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十四章 新居に移っても夜遊び
325 やっぱりの結果
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ルイーゼを怖がらせたフィリップは、フレドリクに怒られないように面白い話で笑いを取る。ほとんどボエルの苦労話だったので、ボエルは拳を握り込んでいるけど。
そうしてフィリップは新居の改築も面白く説明していたけど、一番聞きたいことに踏み込んでみる。
「そういえば、中央館からの直通通路って、どうして封鎖してるの? アレのせいで、めちゃくちゃ遠回りになっちゃったんだよね~」
「ああ。アレはね」
「ゴホンッ」
ルイーゼが喋ろうとした瞬間に、後ろに立つメイドが大きな咳払いをした。
「こ、工事中なの……」
「だからか~。どうりで通してくれないワケだ。危ないもんね」
「そうそう。危ないからね」
「ウチも古いし、ちょっと調べてみるよ。それでね……」
明らかに話を逸らされたが、フィリップは話を変えてそれ以上踏み込まない。そのまま楽しくお喋りしていたけど、あまり長居するとフレドリクが戻って来そうなので、ホドホドで帰って行くフィリップであった……
「なあ? 絶対、工事中じゃなかったよな??」
その帰り道、ボエルはあの違和感についてフィリップに聞いていた。
「どうだろうね」
「なんだよ。殿下も気になってんだろ? 調べて来てやろうか??」
「それはダメ。やめときな」
「はあ? 殿下らしくない……」
「前にも言ったでしょ。聖女ちゃんに関わるなって。ボエルもお兄様に怒られたくないでしょ?」
「あぁ~……いま立場が悪くなると困る……」
ボエルは皇太子付きの近衛騎士に内定しているので保身に走る。フィリップは軽くジト目をしたけど忠告は忘れない。
「いい? お兄様の近くで働くようになったら、絶対に言われたこと以外やらないこと。無駄な詮索はしないこと。そうしないと生き残れないよ」
「そうか~? 言われたこと以外もやったほうが出世しそうな気がするけど……」
「お兄様が間違った指示するとでも思ってんの? やりたかったらやりな。でも、お願いだから、1年は様子を見て。僕、ボエルには不幸になってほしくないの」
「お、おう……なんか知らないけど、出過ぎたマネはしないようにしておく……」
珍しくフィリップが悲しそうな目をするので、ボエルもこの忠告は心に深く刻んだのであった。
「フィリップは今日、何をしていたのかな~?」
「早い……早すぎるよ……」
自室に戻ってダラダラしていたら、夕方には顔は笑顔だが目が笑っていないフレドリクと、怒った顔のカイ、ヨーセフ、モンスが来襲。
フィリップの予想では明日だったので、下を向いてボソボソ言ってる。
「お兄様が新居に移ったって聞いたから、どんな屋敷に住んでるか見に行っただけなんだけど……ほら? ウチってボロボロだったから参考にしようと思って……」
そんなことをしていても怒りは収まらないので、フィリップはもっともらしい言い訳だ。
「それなら表から行けばいいだろ? 馬車に乗って行ったほうが楽だし近い」
だが、フレドリクには通じない。どうやら裏から近付く者は、すぐにフレドリクに通報されるみたいだ。
「馬車? ……あっ! 本当だ!? なんで僕は歩いて行ったの? ボエルも助言してよ~」
「いや、その……殿下が散歩とか言って歩き出したから……どこに向かうか聞いていれば、助言はできました」
「そこを読み取るのがボエルの仕事なのでは? 僕の新居の時も、歩いて連れて行ったよね?」
「あの時は~……すいません。思い付きませんでした。自室がそちらにありましたので、いつものクセで」
「てことは~……今回もボエルのせいだな」
「「「「「お前のせいだ」」」」」
フレドリクの馬車発言からフィリップはボエルに罪を擦り付けようとしたけど、全員にツッコまれて大失敗。今まで頑張って敬語で喋っていたボエルまで「お前」って言っちゃったよ。
「何か見たか?」
「何かって……建物と庭しか見てないよ。中にも入ってない。お兄様がいないのに入るのは失礼だからね」
「それならいい。ルイーゼもいい気晴らしになったみたいだしな」
「それにしても、僕の屋敷と大違いじゃない? 寝室に『助けて』とか『殺してやる』とか血文字があったんだよ? 挙げ句の果てには、僕の顔ぐらいある蜘蛛が上からツーっと下りて来たんだよ~。アレにはビビった~。ボエルがグーパンするし~」
フレドリクの表情が柔らかくなったところで畳み掛けるフィリップ。蜘蛛の時点でフレドリクたちも笑いそうになり、ボエルのパンチで笑いが弾けた。
でも、フレドリクには血文字を書いた犯人に心当たりがあったので、名前と何があったのかを告げたら全員引いた。皇族の血で血を洗う骨肉の争いは笑えないわ~。
そのおかげで、フィリップへの怒りは完全に鎮火。ボエルの今後の話を少ししたら、次はフィリップを招待してくれると告げて、フレドリクたちは帰って行くのであった……
「うぅ~……行きたくねぇ~」
「まぁ頑張れ。オレも、詮索しないように頑張るから」
怒られたあとに誘われても、誰でも行きたくないってモノ。ボエルもフィリップの言いたいことが完全にわかったので、この日は2人で慰め合うのであったとさ。
そうしてフィリップは新居の改築も面白く説明していたけど、一番聞きたいことに踏み込んでみる。
「そういえば、中央館からの直通通路って、どうして封鎖してるの? アレのせいで、めちゃくちゃ遠回りになっちゃったんだよね~」
「ああ。アレはね」
「ゴホンッ」
ルイーゼが喋ろうとした瞬間に、後ろに立つメイドが大きな咳払いをした。
「こ、工事中なの……」
「だからか~。どうりで通してくれないワケだ。危ないもんね」
「そうそう。危ないからね」
「ウチも古いし、ちょっと調べてみるよ。それでね……」
明らかに話を逸らされたが、フィリップは話を変えてそれ以上踏み込まない。そのまま楽しくお喋りしていたけど、あまり長居するとフレドリクが戻って来そうなので、ホドホドで帰って行くフィリップであった……
「なあ? 絶対、工事中じゃなかったよな??」
その帰り道、ボエルはあの違和感についてフィリップに聞いていた。
「どうだろうね」
「なんだよ。殿下も気になってんだろ? 調べて来てやろうか??」
「それはダメ。やめときな」
「はあ? 殿下らしくない……」
「前にも言ったでしょ。聖女ちゃんに関わるなって。ボエルもお兄様に怒られたくないでしょ?」
「あぁ~……いま立場が悪くなると困る……」
ボエルは皇太子付きの近衛騎士に内定しているので保身に走る。フィリップは軽くジト目をしたけど忠告は忘れない。
「いい? お兄様の近くで働くようになったら、絶対に言われたこと以外やらないこと。無駄な詮索はしないこと。そうしないと生き残れないよ」
「そうか~? 言われたこと以外もやったほうが出世しそうな気がするけど……」
「お兄様が間違った指示するとでも思ってんの? やりたかったらやりな。でも、お願いだから、1年は様子を見て。僕、ボエルには不幸になってほしくないの」
「お、おう……なんか知らないけど、出過ぎたマネはしないようにしておく……」
珍しくフィリップが悲しそうな目をするので、ボエルもこの忠告は心に深く刻んだのであった。
「フィリップは今日、何をしていたのかな~?」
「早い……早すぎるよ……」
自室に戻ってダラダラしていたら、夕方には顔は笑顔だが目が笑っていないフレドリクと、怒った顔のカイ、ヨーセフ、モンスが来襲。
フィリップの予想では明日だったので、下を向いてボソボソ言ってる。
「お兄様が新居に移ったって聞いたから、どんな屋敷に住んでるか見に行っただけなんだけど……ほら? ウチってボロボロだったから参考にしようと思って……」
そんなことをしていても怒りは収まらないので、フィリップはもっともらしい言い訳だ。
「それなら表から行けばいいだろ? 馬車に乗って行ったほうが楽だし近い」
だが、フレドリクには通じない。どうやら裏から近付く者は、すぐにフレドリクに通報されるみたいだ。
「馬車? ……あっ! 本当だ!? なんで僕は歩いて行ったの? ボエルも助言してよ~」
「いや、その……殿下が散歩とか言って歩き出したから……どこに向かうか聞いていれば、助言はできました」
「そこを読み取るのがボエルの仕事なのでは? 僕の新居の時も、歩いて連れて行ったよね?」
「あの時は~……すいません。思い付きませんでした。自室がそちらにありましたので、いつものクセで」
「てことは~……今回もボエルのせいだな」
「「「「「お前のせいだ」」」」」
フレドリクの馬車発言からフィリップはボエルに罪を擦り付けようとしたけど、全員にツッコまれて大失敗。今まで頑張って敬語で喋っていたボエルまで「お前」って言っちゃったよ。
「何か見たか?」
「何かって……建物と庭しか見てないよ。中にも入ってない。お兄様がいないのに入るのは失礼だからね」
「それならいい。ルイーゼもいい気晴らしになったみたいだしな」
「それにしても、僕の屋敷と大違いじゃない? 寝室に『助けて』とか『殺してやる』とか血文字があったんだよ? 挙げ句の果てには、僕の顔ぐらいある蜘蛛が上からツーっと下りて来たんだよ~。アレにはビビった~。ボエルがグーパンするし~」
フレドリクの表情が柔らかくなったところで畳み掛けるフィリップ。蜘蛛の時点でフレドリクたちも笑いそうになり、ボエルのパンチで笑いが弾けた。
でも、フレドリクには血文字を書いた犯人に心当たりがあったので、名前と何があったのかを告げたら全員引いた。皇族の血で血を洗う骨肉の争いは笑えないわ~。
そのおかげで、フィリップへの怒りは完全に鎮火。ボエルの今後の話を少ししたら、次はフィリップを招待してくれると告げて、フレドリクたちは帰って行くのであった……
「うぅ~……行きたくねぇ~」
「まぁ頑張れ。オレも、詮索しないように頑張るから」
怒られたあとに誘われても、誰でも行きたくないってモノ。ボエルもフィリップの言いたいことが完全にわかったので、この日は2人で慰め合うのであったとさ。
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