87 / 130
中学校である
087 運動会事変、再びである
しおりを挟むお兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。弁護士、難しい……
スポーツエージェントの勉強は母親に任せて、私はジュマルの夏休みの宿題を頑張る。逃げたともいう。
ただし、勉強の終わった母親がわかりやすい言葉で教えて来るので、ちょっとは理解できた。ハンコ押さずに、母親に相談したらいいんだね……これが限界です!
そんなこんなで夏休みが終わり、私もジュマルも学校生活を送っていたら、中学校の運動会となった。小学校とは日にちがズレていたので、私も応援に来ている。じゃないと、両親は私の運動会を優先していただろうね。
その運動会は、デジャビュ。ジュマルが活躍しまくって、女子がキャーキャー言うアレだ。両親もキャーキャー言ってたよ。
私のことは「なんで私服なの?」と生徒から質問されたので、笑顔で会釈だけしておいた。まだ小学生とバレていないなら、無駄なことを言わないほうがいいだろう。忍び込みやすいしね。
運動会はそんな感じで終わったけど、これから厄介なことが待ち受けているので、幼馴染ミーズを誘ってお疲れ様会と作戦会議。
作戦会議の内容は、ジュマルに女子が押し寄せるアレだ。私がいればイロイロ対策を打てるのだが、まだ小学生なので幼馴染ミーズを頼るしかない。
幼馴染ミーズに案を出させたら、結菜ちゃんと愛莉ちゃんが付き合っていることにするとか言っていたけど、却下。どう見ても、外堀を埋めに来てるもん。
それに、2人ではちょっと弱い。かわいいとは思うけど、私ほど飛び抜けていないから、その他の女子は諦めないはずだ。最悪、女子グループに袋叩きにあう可能性もあるから危険すぎる。
ここはやはり、私の出番。謎の美少女はジュマルの婚約者という噂を流してもらう。実は学校も違うし、親公認で子供の頃からずっと一緒に暮らしているとまで言っておけば、ジュマルにちょっかいを出す女子はかなり減るはずだ。
この作戦は、結菜ちゃんと愛莉ちゃんは大賛成。私が妹だと知ってるから、取られる心配ないもんね。たぶんジュマルは、2人のことを数多くいる女子の1人としか見てないけど……
翌日さっそく押し寄せる女子に私の写真を見せて噂を流してもらったら、屍の嵐だったって。でも、ジュマルと同じ小学校の女子には効かなかったっぽい。顔バレしてるもん。
ただし、その他の女子には情報は流れていないらしい。結菜ちゃんたちと同じく、ライバルを増やさないようにしているみたいだ。
これで女子はなんとかなったけど、次は意中の女子を取られた男子がゴネテいるらしい。それがあったのすっかり忘れていたよ。
なので、私は翌日中学校に行って、不良をスカウト。ジュマルの護衛をしばらくしてくれと頼んだら、快く引き受けてくれた。
「命令じゃないって言ってるでしょ! これ、私の手作りクッキー!!」
不良たちは何故か震えていたのでエサを与えてみたら、超喜んでくれた。ちょっとムカついたから投げ付けたのに、それでいいんだ……
こうしてジュマルに近寄る女子は項垂れ、男子は不良にビビって逃げ帰るのであった……
「妹ちゃんって、実はジュマルの婚約者だったんだってな~」
放課後に野球部の練習を腕を組んで見ていたら、同じように腕を組んで隣に立つ監督からそんなことを言われたので私は首を傾げる。
「……ん??」
「『ん?』じゃなくて、婚約者だからこんなに頻繁に会いに来てるんだろ? それも兄妹とか噓までついて」
「あ~……監督まで信じたんだ」
「違うのか??」
「そういえばちゃんと自己紹介してなかったわね。私の名前は広瀬ララ。正真正銘の妹で、現在は小6よ」
「はあ!? そっちのほうが驚くわ!!」
どうやら監督は、私が賢すぎるから、ジュマルより年上の婚約者のほうがしっくり来ていたらしい。実はオバサンなんじゃないかとも思っていたとか……失礼ね~。
私のカミングアウトは内緒にしてもらい、しばらく中学校に行かなかったら次なる問題が起きたと幼馴染ミーズが教えてくれたので、放課後に暇そうな岳君に案内してもらったら、ジュマルは体育館でバスケットボールをしていた……
