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第四章 ハンター編其の二 怖い思いをするにゃ~
083 孤児院の子供の服を買いに行くにゃ~
しおりを挟む孤児院の子供達は食事の挨拶をし、食べ始める。それに続き、わしとリータもいつも通り、食事の挨拶をして食べ始める。
「「いただきにゃす」」
夕食はレシピに載っていた肉じゃが風か。こりゃまたうまい! うまいけど肉じゃがと言うには、一味足りないかな? 何が足りないんじゃろう……醤油? なるほど。醤油がないから、違うもので似せているのか。
わしが肉じゃが風の食べ物を懐かしみ、目に涙を溜めて噛み締めていると、不思議そうな顔をしたエミリが尋ねてくる。
「ねこさん?」
「どうしたにゃ?」
「食べる前に、なんで『いただきにゃす』って言うの? おかあさんみたい……」
あ……エミリはこの言葉を知っていたか。どうしよう? 母親はエミリに転生者だと言って「いただきます」の意味を教えたのじゃろうか? う~ん……同郷だと言っても信じてもらえんじゃろうし、ここは……
「昔、誰かが食べる前に『いただきにゃす』って、言ってたからマネしてるにゃ」
うん。無難な答えじゃな。
「おかあさんは『いただきます』って言ってたけど、他でも言っている人がいたんだ」
「猫さん! 食事の前に言ってる言葉って『いただきにゃす』じゃなくて『いただきます』だったのですか!?」
リータには無難な答えじゃなかったみたいじゃ。
「そうにゃ。『にゃ』はわしの癖にゃ」
「それならそうと言ってくださいよ~」
「さっちゃんには言ったけど、リータには言い忘れていたにゃ」
「そう言えば、王女様も『にゃ』がついたままですね。どうしてですか?」
「『いただきにゃす』の方が、かわいいって言っていたにゃ」
「たしかに……」
「それじゃあ、今度から食事の挨拶は『いただきにゃす』にしようか?」
横でわし達の話を盗み聞きしていた、ババアがいらない事を言い出した。
「ババアは黙ってるにゃ!」
「いいじゃないかい。この料理はエミリの母親のレシピだし、母親にも感謝できる」
「院長先生……ありがとう」
「それなら、『にゃ』は、いらないにゃ!」
「エミリが決めな」
わしが「にゃ」を断固拒否すると、ババアがエミリに答えを振り、無情にも決定が言い渡される。
「『にゃ』があった方が、かわいいかも」
わしの反対を他所に、この日を境にして、孤児院での食事の挨拶は『いただきにゃす』と『ごちそうさにゃ』に、なってしまった。
食事も終わり、そろそろお暇すると言うと、マルタが感謝の言葉を述べる。
「猫ちゃん今日はありがとうね。食料をこんなに貰ったのに、家まで直してくれて、本当にありがとう」
「気にするにゃ」
「猫が気にするなと言っているんだから、気にすることないよ」
「ババアはもっと気にしろにゃ!」
「なんだと~」
「シャーーー!」
「猫ちゃん。院長は嬉しい時は、逆の事を言うのよ。本当はすっごく喜んでいるよ」
「よけいな事は言うんじゃないよ!」
ババアのツンデレは、誰も萌えないはずじゃ。絶対にデレないで欲しい。
「なんか変なこと考えてないかい?」
このババア……心まで読めるのか!
「ニャンデモナイにゃ」
「そうかい……まぁアレだ。ありがとよ」
だからデレるな!
わしがマルタの感謝を受け取り、ババアの感謝の言葉で気分が悪くなっていると、エミリが悲しそうな顔で声を掛ける。
「ねこさん、帰っちゃうの?」
「また食材を持って来るから、エミリの美味しい料理を食べさせてくれにゃ」
「うん! 待ってる!」
わしとリータは、手を振る孤児院の子供達に、別れの挨拶を告げて帰路に就く。
「みんないい子でしたね」
「そうだにゃ。でも、ババアは気に食わないにゃ」
「猫さんは、やっぱり若い女の子が好きなんですか?」
「にゃんでそうなるにゃ?」
「猫さんの周りには、いつも女の子がいますから……今日もエミリちゃんを気に掛けていましたよね?」
まさかリータは、わしをロリコンだと思っておるのか? そんなに若い女の子が、わしの周りにおったかな? うん。いっぱい居るな。若いにしても若すぎる。
魂年齢百二歳のわしからしたら、孤児院のババアですら若い女の子に入るのかな? それはそれで気持ち悪い。
「それはエミリの料理が美味しかったからにゃ」
「本当に美味しかったですね。でも、エミリちゃんをお持ち帰りしちゃダメですからね?」
「にゃんでそうなるにゃ~」
「猫さんが怒った~」
わしの訴えをリータは聞こうとせず、走って逃げて行く。わしは仕方なくリータを追い駆け、家に帰るのであった。
翌日はハンターの仕事をして、次の日に、また孤児院に向かう。その道中で、リータに相談を持ち掛ける。
「安い服ですか?」
「リータは、どこで売っているか知らないかにゃ?」
「すみません。わからないです。フレヤさんに聞いてはどうですか?」
餅は餅屋か……たしかにフレヤの方が詳しいな。前にも、リータに服の事を聞いたら、知らなかったもんな。
リータの提案に乗り、孤児院に行く前に、フレヤの仕立屋に寄る事にする。
「邪魔するにゃ~」
「猫君! やっと来た。リータちゃんも久し振りね~」
「久し振りにゃ。でも、やっと来たとは、なんにゃ?」
「忘れてたの? 生地の染色を頼まれていたじゃない」
「あ~」
すっかり忘れておった。大蚕の生地の染色を頼んでおったな。
「それでどうなったにゃ?」
「なんとか成功したわよ。でも、染色する素材と時間が掛かるから、ちょっと値は張るわね。どうする?」
「とりあえず、一着だけしてもらうにゃ」
「毎度あり~」
わしは染めて欲しい色を伝え、予備の着流しと代金を手渡す。たしかに少し高かったが、着流しは白しか持っていないので迷わず支払う。ちなみに、パジャマに使う予定だ。
「今日は何か買いに来たの?」
「そうにゃ。ここって、安い中古の子供服は売っているかにゃ?」
「子供服? 猫君なら子供服じゃないと着れないか」
「わしじゃないにゃ。孤児院の子供達にプレゼントするにゃ」
「孤児院?」
わしはフレヤに孤児院での出来事を話す。
「なるほどね。それで大量の服が欲しいのね」
「にゃんとかなるかにゃ?」
「どんなものでもいいなら、三十着ぐらいあるわ。足りないなら仕入れておくけど、どうする?」
「そうだにゃ~……今日はあるだけ貰っていくけど、もう三十着欲しいにゃ」
「オッケー。来週には用意出来ると思うから、また来てちょうだい」
「わかったにゃ。それと、リータに冬服も見繕ってくれるかにゃ?」
子供達の服の相談が終わり、リータの服を催促したら、焦ったリータが止めに入る。
「ね、猫さん! そんなの要りませんよ」
「そろそろ寒くなるから必要にゃ。リータが風邪を引いたら、わしが困るにゃ~」
「猫さんが私の心配をしてくれている……」
リータは急にモジモジし始めたけど、なんじゃろう?
「わかりました。フレヤさん! 猫さんが気に入りそうな服を選んでください!」
「リータちゃんも乙女ね。とっておきのを出して上げるわ」
「宜しくお願いします!」
わしは、フレヤとリータの服選びを待つ間、店の中を見て回る。すると、棚に飾られた、とんでもない物が目に入る。
わしがおる……
そこには、等身大の猫又(人型)ぬいぐるみが三体、ちょこんと座っていた。
前にフレヤに体を測ってもらった事があったな。あの時は、また来た時に服でも作ってもらおうと思って測ってもらったが、まさかぬいぐるみになっているとは思いもよらんかった!
思えば、耳の先から尻尾の先まで測っていたのは、この為じゃったのか。ここは絶対に阻止しなければならない!
わしは固い決意を持ってフレヤを呼ぶ。
「フレヤさん? ちょっといいですかにゃ?」
「ちょっと待って~」
わしは黙ってフレヤを待つ。そうしてしばらく待っていると、リータは試着室に入り、フレヤはわしの元へやって来る。
「はいはい。どうしたの?」
「こ、こ、これは、にゃんですかにゃ?」
わしは猫又ぬいぐるみを指を差して尋ねる。
「あ、そうそう! これも販売許可が欲しかったのよ。売ってもいい?」
「それはまだ、売り物ではないって事かにゃ?」
「猫ちゃんの許可待ちだったからね」
「じゃあ、わしが全部買うにゃ! そして金輪際、作るにゃ!!」
こんなもん、持っている人を見たら、わしのHPが削られてしまう。販売前に、ここに来れてよかった。
「それはダメよ。予約取っちゃったもん」
「いや……わしは許可しないにゃ。だから、作った分は買い取るから売らないでくれにゃ~」
「許可はもらええないか~。ティーサも欲しがっていたのにな。予約してくれた多くの子供達も悲しむだろうな~」
「うっ……」
「十人以上、予約してくれていたのにな~」
「うぅぅ……」
「ちゃんと猫ちゃんに、売上の一部も払うから、売らせてくれない? お願い!」
お金はどうでもいいけど、子供達を悲しませるのは気が引ける……じゃが、この一線だけは引いてはならないと、野生の感が言っておる。断るぞ!
