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第二十四章 アメリカ大陸編其の三 南米で遺跡発掘にゃ~

688 古代遺跡の発掘にゃ~

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「まずは邪魔な木を切り倒すにゃ~!」
「「「「「にゃ~~~!!」」」」」

 リータ達も遺跡の発見に興味津々になってくれたので、わしのお願いにも素直に応えてくれる。
 本来これほどの大きな木に囲まれていたら、伐採だけで何ヶ月掛かるかって話だが、我が猫パーティならお手のもの。

 リータとコリスは、黒い木を押しただけでボキッと折れる。
 イサベレとメイバイは、ザシュッと斬り込みを入れて蹴ったら黒い木は倒れる。
 オニヒメは風魔法で一発だから、たまにメイバイ達のマネをして扇で斬ったりもしている。

 当然わしは余裕で……と言いたいところだが、超忙しい。皆が手当たりしだいに伐採するので、遺跡に被害が出そう。なので、黒い木が倒れる前に次元倉庫に入れないといけないのだ。
 少なからず黒い獣も居たので、わしが隠蔽魔法を解いて威嚇……する前に、リータ達が瞬殺。わしが指示するまでもなく、伐採組と狩り組を交代でやってるよ。

 その甲斐あって小一時間もしたら、完全に巨大なピラミッドが姿を現したのであった。


「すっごいですね~」
「おっきいニャー」
「変わった形……これは家??」

 リータとメイバイがわいわい喋っていたら、イサベレが質問して来たので答えてあげる。

「これはピラミッドと言ってにゃ。王様が眠っている……と、思われるにゃ」
「え? お墓ってことですか?」
「こんなに大きいのがいるニャー?」
「いや、祭壇だったかにゃ??」
「はっきりして」
「ちょっと記憶を整理するから待ってにゃ~。とりあえず、一番上まで登ってみようにゃ」

 メキシコ文明はうろ覚えだったので、ひとまずピラミッドの正面だと思われる場所から登る。

 なんじゃったかな? メキシコシティ辺りにあるピラミッドって、ここまで出て来ておるんじゃけど……
 最初に緩やかな階段があって。途中から急な階段。てか、うちのビルなんか目じゃない高さ。出雲大社より高い。50メートル以上あるピラミッドとは? 太陽に関する何かじゃったような……

 わしは考えながら頂上まで登ると、リータ達が周辺を見ながらわいわい喋っていた。

「あそこって、広い道になってません?」
「うんニャー。他にも建物の跡があるニャー」
「あっち。あっちにも木の陰に同じ形のピラミッドがありそう」

 リータ、メイバイ、イサベレが指を差しながら喋っていたので、わしもその場所に視線を移したら、記憶が戻って来た。

「にゃ! 思い出したにゃ! テオティワカン遺跡にゃ~!!」

 そう。ここはメキシコシティ近辺にあるテオティワカン遺跡。わし達の立っている場所は、太陽のピラミッドだ。

「テオティ……なんですかそれ?」
「古代文明の遺跡の名前にゃ。この建造物は太陽のピラミッドと言って、祭壇に使われていたはずにゃ。近くには対となる月のピラミッドもあったはずにゃ~」
「それならあっちにありそう」
「けっこう広い遺跡郡にゃから、もうちょっと伐採してみようにゃ~」

 これよりわし達は太陽のピラミッドを中心に伐採を始め、建造物を複数発見して観光を行う。
 イサベレが見付けた月のピラミッドでは頂上に登り、神殿らしき建物は、壁に掘られたレリーフなんかを見ながらどんな意味があるのかと語り合う。

 かなり広い敷地だったので見て回るには時間が掛かり、日が暮れて来た。なので、ここで一泊する事にして、わしは隠蔽魔法を解いて走り回り、遺跡を囲う硬くて高い壁を土魔法で建てる。
 いちおうわしの縄張りを主張して、チョロチョロとたっしょんしておいたので、弱い獣は入って来ないだろう。
 いつまで持つかわからないが、偉い学者を派遣できるその日まで、どうにか残っているようにと祈るわしであった。


 完全に日が落ちる前に、わし達はディナー。太陽のピラミッドの頂上で食べるなんて、これほどの贅沢は元の世界では出来ないので感動だ。
 ただ、建設の経緯なんて聞かれてもわからないので、リータ達に残念がられた。

 だって、わしは日本人じゃもん。メキシコ文明は詳しくないんじゃもん。こんな遺跡、世界中に五万とあるから覚えられないんじゃもん!

 さすがに世界中に遺跡が多々あるのでは、わしの言ってる意味は伝わったので、優しく撫でてくれた。リータ達も覚える自信は無いようだ。

 この日は死者の大道りとか言うぶっそうな名前の場所にキャットハウスを出して、夜を明かすわし達であった。


 翌朝……

 テオティワカン遺跡の調査はしたかったが、また暇な時に見に来る事にして、朝食を食べたら戦闘機を次元倉庫から取り出した。

「にゃ? 乗ってくれるにゃ??」

 ダメ元で戦闘機を出したのに、リータ達が乗り込もうとしてくれるので、わしは不思議に思う。

「まぁ、これはこれで楽しいので……」
「いい被写体もあるからニャ……」
「ありがとにゃ~」

 リータとメイバイは照れ臭そうにしているが、わざわざ理由を聞かなくてもいいだろう。たぶん、わしの旅の醍醐味が楽しかったから、狩りばかりをしていた自分達が恥ずかしかったと思われる。
 それを言ったら、狩りをしながら進もうとか言いかねないので、わしはスリスリごまをスリながら空を行くのであった。

 進行方向は南西。テオティワカン遺跡を見付けた事で思い出した遺跡があったので、その周辺を攻めようという作戦だ。
 目的地だと思われる辺りにある程度近付くと、航空写真を撮ってから着陸。ちょうどいい感じの獣の群れが近くに居たので殺戮。んで、ちょうどお昼になったからランチと写真確認だ。

 その結果、二ヶ所気になる場所があったので戦闘機で戻ったら、一番目がヒット。例の如く広範囲を伐採して獣を狩り尽くし、わしの縄張りにしてしまう。
 それから遺跡をウロウロ。ピラミッドは小さくてガッカリポイントだったみたいだが、多少ボロボロだが大きな神殿が残っていたので皆も興奮していた。

「ここはなんて遺跡ニャー?」
「パレンケ遺跡にゃ~」
「あそこ、大きな骸骨のレリーフがあるニャー! 悪魔でも信仰していたのかニャー??」
「アレはたしか、ウサギのドクロとか呼ばれていたんだけどにゃ~」
「耳も無いのに、どこがウサギニャー!!」
「いや、ほら、出っ歯にゃろ? 偉い学者さんが決めたんにゃからわしのせいじゃないにゃ~」

 メイバイの苦情に頑張って答えていたら、リータがわしを抱っこして守ってくれる。

「それにしても、今回の遺跡は詳しく知ってるんですね。前のとは何か違うのですか?」
「ここはすっごいお宝が眠っているからにゃ~」
「お宝ですか? ま、まさか、兵馬俑へいばようの時みたいに盗む気じゃ……」
「まぁ……あったら盗む気にゃけど……美術館に展示するから、泥棒ってわけじゃにゃい……のかにゃ??」
「未来の人は、墓荒らしが好きなんですね」
「考古学調査と言ってくれにゃ~」

 どんなに正当化しても、現代人のやっている事は墓荒らしに変わりない。しかし、ここから学ぶべき事は多くある。この土地の習わしや人類のルーツ。人間がどこから来てどこに向かっているのか。
 リータ達はわしが難しい事を言っているので、いつの間にかどっかに行っていたから走って探すわしであった。


 リータ達を発見したら、ピラミッドを登っていたので、わしも一瞬でリータの隣に移動。手を繋いで登る。

「ここは屋根がありますね」
「昨日のピラミッドのほうが絶景だったニャー」
「あ~。ここは碑文の神殿と言ってにゃ。パカル王の遺体が埋葬されているお墓なんにゃ」
「お墓ですか……」
「ほら、地下へ向かう階段があるにゃろ?」

 わしが光魔法で内部を照すと、部屋の端に階段があったのでそこまで進む。

「この先に遺体があるニャー?」
「さあにゃ~? 階段があらわになってるってことは、もうすでに先客が入ったあとかもにゃ~??」
「先客ニャ?」
「本物の墓荒らしにゃ。それともアイツかにゃ~?」
「「「「アイツにゃ~?」」」」

 わしが誰が入ったかわかっているように言うと、猫パーティの中でイサベレだけが気付いてくれた。

「もしかして……時の賢者様??」
「お~! 正解にゃ~」
「ありえなくない?」
「そんにゃことないにゃ。ここが滅んだのが、およそ千三百年前。黒い木だらけってことは、その辺りから今までに大戦があったはずにゃ。そんにゃ場所に近付ける人間にゃんて限られているんじゃないかにゃ?」
「黒い木が生まれてなかったら行ける」
「そうだにゃ。でも、その墓荒らしはどこに行ったのかって謎も残らにゃい?」
「ん。たしかに……」
「ま、にゃにか時の賢者に繋がる物でも見付かれば、ハッキリするんにゃけどにゃ~。とりあえず下りてみるけど、ついて来る人は居るかにゃ~?」

 お墓の中は嫌がる人も居るかと思ったが、全員参加。なので、土で出来たマスクに空気を作り出す魔道具を付けた物を配布。使い方を説明していたらリータの手が上がった。

「どうしてこんな物が必要なんですか?」
「これは毒対策にゃ」
「毒ですか……」
「他のピラミッドでの話にゃんだけど、死体を安置する時に使っていた薬品が人体に影響してにゃ。発掘していた人がにゃん人も死んだらしいんにゃ。本当は小鳥でも連れて入るのがベストなんにゃけどにゃ~」

 わしが小鳥を毒発見器に使いたいと言うと、リータ達から非難の声が……

「リータ達だって獣を殺しまくってるにゃ……」
「では、行きましょう!」
「もう言わないから置いてかないでにゃ~」

 わしの反論は無視して進もうとするので、回り込んでわしから地下に下りるのであったとさ。


 わしは階段を下りると、鼻をヒクヒクさせながら慎重に進む。わしの鼻に掛かれば、何か異常のあるにおいがあったら気付くはずだ。エリザベス達だって毒物に敏感だったし……
 そうしてゆっくり慎重に進んでいるのに、上からコリスの悲鳴が!

「モフモフ~。はさまった~」
「人型に変身しようにゃ」
「あ、そっか。えへへ~」

 狭い階段をコリスが無理矢理通ろうとしたからの事故。事故と言うよりただのミス。コリスがさっちゃん2に変身したら、余裕で進めるようになった。
 それからも気を付けて進んでいたら、階段が途切れたので、一番下に着いたと思われる。

「ここで終わりかニャー?」
「四角い箱がありますね」
「アレがパカル王の石棺にゃ~」

 ついにここまで来たと、わしは興奮しながら石棺を撫でる。

「遺体が入っているのですよね? 開けるのですか??」
「まぁ開けるけど、その前に……この図を見て、にゃにに見えるかにゃ?」

 パカル王の石棺の蓋には、機械的な模様が描かれており、都市伝説では人が宇宙船に乗って飛び立つ絵と呼ばれている。わしもテレビでその話を聞いて、信じているたちだ。

「えっと……木ですかね?」
「うんニャ。一番上に鳥も居るから、木だニャー」
「下にドクロの絵だから、木の下にこの人が眠るってことじゃない?」

 しかし、リータとメイバイとイサベレは、わしの信じている事とはまったく違う感想を言った。

「え~! 宇宙船に見えるにゃろ? ほら、この人の下の機械から火が出てるにゃ~」
「「「「「宇宙船??」」」」」
「にゃ……」

 わしの必死の訴えは、リータ達には通じず。過去の人がどうしてこの絵を描いたかわしにはわからないが、宇宙船も知らないリータ達の意見が揃っているのなら、それが正しいのかと思ってしまうわしであった。


「あの……」

 わしが「にゃ~にゃ~」悔しがっていたら、リータが壁を指差した。

「アレッて日本語じゃないですか?」
「にゃ? ……ホ、ホンマにゃ~~~!!」

 そこにはハッキリと「船はいただいたぜ!」と書かれていたので、わしは宇宙船が実在した喜びと、何故日本語があるのかに、目玉が飛び出すほど驚くのであった……
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