忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no

文字の大きさ
上 下
30 / 93
伍 夜襲

30 忍チューバーVS特殊部隊の巻き

しおりを挟む
 パパパパ!

『ぎゃ~~~!』

 パパパパ!

『ぐわ~~~!』

 軍用ヘリから、基地の屋根に向けて降下する韓国特殊部隊の隊員は、自動小銃を撃ったり、悲鳴をあげる。

『な、何が起こっているんだ!?』

 その騒音を確認するために、隊長は降下した隊員に無線で連絡を取るが、誰からも返事がなかった……


  *   *   *   *   *   *   *   *   *


 時は少し戻り、ヘリが基地の上空に来た頃には、半荘は屋根の上に立っていた。

「あ~あ……俺が居るのに、気付かず降りて来てるよ……」

 残念そうにヘリを見上げる半荘は、小さく呟く。

 特殊部隊が気付いていない理由は、半荘が忍術を使っているからだ。
 だが、たいした忍術ではないから、半荘は呆れている。

 使っている忍術は、ただの【隠れ身の術】。
 屋根の色に合わせた布を被っているだけだ。
 それでも、明かりの乏しい夜とあり、特殊部隊は半荘に気付かないで降下している。

「どれが一番速いかな~? アレだな!」

 半荘は、狙いを決めて、降下する隊員の真下まで移動する。
 そして頃合いと見ると、大ジャンプ。

 半荘の垂直跳びの最高到達地点は10メートルを超える。
 まさかそんな高い場所から攻撃を受けると思っていない隊員は、無防備に半荘の攻撃を受ける事となった。

『な、なんだ? 糸……?? う、動けない~~~!』

 半荘の攻撃は、細いワイヤーで拘束しただけなので、厳密には攻撃ではない。
 だが、降下して地上に降りたところで、身動きが取れなくなってしまう。
 さらに、隊員のワイヤーとも結び付けているので、このまま軍用ヘリが上昇したならば、逆バンジーは決定。
 その事に隊員も気付いたのか、叫び声をあげてしまった。

 そうして数人同じ目にあわせるが、特殊部隊も馬鹿ではない。
 降下しながら自動小銃を乱射して、身を守ろうとする。
 その弾丸は屋根に着弾するが、半荘はもうそこには居ない。

 自動小銃を放った隊員の後ろに飛び、ワイヤーを巻き付けて拘束。
 そのまま隊員に抱きついて、意識まで刈り取った。

 その事に気付かずに屋根に向けて乱射する隊員には、別のワイヤーを素手で登り、高さが合うと乗り移る。
 そして拘束してチョップ。

 自動小銃を放つ者を次々と気絶に追い込んだ半荘は、ワイヤーを振り子にして、気絶していない隊員に向かい、チョップを入れて、意識を刈り取るのであった。

「ふぅ……これで全部かな?」

 降下した隊員の動きがなくなると、半荘は一息ついてから上を見る。
 そうして凄い速度でワイヤーを登る半荘は、軍用ヘリの真下まで着くと、男と目が合った。

「よっ!」

『お前は~~~!!』

 男の正体は、最後に降下しようとしていた隊長だ。
 半荘は気さくに声を掛けたが、隊長は叫びながら自動小銃を半荘に向けた。

「こりゃマズイ」

 その瞬間、暢気のんきな声を出した半荘は、軍用ヘリのスキッドに飛び移り、鉄棒のようにして逆側に飛び移る。
 隊長は発砲が間に合わず、下を確認しようとするが、発見できない。
 半荘はすでに扉の逆側に飛び移ったと気付いた隊長は、逆側に移動して自動小銃を構えたが、そこにも居ない。

『どこに行った!!』

 それから隊長は右往左往し、半荘の姿を見付けられずに数分が経つ。

「そっちじゃないぞ~」

 なんとかして、ヘリの下を覗き込もうと腹這いの姿勢になっていた隊長に声を掛ける半荘。
 隊長はその声に、すぐに体勢を立て直してしゃがんだ姿勢で自動小銃を構える。

「おいおい。せっかく教えてあげたのに、ずいぶんな扱いだな。あ、言葉が通じないんだったか」

 ドア付近に立つ半荘は、腕を組みながら余裕で喋る。

「お前は忍チューバーだな……」

 自動小銃を半荘に向けたままゆっくり立ち上がる隊長は、日本語で声を掛けた。

「お! 日本語、話せるんだ。ラッキー!」

「何がラッキーだ! お前はここで死ぬんだ!!」

 パーン!

 日本語が通じると安心した半荘に、突如、凶弾が放たれたのであった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...