忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no

文字の大きさ
上 下
52 / 93
捌 助け

52 韓国政府と日本政府

しおりを挟む

 忍チューバーのレポートが終了した直後、韓国大統領官邸では、側近が慌てていた。

『ど、どうします? このままでは、我が国は……だから言ったじゃないですか!』

 人質を見殺しにするでなく、道具として使おうとした門大統領に非難の声が、世界中からあがっていた。
 もちろん韓国国内も荒れに荒れ、デモ隊が大統領官邸を囲んで「辞めろ」の大合唱。
 門大統領は、窓からその光景を見ながら口を開く。

『何も問題ない。この罪は、私の命で払うのだからな。それより、国連への呼び掛けが気になる。国連が動くと、独島がどちらの国かはっきりさせようとするかもしれん』

『この際、国連に任せてみてはいかがでしょう? 70年近く我が国が所有している島ですし、国連も認めてくれるのでは?」

『今は心証が悪い。それに現在、二つの国の者が滞在している。確実に我が領土と主張するには、忍チューバーが邪魔だ。忍チューバーを排除するまでは、国連が動く時間稼ぎをしなくてはならん!』

『国連はなんとかなるとして、日本艦隊と睨み合っている中で、忍チューバーを排除する方法が……』

『夜襲だ。ヤツが寝ている時間に、音も無く上陸させれば独島は元通り。日本艦隊も帰るしかないだろう』

 これより、忍チューバー暗殺チームが組まれ、国連でもロービー活動が行われるのであった。


  *   *   *   *   *   *   *   *   *


 同時刻、日本でも緊急閣議が行われ、閣僚が集まっていた。

「まずは国連だ。こちらが戦争を仕掛ける意図は無いと忍チューバーが宣伝してくれたのだから、こちらから仕掛けても、味方に付いてくれるように仕向けねば」

 阿保総理の言葉に、環境大臣大泉が手を上げる。

「その政府の弱腰の姿勢が忍チューバーに暴露され、若者を中心に非難の声があがっています。指示率も下がっていますが、どうなされますか?」

「それで……対案があって、そんな発言をしているのでしょうね?」

 大泉の発言には、経産大臣が嘲笑うように皮肉を言う。

「私は事実を述べただけです。解決するのは、所轄外です」

「また所轄外ですか……だったら、その質問も所轄外なんだから、しなきゃいいのでは?」

「待て待て」

 しだいに熱くなり、二人が喧嘩になりそうに感じた阿保総理は割って入る。

「君達ね。仲が悪いのは知っているが、この会議の中ではやめてくれ」

 阿保総理の言葉で、二人はそっぽ向く。

「とりあえず、支持率は置いておこう……とは言わない。忍チューバーさえ無事に日本に戻れば、それだけで支持率は上がるはずだ。でだ、どうやったら日本艦隊を竹島に接岸させられるかを考えようではないか」

 阿保総理も支持率は気になるようで、忍チューバーを取り返す話し合いに移る。
 だが、具体的な案を出せと言うと、各大臣は下を向く。
 誰も返事をしない中、テレビをつけると、どこかの政治家が戦争発言で炎上しているとニュースが入った。

「またこいつか……忍チューバーの前に、こいつを政界から抹殺する方法を話し合おうか」

 煮詰まって……いや、まったく案が出ない会議に嫌気が差した阿保総理は、冗談で岡山を辞めさせる案を出させると、出るわ出るわ。
 かなりえげつない手法でも、大喜利のネタのように笑う大臣達。

 結局は、ハニートラップと資金の調査の二本柱で、岡山を潰す決定をする。
 「おっぱい、おっぱい」叫んでいた岡山なら、ハニートラップだけでも十分だと思えたが、政治家なら誰しも不正は持ち合わせているので、念には念を入れて資金も調査するようだ。

「わははは…は……こんな事を話し合っている場合ではなかった!!」

 ようやく忍チューバーを思い出した阿保総理は、馬鹿笑いをやめ、救出の話し合いに戻る。
 しかし饒舌じょうぜつに語っていた大臣達は黙り込み、仕方がないので防衛大臣に案を出させ、閣議で可決するのであった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

公主の嫁入り

マチバリ
キャラ文芸
 宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。  17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。  中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...