「やっぱり、ダ……」
「猫さん。どうですか?」
わしが断ろうとしたその時、着替えを終えたリータが試着室から出て来た。
「にゃ……」
「私……綺麗ですか?」
リータは頬を赤らめて、純白のドレス姿をわしに見せる。
なんでドレスを着ておる? 冬服を頼んだはずなのに……
「やっぱり似合いませんか……しょぼ~ん」
リータが言葉通りしょぼんとするので、わしは慌ててお世辞を口にする。
「似合っているにゃ! すっごく綺麗にゃ~!」
「本当ですか?」
「本当にゃ! でも、にゃんでドレスを着てるにゃ?」
「フレヤさんがこれを着れば、猫さんも気に入ってくれると、おっしゃいましたから……」
「フレヤ~! 冬服を頼んだにゃ。やっぱりぬいぐるみは売らせないにゃ!」
「そんなに怒らないで。ちょっとしたサプライズよ。リータちゃんが乙女の顔をしていたから、遊び心が出てしまったの」
まったく。リータも断ればいいのに、なんでわしに見せたがるんだか……
「ぬいぐるみって、なんですか?」
「これよ。リータちゃんも欲しいでしょ?」
「は、はい! すっごく欲しいです。いくらですか?」
「それが猫ちゃんは、売りたくないみたいなの。一緒に猫ちゃんを説得してくれたら、プレゼントしちゃおっかな~?」
「猫さん!」
リータの目の色が変わっておって、ちょっと怖い。
「ダ、ダメにゃ」
「そんな~。お願いしますよ~」
リータがさっちゃんみたいに駄々をこねておる。こんな子じゃったか? さっちゃんと違って、力が強いから揺さぶりが尋常じゃない。酔いそうじゃ。
「じゃあ、こうしない? 猫ちゃんの売上以外に、私も孤児院に寄付をするわ。中古の服を毎月二着寄付するから……お願い!」
うっ。嫌な取引を持ち掛けよる。こんなのわしが断れば、孤児院の寄付は無くなって、わしが悪者みたいじゃ。
この世界の一年も十二ヶ月。二十四着か……一年で孤児院の子供達全員に行き渡る。それが毎年続くなら、服に掛けるお金も減るな。うぅぅ……
「……わかったにゃ」
「「え?」」
「わかったと言ってるにゃ!」
「「やった~!」」
「じゃあ、さっそく契約書、書いて! リータちゃんはこの服を着てみて」
結局、わしのぬいぐるみ販売は阻止できず、多くの猫又ぬいぐるみが街を歩く姿が見られるようになるのは、まだ少し先のお話……
「似合ってますか?」
「似合っているにゃ」
フレヤの仕立屋を後にして、孤児院に向けて歩いていると、リータが新しい服について意見を求めてくる。わしは少し面倒くさそうに、無難な答えを返している。
何回目の質問じゃ……新しいコートに喜ぶなんて、リータも女の子だったんじゃな。出会った頃なんて、ボロボロで汚い服を着ておったのに。
「えへへ~」
「ほれ。もう着くにゃ」
フレヤの店を出て、リータの質問に六回答えたところで孤児院に辿り着いた。わしはノックもせずに扉を開けて、声を掛ける。
「邪魔するにゃ~」
「邪魔するなら帰りな」
「ほな、さいにゃら~」
「本当に帰る奴があるかい!」
わしの渾身のノリツッコミ……ババアに取られた! 悔しい!!
わしの言葉に応えていた院長のババアは、玄関に出て来て質問をする。
「今日は何の用だい?」
「少ないけど、子供達に服を持って来たにゃ」
「有り難いんだけど……なんでそこまでしてくれるんだい?」
「ただの偽善者にゃ。いや、偽善猫かにゃ?」
「どっちでもいいよ。感謝する」
「ババアに感謝されると気持ち悪いにゃ!」
「なんだと! もう感謝なんてしてやらんわ。バカ猫!」
「誰がバカ猫にゃ! バカって言う奴がバカなんにゃ! バーカバーカ!」
「院長……」
「猫さん……」
「「あ……」」
わし達がケンカしていると、リータとマルタに、冷ややかな目で見られてしまった。このままケンカを続行するのもばつが悪いので、軽く咳払いすると、真面目な話に戻す。
「ゴホンッ……とりあえず、子供達を綺麗にしようにゃ」
「そうだね。せっかく綺麗な服を持って来てくれたんだ。それに、今日は体を拭く日だったね。マルタ、お湯を用意してくれるかい?」
「はい。わかりました」
「ちょい待つにゃ」
「猫ちゃん。なに?」
そうじゃったな。お風呂の設備は高いから、孤児院なんて施設にあるはずがない。かと言って、体を拭くだけってのもかわいそうじゃな。
う~ん……ここは庭も広いし、ちょっとぐらい増設しても大丈夫じゃろう。
「わしが作るにゃ」
「作る?」
「そんな事、出来るわけないだろう」
「ちょっと待ってるにゃ」
わしは勝手口から出て、土魔法でちょちょいのちょいでお風呂場を作って、話をしていた食堂に戻る。
そして、ババア達を連れて風呂場に入るとババアとマルタは目を見開き、お互いに目で語り合ってから、わしを見て叫ぶ。
「「なんでもう出来てる(のよ!)んだ!」」
よかれと思って作ったのに、怒鳴られるわしの姿があったとさ。
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