忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no

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漆 開戦

44 宣戦布告? 日本の場合

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 竹島が韓国艦隊から総攻撃を受ける前、総理官邸では、頭を抱えている安保総理と防衛大臣の姿があった。

「あの国は、どうなっているんだ?」

「私に言われましても……」

 忍チューバーの動画で門大統領の嘘がバレ、韓国国内は一触即発の事態。
 こうなっては忍チューバーを殺すわけがないはずなので、韓国艦隊は引き返すと考えていた二人。
 なので、日本も忍チューバーを迎えに行く……ついでで竹島を取り返せると思って艦隊を出したのだが……

「どうして引き返していないんだ~!」

 まったく行動の読めない門大統領に、安保総理達は頭を抱えるしかなかった。

「てか、このままじゃ、うちの艦隊とぶつかっちゃうんじゃね?」

 やや現実逃避気味で現実を語る安保総理に、防衛大臣も敬語を忘れてしまう。

「マジ、開戦。パネー」

 どうやら防衛大臣も先の未来を想像すると、現実を受け止めきれないようだ。
 だが、開戦と聞いた安保総理は、現実に戻って来た。

「ダ、ダメだ! 戦争をするわけにはいかん!!」

「はっ……あ! そうです! どうしましょう!?」

 それから真面目な話に移るが、艦隊が向かった事はマスコミに報じられているので、引き返すと国民に何を言われるかわからない。
 ただでさえ忍チューバーを助けて欲しいと、国の内外から署名が加速度的に集まっているのに、弱腰な姿勢を見せると批判にさらされて政権のダメージになってしまう。

 それならば、海の真ん中で止めてしまって、韓国艦隊が去るのを待とうと作戦を切り替えた。
 これならば、最悪、間に合わなかったと言い訳ができるので、政権のダメージを最小にできるのではと……
 しかし、そんな時間は、一日しか持たないかもと話し合う事になるが、新しい情報が届き、うだうだやっている場合ではなくなった。

「韓国艦隊から、大砲が放たれただと……」

 まさかの展開に、安保総理は愕然がくぜんとする。

「我が領土、竹島に……我が国民に大砲を放ったとなると……」

 防衛大臣はその先を言わなかったが、宣戦布告と言いたかったのであろう。
 本来ならば、忍チューバーが特殊部隊に襲われた段階で、宣戦布告と受け取ってもよかったのだが、門大統領の嘘がバレた事に笑っていて、忘れていたようだ。

「法務大臣を呼ばなくてはならないな……」

「法の解釈は法務大臣に任せるとして、そこまでされて、艦隊の前進を止めてもいいのでしょうか?」

「くっ……覚悟を決めるしかないか……」

 安保総理は指を組み、重たい口を開く。

「ひとまず前進。相手が発砲した場合に限り、応戦という事でどうだ?」

 やや弱腰の覚悟で、防衛大臣に質問する安保総理。
 責任を一人で抱えたくないようだ。

「しかし、先制攻撃をしたほうが、相手にダメージを与えられますよ?」

 当然の戦略ならば、先制攻撃が有効なのだが、弱腰の安保総理は……

「き、君! そんな事をして、こちらが宣戦布告をしたと思われたらどうするんだ!」

「ですよね~」

 すでに宣戦布告はされているにも関わらず、どこまでも弱気な安保総理と防衛大臣であった。
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