45 / 93
漆 開戦
45 宣戦布告? 韓国の場合
しおりを挟む韓国艦隊が独島へ総攻撃を仕掛ける前、、韓国大統領官邸では……
『な、なんだと!? 日本の艦隊が独島に向かっているだと!?』
側近から報告を受けた門大統領は、焦った声を出す。
『ど、どうしましょうか?』
独島に日本艦隊が迫っているという事は、現在向かっている韓国艦隊が鉢合わせになる。
そうなった場合、どちらかの攻撃を火種に、戦争に突入する事になってしまう。
しかし引き返すと独島を日本に占領されてしまうので、引くにも引けない。
門大統領は、決断するしかない。
『早急に独島を取り返せ! 島に韓国軍が居れば、日本は何もできん。どんな武器も使用許可を出せ!!』
『し、しかし、そんな事をしては、世界から非難を浴びますし、日本に宣戦布告と受け取られかねません。まずは、忍チューバーの説得が先じゃありませんか?』
門大統領は側近の言葉で、椅子に腰を落とす。
『たしかにそれが、一番手っ取り早いんだが……』
『幸い、我が艦隊のほうが先に到着しますし、そんな大艦隊を見せて丁重にもてなせば、忍チューバーは船に乗ってくれますよ。その報告を待ってから、武器の使用は考えましょう』
『むっ……それもそうだな』
側近の説得で、いきなり総攻撃は無くなったが、軍からの報告が大統領府に届くと、門大統領の機嫌は最悪となる。
『断っただと……』
『それと、人質に取られていた女性を船に乗せてもいいかと聞いて来ているようです……』
『人質? そういえば、そんな報告があったな』
『では、乗せるように……』
『待て!』
人質が無傷で帰って来るにも関わらず、門大統領は、側近の言葉を遮る。
『人質が残っていたほうが、こちらには都合がいいだろ?』
忍チューバーに人質が取られていれば、取り戻すために無茶をしても言い訳が立つ。
それに忍チューバーに殺されたと言えば、韓国への同情が集まると思っている門大統領。
しかし側近は、首を横に振る。
『昨日の夜に更新された動画では友好的に接していましたし、今回の動画を更新されてしまった場合、誤爆で殺してしまっては、国内はさらに悪化してしまいます』
『なあに。大砲で独島を焼け野原にしてしまえば、証拠も何も残らないだろう。その前に、上陸部隊が忍チューバーを蜂の巣にして終わりだ。無傷で人質も取り返せる』
『そうなればよろしいのですが……』
側近の心配はドンピシャ。
数十分後、上陸部隊は半荘に破れたと報告が入った。
『くそっ! 忌々しい忍チューバーめ~~~!!』
椅子に座って貧乏揺すりをしていた門大統領は、机を叩いて立ち上がる。
『大砲だ! 日本艦隊が来る前に、撃って撃って撃ちまくって、忍チューバーを粉々にしろ! あいつさえ居なければ、独島は我が国の領土だ!!』
上陸部隊が艦隊に戻る中、命令を聞いた韓国艦隊は、総攻撃を仕掛ける。
その途中の報告では、忍チューバーは建物の無い島に上陸したとあり、格好の的となったと喜ぶ門大統領。
しかし、なかなか忍チューバー死亡の報告が届かない。
それどころか、ついに日本艦隊が姿を見せたと、最悪の報告が入った。
『忍チューバーは、まだ生きているのか!?』
『おそらくは……』
側近の返事を聞いて、門大統領はドサッと椅子に腰を落としてしまう。
『正直言いますと、我が国は、最大の危機となっています。このまま攻撃を続けたならば、日本から反撃を受けるだけでなく、世界からも非難の声を受けます』
側近の冷静な進言に、門大統領は項垂れる。
だが、名案が浮かんで、立ち上がった。
『日本に引き金を引かせたらいいんだ』
『え……』
『前に、レーダー照射をしただろ? それを今回もやってやれ。挑発に乗って、引き金を引いたならば、こっちのものだ』
『あの……それは、公にはやっていない事にしているのですが……』
『そんなもの、どっちでもいい。先に攻撃さえさせればいいんだ』
『……わかりました』
門大統領の、またしても苦し紛れの策に、側近は渋々各所に通達する。
その指示を聞いた艦隊は、攻撃をやめて前線を少し下げ、日本艦隊の動きを待つのであった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる