166 / 755
第六章 ハンター編其の四 遊ぶにゃ~
164 デート其の三にゃ~
しおりを挟むデート ローザの場合……
「……また来たのですか?」
開口一番、迷惑そうに言われた。
リータとメイバイが狩りに行き、わしはやる事も無いので、フェリシーちゃんのお家騒動がどうなったか気になっていたのもあり、ローザの街にやって来た。
今回は普通に門から入り、騒ぎの起こる街を歩き、ローザの屋敷に訪問した。
「ダメだったにゃ?」
「いえ。そういうわけでは……。ねこさんと会えるのは嬉しいのですが、こんなに会えるとは思っていなかったので……」
まぁローザの街は、馬車で五日かかるから、そう思っても仕方ないか。でも、また来たって言われるのはショックじゃな。
「そういう意味じゃないです!」
ローザまでわしの心を読むのか……
「にゃんでわしの考えている事がわかるにゃ?」
「それは……」
「教えてくれにゃ~」
「女の勘です!(尻尾が文字を書いてるんだけどね~)」
「女の勘にゃ~? 本当かにゃ~?」
「ほ、本当です!」
「にゃあにゃあ~?」
「ねこさん、うるさいです!」
「にゃ……」
怒られてしまった。逆ギレっぽいんじゃが、また怒られそうじゃし、心を読まれる謎解きは出来ないか。
「猫ちゃんが、また来たって本当?」
「ねこさ~ん」
わしとローザが世間話をしていると、ローザの母ロランスがフェリシーちゃんを連れて部屋に入って来た。
「お母様。またなんて言ったら、ねこさんに失礼ですよ」
「あ、そうね。いらっしゃい」
もう遅いです。ローザも言ったよね? フェリシーちゃんは……嬉しそうに抱きついておるな。頭を撫でてやろう。
「今日はどうしたの?」
「暇だった……じゃなく、フェリシーちゃんがどうなったか見に来たにゃ」
「いま、暇って言ったよね?」
「言いましたね」
「暇でこの距離を移動するなんて……」
「信じられません」
「そこはツッコまないでくれにゃ~」
わしの「暇」発言から、ロランスとローザは呆れたような顔でツッコんで来たので、わしは強引に話を変えようとする。
「それで、どうなったにゃ?」
「前も言った通り、商人から裏を取って、フェリシーの義母に行き着いたわ。素直に認めて、いまはお祖父様が事態の収拾にあたっているわ」
「そうにゃんだ。お疲れ様にゃ~」
「まるで他人事ね。猫だから猫事かしら?」
「どっちでもいいにゃ。わしのせいで迷惑かけてすまないにゃ」
「いいえ。あの街がゴタゴタしてると女王陛下に迷惑が掛かるから、報告したら逆に褒められてラッキーだったわ」
女王に褒められた? フェリシーちゃんの街はここから北に行った場所だから、戦争の最前線になりそうだからか。そうなると、ロランスさんも戦争が起きそうなのは聞かされているのかな?
