93 / 376
四章 クーデター後も夜遊び
093 怒り
しおりを挟む「派手に遊んでるらしいですね……」
今日の夜遊びは、まずはお城から。フィリップが寝室に入ると、クリスティーネに睨まれた。
「そそ。クリちゃんのおかげで、自由に遊べるようになったよ。ありがと~~~」
「怒っているのに通じない……」
「チュチュチュ。モミモミモミモミ」
「ああ! もう!!」
なのにフィリップはエロモード突入。クリスティーネもヤケになってマッサージを終わらせた。
「娼館について、ちょっとお願いがあるんだけど~?」
「彼女とこんなことしておいて、よく娼館の話ができますね……頭、おかしいんですか?」
「うん。おかしいよ。ダメ??」
「ダメに決まってるんですけどね。はぁ~……お願いってなんですか?」
「中町の話なんだけど~……」
フィリップのお願いは、昨夜行ったクラブや高級娼館の話。兵士を派遣することもそうだが、根本的な改革を求めている。
「高すぎる、と……」
「そうなの。あの値段設定じゃ、クラブも娼館もひと月もしないうちに潰れちゃう。失業者で溢れちゃうから、国が介入したほうがいいと思ってね」
「意外と真面目な話だった!?」
クリスティーネは値段の文句を言いに来たと思ったけど、話を聞いたらド正論で驚きを隠せない。
「それは急いでやらないといけないとはわかりましたけど、値段設定は誰に聞いたらいいか……」
「ここに娼館のプロがいるでしょ~?」
「そんなに行っているのですか……はぁ~。フィリップに任せます」
「そうだな~……帝国の値段から始めて、客の入りを様子見よっかな~? たぶん、帝国よりちょっと下げた値段がここの相場に合ってると思うんだよね~」
「楽しそうですね……」
初の色町運営なのだから、フィリップもノリノリ。クリスティーネは呆れ果てて、メモを取るのであった……
「あ、そうだ。もう1個いい?」
色町運営プランを全て喋り終えたフィリップの質問に、クリスティーネは「どうせろくでもないことを聞こうとしてんだろ?」って目で話を聞く。
「ストールって貴族、知ってる? 伯爵家の」
「ストール伯爵ですか。挨拶も丁寧で、人の良さそうな人ですよね。その人がどうしたのですか?」
「へ~……表の顔はそうなんだ」
「表? 何かあったのですか??」
「ちょっと揉めただけ。ま、あまり信用しないほうがいいかな~?」
「フィリップがそう感じたなら……お取り潰しにします??」
「権力は、僕のために使う物じゃないよ~?」
フィリップはこう見えてクリスティーネの救世主。その救世主が困っているなら、女王の権力をフルに使うことを辞さないクリスティーネであったとさ。
クリスティーネは仕事で忙しいからほどほどの時間で撤退したフィリップは、まだ帰るには早すぎるのでハシゴ。昨日行った高級娼館にエロイ顔して足を運んだ。
「なんかあった? 顔、腫れてない??」
そこでナンバー1娼婦のドロテーアが対応してくれたけど、店内も変な雰囲気が漂っていたので、エロイことを考えていたフィリップでも気になるらしい。
「いえ……ハタチ様には関係のないことですので……」
「関係ないことないよ。僕たちお金と体の関係でしょ?」
「それはその通りですけど……それを関係ないと言うのでは??」
「まあまあ。話してみな。さっき女王様と会って来たところだから、力になれるからね」
ただのスタッフとお客の関係では薄すぎたので、伝家の宝刀、クリスティーネの名を勝手に使って話を聞き出すフィリップ。
「あいつ……また暴力振るったのか……」
犯人はストール伯爵。あんなに大金を使ったからフィリップは今日は来ないと踏んで乗り込み「アニタを出せ」と散々暴れ、ドロテーアが身代わりになって、ついさっき帰ったらしい。
「そいつの家、どこかわかる?」
「ですから、ハタチ様が関わるようなことでは……」
「ちょっと嫌がらせするだけだよ。お願い。ね? なんなら、白金貨1枚で情報買うよ~??」
「い、いりません! しまってください!!」
結局は金の暴力で聞き出すフィリップ。ドロテーアは昨日も貰いすぎていたからと、地図を書いてしまうのであった……
「なんか悲鳴が聞こえるんだけど……」
地図通り進み、高い壁を飛び越えて立派な石造りの家に忍び寄ったフィリップの耳に、女性の悲鳴のような声が聞こえて来た。
なのでフィリップは、アイテムボックスからフード付きのマントを取り出して羽織り、2階のバルコニーに飛び乗って、窓を氷魔法でムリヤリ開けて室内に入った。
「こっち来い!!」
「や、やめて……ギャーーー!!」
「ママ、ママ、ママ~~~!!」
廊下に出たところで女性の悲鳴と女の子の泣き叫ぶ声が大きくなり、フィリップは急ぎつつも物音を立てずに階段を下りてその先を見る。
そこでは、女性の髪の毛を掴んで地下室に引きずり込もうとするストール伯爵の姿。それを止めようと、ストール伯爵の足にしがみついた女の子。その子を蹴り飛ばして壁に打ち付けた現場。
「何してんの?」
「だ、誰だ!?」
そんな現場を見たフィリップは、姿を隠すことをやめてゆっくりと近付いて行った。
「た、助けて! 助けてくださ~~~い!!」
「お前! 賊に助けを求める貴族がいるか!!」
「とりあえず一旦離せ!!」
「がふっ!?」
フィリップはストール伯爵に素早く近付き、鳩尾に拳をめり込ませた。その一発でストール伯爵は女性の髪は手放し、ヨロヨロと後退ったせいで、地下に下りる階段を転げ落ちて行ってしまった。
「なんかよくわからないんだけど、2人には手を出さないと約束するから、ちょっと待ってて」
「ママ~~~」
女性がコクコクと頷き女の子が抱き付くなか、フィリップは階段をゆっくりと下りて行くのであった……
階段の下では痛がるストール伯爵がいたので、フィリップは髪の毛を掴んで引きずって歩き、奥の扉を開いて投げ込んだ。
「ふ~ん……なるほどね。だから従者が1人も見当たらなかったんだ……」
そこには、拷問に使うような器具の数々。フィリップは辺りを見回してからストール伯爵に語り掛ける。
「国王が失脚したから、オモチャにする人間を外から補充できなくなったんだ。だから娼婦で憂さ晴らししたけど、それでも晴れなかったから奥さんにやろうとしていたと……どんだけゲスなの??」
「私にこんなことをしてわかっているのか! 私は貴族だぞ!!」
「質問に答えないならいいよ。もう殺す。どんな拷問をしてやろうか……」
「ご、拷問……待て! 話をしようじゃないか? なんなら金も女もくれてやる……ま、待ってください……」
ストール伯爵が何を言ってもフィリップは聞く耳持たず。一言も喋らずに、淡々とストール伯爵の命を削るのであった……
11
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……
ma-no
キャラ文芸
お兄ちゃんの前世が猫のせいで、私の生まれた家はハチャメチャ。鳴くわ走り回るわ引っ掻くわ……
このままでは立派な人間になれないと妹の私が奮闘するんだけど、私は私で前世の知識があるから問題を起こしてしまうんだよね~。
この物語は、私が体験した日々を綴る物語だ。
☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
1日おきに1話更新中です。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
猫王様の千年股旅
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。
紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。
魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。
千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった……
☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット漫遊記」の続編です。
できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。
初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも……
「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。
R指定は念の為です。
毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる