お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……

ma-no

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幼児期である

024 お受験である

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 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。幼児向けアニメ、けっこう面白い。

 魔法少女プリチュアを両親と一緒に一気見することで幼稚園での会話について行けるようになったけど、大人脳のせいで会話は微妙にズレてしまう。

 9話は最高傑作じゃなかったの? 両親もめっちゃ泣いてたよ!?

 ジュマルもアニメは気になるのか一緒に見ていたけど、バトルシーンが好みみたい。なので、幼稚園の男子は何を見ているのかと情報収集して来るように父親に言われたけど、ジュマルに聞けよ。
 ジュマルは保育園では会話は少ないみたいなので、仕方なく男子に聞きに行ったら私から逃げる子続出。意味がわからないから女子に理由を尋ねてみたら、私がかわいいからじゃないかとか言われた。

 やっぱり~? 照れ屋さん。

 喜んでいても情報収集はできないので、友達の女子に頼んで一緒に行ってもらい、流行りのアニメや特撮物の情報は手に入った。
 それをジュマルに見せてみたら、飛び跳ねまくり。ヒーローなんかの大技をマネするので、また我が家が大変なことになってしまった。

 その空中で錐揉みしながらするキック、実写で出来るのお兄ちゃんだけだよ! お父さんがぶっ飛んだ~~~!?

 ヒーロー物の特撮を見せてしまったがためにまた心配なことが生まれたので、私と母親は1週間ほど保育園に付き添うことになったとさ。


 ジュマルには危険な技は「怪人が出て来るまで封印」との約束をし、子供や大人に使わないのを確認したら、私は幼稚園に戻る。
 1週間も休んだけど、勉強は余裕。難しいのはお遊戯系だけ。子供みたいに踊って声を出すのは恥ずかしいんだもん。

 それにはなかなか慣れない日々が過ぎ、今度は違う問題が出て来た。

「や~い。ブス~」

 なんか男子が私に絡み始めたのだ。最初は目も合わせられなかったクセに、優しくしていたら調子に乗り出したとも言う。あと……

「お子ちゃまね~。好きなら好きって言えばいいのに~」
「なっ!?」

 男子なら、好きな子にちょっかい出すモノ。こっちからからかってやったら顔が真っ赤になったので間違いなさそうだ。

「わたし~。優しくって大人な人が好きだな~」

 なので、小悪魔っぽいことしてみたら、ちょっかい出す子がいなくなった。子供、チョロイ……

 とか思っていたら、次は女子。

「アサヒ君に色目使わないでくれない?」
「「そうよそうよ」」

 意中の男子がいるみたいで絡まれた。でも、4歳でそこまで早熟なの? 色目ってどこで覚えた??

「えっと……じゃあ、いまからこっぴどく振る。そこをミウちゃんが優しくしたら、アサヒ君のハートはイチコロ。やってみない?」
「本当にそんなことになるの??」
「あまり押しすぎるとダメ。なるべく自然にね」
「うん!」

 面倒そうな女子に対してはアシストに徹してみたら……

「ララちゃ~ん。私も協力して~」
「「「「「私も私も~」」」」」

 恋の伝道師になっちゃった。おかげで女子からは大人気。でも男子からは、いきなり振られるから恐れられることになってしまったよ……


 恋の伝道師ブームは引っ付く男女が飽和状態になったら終わったので、我が空組も平和を取り戻し、男子とも仲良くやっている。
 そんな日々を過ごしていたら、あっという間に1学期が終わり、夏休みも終わり、どこに行ったかの話で幼稚園は盛り上がっていたけど、広瀬家では次なる問題が起こっていた。

「「「小学校か~……」」」

 そう。来年にはジュマルが小学生になるのだ。いまの環境から変わるから、何か問題を起こさないかと両親と私は心配なのだ。

「保育園では何もやってないよな?」
「うん。勉強も全然やってないけど……」
「おにちゃ。バカ……」

 ジュマルはいまだに住所も父親の名前も言えないのだから、小学校の勉強について行けないのは確実だ。ちなみに私と母親の名前は普通に覚えたのに、なんでだろ?

「それはまぁアレだけど、入ってしまえばこっちのモノだろ?」
「言い方は悪いけどね……」
「せんせい、たいへん……」

 無理に勉強を教えたら暴れる可能性もあるので、先生の苦労しか思い浮かばない私たち。

「ここは賭けに出るか?」
「「賭け??」」
「前にママが言ってたお受験だよ。大学までエスカレーター式の小学校に入ってしまえば安泰だ!」
「「う~~~ん」」

 てなことがあって、広瀬家総出で大バクチに挑戦することとなった。


 ジュマルの通っている保育園には、私が幼稚園から帰ったらすぐに迎えに行き、母親と私での詰め込み教育。私がジュマルをお座りさせて、母親が座学の先生だ。
 父親が帰って来たらそこに加わり、子供が寝たら両親の面接対策に精を出す毎日。私も勉強を教えていたけど、両親は大変すぎて気付いてなかった。

 そして受験日当日、私は父方の実家に預けられ、めっちゃ甘やかされて待っていたら、両親が迎えに来た。

「ママ、パパ、おつかれさま」

 けど、2人とも頭が地面に突きそうなぐらい項垂うなだれていたので皆まで聞かない。私は2人の肩をポンッと叩き、労いの言葉を掛けただけであったとさ。
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