夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

ma-no

文字の大きさ
上 下
107 / 383
五章 二年生も夜遊び

107 ダンジョンの最奥地

しおりを挟む

「これでアイテムもバグってたら、キレるぞ~~~??」

 サイクロプスがバグっていた上に死ぬ時までバグっていたので、フィリップはすでにキレている。その状態で出て来た宝箱は、半ばヤケクソで開けた。

「セーフ! でも、お金以外使えねぇ!!」

 出て来た物は、金貨数枚と白金貨2枚。それとフィリップより大きな金棒だったので、やっぱりキレてる。装備してみたらいま使っている武器より強かったけど、見た目から装備を諦めるフィリップであった。


 それからカクカクした動きのポリゴンモンスターを危なげなく倒して文句ばかり言っていたフィリップであったが、経験値は多く入るし出て来るドロップアイテムはいい物ばかりなので微妙な顔。
 地下19階より難易度が低いから、RPG好きからしたら物足りないのだ。苦戦するのは、空を飛ぶモンスターだけ。下りて来ないもん。

 その場合は、真下から指鉄砲連射。反撃も真下には来ないから楽々倒せると言いたいところだが、指鉄砲ではHPを削るには時間が掛かるのだ。
 いちおう最強魔法の氷桜吹雪ひざくらふぶきを使えば早く倒せるが、一発では倒せないしMP消費が激しいので、MP回復ポーションをガブガブ飲むことになるからやめたんだって。アイテムボックスにたんまり入っているのに、貧乏症だ。

 ちなみにフィリップのアイテムボックスは、宝の宝庫。武器防具に服や服飾品、各種回復アイテムが山ほど入っている。これは何かに使えるかと思って溜めていたけど出番がまったく来ないので、もう何が入っているかわからない。
 お金もたんまり入っているけど、銅貨と銀貨はクーデターの時に全て吐き出したので、それ以降は拾っていない。金貨や白金貨だけでも充分すぎる額になっているからだ。
 ただし、下に行くほど金貨が増えているので、捨てようかどうかめっちゃ悩んでいるらしい……


 ポリゴンモンスターは限られた動きしかしないので楽勝に倒せると言いたいところだが、HPだけは無駄に多いから倒すには時間が掛かる。
 しかしフィリップは剣と魔法を駆使して危なげなく倒し、地図を作って進んでいたら、見覚えのある部屋を発見した。

「おお! セーブポイントだ。さすがにここには無いと思っていたけど、ラッキー。ちょっと休んで行こう」

 セーブポイントは4階ごとに設置されていたが、ラスボスの手前にはないと思っていたのでこれ幸いと、フィリップはお皿の水をコップですくって一気に飲み干した。
 ちなみに回復水はセーブポイント限定。フィリップはどこでも使えると思って大量の水筒や瓶に移したのに、お腹パンパンになるまで飲んでもMPが一切回復しなかったから、そのまま不法投棄したんだって。

 MPが満タンになったフィリップは、その場に座ってダンジョンノートを開いた。

「まさか21階なんてないよな? いや……あるかも? 帝都学院のダンジョンでは、ヒロインがこけて偶然発見するんだから、似たようなここならクリちゃんがこけて発見するのかも? ドラゴンみたいな裏ボスがいるのかな~?」

 フィリップは心を躍らせてノートにメモを足していると、ふと気になることが頭に浮かんだ。

「てか、ここって地下20階もあるってラーシュでも知っていたけど、誰が潜って調べたんだろ? 僕の予想では、5人パーティでもレベル50はないと厳しいぞ。一番強い近衛騎士でもレベル30しかなかったのに……また謎だよ~」

 この世界の誰も到達できないダンジョンが人々に知れ渡っていたのでは、フィリップの悩みは増えるのであった。


 それからひと月、経験値の割には楽な地下20階に籠って順調にレベル上げしていたフィリップ。ついでに宝箱漁りをしていいアイテムを手に入れてはいたが、ポリゴンモンスターには飽きて来た。

「もうラスボスとやり合ってみるか~」

 なので、今日は地下20階のセーブポイントにやって来たらお着替え。最強装備を取り出して装備する。

「う~ん。なんかバラバラ。でも、いまある装備じゃこれ以上のパラメーターアップはしないからな~……」

 フィリップの姿は、頭には頭頂部が尖ったヘルメット。フルメイルの鎧は動きにくいので胴体だけ装備して、違う軽鎧から腕当てとすね当てを付けている。防具は体のサイズに合うものが少ないから、バラして使うしかなかったらしい。
 右手にはカッチョイイ剣より強い、攻撃力90のダサイ剣。左手には金ピカのバックラーだ。
 見た目は超ダサいけど、これでも防御力は200を超え、各種補助効果アップもあるので素早くなり、攻撃力は115となっているので我慢するしかない。

「ま、誰も見てないんだから、気にすることないか。行きま~す。はぁ~」

 フィリップは強がってみたけど、装備がダサイのでいまいち気持ちが乗らないのであったとさ。


「ここ、たぶんボス部屋だと思うんだけど、何もいないんだよな~……」

 最短距離を進んだフィリップが扉を開けるだけ開けて入ろうとしないだだっ広い部屋は、ダンジョンの最奥地。
 他の部屋は全て確認済みだから、ボスがいるのは確実。ただ、氷だるマンを放り込んでも何も起きないので、慎重派のフィリップは入りづらいのだ。

「虎穴には入らずんば虎児を得ず! 氷だるマン!!」

 覚悟を決めたかに見えたフィリップは、人間大の氷だるマン5体を盾にしながらゆっくりと奥に進むのであった。


「「「ガルルルゥゥ!!」」」
「ヤバッ!?」

 フィリップが奥に進んで「なんであんな所に?」と玉座が目に入った瞬間、床一面に魔法陣が現れたと思ったら、次の瞬間には氷だるマン3体が同時に、床から出て来たみっつの口に飲み込まれたので、フィリップは大きく後ろに飛び退いた。

「初見殺しかよ……」

 こんなことをするモンスターは初なので、床から出て来ている黒いモンスターを睨みながら全体が現れるのを待つフィリップ。

「デカイ……ケルベロスだ~~~!!」

 しかし、巨大なケルベロスを生で見れたと、怒りは吹き飛ぶフィリップであった……
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!

のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、 ハサンと名を変えて異世界で 聖騎士として生きることを決める。 ここでの世界では 感謝の力が有効と知る。 魔王スマターを倒せ! 不動明王へと化身せよ! 聖騎士ハサン伝説の伝承! 略称は「しなおじ」! 年内書籍化予定!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

猫王様の千年股旅

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。  紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。  魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。  千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった…… ☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット漫遊記」の続編です。 できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。 初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも…… 「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。 R指定は念の為です。  毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...