夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

ma-no

文字の大きさ
上 下
80 / 374
四章 クーデター後も夜遊び

080 クーデターが終わったあと

しおりを挟む

 クーデターの翌日……

「殿下! 大変です! 起きてください!!」

 寮の最上階にあるフィリップの部屋では、焦ったダグマーが大声を出していた。

「ん、んん……ダグマー……チュ~」
「はい。しました。起きなさい!」
「あうっ!?」

 寝惚けたフィリップにちょっとだけ付き合ったダグマーは、フィリップの丸い物をギュッとして起こした。

「たまには優しいキスで起こしてくれない?」
「しましたよ。それでも起きなかったからです」
「マジで?」
「マジです。そんなことより!」

 ダグマーは冗談を言わないからフィリップも本当だとは思ったけど、大声で考えは遮られた。

「クーデターは成功となりました」
「成功? って、王様が負けたってこと?」
「はい……たった1日で終わらせるとは、首謀者はとんでもなく優秀だったみたいです」
「マジか~……王様はどうなったの? まだ生きてるよね? 反撃するよね??」
「いえ……先程、王族全員、皆殺しにされました……」
「え……」

 フィリップは全部知っているので驚いた演技中。どうやらダグマーは、外の様子がおかしかったから人に紛れて城に近付いたとのこと。
 すると城壁の上に王族が拘束されており、クリスティーネが横領や無駄遣い等の罪状を読み上げ、全員縛り首にしたそうだ。
 と、これもフィリップのアイデア。いきなり殺すよりも、やっていそうな罪状をでっち上げて殺したほうがクリスティーネの心証がよくなる。あとから探せば必ず出て来ると踏んでいるので、後日、詳しい罪を発表することになっている。

「てことは~……首謀者のアクション待ちってことで合ってる?」
「そうなりますね」
「じゃあ、守りだけ固めておいて。おやすみ~」
「この状況でよく眠れますね……」
「ムニャムニャ~」

 そりゃ、フィリップが黒幕だし、昨夜は2時間ほどしか寝ていないので、すぐに夢の中に戻れる。その幸せそうな顔が腹の立ったダグマーは、デコピンしてから部屋を出るのであったとさ。


 それから2時間が経つと、フィリップはまたギュッとされて起こされていた。

「ふぁ~……今度はどったの?」
「カールスタード女王という者から手紙が届きました」
「僕宛??」
「いえ。寮生全員に対してです。ですので、目を通しております」
「なんだって~??」

 手紙の内容は、クリスティーネが新女王に即位したこと。カールスタード学院はこれまで通り運営するから安心してほしいこと。安心できないなら、滞在費の返還や送り届ける兵も用意する等が書かれていたそうだ。

「へ~……わりといい人そうだね」
「手紙の内容だけ見ると……」
「何か心配事??」
「有能すぎる人物ですので、罠があるかもしれません」
「あ~……町を出たところでグサリっか。盗賊のせいにすれば、なんとでもなるもんね~。どうしよっか?」
「しばらく様子を見るしかありませんね」
「じゃ、そんな感じでよろしく~。おやすみ~」

 フィリップはタオルケットを頭から被ろうとしたが、ダグマーに奪い取られて立たされた。

「えっと……なに??」
「先程の手紙をこれから食堂で説明しますので、出席してください」
「えぇ~~~」

 この寮ではフィリップが一番位が高い。いくら指揮官を任命していてもこれだけはダグマーは譲れないので、フィリップを肩に担いで連行するのであった。

 2階にある食堂でフィリップがウトウトするなか、ダグマーが手紙の内容とこれからの方針を発表すると、生徒たちもそれにならってしばらく様子見。フィリップが残っているし、一番先に出る勇気はないみたいだ。
 この日はフィリップは何度も起こされて寝不足だったので、ダグマーと楽しんで夜遊びは自主規制。クーデターの終わった次の日は、疲れて動けないと前もってクリスティーネに伝えていたから早めに就寝していた。

 翌日は昼型に戻そうと頑張って起きて、朝っぱらからダグマーに甘えていた。踏まれてたけど……
 そうしていたらダグマーはいつの間にか消えており、「どこに行ったんだろ?」とか思いながらウトウトしているフィリップの元へ戻って来た。

「殿下。お客様が来ております」
「んん~? 僕に知り合いなんていないよ~??」
「カールスタード女王です」
「ああ~……来ちゃったか」

 フィリップが昼型に戻そうとしていた理由は、クリスティーネが来る可能性があったから。フィリップ的には「来ないでくれ」と祈っていたけど、こうなっては仕方がない。

「それで……お会いになられますか?」
「う~ん……美人? 何歳??」
「はい??」
「だから見た目」
「若い美女ですが……」
「胸の大きさは??」
「大きかったと記憶しています」
「なるほど……」

 フィリップの意図を読み切れないダグマー。

「わかった。今日は体調不良って言って返して。んで、招待状をくれたら登城すると言っておいて」
「え……向こうで会われるのですか?」
「そりゃ、美人でオッパイ大きいんだから、サービスするよ~」
「基準!? 前国王の時は邪険にしてましたよね!?」
「いいから言って来てよ~。待たせてるんでしょ~」

 動機が不純では、ダグマーもビックリ。フィリップがそんな基準で決めているのだから、ダグマーは怒りながら部屋から出て行くのであった。
 ちなみにこの日のダグマーの踏み踏みはいつもより強かったので、フィリップも痛い思いをしたらしい……
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~

てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。 そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。 転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。 そんな冴えない主人公のお話。 -お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-

転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚

ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。 原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。 気が付けば異世界。10歳の少年に! 女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。 お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。 寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる! 勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう! 六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる! カクヨムでも公開しました。

猫王様の千年股旅

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。  紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。  魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。  千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった…… ☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット漫遊記」の続編です。 できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。 初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも…… 「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。 R指定は念の為です。  毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

処理中です...