夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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六章 夜遊び少なめ

137 協力者のスカウト

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「噂とは違い、いい人でしたね」
「いい人というより、やる気がない?」

 フィリップがエステルの部屋から出て行くと、イーダとマルタはフィリップの話題で盛り上がっていた。
 そんな中、エステルは優雅にお茶を飲んで耳を傾けていたら、2人から感想を聞かれた。

「そうですわね。様々な顔を持つお人でしたわね」
「様々な顔ですか?」
「馬鹿みたいであったり優しかったり意地悪だったり……それでいて鋭かったり頭が回ったり、イロイロですわ」
「賢い一面なんてありましたか?」
「一瞬ですがね。それ以前に、お茶会の場所を庭園からわたくしの部屋に変更を希望したのは殿下ですわ。もしかすると、わたくしたちが人に聞かれたくない話をすると最初から気付いていたから、配慮してくれたのかもしれませんわね」
「「は、配慮……」」
「ウフフ。考えすぎですわね」

 フィリップは馬鹿皇子。噂だけを聞くと勝手極まるワガママ皇子なのだから、イーダとマルタは「配慮」という言葉すら知らないと頭に浮かんでいる。
 エステルも自分で言ったのに否定して、それが面白かったのか笑みが零れるのであった。その顔は、知らない人が見たら恐怖する顔だけど……


 エステルとのお茶会は、途中退場させられたボエルが「兄の婚約者にセクハラしてないよな?」とか心配していたけど、フィリップは「聞くことそれ?」と反論。そのあとに中で何があったのか聞かれていたけど秘密を貫いた。
 そうして自室のベッドに寝転んだフィリップは、エステルの顔や体を思い出しながらゴソゴソしていたら、ちょっとした失敗に気付いた。

「しまった……イベントがいつ起こるか正確にわからないんだから、これを機にどっちか引き込んでおけばよかった……」

 そう。フィリップのお楽しみは、乙女ゲームのリアタイ視聴。生で悪役令嬢とヒロインの対決を見れるチャンスはあるけど、大まかな日時しかわからないから見逃す危険があるといま気付いたのだ。

「たぶんいまは、下準備中だったはず。んで、悪役令嬢の代わりに他の生徒がイビル期間だと思うけど……やっぱり協力者は必要だよな~。仕方ない」

 フィリップは夜が更けると猫耳マントを羽織り、寮内を走り回るのであった。


 翌日の深夜、女子寮の2階にある一室に、ベランダから侵入者が忍び込んだ。侵入者は音を殺して部屋を歩き回り、静かに寝室のドアを開けると、ベッドで寝息を立てている女子生徒に覆い被さった。

「キャッ! ムグッ」
「シー。シー。ボクボク。フィリップだよ~?」
「ンー! ンー!」

 いくら第二皇子でも、夜中に襲われたら怖いに決まってる。なので女子生徒も恐怖に駆られて暴れ出した。

「もう~。話があるだけなのに~……そのまま聞いてね。昨日、イーダが犯人と聞かされてから、腹が立って来ちゃってね~。ぜんぜん眠れなかったんだよ。これ、どうしてくれるの?」

 フィリップが襲った女子生徒は、イーダ・ノルデンソン男爵令嬢。興奮状態だったのでシンプルに脅したら、顔を青くして動きはなくなった。

「落ち着いたみたいだね。手を離すけど、大声出さないでね? 大声出したら、僕、プンプンだよ~?」

 イーダが頷いたので、ようやくフィリップは口から手を離した。

「わ、私にどうしろと……」
「話が早くて助かるよ。抱かせて」
「……はい??」
「だから、僕が眠れるように抱かせてほしいの」
「えっと……」

 突然の夜這い宣言に、イーダは目を回してメリットやデメリットを考える。ただ、上手く思考ができないのか、フィリップの噂ばかりが頭によぎっている。

「ダメなの?」
「いえ! いえ……」
「どっち??」
「あの、いつもこんなふうに女性を襲っているのかと思いまして……」
「やだな~。それ、城の噂でしょ? 貴族令嬢が僕と関係を築いたとか嘘ばっかりつくから、尾ヒレがつきまくって変な噂になってるんだよ」
「では、私が初めてとういことでしょうか?」
「夜這いはね。城で関係を持ったのは2人いるよ。その顔はどういう顔??」

 イーダはめっちゃ怪しんでいる顔をしてるけど、フィリップは真実しか語っていないので認めたくないみたいだ。城以外では100人を軽く超えてるクセに……

「それで~……どうするの? やるのやらないの? 僕をいつまでも怒らせておくの??」
「お、お相手させていただきます……」
「そんなに怯えないで。優しくするから。初めて? 初めてなら、もっと優しくしなくちゃね~」

 イーダは話を信じたわけではないが、第二皇子と関係を築くならお家のためになるかと頭が働き、フィリップのマッサージを受け入れてしまうのであった……


 それから2時間、フィリップは長くゆっくりなマッサージをし続けた。

「凄く気持ちよかったですぅぅ」
「アハハ。気に入ってくれた? もっとする??」
「はい~」

 その結果、イーダはメロメロ。フィリップはクリスティーネとの経験を踏まえて、初めてでも満足してくれるマッサージを目指したからだ。
 ただ、あまり激しくすると声が隣の部屋に聞こえる可能性もあるので、時間を掛けてゆっくりと果てる方法を取ったので、イーダは声にならない声しか出せず、トロトロにトロケ切る結果となったのだ。
 
「すっごいだらしない顔。アハハ」
「もう~……そうさせたの殿下でしょ~」
「そりゃそうか。ま、今日はここまでにしよう。また明日来るね~」
「はい~」

 フィリップもちょっとは満足したら、窓から出て自室に帰って行くのであった……

「え? 明日も来るの? 一回だけだと思ってた~~~」

 イーダは我に返ったら、この関係が続くのかと驚くのであったとさ。
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