忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no

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拾参 最終配信 其の二

79 操作の巻き

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 飛び掛かる韓国兵を二刀流で吹き飛ばしながら揚陸艦ようりくかんの後方に駆けていた半荘は、ブリッジ真下まで来ると、壁を駆け上がる。
 そして窓辺りまで進むと、右手に握った刀で円形に切り抜き、ブリッジに侵入した。

『『『忍チューバー!?』』』

 驚く艦長達の言葉は半荘に伝わらない。

「えっと……ゴーホーム、オア、キル。オーケー?」

 物騒な事を口走る半荘に、艦長達から拳銃を向けられる。

「オーノー。帰ってくれないか~」

 パーン!

 半荘が喋っているにも関わらず、拳銃が火を吹く。
 だが、そんな銃弾など、半荘の身体能力には敵わない。
 ひょいっと避けて、ブリッジに居た者は、あっと言う間に打ち捨てられた。

 そして、部屋の片隅で震えて座っている若い男だけを残していた半荘は、近付くとしゃがみ込み、目線を合わせる。

「コ、コロさないで……」

 若い男は片言の日本語で話し掛けて来たので、半荘は目を輝かせる。

「日本語、喋れるのか?」

「ちょ、ちょっとだけね」

「やった! じゃあ、船を反転させてくれ!!」

「それしたら、コロさない?」

「コロサナ~イ。でも、しなかったらコロ~す!」

 若い男の質問に笑顔で答える半荘は、忍刀しのびがたなを床に突き刺した。

「ア、アブない!」

「早く反転させないと、コロすかもしれな~い!」

「わ、わかった」

 ノリノリで脅す半荘。
 誰ひとり殺していないのに、若い男が勘違いしているのならば、これ幸いと脅しているようだ。
 ネットの中でも、「悪いヤツだな」と笑われていた。


 若い男は操縦装置の前に立つと、いろいろ操作し、まずは急ブレーキ。
 慣性が働き、若い男は腹を操縦装置に打ち付けていたが、半荘はぴくりとも動かない。
 だが、艦内では、進行方向に転げる韓国兵が続出。
 半荘を追っていた韓国兵も、体を打ち付けられる事となった。

 次に左旋回。
 ブレーキを掛けたと言っても、スクリューを逆回転にしたので、スピードが落ちただけ。
 曲がるには少し速かったのか、船体は大きく揺れて、またしても体を打ち付けられる韓国兵が続出。
 半荘も、落ち着いて操縦しろと言っていた。

 そうして船首が韓国本土の方角に向き、全速前進を始めると、半荘は拍手をしながら若い男に話し掛ける。

「お疲れさ~ん」

「ヨウキュウどおりやった。これでコロさない」

「オーケー、オーケー」

 笑いながら刀を構える半荘に、若い男は顔を青くする。

「ヤメて! シニたくない!!」

「オーケー。グッナ~イ」

 慌てる若い男は、半荘の峰打ちにて眠りに就くのであった。

「そんなに怖がらなくても……殺さないとは言ったけど、眠らせないとは言ってないだろ」

 半荘の愚痴がVチューブに乗ると、笑い声や若い男を憐れむ声が書き込まれるが、そんなに悠長にやっている時間は無い。
 転がっている韓国兵のボタンを引きちぎった半荘は、ブリッジの扉に近付き、開けると同時に飛び出した。

『『『ぐわっ!』』』

 ブリッジの外には、少なからず韓国兵が集まっていたので、半荘はボタンを指で弾いて顔にぶつけた。
 これだけでは一瞬しか動きを止められない。
 だが、一瞬だけ動きを止めればそれでいい。
 半荘は二刀流で、集まって来た韓国兵を薙ぎ倒す。

「さてと~……あとは……」

 それだけ呟いた半荘は、ブリッジの扉に近付き、ドアノブを握って横に引きちぎってしまう。
 そして、タッチパネルもクナイを走らせて破壊。
 これだけなら、力業で開けられる可能性もあるので、寝ている韓国兵からナイフを拝借して、扉の下部を貫通させて床に突き刺す。
 もちろん抜かれないように、ナイフの柄も引きちぎった。

 扉は開放不可能。
 爆弾を使えば破壊できるだろうが、時間稼ぎにはなるだろう。

「これでよし。そんじゃ、もう少し掃除をして戻りま~す」

 その後も、艦内の目に写る韓国兵は、忍チューバー無双で吹き飛ばされ、世界中の視聴者は沸き上がるのであった。
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