忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

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漆 開戦

45 宣戦布告? 韓国の場合

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 韓国艦隊が独島へ総攻撃を仕掛ける前、、韓国大統領官邸では……

『な、なんだと!? 日本の艦隊が独島に向かっているだと!?』

 側近から報告を受けた門大統領は、焦った声を出す。

『ど、どうしましょうか?』

 独島に日本艦隊が迫っているという事は、現在向かっている韓国艦隊が鉢合わせになる。
 そうなった場合、どちらかの攻撃を火種に、戦争に突入する事になってしまう。
 しかし引き返すと独島を日本に占領されてしまうので、引くにも引けない。

 門大統領は、決断するしかない。

『早急に独島を取り返せ! 島に韓国軍が居れば、日本は何もできん。どんな武器も使用許可を出せ!!』

『し、しかし、そんな事をしては、世界から非難を浴びますし、日本に宣戦布告と受け取られかねません。まずは、忍チューバーの説得が先じゃありませんか?』

 門大統領は側近の言葉で、椅子に腰を落とす。

『たしかにそれが、一番手っ取り早いんだが……』

『幸い、我が艦隊のほうが先に到着しますし、そんな大艦隊を見せて丁重にもてなせば、忍チューバーは船に乗ってくれますよ。その報告を待ってから、武器の使用は考えましょう』

『むっ……それもそうだな』

 側近の説得で、いきなり総攻撃は無くなったが、軍からの報告が大統領府に届くと、門大統領の機嫌は最悪となる。

『断っただと……』

『それと、人質に取られていた女性を船に乗せてもいいかと聞いて来ているようです……』

『人質? そういえば、そんな報告があったな』

『では、乗せるように……』

『待て!』

 人質が無傷で帰って来るにも関わらず、門大統領は、側近の言葉を遮る。

『人質が残っていたほうが、こちらには都合がいいだろ?』

 忍チューバーに人質が取られていれば、取り戻すために無茶をしても言い訳が立つ。
 それに忍チューバーに殺されたと言えば、韓国への同情が集まると思っている門大統領。
 しかし側近は、首を横に振る。

『昨日の夜に更新された動画では友好的に接していましたし、今回の動画を更新されてしまった場合、誤爆で殺してしまっては、国内はさらに悪化してしまいます』

『なあに。大砲で独島を焼け野原にしてしまえば、証拠も何も残らないだろう。その前に、上陸部隊が忍チューバーを蜂の巣にして終わりだ。無傷で人質も取り返せる』

『そうなればよろしいのですが……』

 側近の心配はドンピシャ。
 数十分後、上陸部隊は半荘に破れたと報告が入った。

『くそっ! 忌々しい忍チューバーめ~~~!!』

 椅子に座って貧乏揺すりをしていた門大統領は、机を叩いて立ち上がる。

『大砲だ! 日本艦隊が来る前に、撃って撃って撃ちまくって、忍チューバーを粉々にしろ! あいつさえ居なければ、独島は我が国の領土だ!!』

 上陸部隊が艦隊に戻る中、命令を聞いた韓国艦隊は、総攻撃を仕掛ける。
 その途中の報告では、忍チューバーは建物の無い島に上陸したとあり、格好の的となったと喜ぶ門大統領。

 しかし、なかなか忍チューバー死亡の報告が届かない。
 それどころか、ついに日本艦隊が姿を見せたと、最悪の報告が入った。

『忍チューバーは、まだ生きているのか!?』

『おそらくは……』

 側近の返事を聞いて、門大統領はドサッと椅子に腰を落としてしまう。

『正直言いますと、我が国は、最大の危機となっています。このまま攻撃を続けたならば、日本から反撃を受けるだけでなく、世界からも非難の声を受けます』

 側近の冷静な進言に、門大統領は項垂うなだれる。
 だが、名案が浮かんで、立ち上がった。

『日本に引き金を引かせたらいいんだ』

『え……』

『前に、レーダー照射をしただろ? それを今回もやってやれ。挑発に乗って、引き金を引いたならば、こっちのものだ』

『あの……それは、公にはやっていない事にしているのですが……』

『そんなもの、どっちでもいい。先に攻撃さえさせればいいんだ』

『……わかりました』


 門大統領の、またしても苦し紛れの策に、側近は渋々各所に通達する。
 その指示を聞いた艦隊は、攻撃をやめて前線を少し下げ、日本艦隊の動きを待つのであった。
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