夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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六章 夜遊び少なめ

133 寮内探検

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 帝都学院の校舎をコソコソ脱出したフィリップは、その足で寮の自室に向かった。3階だったのでボエルにおんぶをせがんでいたけど、「甘えるな」とキレられたので自分の足で。
 自室に入ると間取りを確認し、逃走ルートまで念のため確認してから、ベッドに飛び込んだ。

「はぁ~……疲れた」
「授業はずっと寝てたのに、どこに疲れる要素があるんだか」
「言うね~。僕をナメるの早すぎない?」
「あ……申し訳ありません。弟に似てたもんで……」
「ウソウソ。そんなことで謝らなくていいよ。あと、ボエルもまだ仕事に慣れてないから疲れてるでしょ? ベッドに寝転んでいいよ」
「はっ! 寛大な……ベッドはダメじゃないか??」
「おしい! 襲ってやろうと思ったのにな~。アハハハハ」
「茶、入れてくる!!」

 叱られたり許してくれたりセクハラされたりするので、ボエルはどう反応していいかわからなくなったのか、怒って寝室から出て行くのであった。


 それからフィリップがダラダラしていたら、ノックの音が響いてボエルがドアに向かおうとしたけど呼び止めた。

「お兄様だったらいないって言っておいて」
「オレに噓つけと?」
「噓じゃないよ。ジョークだよ」
「言えるか!」
「頼むよ~。女の子好きの女子、一緒に探してあげるから~」
「うっ……本当だな??」
「ホントホント」

 思ったより早くボエルが折れてくれたのでフィリップは「チョロッ」とほくそ笑んでいたら、ドアのほうからガヤガヤと聞こえて来たのであった。


「殿下、申し訳ありま……あれ??」

 フレドリクは次期皇帝。そんな者を一目見たら、ボエルも嘘をつけないと約束を破ってしまい、謝りながら寝室に入ったけどフィリップはおらず。

「どうしたのだ?」
「いえ、さっきまで確実にいたのですけど……申し訳ありません! 殿下から目を離して誘拐されてしまいました! この責は私の命で償いたい所存です!!」
「まてまて。まだ誘拐だと決まっていない。それにここは警備が万全なのだから、フィリップが勝手に出て行っただけだろう。そのうち帰って来るだろうから、少し待たせてもらってもいいか?」
「はっ! すぐにお飲み物をご用意させていただきます!!」

 焦ったボエルは切腹する勢いであったが、フレドリクに優しく諭されたのであった。


「居座りやがった……」

 フィリップがどこにいるかと言うと、バルコニーの陰になっているところ。ルイーゼの声が聞こえたから慌てて隠れたのだ。

「また聖女ちゃんだけこっち見てるけど……なんなの? 僕、くさいのかな? あ、逃げなきゃ」

 窓から覗き見ていたフィリップは、ルイーゼが立ち上がったので屋上に登り、誰もいないのを確認したら寮の中に戻って、女子寮の探検に行くのであった……


「どうもどうも。第二皇子だよ~?」

 女子寮の1階はパラダイス。位の低い者しかいないので、第二皇子登場で女子たちは浮き足立ち、めちゃくちゃチヤホヤしてくれるのでフィリップも鼻高々。
 普通、女子寮を我が物顔で歩く男子なんて皆無なのだから、一部の女子からは「はしたない」とか陰口を叩かれている。だが、そんな女子こそ、からかいがいがあるとフィリップは寄って行ってるな。

 最終的にはラウンジに陣取って、女子をはべらせる始末。めちゃくちゃエロイ顔で値踏みしてるけど、こんなことをしているのは理由がある。
 ボエルが「誘拐された」とか言っていたから、派手に動いて居場所を教えていたのだ。たぶん……

「「「「「キャーーー!」」」」」
「ヤベ。兄貴が先に来ちゃった」

 でも、作戦は失敗。黄色い悲鳴が聞こえて来たのでフィリップは「第一皇子だ!」とか指差して女子の隙を作り、ラウンジをこっそり抜け出して女子寮探検を再開するのであった。


「やっと見付けた!」

 フィリップが自室で今日のことをメモっていたら、ボエルが怒鳴りながら入って来た。

「アハハ。遅かったね~」
「遅いじゃねぇ! 勝手にチョロチョロ出歩くな!!」

 実はアレから三度もフレドリクとバッティングしたから、フィリップはその都度身を隠していた。なので、目撃情報は至る所にあったからボエルは寮内を走り回っていたので激オコだ。

「ここは安全なんだからちょっとぐらい、いいじゃ~ん」
「よくねぇ! フレドリク殿下も、弟に避けられてるとヘコンでたぞ!!」

 フレドリクがヘコンでいたと聞いて、フィリップもちょっとは悪いと思った。

「別にお兄様は避けてないんだけどねぇ~……人見知りだから、あの大人数で会いたくなかっただけだよ。なに喋っていいかもわからないし」
「噓ばっかりつくな! 女子は侍らせてただろ!」
「女の子好きの女子を探してただけだよ~」
「マジで? ……いた??」
「マジでマジで。でも、まだ見付かってない」
「マジか~……じゃねぇ! フレドリク殿下に悪いと思わないのかよ!?」
「ちょっとはね。今度、2人きりならいつでも会うって伝えておいて」

 フィリップは話を逸らそうとしたけど、今回は上手くいかなかったので、折中案を出してごまかすのであった。

「ところで、本当にいなかったのか?」
「まだって言ってるでしょ~。ごはん持って来てよ~」

 やっぱり気になるらしく、ボエルはちょくちょくそれとなくツバを付けたい女子の容姿を伝えるのであったとさ。
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