夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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三章 夏休みは夜遊び

068 泥棒が盗んだ物

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 城に入った泥棒の件を詳しく聞いてみたところ、まずは愚痴から。カロラたちは朝から職場に向かったら、中町に入るのも並ばされ、城に入るにも並ばされた上に、長い事情聴取を受けてヘトヘトになって帰って来たらしい。

「えっと……つまり僕が城の情報を集めてたから、泥棒じゃないかと。そんな僕に情報を流していたと知られたらと思って怖くなったと……」

 その愚痴を聞き終えたら、ひとまずカロラたちが心配していたことを聞き出したフィリップ。

「僕が泥棒なんて、心外だな~」
「ゴメンね。ちょっと思っただけだよ?」
「そもそも僕がお金に困っているように見えるの? この町に来てから散財しまくってるのに、はした金なんていらないよ」
「ね~? 私は絶対違うって言ったんだよ~?」
「だろうね。ずっと触ってるし……」

 フィリップが犯人じゃないと知ってから、隣に座るロリはフィリップのナニかをもてあそんでいるから信じられるらしい……

「いや、はした金なんかじゃなかったから……」
「そうなの? どんなお宝が盗まれたんだろ~。それは興味あるな~」

 カロラたちは口が重そうだけど、さっき疑ったこともあり教えてくれた。

「はい? 一晩で宝物庫の物が全部? さらに武器庫も空って……マジで??」

 しかし、ありえない量にフィリップも驚きを隠せない。

「マジで。あと、飾っていた絵も盗まれたのよ」
「ちょっと待って。そんな絵より、物量だよ。そんなの1人で出来るわけないじゃん。なんで僕を疑ったの??」
「「「だよね~。たはは」」」
「モゴモゴ」

 フィリップに問い詰められても、3人は笑うしかないみたいだ。ロリは……口にナニかが入っていて何を言ってるかわからないな。

「てか、大掛かりな泥棒だね。そこまで準備しているってことは、内通者……いや、内部犯行の線が高いね。それをやってのけられるのは……」

 フィリップは突然立ち上がるので、皆は何を言うか期待する。フィリップの膝から落ちたロリ以外……

「犯人は、第二王子だ~~~!」
「「「そうなの!?」」」
「いや、しらんけど」
「「「なんじゃそりゃ~~~!!」」」

 期待させておいてフィリップが知らないと言うと、全員仲良く床に転がるのであったとさ。


「まぁ、可能性があるのは、継承権がある人か、位の高い人じゃないかな~? だったら兵士も協力して持ち出してくれるんじゃない?」
「「「かしこっ……」」」

 女体と噂話と下世話な話が大好きなフィリップから出ない言葉が出たので、カロラたち3人は感心している。

「あと、盗まれた絵ってなに?」
「先々代の女王様の姿絵よ」
「他には??」
「それだけ。他の王様とかの絵はそのまま残っていたって」
「なるほど……違う可能性が出て来たぞ」

 賢いフィリップが言うのだから、3人もちょっとは期待する。

「確かその女王様って、不慮の死を遂げたって知ってる?」
「まぁ……いわれのある女王様ってのは兼々かねがね
「僕の予想では、王配が殺したと思ってるんだよね~。継承権のある人は全員その時期に亡くなってるし。つまりこれは、先々代の呪いだ~~~!」
「「「なんか思ってたのと違う……」」」

 自信満々に言ったフィリップだが、今回はいまいち決まらないのであったとさ。


「おっかしいな~。面白い推理だと思ったのに」

 フィリップはブーブー言いながらも、太ももに乗って動いているロリの頭を撫でながら気になることが浮かんだ。

「そうだ。お姉さんたち、僕のあげたお金って何かに使った?」
「私はいまのところ、生活費ぐらいよ」

 カロラたちの中で高い買い物をしたのは1人だけ。意外と堅実な人が多い。

「派手にしてたら泥棒の仲間に間違われるかもしれないけど、それぐらいなら大丈夫かな?」
「あっ。本当ね! もしも家宅捜索なんてされたら、犯人だとでっち上げられるかも……どうしよう??」
「僕が預かっておこうか? 信用できるならだけど」
「そ、そうね。ハタチ君ならくれたお金も微々たる物だろうから、安心できるかも。頼める??」
「オッケー。いまから回収しに……やっぱり持って来てもらっていい? もう我慢できないや」
「うん……そんなことされて、よく普通に喋ってたよ」
「「うんうん」」

 こうしてロリ以外はお金を取りに走り、フィリップはマッサージをしながら待つのであった。


 それからスパイ3人のお金は、キッチリ金額と名前を書いて袋に保管したらフィリップが受け取り、ロリの家に向かう。他の3人は、今日はやる気が起きなかったんだって。
 ロリは家族と暮らしていたのでしばし待ち、同じように保管したらまた誘われたフィリップだけど、「行くところがある」と断って後ろ髪を引かれる思いで別れた。野外はちょっと興味あったみたいだ。

 フィリップの向かった先は、クリスティーネの家。そこでアイテムボックスから、布の被ったフィリップぐらい大きな平たい板のような物を背負うと、屋根に飛び乗る。
 夜遅くなのに、窓をノックしたらクリスティーネが入れてくれた。「どこから来てるの?」とは思ったらしいけど。

「今日は大変だったのに、遅いですよ~」
「僕もやること多くて。てか、何が大変だったの??」
「ロビンさんから聞いたのですけど、至る所が封鎖されまして……」

 クリスティーネが言うには、兵士が町中を走り回り、首都の入口は全て封鎖され、スラム街も囲まれたらしい。そのことをロビンが伝えに来てくれて、クリスティーネは一日中隠し部屋で寝ていたそうだ。

「てことは、騎士団はスラム街の調査はしてないってことか……」
「はい。なんとか包囲を抜けた人が、中の状況を伝えに来てくれたと言ってました。でも、何が目的かはわからないらしいんです」
「そっちは僕が情報仕入れて来たよ」
「本当ですか!? さすがハタチさんです!!」

 ひとまずフィリップは、スパイから聞いた情報を教えてあげた。

「城の宝物庫も武器庫も空って……誰がなんの目的で盗み出したのでしょう……」
「さあね~。あと、先々代の姿絵も盗まれたらしいよ。他の絵は無視して」
「それって私のひいお婆様ではないですか?」
「たぶんね。これなんだけど、クリちゃんにそっくりだね」
「本当です! 私そっくりです!! ……ん??」

 フィリップが板に掛かっていた布を外すと綺麗な女性の絵が現れ、それを見たクリスティーネは興奮していたけど、次の瞬間には固まった。

「あの……城から無くなった物が、どうしてここにあるのですか?」
「そりゃ、犯人は僕だもん。持ってて当たり前でしょ?」
「ですよね~……って、なるか~~~い!!」

 そう。城から根刮ぎ奪ったのはフィリップ。質問にしれっと答えたら、クリスティーネのノリツッコミが炸裂したのであったとさ。
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