夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

ma-no

文字の大きさ
上 下
132 / 380
六章 夜遊び少なめ

132 人気の違い

しおりを挟む

 帝都学院、新学期の初日は短縮授業。お昼には授業が終わったので、フィリップは大きなあくびをしていた。

「「「「「フィリップ殿下~~~」」」」」

 それはクラスメートの待ってましたの時間。フィリップは遅れて来た挙げ句、休み時間もずっと寝ていたので喋り掛けられなかったから、お近付きになろうと手ぐすね引いて待っていたのだ。

「えっと……なに?」
「校舎の案内をいたします!」
「それは私が!」
「授業の説明をいたしましょう!」
「俺の言いたいこと取るな!」
「オッパイ触りません?」
「はしたないこと言わないの! 結婚して!!」
「「「「「抜け駆けするな~~~!!」」」」」

 フィリップが質問しただけで、この始末。腐っても皇族がやって来たのだから、クラスメートはケンカする勢いで喋り倒している。
 とりあえずフィリップはしばらくその様子を見ていたら、自己紹介は全て誰かの声で掻き消されるのでわからない。クラスメートの1人が目の前に現れては後ろに引っ張られて、違う人が出てまた後ろ下がるので顔も覚えられない。

「誰がオッパイ触らせてくれるって言ったの~?」

 どうやらフィリップがキレずに残っていたのは、オッパイのためだったらしい……

「「「「「私です!!」」」」」
「「「「「俺です!!」」」」」
「なんで僕が野郎の胸を触るんだよ!!」
「「「「「あっ……」」」」」
「「「「「キモッ……」」」」」

 ついにキレたのは、野郎共が勢い余って胸を差し出したから。同時に女子が冷めた目で見たので、ようやくクラスが静かになった。

「「「「「オッパイです!!」」」」」

 でも、それは一瞬だったとさ。


 また騒ぎが酷くなって来たのでフィリップもそろそろ本気でキレようと思っていたら、徐々に声が小さくなって来た。
 よく聞くと女子の声が減っており、最終的には男子の声だけが残ったので、フィリップは何故かと椅子に乗って立ち上がったけどすぐにしゃがんだ。

「なんであいつらが……」

 フィリップが変な行動をしたので男子たちもそちらを見たら、そこにはフレドリクとイケメン3人に囲まれたヒロインが教室に入って来たところ。
 ヒロインとかはどうでもいいが、次期皇帝のフレドリクが下級生のフロアに現れたから、鼻の利く女子たちはいち早くキャーキャー言って離れ、男子たちは釘付けになったのだ。

 ちなみにヒロインの名前は、ルイーゼ・アメルン。美人ではなく愛らしい表情の茶髪の少女で、乙女ゲームではさほど人気は高くない。プレイヤーは女性が多いのだから、そりゃそうか。
 人気があるのはフレドリクと親友の3人。黒髪筋肉イケメンのカイ・リンドホルム。メガネイケメンのヨーセフ・リンデグレーン。ロン毛イケメンのモンス・サンドバリ。ここにショタのフィリップを入れて、イケメン4と呼ばれていた。

 乙女ゲームでの人気1位はキラキラ皇子のフレドリク。キラキラしたエフェクトが出てるのかと見間違えるような微笑みで生徒に問い掛ける。

「フィリップに会いに来たのだが、どこにいるか知ってるか?」
「「「「「はは! こちらでございますぅぅ」」」」」

 どうやらフレドリクは、校舎の案内をしようとフィリップに会いに来た模様。その質問に男子たちは一糸乱れぬ動き。バババッと両サイドに分かれて道を開けた。

「ん? どこだ??」
「「「「「……へ??」」」」」

 しかし、そこには机と椅子はあるけどフィリップはおらず。なので男子たちは嘘をついたと思われないかと真っ青になって土下座してる。

「「「「「つい先ほどまでそちらにいたんですぅぅ!!」」」」」
「そう怖がるな。罰なんてないんだからな。楽にしてくれ」

 焦りまくる男子たちに優しく対応するフレドリクであった。


「うお~。ギリギリセーフ……」

 ところ変わって教室に隣接されたベランダ。フィリップはフレドリクたちに視線が集中した隙に、素早く逃げて窓から外に出ていたのだ。

「なんかよくわからないけど、逃げてしまった……まぁ逆ハーレムルートは避けたいから正解か。てか、兄貴、めちゃくちゃ人気あるな。心なしか、女子の目がハートになってるし……同じ血筋なのに、こうまで違うのか」

 自分に群がる女子は目が血走っていることが多いので、若干嫉妬にかられるフィリップ。しかし窓から覗きながら分析も行っていた。

「ひょっとして、逆ハーレムルートには僕の知らないルートがあるのかも? なんだよ~。一度ミスったら終わりって、ネットに書いてたのに嘘ばっかじゃん……わっ! また聖女ちゃんが近付いて来た。とりあえず退散しとこ」

 フレドリクがクラスメートを宥めるなか、ルイーゼが1人でベランダに向かって来ていたので、フィリップは匍匐ほふく前進というかゴキブリみたいにガサガサ動いて、隣のクラスから脱出するのであった……


 校舎を出たフィリップは、寮に向かおうとしたけど自分の部屋の場所はわからないし忘れ物があったので、時間を置いて壁を登って教室に戻った。

「殿下! どこに行っていたんだよ!!」

 教室はもぬけの殻だったけど、慎重に廊下に顔を出したところでボエルを発見。フィリップはチョイチョイと手招きして教室に入れた。

「大声出さないで。他の生徒に見付かるでしょ」
「てことは、隠れていたと?」
「そそ。お腹すいたんだけど、お兄様がいない場所で食べられない?」
「兄弟なんだから一緒に食べたらいいのに……てか、どこに隠れてたんだ?」
「ヒミツ~」

 フレドリクの向かった食堂は、フィリップを捜すのに走り回ってボエルも把握していたので別の食堂に向かったけど、何故かそこで食べていたので別の階に移動して昼食。
 一気に掻き込んだら、コソコソしながら校舎を出るフィリップであった。

「ところでなんでそんなにコソコソしてんだ?」
「それもヒミツ~」
「フレドリク殿下とケンカしてるとか?」
「意外とゴシップ好きなの? 女子みたい」
「そんなんじゃねぇし!」

 詮索して来るボエルは、からかって煙に巻くフィリップであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

猫王様の千年股旅

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。  紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。  魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。  千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった…… ☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット漫遊記」の続編です。 できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。 初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも…… 「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。 R指定は念の為です。  毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...