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捌 助け
52 韓国政府と日本政府
しおりを挟む忍チューバーのレポートが終了した直後、韓国大統領官邸では、側近が慌てていた。
『ど、どうします? このままでは、我が国は……だから言ったじゃないですか!』
人質を見殺しにするでなく、道具として使おうとした門大統領に非難の声が、世界中からあがっていた。
もちろん韓国国内も荒れに荒れ、デモ隊が大統領官邸を囲んで「辞めろ」の大合唱。
門大統領は、窓からその光景を見ながら口を開く。
『何も問題ない。この罪は、私の命で払うのだからな。それより、国連への呼び掛けが気になる。国連が動くと、独島がどちらの国かはっきりさせようとするかもしれん』
『この際、国連に任せてみてはいかがでしょう? 70年近く我が国が所有している島ですし、国連も認めてくれるのでは?」
『今は心証が悪い。それに現在、二つの国の者が滞在している。確実に我が領土と主張するには、忍チューバーが邪魔だ。忍チューバーを排除するまでは、国連が動く時間稼ぎをしなくてはならん!』
『国連はなんとかなるとして、日本艦隊と睨み合っている中で、忍チューバーを排除する方法が……』
『夜襲だ。ヤツが寝ている時間に、音も無く上陸させれば独島は元通り。日本艦隊も帰るしかないだろう』
これより、忍チューバー暗殺チームが組まれ、国連でもロービー活動が行われるのであった。
* * * * * * * * *
同時刻、日本でも緊急閣議が行われ、閣僚が集まっていた。
「まずは国連だ。こちらが戦争を仕掛ける意図は無いと忍チューバーが宣伝してくれたのだから、こちらから仕掛けても、味方に付いてくれるように仕向けねば」
阿保総理の言葉に、環境大臣大泉が手を上げる。
「その政府の弱腰の姿勢が忍チューバーに暴露され、若者を中心に非難の声があがっています。指示率も下がっていますが、どうなされますか?」
「それで……対案があって、そんな発言をしているのでしょうね?」
大泉の発言には、経産大臣が嘲笑うように皮肉を言う。
「私は事実を述べただけです。解決するのは、所轄外です」
「また所轄外ですか……だったら、その質問も所轄外なんだから、しなきゃいいのでは?」
「待て待て」
しだいに熱くなり、二人が喧嘩になりそうに感じた阿保総理は割って入る。
「君達ね。仲が悪いのは知っているが、この会議の中ではやめてくれ」
阿保総理の言葉で、二人はそっぽ向く。
「とりあえず、支持率は置いておこう……とは言わない。忍チューバーさえ無事に日本に戻れば、それだけで支持率は上がるはずだ。でだ、どうやったら日本艦隊を竹島に接岸させられるかを考えようではないか」
阿保総理も支持率は気になるようで、忍チューバーを取り返す話し合いに移る。
だが、具体的な案を出せと言うと、各大臣は下を向く。
誰も返事をしない中、テレビをつけると、どこかの政治家が戦争発言で炎上しているとニュースが入った。
「またこいつか……忍チューバーの前に、こいつを政界から抹殺する方法を話し合おうか」
煮詰まって……いや、まったく案が出ない会議に嫌気が差した阿保総理は、冗談で岡山を辞めさせる案を出させると、出るわ出るわ。
かなりえげつない手法でも、大喜利のネタのように笑う大臣達。
結局は、ハニートラップと資金の調査の二本柱で、岡山を潰す決定をする。
「おっぱい、おっぱい」叫んでいた岡山なら、ハニートラップだけでも十分だと思えたが、政治家なら誰しも不正は持ち合わせているので、念には念を入れて資金も調査するようだ。
「わははは…は……こんな事を話し合っている場合ではなかった!!」
ようやく忍チューバーを思い出した阿保総理は、馬鹿笑いをやめ、救出の話し合いに戻る。
しかし饒舌に語っていた大臣達は黙り込み、仕方がないので防衛大臣に案を出させ、閣議で可決するのであった。
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