お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……

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中学校である

081 中学生である

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 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。タクシーで登下校なんてしていいの?

 ジュマルが小学校を卒業してしまったからには、私は超VIP対応。両親はボディーガードがいないからって、私の登下校はタクシー移動にしようと学校と交渉していた。
 理由は、朱痰犯閃スタンハンセンの生き残りがいるかもしれないとのゴリ押し。本当は、かわいい私が誘拐される心配をしているだけ。無事というか残念ながら勝ち取ってしまったからには、私も受け入れるしかなかった。

 だって、2人とも泣きながらお願いして来るんだもの……ここまで来ると、脅しでは?
 クラスメートとかは、それならば仕方ないと言ってくれたからイジメられないと思うけど、1人だけタクシーって、けっこう恥ずかしいのよ……あの猫は子育てしてるし! 私の時もそれぐらいしとけよ!!


 私と猫のことは置いておいて、ジュマルの中学校の入学式は私もついて行ったら両親は泣いていた。どういう涙か判断はつかないけど、嬉しいと私は受け取っておいた。
 入学式が終わって新入生と保護者が帰ったら、私たちは中学校の先生方と会談。ジュマル取り扱い説明書ともいう。

「このように、うちのジュマルは、身体能力が恐ろしく高いです」

 口で言ってもわかってもらえなかったので、走ってる姿を見せてみたがまだわかってもらえない。

「ママ。朱痰犯閃スタンハンセンのこと言ったら?」
「仕方ないか……朱痰犯閃スタンハンセンという暴走族を壊滅させたのはうちのジュマルです。確か、総長の佐藤虎太郎はここの卒業生でしたよね? もしも先ほど説明したことが守られない場合は、私共も責任が持てません」
「もっとハッキリ言っとこうよ。佐藤虎太郎の二の舞い。血の雨が降りますので、お兄ちゃんを怒らせるようなことは控えてください」
「ララちゃん言い過ぎだよ~」

 母親は穏便に説得しようとしていたので、私はそれを奪い取って脅し。これで半分ぐらいはわかってくれたと思うけど、どうなることやら。

 こうしてジュマルの中学校生活が始まったのであった……


「アレ? ララちゃんなんでいるの??」
「ッ!?」

 1学期の初日は、私も心配だったので小学校はサボって中学校を覗きに行ったら、廊下で笹岡結菜ゆいなちゃんたちに見付かったので、ギクッとなってしまった。

「制服まで着て何してるのよ~」
「ちょ、ちょっと心配で……」

 そう。学校指定のブレザーで変装して忍び込んでいるので、私もドキドキしてたから声を掛けられてビックリしたのだ。
 ちなみにこれは、中学校から許可をもらってやってるよ? じゃないと不法侵入で捕まっちゃうから、母親と私であの手この手で勝ち取ったのだ。

「そういえば、愛莉あいりちゃんも大翔ひろと君も一緒なんだね。全員、同じクラス?」
「そうなの。やっとジュマル君と一緒になれたから、もう結菜の好きにはさせないわ」
「自分もジュマルさんと同じクラスになれて光栄ッス」

 とりあえず話を逸らそうと気になることを聞いてみたら、中学生らしい女子に成長した深井愛莉ちゃんと結菜ちゃんはバチバチ。中1にしては体が大きい坊主頭の木原大翔君は尻尾を振ってるように見える。
 ちなみに大翔君のこの喋り方は、ジュマルと私に心酔してるからだとか。私は「さん付け」されたくないんだけど……

「まぁ、やっと幼馴染み大集合だね。お兄ちゃんのこと、よろしくお願いします」
「「うん!」」
「はいッス!」

 ジュマルが挨拶回りをしている姿を遠巻きに見ながら、幼馴染ミーズと仲良くお喋り。すると、見たことあるオカッパ頭の男子が私たちの元へやって来た。

「ゲッ……がく君も一緒なんだ……」
「ゲッて……てか、姉さんこそ、制服で何してますのん?」
「なんでもいいでしょ。用がないなら向こう行きなよ」
「姉さんとは長い仲なんですから、そりゃないでっしゃろ~。わても仲間に入れてくださいな~」

 飯尾岳君が大声出すもんだから注目の的になりかけたので、仕方なく幼馴染ミーズを紹介してあげたけど、今度は岳君と大翔君がバチバチ。ジュマルの一の子分は誰かで揉めてるよ。どっちも違うのにね。

 この4人は中学校に入ってやっとスマホをゲットしたらしいので、連絡先は交換しておいた。大翔君と岳君はめっちゃ顔が赤かったけど、女子の連絡先ぐらいで照れるなよ。
 そんなことしていたらジュマルは挨拶回りを終えて女子に囲まれ、予鈴のチャイムが鳴ったので、私は職員室にお礼を言いに行くのであった。

 その夜……

「愛莉ちゃんと結菜ちゃん? なになに……」

 グループトークに何か来たので読んでみたら、私のこと。クラスメートの男子に「あの美少女は何組!?」と詰め寄られたんだって。
 なので「中1ではない」とミステリアスにごまかすように頼んでおいたら、私は男子から「謎の美少女」と怪談扱いされるのであった……


 小学校も1学期は始まっていたので、私は1日遅れで登校。タクシー登校は恥ずかしいが、楽なのでちょっと嬉しい。
 でも、このままでは足の筋力が落ちそうなので、庭でダンス。動画サイトでアイドルの振り付けを教えてくれる人がいるから、先生いらずだ。

「「萌え~! ももも萌え~~~!」」
「邪魔しないでよ~~~」

 それを仕事から帰って来た両親に見られてしまって恥ずかしい。健康のためにやってるだけなの! アイドルにならないから!!

 そんな感じで1週間が過ぎた頃に、大翔君からメッセージが来た。

「なになに……部活?」

 どうもジュマルは部活に入るつもりはないというか意味がわかってなかったから、わざわざ連絡してくれたらしい。大翔君、なんて使える子なの!? ドサンピンとは大違いだね!!
 大翔君には礼を言い、みんなどんな部活に入るのかと聞いてみたら、女子2人はコーラス部。大翔君は野球部。岳君は帰宅部との返事が来た。

「なるほどね……部活、か……」

 私はブツブツ言いながら調べ物をし、家族会議を開催するのであった……
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