「女王が困るって、ロランスさんもあのこと知ってるにゃ?」
「もしかして、猫ちゃんも知ってるの!?」
「いちおう女王から聞いてるにゃ」
ロランスの驚く顔を見て、ローザが興味を持つ。
「お母様。あの事ってなんですか?」
「ごめんね。国に関わる事だから、ローザにはまだ話せないわ」
「そうですか……」
「時期が来たら必ず話すから我慢してね」
「わかりました」
あちゃ。失言じゃ。興味本意でいらぬ事を言ってしまったな。ローザも考え込んでいるし、明るい話題でもしようかな。
「さっきも言ったけど、暇だからこの街を案内してくれにゃいかにゃ? 露店で食べ歩きがしたいにゃ~」
「プッ。やっぱり暇だったのですね」
「アハハ。自分で言うんだ」
「案内は出来るのですが……食べ歩きが……」
「いいわよ。市勢を調査するのも領主の仕事の一貫よ。危ない事があれば猫ちゃんが守ってくれるし、行って来なさい」
「はい! ありがとうございます。フェリシーも行こう!」
「いく~~~」
ロランスさんの許可を得て、広場の露店を三人で冷やかす。わしの姿で人々は驚くが、ローザとフェリシーちゃんと手を繋いでいるせいか、嫌悪感のある視線ではなかった。
ローザが露店で買った物を食べる事に戸惑っていたので何故かと聞いたら、領主の娘とあって、食べ歩きなんて行儀の悪い事をした事が無かったらしい。しかし慣れてくると、わしと同じようにパクパク食べていた。
街の名物らしき物を片っ端から買い食いし、食べ過ぎて「もう動けない」と、二人はギブアップ宣言。わしは二人をテーブル席に連れて行き、飲み物とおやつを持って席に着く。
わしはまだ腹に余裕があったのでむしゃむしゃ食べていたら、一口ちょうだいと催促されてしまった。そのせいで、動けなくなった時間が増えたのは、わしのせいでは無いから睨まないで!
広場のど真ん中で休憩していると、やって来るあいつら……
子供達に取り囲まれた。猫、猫うるさいので、滑り台とブランコ、シーソーを数台作ってやった。
今度はローザとフェリシーちゃんがうるさくなったので、子供達にまざり、一緒に遊ぶ。ローザの追求はそれでも激しく、王都ではもっと凄い物があると口を滑らせてしまい、誕生祭の時に連れて行く事となった。
おそらく遊具のせいで広場に人が多く集まり、わし達はまたテーブル席に追いやられる。人が多く集まったのは、わしのせいでは無いはずだ。
たぶん遊具のおかげで、ローザと一緒に盗賊に囚われていた四人のお姉さんと再会した。どうやら、四人仲良く共同生活を送っているらしい。
仕事もローザが掛け合ってくれたらしく、幸せに暮らしているそうだ。ローザと共に感謝され、抱きつかれてしまった。
そうこうしていると、広場が騒ぎになっていると聞き付けたロランスがやって来て、わしだけ怒られた。わしのせいじゃないのに……。たぶん……
怒られたので遊具を片付けようとしたら、街の子供から大ブーイング。それを見かねたロランスは、このままでいいと言ってくれた。遊具は少しは危険があるから、誰か見張りを立てるように進言し、ロランスの馬車に乗って屋敷に戻った。
「もう! 私はこれでも忙しいんだから騒ぎを起こさないで!」
屋敷に戻るなり、ロランスに怒鳴られてしまった。
「よかれと思ってやっただけにゃ~」
「たしかに子供達は楽しそうだったわね」
「にゃ~?」
「それとこれとは別よ!」
「すいにゃせん!」
「わかれば良し! そうそう。猫ちゃんにお願いがあるんだけど……」
この状況でお願い? 怒られたばっかりで怖いんじゃけど……
「そんなに構えないで。猫ちゃんはハンターでしょ? 往復の護衛依頼を頼めないかしら?」
「護衛にゃ?」
ここから馬車で五日。往復十日か……。時間が掛かるから面倒じゃし、断りたいけど、ローザのキラキラした目が痛い。
「う~ん。受けるにゃら、条件があるにゃ」
「条件?」
「まず、わしの移動手段は誰にも言わないと約束してくれにゃ」
「どう移動するかわからないけど、約束するわ」
「それと、乗り物に人数制限があるから多くは連れて行けないにゃ。それでもいいにゃら受けるにゃ」
「それでかまわないわ」
ロランスさんは即答じゃな。そんなにわしに送って欲しいのか? まぁこれなら受けても問題無いな。
「先に人数だけ聞いていいかにゃ?」
「そうね。私とローザ、それに仕える騎士と従者で四人。フェリシーも入れて合計七人ね」
「意外と少ないんだにゃ~」
「誕生祭では、街に騎士や兵士が見回りするから安全なのよ。それに王都の屋敷を維持するのに数人いるから、私達の身の回りぐらい問題無いわ」
「そうにゃんだ。それにゃら、移動手段は二時間コースと十時間コースがあるけど、どれにするにゃ?」
わしの質問にロランスは驚き、ローザは納得した顔となった。
「そんなに速いの!?」
「ねこさんが暇だからと来れる理由がわかりました」
今日は転移して来たから、数分じゃったけど……おっと、心を読まれないように無心!
「じゃあ、速い二時間コースでお願い。猫ちゃんに頼んで正解ね。仕事が立て込んでいてギリギリだったの。これで余裕が出来るわ」
「いちおう言っておくげど、街外れまで馬車で移動する時間や受付時間もあるからオーバーする場合があるにゃ。その場合のクレームはお断りにゃ」
「それぐらいなら気にしないわ」
「移動手段のほうが気になりますものね」
「あと、お代は、ハンターギルドの平均的な価格でお願いするにゃ」
「そんなに速いのにお値段据え置き!? 助かるけど……いいの?」
ロランスさんの言い回しは、テレビ通販みたいじゃな。この世界では、速いと高いのかな?
「友達価格にゃ」
「そこは許嫁価格になりませんか?」
「いつ許嫁になったにゃ~!!」
「あ……アハハハ~」
この後、ローザに笑ってごまかされながら、ロランスとの打ち合わせを続け、終わると逃げるように王都に帰る。だって、フェリシーちゃんを加え、三人てずっと撫で回すんじゃもん。
この日は、複数の匂いが付いていたので、メイバイは浮気認定が難しかったらしく、二人に怒られなかった。またまた、疑っていたけど……
* * * * * * * * *
デート? フレヤの場合……
「これ着てみて!」
「いや、さっきのと変わらないにゃ……」
「どこがよ! このフリルがかわいいのよ」
「さっきも付いてたにゃ?」
「形が違うのよ! 早く脱いで!」
「……面倒臭いにゃ」
「もう! 私が脱がす!!」
「いにゃ~~~ん」
フレヤは最近、毎日手作りの衣装を持参でやって来る。最初はメイバイが着せ替え人形の犠牲者だったのだが、リータとわしも標的になってしまった。
わしと違い、リータとメイバイは毎日のように狩りに出ているので、早く寝かせる為に、わしが犠牲になる事が多い。
「やっぱり少し大きいわね」
「にゃんでスカートにゃ~」
わしは着せられたドレスのスカートを押さえ、恥ずかしさを紛らわそうとする。
「そりゃあ、メイバイちゃんのだもの」
「まったく……フレヤも毎日来てるけど、仕事は忙しくないにゃ?」
「インスピレーションが湧きまくって忙しいよ」
「忙しいにゃら、家で休めばいいにゃ」
「ここに来ると、いい素材があるからやめられないわ!」
「そ、そうにゃんだ」
「次の衣装はどれがいいかな~?」
「もういいんじゃにゃいかにゃ~?」
「決まった! さあ、脱ぎなさい!!」
「いにゃ~~~ん」
と、フレヤは毎日、わしを着せ替え人形にしにやって来る。
「むにゃむにゃ。その服は似合わないって~」
「ボンテージ……いい。むにゃむにゃ」
「なんであたしがフリフリなんだ。むにゃむにゃ」
もちろんアダルトフォーの、スティナ、エンマ、ガウリカも犠牲者だ。
1
あなたにおすすめの小説
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-
いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、
見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。
そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。
泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。
やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。
臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。
ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。
彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。
けれど正人は誓う。
――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。
――ここは、家族の居場所だ。
癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、
命を守り、日々を紡ぎ、
“人と魔物が共に生きる未来”を探していく。
◇
🐉 癒やしと涙と、もふもふと。
――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。
――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる