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三章 夏休みは夜遊び

057 作戦名

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 酒場にて、マフィアのボスが雁首揃えているのだから、フィリップは乗っ取り計画について話す。

「ぶっちゃけ、なんも決まってない」

 でも、何も策がないのでは、期待していたオロフ、トム、ロビンはズコーッてこけた。

「昨日の今日なんだから仕方ないでしょ~。だから、この作戦名とチーム名から決めていこう。いや、そんな顔しないでよ。外で堂々と言えないでしょ??」

 3人が「こいつ、大丈夫か?」って顔をするので、フィリップが強引に名前を決めた。

「お掃除大作戦ってので決定ね。てことは、チーム名はお掃除団ってことにしておこう」
「「「はあ……」」」
「拍手ぐらいしてよ~」

 ムリヤリ拍手をさせたら、フィリップは次の案を出す。

「んで、作戦名通り、スラムを綺麗にしよう」
「はあ? もう聞いてられねぇ。いい加減にしろよ」

 しかし、オロフが納得いかないと噛み付いた。

「んなことやって、国が変わるのかよ?」
「変わるわけないじゃん」
「ふっざけやがって……」
「まぁ聞きなよ。いまお前たちがバラ撒いているお金は、スラムの住人はタダで貰ってるんでしょ? 僕のお金だよ? 僕になんのメリットがあるんだよ」
「そ、それは……」
「ないでしょ? じゃあさ、僕はいつまでお金を出し続けないといけないの??」
「わからねぇ……」
「タダで渡し続けたら永遠だよ。だから、掃除という仕事を与えて対価を払う。それなら住人もお腹が膨らみ町も綺麗になる。僕も歩きやすくなるからメリットがあるでしょ?」
「「「確かに……」」」

 全員がない頭でもわかってくれたらフィリップは畳み掛ける。

「ゴミがなくなれば、家や道の修理。仕事はいくらでも作れるよ。物がないなら外から買って来ればいい。スラムが小さくなって行けば、観光客だって歩き安くなるからお金を落とすの。そうやって経済が回って行くんだよ。そのための第一歩が、ゴミ掃除。わかった??」
「ああ」

 オロフを黙らせると、フィリップはロビンを見る。

「服とかも綺麗にしなくちゃね。手に入る?」
「金さえあればなんとかなります」
「じゃあ、僕が大部分を出すから、スラムの住人には格安で売るってことにしよう。てか、物資関連は任せても大丈夫?」
「ええ。知り合いの商人に声を掛ければ、ある程度の物は用意できます」
「だって? オロフとトムはスラムを綺麗にして行って、ロビンに必要な物を用意させればいいだけ。大丈夫?」
「「おう」」

 3人の役割が決まったけど、フィリップは気になることを思い出した。

「他にもマフィアはいるの?」
「正確な数はわからないが、10はいるな」
「そいつらも仲間に入れてね。金で落ちない場合は僕に報告して。話し合いでブッ潰してやる」
「「「本当に話し合い??」」」

 フィリップが悪い顔でそんなことを言うので、絶対に殴り込みに行くと思った3人であった。


 それからお掃除団の拠点を作ることや、国が嫌がりそうなことの情報収集等の指示を出したら、今日のところは現地解散。フィリップだけ残って、忙しくしていたマッツにジュースを持って来させた。

「なんか物騒なことをやらかそうとしてんのか?」
「なんでそう思うの?」
「マフィアに命令してたら、普通そう思うだろ」
「アハハ。そりゃそうか。まぁ見てなよ。面白いことをやるからね」
「俺を巻き込んでくれるなよ~?」
「あ、そういえば、こないだ僕が逃がしたら飛んで逃げたよね? 普通は、ちょっとは残る雰囲気出すもんじゃないの??」
「あ……アレは怖かったから……」

 話を逸らすのに昨日の逃走の話を出したら、マッツはどんどん小さくなって行く。あんなに堂々と逃げておいて、子供1人守れない不甲斐なさがあったらしい。

「まぁいいや。昨日の4人組、今日は来てないの?」
「あの子たちか~……見てないな。あの子たちも逃げてしまったから、気が引けて来ないんじゃないか?」
「えぇ~! 今日こそロリさんを抱こうと思ってたのに~」
「うん。頭の中はそれしかないんじゃ、おっちゃん心配だよ」

 あまりにも女のことしか考えていないのでは、同じエロ仲間のマッツからも心配されてしまうフィリップであったとさ。


 マッツには、しばらく忙しいから3日に1度ぐらいしか来れないことと、ロリたちが来たらそのことを伝えるように言ったらお金を置いて別れたフィリップ。
 その足でクリスティーネ姫が滞在している建物に入ると、機嫌が悪そうな中年女性に中に通された。

「本当にベッドの中でしかお話をしないのですね……」

 そして、すでにあんなマッサージやそんなマッサージをしたあとのピロートークとなったので、クリスティーネも遠い目をしている。

「だって~。こんなの見たら、我慢できないよ~。モミモミ」
「あの……揉まれますと、話もできないのですけど」
「あ、ゴメン。つい……モミモミ」
「はぁ~……やめないのですね。そのままでいいので、何から話ましょうか? あ、ロビンさんからお掃除大作戦の話は聞いてますよ。住人の自立心を高める面白い作戦ですね。きっと、すぐにスラム街も綺麗になりますよ~」

 クリスティーネの胸を揉み続けていたフィリップであったが、クリスティーネはけっこうお喋りさんだったので、エロイ気持ちも去ってしまってその手を止めるのであった。
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