろよ」
「「ありがとうございます!!」」

 ヤルモがまず先にしたことは、書き込まれた地図の削除。変に書かれていると記憶が混同するので邪魔なようだ。クリスタたちにも指示を出したので、「せっかく書いたのに~」と涙目で言いながら消しゴムで消していた。
 次にしたことは、階段から階段を繋ぐ線をぐにゃぐにゃっと鉛筆で書く。一筆書きで適当に書いたように見えるが、驚くことにヤルモは全ての順路が頭に入っていたのだ。

「何これ? こんなの提出したら怒られちゃうよ」

 しかし、ヤルモの偉大さはいまいちクリスタたちに伝わっていない。

「これを元に肉付けするんだよ。ここに壁があるだろ? んで、ここが分岐点だ」
「わっ! そんな道だった気がする!!」
「ある程度書き込むから、あとは繋いでくれ」

 ヤルモは順路と分岐点のマークだけを書き込むと、あとはクリスタに壁などを書き込んでもらう。ヤルモのほうが早いので、オルガとリュリュにも回し、何故かエイニとウサ耳メイドのリーサも手伝っていた。
 分業したことによってかなりスピードが上がったが、クリスタ班は書き込むことが多いので遅れが出ている。

「ほい、100階っと。そっちはどれだけ進んだ?」
「まだ50階ぐらい……」
「じゃ、あとは任せた」
「ええぇぇ~!!」
「別に今日やれとは言ってないだろ。疲れてるなら寝てからやれ。おやすみ~」

 ヤルモは仕事が終わったらイロナを連れて部屋に逃げる。クリスタたちはもう少し頑張っていたようだが眠気には勝てず、すぐに解散となっていた。

 逃げた部屋にはヤルモの逃げ場がない。今夜もイロナの性的虐待でHPを削ってから眠りに就くヤルモであった。


 翌朝も、食堂で朝食を取ったら地図の作成。イロナが見つめるなか、ヤルモは完成している地図を見ながら出現モンスター名と宝箱があった場所を書き込む。
 その時、エイニも作業に加わっていたので、ヤルモは疑問を口にする。

「なあ? アルバイトに行かなくていいのか?」
「アルバイトはやめました! これから宿屋一本でやって行くのです!!」
「ふ~ん……そんなんで食っていけるのか?」
「大丈夫ですよ~。たまにヘルプに行きますし……」
「完全にはやめてないんだ……」

 いっちょ前なことを言っていたわりには弱気なエイニ。このあと勇者効果でバブルが来るのに自信がないようだ。

 そうこうお喋りしていたら、地図の書き込みは終了。ヤルモは自分が書いたモンスター名と宝箱を見せて確認する。

「モンスターは覚えているんだけどな~……宝箱の中身は無理だ」
「もうこれだけ書き込めたらいいんじゃない?」
「お前な~。そんな適当なことを言ってたらムチで打たれるぞ」
「冒険者ギルドってそんなにブラックなの!?」

 どうもヤルモは鉱山奴隷の経験が長すぎて変な事を口走ってしまったようだ。そのせいでクリスタたちを驚かせてしまったので、慌てて訂正する。

「じょ、冗談だ。でも、やり直しとか言われたら協力しないからな」
「うぅぅ……覚えてるだけ書くよ~」
「俺も庭で確認して来る」

 クリスタたちが頭を捻って話し合っている内に、ヤルモはドロップアイテムの仕分け。例の如く大まかに分け、種類別に並んだらイロナの剣の品定めが始まる。
 そんななか、ヤルモはさらにレア度順に並べたら、イロナに見張りを頼んで皆を呼び出した。

「「「「「うわ~~~」」」」」

 今回はスタンピードが無かったので前回の四分の一程度の物量だが、それでもかなりの量のアイテムがあるから、皆は宝の山でも見るかのように感嘆の声を出した。

「物を見たら思い出すかもしれない。レア度が高い物は、下の階層だろうな。手分けして書き込め」

 こうして皆はわいわいと歩き回り、マップの空欄が埋められて行くのであった。

「そこの二人! 全部俺のだからな!!」

 高そうなアクセサリーを付けてはキャッキャッと見せ合うエイニとリーサをヤルモが見張りながら……
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