夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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十三章 卒業前も後も夜遊び

319 女の敵はフィリップの敵

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 ある程度の細かい内容もベッドの中でしたら、フィリップは「1ヶ月以内には仕事を始められるように身支度しておいて」と言って、今日のところはカイサと別れる。
 そして来た道を慎重にかつ、急いで城の自室に戻れば、ベッドの中でウトウト。ボエルに起こされて夕食にする。

「ふ~ん……アイツら、目の色変わって来たんだ」
「ああ。上級貴族に心を折られてたから、離れて正解だったな。学生時代に戻ったみたいに剣に打ち込んでいるよ」
「一時はボエルに騙されたと思ってたけど、それなら僕のことも守ってくれそうだね」
「それはマジでゴメン。オレもアイツらの境遇、詳しく知らなかったから……また助けてもらってしまったな。アイツらの分も感謝する。ありがとうございました」
「助けてないよ? あの数から護衛決めるの面倒だっただけ」
「感謝してやってんだから、たまにはスッと受け取れよ~」

 仲間を救ってくれたと感謝しても、フィリップがぶっちゃけるのでいつも通り感謝半減。ボエルの負け顔をおかずにして食が進むフィリップ。
 そんなフィリップの顔を睨みながらテーブルを片付けたボエルは、素朴なことを聞いてみる。

「昼間、全然顔を出してないけど、何か問題はないか?」
「うん。なんもない。あ、しいてあげるなら……」
「なんだ? 何か必要な物があるのか??」
「女っ気かな~? こう、抱き枕にできるような子、どこかにいない??」
「心配して損した! 風呂行くぞ!!」

 ボエルも訓練ばかりして悪いと思っていたのに、フィリップが変なことを言うので怒ってしまうのであった。
 でも、マッサージをしてからフィリップを抱き枕にしてみたら、「確かにこういうのあったらいいな」と自分も欲しくなったんだとか……


 翌日も昼過ぎに城を抜け出したフィリップ。地図を片手に平民街をブラブラ歩いて、とある大衆食堂に入って行った。

「あっれ~? ここで働いてるって聞いたんだけどな~……」

 フィリップの探している人物が見付からないので、軽食を頼んだついでに店員にセクハラ……じゃなかった。「今日は子供は働かせてないの?」と質問してみたら、今日は休みとのこと。
 仕方がないので、フィリップは食事を終えたら銀貨1枚だけ置いて店を出た。後ろから「貰い過ぎだよ~!」と言う声が聞こえていたけど無視だ。

 スカウトを空振ったフィリップは失敗したとは思ったけど、帰る気はない。せっかく出て来たんだからと、スケベ顔で違うスカウトを始めた。
 今日の狙いは、高望みをしているのかなかなか定まらない。小一時間ブラブラして「もういっか」と諦め、3人組の女性と遊ぼうかと決めた矢先によからぬ物が目に入った。

「あうっ……」
「言うこと聞かねぇから痛い目にあうんだよ!」

 やんちゃそうな男が少女を殴ったのだ。周りにいる者は驚いた顔をしているが、助けに入ろうとしない。親が子供のしつけをしているのかもしれないと二の足を踏んでいるのだ。

「ちょっと~。そんな幼い子に何してんの?」

 そこにフィリップが颯爽さっそうと登場。子供と女性に手を上げる男はフィリップは大っ嫌いだからだ。

「ああ~ん? こいつはれっきとした大人だ。それに俺とこいつは付き合ってんだよ。俺の女に俺が何しようと自由だ。ガキは引っ込んでろ」
「あ、そういう感じ? じゃあ、お前は僕の敵だ。ボコボコにしてやるよ」
「はあ~? 体格差見てわからねぇのかよ?」
「プッ……ガタイがいいだけで、男とケンカもできないクズか。どうりで小さな子を殴ってるワケだ」
「このクソガキ……俺にケンカ売ってるんだな。わかった。買ってやるよ!」

 男が拳を振りかぶったところで、フィリップは右手を指を鳴らす形にして高々と上げた。

「かかってこい! 僕は貴族様だよ~? 指一本でも触れたら、護衛が飛び出して来てお前を殺す。さあさあさあ! ほら? 殴れよ? どんな死に方がいい? 四肢を切断か? それとも地下室での拷問三昧か? 殴れ殴れ。殴った回数によって、酷い殺し方してやるよ! アハハハハ」
「ぐう……」

 貴族と聞いて、男の振り上げた拳は下がる。さらに狂ったようにあおるフィリップが怖くなったのか後退った。

「なに? 死ぬの怖いの? じゃあ、僕の前で汚い物を見せた不敬罪ってことで、左手だけでいいや。切り落として持って帰る」
「ま、待ってください……」
「頭が高くな~い??」
「はは~!」

 男はフィリップがクレイジー過ぎるので、貴族かどうかわからないのに土下座。そこにフィリップはしゃがみ込み、男の頭を鷲掴みにした。

「このまま握り潰してもいいんだよ?」
「ヒッ……」

 フィリップがとんでもない力で頭を押さえているから、ささやくような小さな声でも、男は恐怖に今にも押し潰されそうになる。

「あの子、気に入ったんだよね~……くれるよね?」
「はいっ!」
「声がデカイ……」
「はい……」
「もう二度と、彼女の前に現れるなよ? もしも彼女の体に痣でもあったら疑うことになるから……その場合は、指を引きちぎって毎日食わせるからな?」
「はは、はい……」
「よしっ!」

 フィリップは男の手を取ってムリヤリ立たせると、金貨を2枚握らせた。

「君の彼氏、最低なヤツだね~? 君のこと、たったの金貨2枚で僕に売ってくれたよ? いい買い物だったな~」
「え……」
「んじゃ、行こうか」
「え? え……待って……」

 身売りされた少女、話について行けず。フィリップが手を取って歩き出すと、クレイジーな貴族だと思っているから振り払うこともできずに連れさらわれるのであった……
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