夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

ma-no

文字の大きさ
上 下
115 / 383
五章 二年生も夜遊び

115 祭りのあと

しおりを挟む

 オロフたちと喋っていたら時間は過ぎ、客も半分以上減ってマッツも会話に入っていたら、後ろから女性の大声が聞こえる。

「ハハ、ハタチ君から離れて!」
「衛兵呼びますよ!」

 フィリップの元スパイ、カロラとロリを含めた4人のお姉さんだ。オロフたちから前回逃げたから、今回は頑張って戦う構えみたいだ。

「あ、お姉さんたち。お疲れ~」
「お疲れじゃなくて!」
「こいつら、もうマフィアじゃないよ?」
「「「「へ??」」」」
「席開けて。隣どうぞどうぞ」

 フィリップがオロフたちをシッシッと奥に追いやったら、カロラたちは恐る恐るフィリップの両隣に分かれて座った。

「あいつら、スラム街の英雄、お掃除団の幹部だよ」
「「「「そうなの!?」」」」
「ちょっと強面だけど、クーデターでは活躍してたんだから怖がらないであげて」
「なんでそんな人と関わりがあるの?」
「ただの飲み仲間。それより、今日はみんな遅いじゃん。忙しかったの??」

 オロフたちの顔は知られていないがお掃除団はけっこう有名なので、ロリたちの警戒は解けた模様。ただ、フィリップはその中心人物だったから知られたくないので、すぐに話題を変えていた。

「戴冠式の準備とか片付けでね~。もうクタクタよ。でも、女王様のことも祝いたいから、一杯だけ乾杯しようと思って来たのよ」
「そっか。城勤めじゃ遅くなるよね~。マスター。高いの出してあげて。みんな一緒に乾杯しよう!」
「「「「「かんぱ~い!」」」」」

 フィリップがタダ酒を振る舞うと、カロラたちもオロフたちも笑顔で乾杯。城での出来事をさかなに飲んでいる。
 そんな中、ロリだけは違う肴で酒を飲んでる。フィリップのパンツに手を入れて、なんで酔えるんだ……

「そういえば、今日かわいい男の子見たの~」
「なに~? 僕以外に目移りしたの??」
「ウソ! ハタチ君以外、目に映らないよ。だから捨てないで~」
「捨てないから、どんな男の子か教えて」
「私、昼のパーティーで給仕してたんだけどね。貴族の子供さんたち、すっごくかわいかったの~」

 どうやらロリは、カールスタード学院の生徒をロックオンしてエロイ目で見ていたらしい。そのことを悪びれもなく言うので、フィリップ以外引いている。フィリップにはそういうお姉さんがいてくれないと死活問題だもん。

「中でも帝国のフィリップ殿下は別格。クルクルパーマでかわいいの。あんな子に抱かれたいわ~」
「ブフゥゥッ!!」
「きたねっ!?」

 でも、ロリが本当の自分をロックオンしていたのかと驚いて、フィリップはジュースをマッツに吹きかけていた。

「ハタチ君??」
「ゲホッ。ゴホッ。なんでもない。ゴホホ」
「そういえばハタチ君……フィリップ殿下に似てるかも? 金髪のクルクルパーマにする予定とかない??」
「あんなヤツと一緒にされたくないからイヤだよ。アホで引きこもりで女癖悪いんだよ?」
「そうなの。女癖悪いから、私にだってワンチャンあるかも~?」
「ワンチャンどころか……なんでもない。今日はこのあと暇??」
「ヒマヒマ! やっぱりハタチ君が一番好き~~~!!」

 フィリップはマッサージしまくってると口を滑らせそうになったので、ロリを自分に食い付かせて完全に忘れさせる。ロリはどこに食い付いてんだか……

「んじゃ、僕は宿屋にしけこむよ。お姉さんたちはどうする?」
「「「久し振りに行こっかな~??」」」
「みんな~。まったね~」

 こうしてフィリップは4人の女性を侍らせて、酒場を去るのであった……

「「うらやますぃぃ!!」」
「そう? 嫁1人いればいい」

 それを見て血の涙を流すマッツとオロフ。嫁大好きトムであった。


 戴冠式も終わり、カールスタード王国の首都もいつもの日常に戻ると、フィリップもいつもの夜遊びに戻っていた。
 フィリップの誕生日は各所でこじんまり祝ってもらい、年末年始は各所に顔を出して派手に遊び、3学期が始まるちょっと前にフィリップはダンジョンの中で悩んでいた。

「いい加減、レベルアップしてもいいと思うんだけど……」

 何度もケルベロスとファフニールを倒しているのに、レベルがぜんぜん上がらないからだ。

「99がカンストってことかな?」

 いや、ついにフィリップはやり遂げたのだ。

「思ったより早かったな~……これで兄貴と戦う時も余裕だけど、楽しみがひとつ減っちゃったよ。せいぜいレアアイテム集めぐらいか。それもな~……」

 フィリップの楽しみはレベル上げ。次にアイテム集めだが、ファフニールソードは初回特典だったらしく、あれ以降出ていない。
 その後はアーティファクトクラスの武器防具などが出て来るが、最近は持ってる物しか出て来なくなっていたから、こちらも打ち止めじゃないかと思っている。

「お金も腐るほど手に入れちゃったし、ダンジョンは卒業かな? たまに息抜きで遊びに来るか~」

 こうしてフィリップのダンジョン生活は、終わりを告げたのであった……


 やることがひとつ減ったフィリップは、精力的に夜の街に繰り出していたある日、ダグマーが神妙な顔でフィリップの部屋に入って来た。

「殿下。皇帝陛下から手紙が届いております」
「父上? てか、ダグマーはどうしたの? なんかあった??」
「いえ、私は……私にも陛下からの命令が下りましたので、まずは手紙を読んでください」
「手紙絡みってことか……」

 フィリップは皇帝の手紙に目を通すと、軽く頷いた。

「なるほどね~……」
「思ったより喜ばないのですね……」
「嬉しいよ。嬉しいけど、いまはダグマーだよ。父上には僕のほうから頼んであげるから、元気出して。ね?」
「はい……」

 この日は元気のないダグマーを励まし、制限時間ギリギリまで一緒に過ごすフィリップであった……
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

猫王様の千年股旅

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。  紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。  魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。  千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった…… ☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット漫遊記」の続編です。 できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。 初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも…… 「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。 R指定は念の為です。  毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...