夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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八章 夜遊びの自主規制

189 大きな一歩

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 ショック療法を試した翌日は、全員寝坊。夜遅くまでマッサージしていたから起きられなかったみたいだ。
 起きてからはボエルが騒いでいたが、フィリップは「行きたくな~い」とゴネていたので今日は仮病。ボエルを走らせて、休む旨を伝えてもらう。

 その現場を見ていたリネーアとマーヤは「なんてワガママな子供」とかヒソヒソやっていたけど、フィリップは気付かずに朝食の催促。
 今度はマーヤが走り、朝食が来るのを待っている間、リネーアはずっとモジモジして頬を赤らめている。

「どうしたの?」
「あの……その……」
「ん~??」
「昨日はお礼も言えず先に寝てしまったので……気持ち良かったです……」
「それはよかったね。僕も頑張った甲斐があるってもんだ」
「はい……また、してもらえることはできますか?」
「いいよ。いまからする?」

 リネーアは嬉しそうな顔をして、すぐに困った顔に変わった。

「いまからはちょっと……マーヤもボエルさんも帰って来ますし……」
「見せびらかしたらいいじゃ~ん」
「そんな恥ずかしいことできません!」
「あの2人は見せてくれたよ?」
「へ? 女どうしでですか!?」

 フィリップは覗いていたクセに、昨夜のことを噓をまじえて説明。リネーアはどノーマルなので、驚きっぱなしだ。

「あ、そうだ。女性とも経験しとく?」
「どういうことですか?」
「前に言ったでしょ? 男が怖いなら女と添い遂げたらいいって。予行練習だよ」
「そうですか……その場合は、ボエルさんが……」
「そそ。頼んであげるよ」
「少し考えさせてください」

 2人で話し込んでいたら、マーヤが食事を持って戻り、遅れてボエルが息を切らせて帰って来たので揃って朝食。
 ひとまずフィリップはリネーアの願いを叶える話をしていたが、食事中にする話じゃないと断られていた。そりゃ、目の前に人がいたら恥ずかしいよね。

 それから食事を終えたら、フィリップとリネーアは寝室へ。マッサージを終えると、フィリップだけ上半身裸で出て来た。

「ボエル、交代」
「はあ??」
「だから、ご指名だよ。女を教えてあげて」
「いやいやいやいや。子供相手にそんなこと……」
「僕は何歳だと思ってるの~?」
「もうやってた!?」

 子供を出して拒否しようとしても、フィリップとやってしまっているのでもう遅い。さらに「これもリネーアのため」と言われては、ボエルも断ることもできずに渋々寝室に入って行った。
 それでもボエルは「こんな経験は今後絶対できない!」と張り切り、王子様プレイでリネーアを接待。そのおかげで仲は急速に良くなったらしく、身分差はどちらも気にならなくなったそうだ。


「なかなか楽しんでるみたいだね」

 寝室から乱れた声が聞こえて来ると、フィリップは舌舐めずりしながらマーヤを見た。

「はい……ボエルさんはお上手ですので」
「僕が教えたことをやってるだけなのにね~……ちょっとだけやってあげよっか?」
「えっと……その……」
「あ、嫌なら断ってね。無理矢理って僕は好きじゃないから。1回しちゃうと、僕から離れられなくなるかもしれないしね~」
「そんなにですか……」

 しばしフィリップとマーヤは無言であったが、寝室から聞こえる声に負けたマーヤがベッドに誘うので、フィリップはニヤニヤしながらマッサージするのであった……

「「殿下です……」」
「いよっしゃ! 勝った~~~!!」
「クソ~~~!!」

 その後、フィリップとボエルのどちらが上手いかの話になって、忖度そんたくなしに勝者が告げられたのであったとさ。


 結局この日は、一日中寝室でとっかえひっかえマッサージをやりまくった一同。そのまま全員裸のまま眠りに就き、次の日は心地よく目覚めていた。
 フィリップはもう1日ぐらいサボりたいとか言ってたけど、ボエルにムリヤリ制服を着せられ、リネーアも制服を着るとドアに向かう。

 ボエルがいつも通りドアを開けて先に出ると、フィリップがあくびをしながら続くが、リネーアはまた一歩手前で止まってしまった。

「あ、忘れてた。いってきますのハグ~」

 するとフィリップは笑顔で振り向き、両手を広げた。

「アハハ。出れたじゃん?」
「……え??」

 リネーアの現在の場所は、廊下。フィリップがあまりにも自然に振る舞うので、一昨日からマッサージしまくっていたリネーアは飛び付いてしまったのだ。

「よくやったね」
「はい……はい……ありがとうございます……ありがとうございます……」

 こうして約1ヶ月振りに外に出たリネーアは、フィリップに抱きついたまま、涙ながらに感謝するのであった。

「いま、騙したよな……応援はダメで騙すのはいいって、納得いかねぇな~」

 マーヤももらい泣きするなか、ボエルはいらんことに気付いていたので、なんだか感情移入できずに感動は引っ込むのであったとさ。
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