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02 カーボエルテ王国 ハミナの町
026 ホームパーティー
しおりを挟む若手パーティのホームに招かれたタピオとイロナ。イロナは普通に接しているようだが、タピオは人見知りが出て話にも入れない。
唯一喋ったことは、広場で食材を買っていた際、肉屋のおっちゃん相手に「俺が出す」と言っただけ。いちおう冒険者の先輩なので、若手パーティに全額負担させてはいけないというプライドは持ち合わせていたようだ。
食材が揃うと、ゾロゾロと若手パーティのホームへ向かう。外壁の近くともあり寂れていて家も綺麗とは言えないが、若手パーティは綺麗に使っていたようだ。
中へ入るとイロナは二人の少女と共にキッチンに向かい、タピオは椅子に座ってだんまり。料理ができるのを待つ。
ただ、タピオもホームを持つことには興味があったらしく、キョロキョロと部屋の中を見回していた。
「オッサンは強いんだから、俺たちよりいいホームに住めるんじゃね?」
リーダーのシモは黙って座っているのが苦手なのか、ついタピオに質問してしまった。
「値段によるな」
目も合わせないタピオから返事が来ると、シモは活路を見出だしたと思って話を続ける。
「賃貸だから、そこまで高くないぞ。つっても、料理とか掃除は面倒だけどな」
「だろうな」
「もっと稼げるようになったらもう少しギルドに近い場所に移って、使用人なんてのも雇う予定だ。俺もオッサンみたいに綺麗な奴隷でも買おうかな」
「綺麗だけど……なんでもない」
タピオはイロナの話になると欠陥品だと言い掛けたが、ギリギリ止めた。
「綺麗だけどなんだよ? 気になるだろ」
「……買う時は気を付けろと言いたかっただけだ。無理して買うと、痛い目にあうぞ」
現在、物理的に痛い目にあわされているタピオは、若干の後悔はある。あの時、もう少し冷静な判断ができていれば、夜を楽しめたのではないかと……
これ以降はタピオは口を閉ざしたのでシモも話し掛け難くなるが、イロナの強さを思い出したので、コソコソと仲間の少年二人と奴隷について話し合っていた。ひょっとしてタピオは、欠陥品を売り付けられたのではないかと……
そうして静かなダイニングに、料理を持った少女とイロナが戻れば宴が始まる。イロナはタピオの隣に座り、自分の作った料理をタピオの口に放り込んでいた。
「うん、うまい。でも、自分で食べれるからもういいぞ」
「これも奴隷のお勤めだから続けよう」
「いや……むごっ」
周りの目があるからタピオは断っていたのに、イロナはポイポイと口に放り込むので、タピオは喋れなくなる。当然ペースも早いので口の中に料理が溜まり、息ができない事態となって、ようやく止まってくれた。
その二人を最初は仲睦まじく見ていた若手パーティだが、タピオの命令を一切聞かないイロナを不思議に感じているようだ。
「あの……イロナさんは、本当に奴隷なのですか?」
アイリは二人の関係が気になってしまい、質問してしまった。
「そうだ。何か変なところがあったか?」
「変すぎますよ。普通、奴隷の人は主人の嫌がることはできないはずです」
「主殿は喜んでいるぞ。な?」
タピオはイロナにこう言われたからには、頷くしかない。ただ、その頷きは速すぎて、アイリからは否定しているように見えてしまった。
「お二人は、本当はどこかの国の凄い人なんじゃないですか? 駆け落ちして来たとか……」
「ほう? 我がお姫様に見えるのか。聞いたか主殿??」
「う、うん。イロナは綺麗だから見えなくはない。俺がもっと若ければ、釣り合いが取れたかもな」
「フッ……言うではないか!」
「いだ~~~!!」
照れたイロナはタピオの背中を叩くが、手加減が一切なかったのでタピオは踏ん張ってなんとか耐える。
その音は、「バシーンッ」とか生易しい音ではなく、「ドゴーンッ!!」と鳴ったものだから、若手パーティはますます二人の関係がわからなくなるのであった。
* * * * * * * * *
タピオとイロナは夕暮れまでホームにお邪魔したら、礼を言って帰って行く。二人の姿が見えなくなると、アイリとシモの間でこんな会話が行われていた。
「どう見ても、イロナさんのほうが主人よね?」
「うん。でも、いくら安くても、あんなオッサン買うか?」
「戦闘奴隷ならアリじゃない?」
「イロナさんのほうが遥かに怖いんだけどな~」
「こういうのはどう? イロナさんが一目惚れして買ったとか??」
「あんなオッサンを~? ないだろう~」
二人が話し合っていると、魔法使いの少女が話に入る。
「筋肉はよかったじゃない。私もあんな腕で包まれたい」
「うっわ……お前、そんな趣味だったのか?」
「いいでしょ。あんたもアレぐらいになったら相手してあげるわ」
「あんな筋肉ダルマは嫌だ~~~!!」
シモはタピオに対してかなり失礼なことを言って拒否するが、戦士の少年はかっこよく思っていたのか、はたまた魔法使いに気に入られたいのか、筋力トレーニングに精を出すのであったとさ。
* * * * * * * * *
「さあ! 今日は何をする!!」
宿屋に帰ると、イロナの奉仕の押し売り。タピオはレベル差も開いたので、行為の見せ合いを提案し、前よりすごいモザイクを見ながら果てたのであった。
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