「ねえ? サッカー部に入ったとか言ってなかった??」
「それが今日、バスケ部の先輩が勧誘して入部してしまったんですわ」
「はぁ~~~……」
そう。小学校の運動会では色恋沙汰ぐらいしか問題は起きなかったのだが、中学校では運動部がジュマルの運動神経を見て勧誘に来たのだ。
だから今日は文句に言いに来たのに、別のことをしていたのでは私もため息が出るってもんだ。
「ジュマル~~~!!」
ため息を吐いていても何も解決しないので、ひとまずジュマルを呼び寄せる私であったとさ。
「おお。ララやないか。どないしたん?」
「どないしたんじゃなくて、こんなところで何してるのよ?」
「バスケや」
「それは見たらわかるの~~~」
優しく聞いても欲しい情報をくれないので根気強く聞いてみたら、どうも「仲間になってくれ!」と誘われたそうだ。
他にも勧誘が来ていたみたいだけど「仲間」というキラーワードを言われなかったから、ひょいひょいついて行かなかったと思われる。
そうして私が納得した頃に、バスケ部の白木キャプテンという人がモジモジしながらやって来た。交替でジュマルは走って行った。私は伊達メガネを装着した。賢そうでしょ?
「あなたがキャプテンですね?」
「は、はい!」
「私はジュマルの代理人をやってます。私を通さずジュマルを勧誘するなんて言語道断。ジュマルにはバスケ部を辞めさせますのであしからず」
「え……ち、ちょっと待ってください! 広瀬君はバスケ部の希望の星なんです! どうか、辞めさせないでください!!」
冷たく要点を告げただけで、白木キャプテンは土下座。そこまでしろなんて言ってないのに……
「希望の星とか言われましても、今日から始めたんですよね? それでわかるわけありませんよ」
「アレでもですか?」
「あ~……お猿さん、のマネをしてるだけです……」
「ダンクしてるでしょ! もっとよく見てください!!」
白木キャプテンがゴールにぶら下がるジュマルを指差すので私は苦しい言い訳をしてみたけど、納得するわけがないのであったとさ。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
炎華繚乱 ~偽妃は後宮に咲く~
悠井すみれ
キャラ文芸
昊耀国は、天より賜った《力》を持つ者たちが統べる国。後宮である天遊林では名家から選りすぐった姫たちが競い合い、皇子に選ばれるのを待っている。
強い《遠見》の力を持つ朱華は、とある家の姫の身代わりとして天遊林に入る。そしてめでたく第四皇子・炎俊の妃に選ばれるが、皇子は彼女が偽物だと見抜いていた。しかし炎俊は咎めることなく、自身の秘密を打ち明けてきた。「皇子」を名乗って帝位を狙う「彼」は、実は「女」なのだと。
お互いに秘密を握り合う仮初の「夫婦」は、次第に信頼を深めながら陰謀渦巻く後宮を生き抜いていく。
表紙は同人誌表紙メーカーで作成しました。
第6回キャラ文芸大賞応募作品です。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
となりの京町家書店にはあやかし黒猫がいる!
葉方萌生
キャラ文芸
★第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。お読みくださった皆様、本当にありがとうございます!!
京都祇園、弥生小路にひっそりと佇む創業百年の老舗そば屋『やよい庵』で働く跡取り娘・月見彩葉。
うららかな春のある日、新しく隣にできた京町家書店『三つ葉書店』から黒猫が出てくるのを目撃する。
夜、月のない日に黒猫が喋り出すのを見てしまう。
「ええええ! 黒猫が喋ったーー!?」
四月、気持ちを新たに始まった彩葉の一年だったが、人語を喋る黒猫との出会いによって、日常が振り回されていく。
京町家書店×あやかし黒猫×イケメン書店員が繰り広げる、心温まる爽快ファンタジー!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる